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100均「最後発」故の強さ「ワッツ(2735)」

100円ショップ、いわゆる100均といえばダイソー。非上場で利益数値も非公表ですが、売上高のみ公表していて直近09/3期は3400億円強(国内店舗数2570店)です。最先発で文句なしの業界トップです。

上場企業で最大手は、セリア(2782)−売上高750億円(10/3期会社予想)、店舗数975店。続いてキャンドゥ(2698)−売上高628億円(09/11期実績)、店舗数840店となります。両社とも私が聞いたことあるくらいですから知名度もそれなりに高いのでしょう。

そして、今回取り上げるワッツ(2735)。これは私も全く知りませんでした。売上高は10/8期会社計画で348億円ですから上場上位2社のおよそ半分。しかし店舗数は790店とそこそこの規模でしかもほぼ全国網羅しています。

上場企業の中では最後発(1995年設立)です。しかし、会社としてのパフォーマンスは最も優れているのではないでしょうか。

利益率を比較すると、ワッツは売上高経常利益率、ROE(株主資本当期純利益率)ともに先行上場2社の水準を大きく上回っています。

            ワッツ   セリア   キャンドゥ
今期会社予想に基づく
売上高経常利益率     4.5%   3.7%    2.0%
ROE           19.8%  12.5%    6.1%

不思議ですね。。。

売上規模が小さいと仕入れ条件でも不利ですし、品揃えにも限界があります。最後発で店舗立地面でも制約を受けるはずです。

会社はこれをどう説明しているかというと、1)徹底したローコスト出店、ローコストオペレーション、2)商品の選択と集中、これに尽きると。

とにかく出店に際しては、状況が悪くなればいつでも撤退できることをまず想定してとにかく徹底したローコスト出店(退店)を行います。立地はスーパー、ショッピングセンターなどで他店が撤退した後を狙い、極力改装費をかけず、什器と商品とレジと看板だけを取り付けるようなスタイルです。退店を余儀なくされた場合は、什器・商品・レジを持ち帰り、他地域に出店する際、それらをそのまま使う、など。

商品アイテム数は同業大手の半分以下に抑えていますが、最もニーズの高い「日用消耗雑貨」(ラップ、アルミホイル、紙コップなど)を最大の重点分野として、プライベートブランドの商品開発力を強化し、どこにも負けない商品を提供することを目標にしています。

最後発の弱みを逆手に利用して、ローコスト、高効率を突き詰めることで高収益性かつ顧客満足度も維持する仕組みを構築してきたことが、ワッツの最大の強みになっています。

同社は2007年にオースリーという関東中心の100円ショップ会社を買収し、規模をほぼ倍増させたのですが、当初、ワッツの売上高経常利益率が3.4%であったのに対し、オースリーは0.9%だったそうです。

統合後にワッツのオペレーションをオースリーに移植した結果、スケールメリットもあって現在の利益率は4.5%。1+1>2を現実のものにしています。徹底的に贅肉をそぎ落としたオペレーションの仕組みが構築されていたからこそ、M&Aが理想的な形で企業価値向上に結びついたといえるでしょう。

中期経営計画では、3年後の12/8期に売上高375億円(今期予想から年率3.8%増収)、経常利益16.6億円(同年率2.8%増益)を目標としています。

非常に保守的な計画であるとは思いますが、足下2、3月の既存店売上高が前年を1-2%割り込んだ状況にあり、特に将来を楽観的にみるファクターも見当たらないため、過度な期待はやめておきましょう。

しかし、株価バリュエーションを見てください。以下、上場3社を比較したものです。

         ワッツ    セリア    キャンドゥ
株価(4/14)   573円   136,700円   96,600円
時価総額     40億円   103億円    154億円
予想P/E(倍)   4.6    28.9      8.6
予想ROE     19.8%   12.5%     6.1%
予想P/B(倍)   0.9     1.1      1.8
予想配当利回り   2.3%    1.8%     1.0%

絶対的にも相対的にも、ワッツの割安感はハンパではありません。なぜこういう状況になっているのか、私には思い当たりません。何か特別の背景をご存知という方がいらっしゃればぜひ教えていただきたいです。

流動性の問題は確かに一つありますが、過去一ヶ月の1日当たり平均出来高を単元株数で割った値は、ワッツ163、セリア67、キャンドゥ146で、寧ろワッツの取引が活発のようですし、発行済株式数に閉める特定株主の割合はワッツ67%、セリア69%、キャンドゥ60%とそれほど差はありません。

私にはワッツ株がものすごく魅力的に思えます。
2件のコメントがあります
  • イメージ
    パクマンさん
    2010/4/15 01:59
    はじめまして。

    同じくワッツ株を買い予想しております、ロックスと申します。
    非常にわかりやすい分析、勉強になります。

    私はまだまだ勉強中の身なので、板さんのようにしっかり銘柄分析している方が、同じ銘柄を買い予想してくださる事は大変嬉しいです。

    上方修正のIR翌日、
    もっと大きな窓を空けるかと思ったのですが、
    割と安値で寄ったので買い増ししました。
    まぁあんまり大きな窓を空けると精神衛生上よくないですしね。

    ワッツ株、上がるといいですね〜
  • イメージ
    板さん
    2010/4/15 06:46
    ロックスさん

    コメントどうもありがとうございます。

    大型株はともかく、小型株はいろいろ掘り出し物も多くてやりがいを感じます。
    時価総額100億円以下の会社なんて証券系アナリストはほとんど見てませんからね。

    じっくり地道にいい株を探していきたいと思います。

    ときどきまた立ち寄ってくださいね。

    よろしくお願いします!
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