タクシー運転手といえば、マエストロにも書いたから。
春吉君は知っている。
オイラの中学同級生Yの親父は、F交通のドライバーだった。
このアニメの主人公みたいなヒトだ。
質問に対する答えに、色々考えすぎて、
いつも返事が遅いんだ。
その親父は柔道の達人で、しかもグレていたから、
稲川会に勧誘された。
でも、どーいうわけか、その親父は「イヤだ」と答えたんだ。
オイラが視た白旗神社で、その親父はいつも神輿を担いでいた。
オイラの親父は、その白旗神社で「公臣」という名前を授けられた。
こんな字を読めるヤツは、春吉君以外に、この世にいない。
「トモシゲ」って、いうんだ。
二人とも、この世から去った。
寂しい。
F交通の親父は、稲川会の親分を熱海に送迎するお抱え運転手だった。
石井進のコロか、そのちょっと前だろう。
F交通の親父は、いつもオイラが行きつけの床屋「モナコ」に行っていたそうだ。そのあんちゃんから聴くと、もう最後は己の足で帰ることもままならないとこのとで、肩を貸してあげたそうだ。
そのF交通の親父は、オイラの懲戒免職の履歴を知っているくせに、このセイウチのように、余計なことは何も言わないんだ。
いつも、「お袋は元気か」って、ことしか言わない。
「ダメだった」と答える前に、他界していたよ。
もう、これ以上、余計なことはいわなくってもいいだろう。