影さんのブログ
原油をめぐる懲りない面々【前篇】
まずは添付の写真をご覧頂きたいのですが、今週の経済誌、「週刊ダイヤモンド」と「週刊東洋経済」の特集が思いっきり被っており、両誌とも「原油安特集」でござりまする。
実は何を隠そう、ここ数週間原油相場に着目していたため、しばし迷った末、週刊ダイヤモンドの方を購入、拝読させて頂きました。
読めばなかなかに興味深い記事で、元来原油相場というものは、燃料、石油化学業界などの実需に基づいたものであり、二度にわたる世界大戦でその地位を世界に確固たるものとし、幾度にも渡るオイルショックを経て、欧米の石油メジャー、原油産出国(つまりはOPEC)との政治的な綱引きで相場が動かされてきたのでござりました。
ところが、ここ数年はそれまで実験を握っていたOPECの支配力が薄れ、リーマンショックの前後くらいから、もはや実需を無視したヘッジファンドの投機対象のひとつになってしまった感がござりまする。
当時、2007年に$60前後だったWTI原油先物相場は、サブプライムローン問題を契機に、翌2008年6月には一気に$133の高値をつけ、その後リーマンショックで原油バブルは崩壊。2009年3月には$39まで真っ逆さまに下落してしまいます。
今回も同様、昨年6月に今度は相場が$107まで上昇したあと、またもや一気の下落。そして今年1月には$45の安値を付け、今はどうやら、そろそろ底が見えてきているのかも…といった感がござりまする。
今回のいわば第二次原油バブル崩壊は、陰でやはり色々な思惑が蠢いており、米国のシェールオイル革命による供給過多とOPECの減産見送り、中国や欧州などの景気減少による実需減が目に見える要因ではあるも、その裏では産油国によるシェールつぶし説、燃料依存のロシアたたき説、ベネズエラなどOPEC新参者への圧力説、はたまたイスラム国弱体化狙い説など、諸説まことしやかにささやかれております。
原油安は、日本経済にしてみれば、石油、運輸・空運、化学、窯業、鉄鋼・非鉄金属などなど、原油輸入国としてみれば、産業には大いにプラスになるわけであって、決して悪いことではないはずでござりましょう。
いったいこの先原油相場はどうなるのか?そして我々個人投資家は原油相場に付け入る隙はあるのか?について、後篇にて考えてみたいと存じまする。
[続く]
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トレンドに乗らねば投機の成功確率は高まらないからです。
投機は二段ロケットの二段目であって、一段目の実需、、原油では中国の爆食でした、、がなければ成就しないと思います(大儲けにはならない)。
原油、というか商品バブルは、投機にもて遊ばれたというより、中国バブルとともに生まれ、中国バブルの終息とともに終焉しつつあるのでしょう。
で、シェールオイルは原油高を当て込んで開発が進められたわけですから、中国バブルの崩壊を他の新興国成長が埋めなければ、シェールオイルを潰す形で原油価格下落となるでしょう。
なので、世界経済の回復度合い、中国以外の新興国の成長度合い、そしてサウジなど既存産油国のシェア・利益を巡る思惑、、、これらが今後の原油相場を左右するのでは?
シェールオイルは原油価格動向に応じて柔軟に(経済合理的に)稼働、休止が成されるでしょうから、世界経済回復が本格化しないうちは、シェールオイルの幅広な採算ラインを中心にした値動きになるのかもです。
これはトレンドのないボックスのような相場でしょうから、投機資金は入りにくいと思います。
丁半勝負で遊ぶ向きはあっても相場形成に大きな意味は持たないでしょう、たぶん
この度は日記をご笑読頂き、お言葉頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。
まさしく個人が参入するのに一番壁が低いのがETF、もしくは投信の積立かと存じます。ETFの二銘柄の出来高は実に大事な着目点ながら、12月下旬から増え続けているので、果たしてどこが大底なのか悩ましいところかと…(^^ゞ
WTI相場そのものに国内ETFの裁定買いも含まれているかも、というのは大変面白いお考えかと存じます。今回の記事は、あくまで相場を動かす巨大勢力にヘッジファンドが関与しているという、あくまで全般的な話のようでござりますが…
この度は日記をお読み頂き、お言葉賜りましたこと深謝申し上げます。
まさしくご指摘の通り、実需なくして相場は生れぬもの。日記本文でも記させて頂いた通り、中国や欧州の需要減ということが、今回の原油価格下落における主因のひとつと思っておりまする。
ただ今回読んだ記事の論点は、実需以上に相場の値動きが激しいということであり、実需以上に産油国や米国、ロシアの思惑、さらにはそれにヘッジファンドが絡んで、値動きがややこしくなっていることなのでござります。
今の原油相場は、まさしく丁半博打の様相を呈しているかと。ここから相場上昇を望むには、①実需の回復、②米国シェール業者のふるい落とし、③産油国の生産調整、といった幾つかの条件が必要であり、こういった諸条件が揃って、次に相場へ資金の流入という動きになるのでは、と考えておりまする。
影さん
シェールオイルの生産、休止って相場を見て柔軟にやるかもしれませんね
シェール潰しなど不可能と分かると、サウジの生産調整、増産も柔軟になるかもです。
そうすると、シェールオイルの採算レンジ(広い?)を中心にしたボックスになる。
こういうことと中国はバブルに気をつけるようになっていることから、世界経済成長に伴う緩慢な上昇トレンドが底流ではないでしょうか(緩慢すぎて乗る意味がないかも、、)
商品市場の投機規制や金融規制やリーマン以降のヘッジファンドの痛手やらで、投機資金の影響力も以前ほどではないです。
中国爆食以前の氷河期には戻らないでしょうけど、もはや、商品市場ではそんなにエキサイト出来ないと思うのです。
呑気さん
個人的にはボックスではあまり資金を入れたくないですね
重々承知でしょうが、地政学リスクとかで踏まれる可能性にご注意を。
ご武運をお祈りします。
joju殿
改めのご意見を頂戴し、誠に痛み入りまする。
シェール業者に関しては、「つぶし」ではなく「ふるい落とし」、すなわち業者の生き残り戦になるように思いまする。最後もやはり産油国側との綱引きになるかと。
相場のことは相場に聞けと申すように、株価は相場が決めること。気軽に乗れる相場でないでしょうし、素人にあえて薦めるつもりはありませぬ。まあ、こんなのもあるよ、程度の日記なので、笑って読んで頂ければありがたく存じまする
d(^^)
> その裏では産油国によるシェールつぶし説、燃料依存のロシアたたき説、
> ベネズエラなどOPEC新参者への圧力説、はたまたイスラム国弱体化狙い説
そうそう、本当に政治的なものになっていますよね(^o^)
「ベネズエラなどOPEC新参者への圧力説」は初耳でした(^o^)
_こうちゃん殿、
いつもお言葉頂き、心より御礼申しあげまする。
ベネズエラは、原油の生産量では「後進国」ながら、埋蔵量がなんと世界1位。それは、旧来は不純物が多くて原油生産に向かない質の原油だったのが、ここ数年採掘技術の進歩によって生産が可能になり、一気に埋蔵量首位になったというもの。
こういった新興国の台頭は、中東の老舗産油国にとっては「面白くない」ものであり、かつベネズエラは中国から資金援助を受けているなど、さらにややこしさが増しているようでござりまする。
やはり政治と原油は、切っても切れぬもののようで…(^^ゞ