yuhsanさんのブログ
年内1万円への道- その2
このシリーズは3話完結で、今日はその第2回目。「解散で株価が上がるわけ」、裏返せば、「民主党政権でなぜ株は上がらなかったか」です。
民主党政権の3年3ヶ月で、アメリカ、ヨーロッパの主要国株価が、リーマン以前の高値に迫ろうとしているのに、日本の株価だけが2割も下落したままです。民主党の経済政策に原因があることは明白ですが、民主党政権のどこに、問題があったのでしょうか。
一言でいうと民主党の政策が、「国民寄り」で、「大企業に冷たかった」からです。民主党は、政権奪還の切り札として、自公政治の泣き所であった格差問題を前面にして、福祉に力をいれ、貧乏人に金を配り、格差をなくせば経済がよくなるとしました。「コンクリから人へ」「国民生活が第一」といったスローガンが、実態をよく表しています。
格差問題は、自由主義経済にとっては必然的な結果で、どこの国でも同じように起こっています。競争を排除し、金持をなくし、みな貧乏になれば、格差問題は解決します。でも、冷戦時代のソ連、中国で、うまくゆかなかったことが実証されて、今日では共産主義を目指す国はなくなりました。格差は、競争の結果であり、競争のない国には成長がないからです。
民主党政権が目指す格差是正は、裏返しをすれば競争のない社会を構築することです。一見すばらしいように見えますが、天国に行かないと実行できない政策なのです。眠っている資産を掘り起こせば、国民の負担なしにできるとしていたのですが、結局借金で賄うようになってしまい、挙句の果ては増税です。
それでも景気が浮上すれば、リーマンで収益が悪化している企業収益が持ち直し、税収も向上するとしたのですが、資金供給競争に乗り遅れた日本に、世界の金が集まり、急激な円高となってしまいました。結果として、デフレが定着し、個人の多くは得をし、企業の多くは損をするようになりました。
もちろん、原因・結果は、これほど単純ではありません。すべての階層に有利な政策などもありえません。ただ民主党の掲げている格差是正には、インフレは絶対に避けなくてはなりません。インフレになれば、大企業が得をし、国民は不平を持ちます。
日銀も同じようにインフレよりデフレを望みました。バブルのときのトラウマが、今日の日銀マンの頭にこびりついています。あのとき、土地を買えなくなった民衆の不満が爆発するのでは、との思いを強く持ったといいます。だから、いくら民主党と日銀がデフレ脱却を叫んでも、裏を読んでいる市場関係者は信じようとしないのです。
経済の成長に、適度なインフレが必要であることは共通の認識になっています。各国はインフレになるよう金融政策を取り、意図的に通貨安を誘導しています。通貨安は国際競争力を増すところから、その恩恵は大企業に働きます。
大企業を儲けさせ、国際競争力をつけ、輸出を伸ばし、設備投資と従業員の給料を増やし、内需も拡大し経済が発展するという流れです。その結果、中小企業も、国民も、その恩恵にあずかるのです。
これを実行したのが韓国です。竹島問題から日本では、すっかり人気がなくなりましたが、国際市場での評価は高まり、市場に資金が流れ込み、政府はウォン高是正のため必死です。ただ、日本を敵に回し、物価安で観光客を引き付けていた国が、中国寄りでどこまで経済発展できるのか、疑問符はつきます。
ここまでで、「民主党政権でなぜ株は上がらなかったか」を説明したつもりです。政権交代で流れを変え、民主党と反対の政策を取れば、円安→インフレ期待から、株は上がります。
円安は、できなかったのではありません。やろうとしなかったのです。政権交代の可能性が高まり、安倍総裁が、金融政策を通じてのインフレ政策を叫んだだけで、市場は急速に反応したのが何よりの証拠です。
日銀の白川総裁が、何と反論しようと、野田総理がどうサポートしようと、組織内で権威がなくなった人の話に耳を傾ける人はいません。金融緩和と円安政策に反対している日銀の内部でも、政権交代が実現しトップの交代すれば、安倍政策の理論的裏づけを一生懸命探します。会社もお役所も、ぐじゃぐじゃ言っているマスコミも学者も、みな同じです。
そうなれば、円安はいっそう定着し、それによって大企業の収益が改善し、チャイナリスクを差し引いても、経済の発展が見えるようになります。
株価は、経済を反映して動きます。1万円の壁は、その先の山を睨んで、そう高いものとは感じなくなるでしょう。
私としては、三重野元総裁の責任が、重かったものと思います。
インフレをきらい、当時の日銀が、日本経済を押さえ込もうとした姿勢は、いまも生きているんだろうと思います。
安倍総裁は、変えようとしているんでしょうけど。
是非、上手くやって欲しいものと思います。
ねこ2さん
コメントありがとうございます。
明日の第3回目で、安倍さん発言について触れるつもりです。
また見てくださることを願っています。