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「悪い人じゃないのだけれど……」

池上正樹
あのとき、大川小学校で何が起きたのか
青志社 2012/10

「悪い人じゃないのだけれど……」という人物評価の仕方が,私は大嫌いである。社会的立場や担う職能を離れたところに,抽象的な「人柄の良さ」があるとは,到底考えられないからである。

したがって,元大川小学校校長の柏葉某,津波被災後ようやく3/16になって同小学校跡を訪ねたり,行方不明の児童の捜索活動に携わらず,保護者の質問をはぐらかし自己保全を図った挙げ句さっさと早期退職してしまったような輩が,それまで仮に例えば人当たりの良い温厚な人物であったにしても,それで免罪される筋合い
ではないということである。

> 遺族たちの柏葉元校長への怒りは,計り知れないものがある。(p.298)

死者・行方不明者84名を出した宮城県石巻市立大川小学校では,'11年3月11日,午後2時46分最初の揺れを感じた後,「山へ行こう」という児童たちから出た声を結果的に無視続け,午後3時25分過ぎまで児童を運動場に押しとどめたまま,津波が来るおよそ1分前に避難を開始し,犠牲に遭った。

> 「先生がいない方が助かった」
 遺族は,そう口々に言う。(p.311)

運動場で待機する間教員の中から「山へ避難しよう」という声も出たという。しかしそれは判断であり,行動を伴う決断ではなかった。

一方,岩手県釜石市ではかねてよりの防災教育の成果あって,生徒たちが整然と避難し,一人の犠牲者も出なかった。その時の様子を,この三月同地を訪ねた折,現地の方から詳しくうかがったことを思い出す。

> 2011年,緊急事態に見舞われた震災後の非日常の日々において,それぞれの学校現場では,校長先生の資質によって,明暗が分かれたという話を学校関係者から聞いた。(pp.299-300)

さて上記柏葉某を非難するのは,実は誰にでもできる。問題は「非日常の日々」だけにあるのではない。

重要なのは,未曾有の震災に遭遇し彼の取った行動は,例えばただ単にサイズが大きい三角形であり,サイズの小さい相似の三角形は,そこかしこどこにでもある。

無能な上司の下,部下が要らぬ苦労を強いられる。職員室の人間関係にばかり意を砕く「ハズレ」の教員にあたり,学校生活を暗転させられたり,授業が分からず落ちこぼれさせられたりする児童・生徒は別段珍しくはない。

「悪い人じゃないのだけれど……」と言われる,実はやっぱり悪い人が火の粉を撒き散らすのであれば,それは振り払う勇気を持たなければと思う。

http://www.amazon.co.jp/dp/4905042577/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1355612304&sr=8-1


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1件のコメントがあります
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    rikakusenninさん
    2012/12/16 12:49

    こんにちは

    大地震の後は大津波が来る・・・・

    津波の恐れがあるときは一刻も早く高台に逃げる・・・・

     

    これは東北のリアス式海岸、太平洋沿岸に住む人達の常識中の常識ですよね

     

     

    元大川小学校校長は職務をまっとうに遂行しなかった悪い人で、職務の最大約束は預かった学童の生命を守ることです

     

    こんな大事なことを遂行できないなんて信じられません

     

    大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

    http://diamond.jp/articles/-/27043

     

    普段の仕事はちゃんとしていた

    人柄は良かった

     

    こんなの、亡くなった児童達やその遺族の皆さんにはなんの意味もありません