ユリウスさんのブログ

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根本から考える(9) -尖閣諸島、竹島、北方四島

 わが国の国境はすべて海上にある。その境界に浮かぶ島、即ち尖閣諸島、竹島、北方四島は隣国の中国、韓国、ロシアと戦後長年にわたり未解決の問題として争ってきたが、近年その状況は紛争相手国の行動にわが国があたふたと対応すると言う独立国としては無様な外交を繰り返している。領土は国の大本であるにも関わらず、わが国政府は戦後60年以上、この問題を解決できないできた。主体的な方針がとられない外交の失敗のみ積み上げているという識者は多い。

 このエントリーではまず冷静にこの問題の背景とアウトラインをたどることから始めたい。なぜなら、わが国では領土問題を学校で教えてこなかったし、政府も国民に対して十分な説明や根拠を示さない(示せない)から。
 特に民主党政権になってからの日米関係の混乱と外交の混乱は眼を覆いたくなる。失策続きで本当に痛い。このことが領土問題という微妙な大問題をあっち、こっちで目に見える形で引き起こすことになった一つの要因なのではないか。

1 尖閣諸島(日本が支配)  Map by wiqipedia 1.魚釣島 2.大正島 3.久場島 4.北小島 5.南小島 6.沖の北岩 7.沖の南岩 8.飛瀬

 わが国は従来から「領土問題は存在しない」という立場を取ってきた。ところが民主党の閣僚の中に意図的か無知のためか分からないが「領土問題」であるかのごとき発言(蓮舫行政刷新相他)をする輩や尖閣諸島付近での領海侵犯事件や漁船衝突事件などの対応は、政府に領土を守る毅然とした態度が全く見えなかった。わざわざ乗じられるような対応をする政府には国民からも強い批判があった。
 日本政府が尖閣の領有を認めたのは1895年1月14日、日清戦争の真っ最中であった。直後の4月17日には、下関条約によって台湾が日本に割譲されている。(中国人にとっては歴史問題です)
 太平洋戦争で日本の敗戦、台湾の独立、沖縄の一部として米軍の尖閣統治となる。米軍統治の頃、中華人民共和国も中華民国も一度も抗議の声を上げていない。これが日本政府の立場で、国際法上のわが国の立場は非常に強いように見える。


2 竹島(韓国が支配)  Map by wiqipedia

 1905年、竹島領有は島根県民の事業実施の要請を国が認めたことにはじまる。時は日露戦争のまっただ中、バルチック艦隊は南から日本に向かっており、朝鮮半島はロシアとの戦いのために日本による統治が強まっていた。事実、5年後に韓国はわが国に併合された。(韓国人にとっては歴史問題です)
 日本の敗戦後、GHQは竹島を沖縄や小笠原諸島と同様にわが国の行政権から外した。1951年のはサンフランシスコ条約でも竹島は日本領と明示されなかった。アメリカは外交チャンネルを通じて「竹島は日本領とする」旨を韓国に伝えたそうだ。が、1954年6月、韓国は竹島に部隊を駐留させ、実力で実効支配した。周辺でわが国の漁船が拿捕されたり、銃撃を受け死傷者を出したりした。
 政府は国際司法裁判所への提訴を検討している。今まで、韓国が裁判に応じたことはない。


3 北方四島(ロシアが統治)   Map by 外務省

 終戦間際の1945年、ソ連の参戦(裏切り)によってわが国は北方領土失う。敗戦国日本はロシアとの関係において戦後の現実に適合せざるを得なかった。(日本人の歴史問題) その後、ロシアとの北方領土返還の長い交渉があったが、近年ロシアは四島への投資を進めているから、政策転換があったように見える。(これからは返還交渉テーブルにつかせるのが大変かも)



 上に見てきたように、領土問題の解決は力の無い国は圧倒的に不利です。歴史をみるとどの島も例にもれず、パワーポリティックの世界、奪い取ったり奪い取られたりするものでした。
 国際法上わが国の立場がもっとも強いと思える尖閣諸島でさえ、中国漁船にたびたび領海侵犯され、漁船が巡視船に体当たりしてきても、現行犯の船長も証拠品の漁船も相手国の報復を恐れてすぐに屁理屈をつけて返してしまうわが国政府の態度はいかがなものかと思う。外交下手がこのような弱腰の揉み手外交を続けていれば、相手国のみならず、国際社会がわが国の正当な主張を疑いの目で見ることになってしまう。「やっぱりジャパンは正当な根拠がないんだな。根拠もなしに隣国と口先だけの揉め事を起こすな!」と言われたらもうお終いです。

 このエントリーでは現状認識のみとし、いずれ稿を改めて日本の取るべき方策を考えたいと思います。それまで読者の皆さんもお考え下さい。名案を持ち合わせていないので、いい解決策がありましたらぜひ教えて下さい。(1972年、沖縄が返還されたのが夢のようです)


※国際司法裁判所( International Court of Justice)は、国際連合の主要な常設の国際司法機関のことで、オランダのハーグに本部を置く。
 国際司法裁判所規程は、国際連合憲章とは不可分の一体であるために国際連合加盟国は当然ながら当事国である。国際連合非加盟国も、安全保障理事会の勧告のもとに国際連合総会でなされる決議によって当事国となることができる。日本は、国際連合に加盟した1956年(昭和31年)より前の1954年(昭和29年)より当事国となっている。
 国際司法裁判所は、当事者たる国家により付託された国家間の紛争について裁判を行って判決・命令をする権限を持つ。一審制で上訴は許されない。なお、判決の意義・範囲に争いがある場合にのみ当事国は解釈を求めることができる。また、国連総会および特定の国連の専門機関が法的意見を要請した場合には勧告的意見(かんこくてきいけん)を出すことができる。(by wiqipedia)


このエントリーの参考資料
 文芸春秋編「日本の論点2012」より
1 データファイル21「基礎知識」・領土に関心のうすい日本人 ・国境の種類と領土紛争
2 東郷和彦京産大教授「領土問題の背後に横たわる歴史問題--それを忘れると百年の百年の計を失う」



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