仁戸名のはんじさんのブログ

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   前日の米国株式安を物ともせず、11日の日経平均株価は反発した。誰がつけたか、公的マネーを指す「クジラ」が影響力の大きさを見せつけた一日となった。クジラは全部で5頭。買い余力は合計で20兆円を超えるとの試算もある。膨大かつ急激な資金流入が市場にゆがみをもたらすおそれはあるが、その影響力を過小評価すべきではないだろう。

  「クジラ買い」の爆発力

 「円相場との相関はなくなっているし、米国株とも全く連動しない。理屈をつけようとすればするほど、わからなくなる」

 11日の取引終了後、ある外資系証券のストラジスト氏は苦笑いした。理路整然と相場の動きを解説するのが仕事であるはずだが、あまりの相場の強さにサジを投げた様子だ。「つまりは需給ということですよ」買っている人がいるから相場は上がる。これは疑いようもない事実。理屈は抜きにして今の相場はクジラの買いやそれを期待した他の投資家の提灯かいで方向が決まっているようだ。まさに「池の中の鯨」の真骨頂ともいえる。

 分類すると、今の日本株市場にはクジラが全部で5頭いる。筆頭格は、すでに昨年から活発に動いている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だ。2頭めは公務員らが加入する地方公務員共済組合連合会など3つの共済年金だ。3共済は今秋のGPIFへの運用一元化を控え、GPIFと同水準まで日本株保有比率を高める計画という。

 続く2頭は簡保生命保険とゆうちょ銀行だ。今秋の株式上場を計画しており、運用収益を高めるため国債に偏重した運用を株に移し替えていく計画という。さらにETF(上場投資信託)買いを進める日銀の存在も忘れてはならない。

 UBS証券の大川智宏氏の試算では、この5頭の日本株の買い余力は合計で27.2兆円。1千本弱の公募日本株投信の残高は全部で約19兆円だから、これがいかに大きいかがわかる。

 影響力が大きいだけに、市場参加者たちの最大の関心はクジラがいつどのような買い方をしてくるのか、だ。流動性の高い東証株価指数(TOPIX)連動のパッシブ運用が、今のところクジラの買いの最大の受け皿になっているという。

 このため証券会社のトレーダーたちはTOPIX構成銘柄の構成ウエートと日次リターンの相関係数を「クジラ警報」として活用する。この値が上がるほどTOPIX連動買いが個別の株価に影響していることを示す。この軌跡を見ると、足元のクジラの買いの勢いの強さが読み取れる。

 弊害はないのか。公的マネーによる相場の押し上げが、その後の相場の長期低迷につながったのは1990年代初めの「PKO(株価維持策)」が証明したとうりだ。

 「官製相場なんだったら、すぐに底が割れて(株価は)下がるじゃないですか」。先月の記者会見で、貴社に質問された菅義偉官房長官はこう切り返した。それはその通り。いずれクジラの買いは終わるし、そのとき答えはでるはずだ。


       3/15日経朝刊 スクランブル

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