yuhsanさんのブログ
軽貨は重貨を駆逐する
それって、「悪貨は良貨を駆逐する」じゃないの、グレシャム法則の?
ここに2万円あります。一つはぼろぼろ、もう一つは新札。もちろん偽札ではありません。お金の価値は変わらないんだから、2万円は2万円と思うでしょう。
でも、もしこれが別々の人が持っていたらどうでしょう。ぼろぼろのほうは、苦労して稼いだ人が。新札のほうは、株でぼろもうけした人が、それぞれ持っていたとしたら……。 経済学者は、お金の価値は同じと答えます。私は違うと思います。価値は変わらなくても重さが違います。
苦労して稼いだお金を持っている人は、お金の価値を高く評価します。ということは、物価を高いと感じます。したがってお金を使うことに慎重になります。
一方、簡単に手に入れたほうの人は、お金の価値を低く評価し、物価を安いと感じます。結果的にお金を安易に使います。お金の重さが違うのです。
昔(といっても、そんなに昔ではありませんが)、不況脱出には、貧乏人に金を配れば、すぐ消費に回るからという理由で、バラ撒き政策をやった政党がありましたが、効果は限定的でした。貧乏人ほどお金の価値を知っているから、消費に慎重なのです。
アメリカはどうでしょうか。消費拡大を図るために間接的ですが株価上昇をやり、その結果、100年に一度といわれた不況を脱出したのです。新しく日銀総裁になった黒田さんは、このことをよくご存知です。だから株価を上げることが、経済にとって不可欠だという政策を取っています。日銀は黙々とETFを買っています。その額は2.5兆円にも達しましたが、外国人投資家に比べ、まだまだ、日本の眠っている資金を起こすのに十分な数字ではありません。
日銀が株に介入するのは、正常な株価形成を阻害するといっている学者がいますが、それでは外国人が株を買うのはどうでしょうか。特定の株価を操作して指数を上下させ、利益をあげているではありませんか。株価とはもともと誰かが作るものです。アメリカでもFRBが、危険度の高い住宅証券市場に介入して莫大な利益を上げました。
これは、昨年8月の参議院選挙のお話です。関西地区のあまり裕福でない地域の選挙活動で、社会主義を標榜している政党の候補者が、自転車に乗り選挙活動をやっていました。
「安部政権は、株価が上がったといっているが、儲かったのはユニクロの社長で、株の値上がりで1兆円も儲けた……」とやっていました。
この候補者が当選したところを見ると、これが日本人の株に対する心境かと考えざるをえません。この党も昔は、「働かざるもの食うべからず」といっていた時代もあったように記憶していますが、いつの間にか、株は不労所得と見るようになったようです。この分でゆくとホワイトカラーは、全員「農村で汗を流せ」になってしまいそうです。
そうなると、バブルの夢はまだまだ先のように見えてきますが。何しろバブルの時代は、お金の価値が「軽かった!本当に軽かった!」だから、お金をジャブジャブ使っても、あまり気にしませんでした。失業問題もなく、治安もよく、そして若い人は日本の将来に希望を持っていました。ある意味で、日本が一番輝いたときでもあったのです。
ところで相場のほうは、年初から荒い動きが続いています。指数銘柄が調整し、出遅れ株が上げるという循環に入ってきました。運転手の交代は、やはり走りながらは無理のようで、調整が必要だったようです。
指数のために上げた株が下がり、出遅れ株が上昇したため、指数は抑えられました。今回の調整は、新しい相場に入ったときに、よく起こる現象と捕えることもできます。これで、今年前半までにバブルになる可能性は遠のき、夢は来年まで持ち越されたようです。
とはいっても、6月までに、18,000円の高値達成という見通しには変更ありません。この続きはまた明日。