リバウンドを狙うための2つの視点

著者:堀篤
投稿:2016/01/25 18:09

■1月21日の惨劇

先週1月21日は、近来にないくらい疲弊した一日となった。
某証券会社では、予定していた3時半からの会議はすべてキャンセル。市場関係者は事後処理と対応策に追われた。
前日の1月20日、日経平均株価は16400円を場中に割り、目先の底値としての限界値に到達していた。そして、翌21日、ある意味予定通り日経平均は、16700円まで戻し、市場参加者の多くは、市場崩壊を免れた安ど感から、リバウンド狙いの売買へと気持ちを切り替えていた。
しかし、その直後、突然相場は暗転する。動きが怪しくなってきた日経平均は、じりじりと下げ、さらにダムが崩壊するように、急落したのだ。結局、引けはその日最安値の16017円。日経平均は、300円高から700円以上の「つるべ落とし」を演じた。
ここでやられた個人投資家の方も多いだろうが、「安心してください。プロもやられています」と言ってあげたい。

しかし、週末金曜日、やっと株式市場が一旦の反転を見せた。
この相場の中で、唯一絶対の材料は金融緩和であり、その選択肢を持っているのは、欧州ECBと日銀だ。

ECBが、追加緩和の可能性について言及し、日銀黒田総裁も、必要なら断固たる政策判断をする旨を発言したのだ。
21日のECB理事会、ダボス会議、28日29日の日銀会合と続く政策日程の中で、なんらかのメッセージが出るのは当たり前の状況だったが、21日の死屍累々の状況でポジションをなくしていた連中も多く、翌日の上昇は、傷口に塩を塗った感もある。


■リバウンド狙いの2つの視点

さて、問題はここからだ。
市場は、21日の安値16017円を新たな起点として、リバウンドの相場を形成していくだろう。
ただし、リバウンドを狙いに行くにも、考え方はいくつかある。銘柄選別の際の考え方を、二つだけ紹介しよう。

①昨年8月以降の安値を、今回の下落で割った銘柄か割っていない銘柄か
②12月決算銘柄か3月決算銘柄か

それぞれ、どちらを狙うべきだろうか。
まず、①は、割っていない銘柄のほうが強いだろう。日経平均株価は、8月下旬の安値を大きく割ってしまったが、今回の急落時に、そこまで到達していない銘柄も多々ある。それには、なんらかの理由があるはずだ。

基本的には、割っていない銘柄のほうを選びたい。ただし、目先に日経平均が大きく戻すことに確実な自信を持っている人は逆の選択肢をすべきだ。また、信用残の状況も見極めたうえで、個々の銘柄は検討したほうが良いだろう。

次に決算期との問題。
12月決算銘柄の決算発表は、2月15日までに行われるので、上方修正などが発表される最後のタイミングが、今週以降2週間ほどの間だ。
決算が良さそうな銘柄を選び、少しでも安心しておきたいのは、誰でも同じだろう。一方、3月決算銘柄の第三四半期の発表も、同じタイミングだ。ただ、こちらはまだ、結論までは時間がある。
「決算に自信がある12月銘柄」が、今回の急落で下落している場合は、バーゲンセール!と判断することもできるだろう。
また、上方修正をもっと先取りしたい人は、3月決算銘柄の第三四半期発表まで待っても良い。ただし、そのときに、全体の市場がもっと戻していれば、リバウンド効果は少なくなる。


■MonotaRO(3064)スズデン(7480)

週末、銘柄選択の議論となっていたこの二つの銘柄がある。
この両社は、タイプと時価総額、分野が違うが、同じく、「モノづくりのための流通を支える」企業だ。このような、商社的な役割は、今の日本の製造業には欠かせない存在となり、また、分野の集中と分散により、差別化も可能になってきた。
MonotaROは時価総額が大きく流動性あるため、機関投資家でも買えるが、スズデンは、出来高がすくなく、個人投資家向けの銘柄だ。

MonotaROは、昨年安値を、今回はぎりぎりで割りこんでいない、12月銘柄だ。

この企業は、この12月期、最高益で増配が予想されている、勢いがある時期だ。昨年の安値、2352円に対して、今回は今のところ、2416円でとどまっている。海外の同業企業が親会社となった。

スズデンも、昨年安値を割りこんでいないが、同じ割りこんでいない中でも、次元が異なる。昨年の安値は8月の801円だったが、今回の下落では、下がったと言っても1014円と、200円以上も上にある。
こちらは3月決算で、営業利益は前期比2倍以上の数値を予想している。

どちらを狙うかは、方針次第だ。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想