優利加さんのブログ

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貿易摩擦問題の戦線拡大を懸念

昨日の米国株式相場は大きく下落した(DJIA -268.37 @27,783.04, NASDAQ -97.48 @8,567.99)。ドル円為替レートは 109円台前半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が551に対して、下落銘柄数は1,540となった。騰落レシオは106.35%。東証1部の売買代金は1兆9566億円。

TOPIX -8 @1,707
日経平均 -150円 @23,380円

11月の米ISM製造業景況感指数が市場予想に反して前月比で下げた。米国株式相場は大きく下落し、これを受けて日経平均も下げて始まった。日経平均は昨日、終値ベースで年初来高値を更新するほど上げていたので、本日は利益確定売りが出やすかった。また、トランプ米大統領がブラジルやアルゼンチンから輸入する鉄鋼などに追加関税を課す考えを示し、貿易摩擦問題の戦線拡大が懸念された。さらに、フランスが導入したデジタルサービス税を不服として、米国がフランス製品に制裁関税を検討していることも相場の重しとなった。ただ、日経平均は一時、ザラバで25日移動平均線を割り込むほど下げたが、その後切り返して陽線で終えた。或る程度下げればすかさず買いが入るので、まだ先高観が強いことを示している。香港ハンセン指数などアジア株が底堅く推移したことも日本株相場を下支えした。

12月15日の米国による対中貿易追加関税、第4弾の発動は見送られるというのがマーケットの支配的な見方である。第4弾には消費財が含まれるので米国の国民生活に直接影響を及ぼすため、支持率の低下につながり、来年の大統領選挙に不利になると考えられるからだ。しかし、トランプ米大統領はそんなに読みやすい人物だろうか?

米FRBが利下げしたことで米国株式相場は主要3指数が史上最高値を更新するほど上げてきた。しかし、来年以降に景気が減速し始めた(いつまでも上げ続けることは不可能なので、ほぼ確実にそうなると見ている)時、金融政策の余地が小さくなっている分だけ、リスクが大きくなっているとも言える。

来年には日経平均は25,000円まで上がるという人が散見される。現在のEPSが1,660円なので、25,000円ということはPERが現在の14倍から15倍に上がることを意味する。では、PERが15倍とは何を意味するのか?PER=1/(r-g)なので、日本株の株主資本コストr(=投資家の要求収益率)を8%とすると、長期的な成長率gは1.3%を意味する。過去20年間ほとんど成長して来なかった日本経済が来年から遠い未来に向けて1.3%で成長し続けることが本当に可能かどうか、真剣に考える必要がある。

日経平均の日足チャートを見ると、ザラバでは25日移動平均線を割り込んだが、終値では辛うじて25日及び10日移動平均線の上に踏みとどまった。もし、25日移動平均線の下に終値ベースで沈み込むと、ダブルトップ形成が濃厚となり、調整が長引く可能性が高まる。

33業種中30業種が下げた。下落率トップ5は、水産・農林(1位)、パルプ・紙(2位)、電気・ガス(3位)、倉庫・運輸(4位)、陸運(5位)となった。

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