仁戸名のはんじさんのブログ

最新一覧へ

« 前へ8件目 / 全20件次へ »
ブログ

 気になる記事から

 13日の株式市場は、日経平均株価が15年ぶりに1万9000円台を回復した。しかし、日本株が長く低迷を続けていた間に、米独や新興国など海外株は一段と上昇した。日本株はようやく海外マーケットを追いかける新たな出発点にたどりいついただけともいえる。上場来高値が間近のトヨタ自動車が日本株の先行きを占うシグナルになる。

   1万9000円台は出発点

 「変革するニッポン株式会社の象徴と受け止められた」。株式市場でこの日、一番話題だったファナックについて、シティグループ証券エクイティ・マーケッツ本部長のアレックス・ミラー氏はこう話す。市場に背を向けてきた無借金経営のファナックが株主との対話や株主配分を拡充する方針を示し驚きが広がった。

 ファナック人気は金持ち企業として有名な他の銘柄にも及んだ。空気圧機器のSMCの終値はこの日、前日比9%高。SMCは昨年末で4000億円超の現預金を持つ。昨年末で7000億円超の金融資産を持つキーエンスも6%高だった。株主配分に前向きな動きが広がっていくとの連想が働いたとみられる。

 だが、市場を冷静に見つめる声も少なくない。大手証券会社のトレーディング担当者は「周辺銘柄に物色は広がらず、相場全体が活況という感じはしない」という。運用資産を入れ替えている公的運用マネーと、短期志向の海外勢による買いが相場を底上げしているとの見方も根強い。

 東京株式市場の売買代金トップは「日経レバ」の略称で知られる上場投資信託(ETF)だった。値動きが日経平均の2倍になるのが特徴で、個人投資家などが盛んに売買する。13日の売買代金は約2300億円と、2位ファナックの1・6倍だった長期マネーが本格的に株式市場に向かっているわけではないことをうかがわせる。

 時価総額が28兆円と日本最大のトヨタ自動車の株価が今の相場の雰囲気を投影している。2015年3月期に最高益を更新する見通しのトヨタの株価は、07年2月につけた最高値8350円に迫りつつある。しかし13日は相場全体の勢いとは裏腹に1円安の8257円で取引を終えた。

 円安などを好感して先駆して上げていただけに、利益確定の動きもある。今後の成長力を見極めたいという投資家も多い。クレディ・スイス証券の秋田昌洋リサーチアナリストは収益の着実な伸びを評価しつつも「販売台数の本格的な成長は17年3月期以降になりそうだ」と話す。

 日本株のポートフォリオを増やそうとする投資家の多くはまず中核銘柄であるトヨタ株から組み入れるとされる。トヨタ株の高値突破は日本株全体に波及しやすい。予想PER(株価収益率)は約12倍。トヨタ株に成長プレミアムが高まり、リーマン前の高値を更新していくことが相場の上昇持続に欠かせないだろう。

 日本株が15年かけて大台を回復過程で、米国やドイツの株式相場は99年末に比べ6~7割も上がっている。企業の成長力と日本株の投資魅力が世界で問われるのは、むしろこれからが本番だ。


  日経 3/14朝刊 スクランブル

コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。