ユリウスさんのブログ

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最近の男気(勇気)-グーグル、貴乃花親方、生方副幹事長

 翔年がハイティーンの時に読んだ中野重治の詩で、今も忘れられない『豪傑』というのがある。2004/10/8のエントリー、「昔の豪傑」でちょっと触れている。


「豪傑」 中野重治

むかし豪傑というものがいた
かれは書物をよみ
嘘をつかず
みなりを気にせず
わざを磨くために飯を食わなかった

後指をさされると腹を切った
恥かしい心が生じると腹を切った
かいしゃくは友達にしてもらった
彼は銭をためる代りにためなかった

つらいという代りに敵を殺した
恩を感じると胸のなかにたたんでおいて
あとでその人のために敵を殺した
いくらでも殺した

それからおのれも死んだ
生きのびたものはみな白髪になった
白髪はまっ白であった
しわが深く眉毛がながく
そして声がまだ遠くまできこえた

彼は心をきたえるために 自分の心臓をふいごにした
そして種族の重いひき臼をしずかにまわした
重いひき臼をしずかにまわし
そしてやがて死んだ
そして人は 死んだ豪傑を 天の星からみわけることができなかった


(1)グーグルの中国からの勇気ある撤退
日経より。
インターネット検索最大手の米グーグルは22日、中国本土で展開する検索サービスから撤退し、香港経由で本土向けに検閲無しのサービスを開始したと表明した。これまで中国政府の要請に従ってきたが、同国からのサイバー攻撃や「発言の自由」の制限に抗議し、自主検閲を受け入れてきた中国語版検索サービス「Google.cn」を停止した。中国政府は強く反発しており、「検閲無し」への接続をどこまで認めるかが焦点となっている。
 本土のネット利用者は妨害などがなければ、同日からグーグルが香港で運営するサーバー経由で検閲無しのウェブ検索やニュース検索、画像検索などを利用できるようになる。具体的には「Google.cn」に接続しようとすると、香港版の「Google.com.hk」に自動的に転送される。中国本土で使われる簡体字で提供し「中国本土のネット利用者向けに特別に設計した」(同社)という。


 グーグルの勇気ある行動に惜しみない拍手を送りたい。一私企業でありながら、中国政府に真正面からものを言って、市場を失うリスクをとってまで会社の目指す正義を貫いたことに敬意を表したい。
 目先の中国事業拡大より、世界に広がるネット利用者からの信頼を重視したことは喜ばしい。中国事業を監視する新サイト設立も発表したから、中国政府の反発は必至で「国家対ネット」の戦いがはっきりしてきた。米中関係にも影響は拡がるものと思われる。
 グーグルは世界中の情報を全て自社のサーバーに貯め込もうとする。そこには当然中国政府にとって面白くない情報もあるわけで、ネットユーザーの信頼をとるか、自由を侵すことを平気でする中国政府の軍門に下るか、苦渋の選択をグーグルは下したのだ。この決断は賞賛に値する。
 
 2010年01月14日「グーグルの決意 - 検索の自由を守る」 にて、中国からの撤退もありうると書いてます。


(2)貴乃花親方の心意気
 2月1日、貴乃花親方は、「圧倒的不利」という下馬評を覆して、日本相撲協会の理事に当選した。
 WebGoethe(ウエッブ・ゲーテ)に二所一門を破門された貴乃花親方への独占インタビューがある。関心のある方は是非読んでいただきたい。
 どこを読んでも清清しい。

貴乃花親方 photo by WebGoethe


「私のあずかり知らないところで、尊い1票を投じてくれた安治川親方には、男の心意気を感じました。大相撲ファンでなくても感動する出来事だったと思います。
 純粋で、純潔で、無垢。結果的に廃業は免れましたが、職を失ったとしても、人生を大きく変えることになっても、自分が信じる決断をし、行動をしました。しかも、廃業の覚悟を決めて会見を行った際も、自分の意思で投票して一門に従わなかった行いを反省しても後悔はしていないことをはっきりと示された。
 彼は鹿児島県出身ですが、薩摩隼人の気骨を感じます。臍下丹田といいますけれど、下腹に力が入った人間でなくてはできない決断です。もし自分が彼と同じ立場にいたら、同じ行動ができたかどうか。年齢こそ私のほうが上ですが、安治川親方の行いからは学び取ることがたくさんあります」
「何かを成そうとする時、敵をつくってしまうのは、ものの道理。当然のこととして受け入れます。誰にも文句を言われない人間なんて、価値はないですよ。」

 貴乃花親方や安治川親方は素晴らしい生き方の見本を示してくれた。ありがとう。

(3)生方副幹事長の辞任撤回 -民主党の決断の振れ-
日経の記事より。
 民主党は23日、小沢一郎幹事長を批判していた生方幸夫副幹事長の解任方針を撤回した。方針転換を主導した小沢氏は記者会見で「参院選を控え党の団結と協力が大事な時だ」と説明したが、「小沢独裁」色の強い解任方針に、党内外から批判が強かったことに配慮したフシもある。

 「長いものには巻かれろ」議員が多い民主党において、ハッキリ小沢幹事長の辞任を促していた生方副幹事長は、副幹事長を解任される決定の直前になって、小沢幹事長の意向で(首相の意向ではない)解任撤回となった。
 職を賭して戦うことは、横で言うほど簡単なことではない。生方副幹事長は気骨ある男として、翔年はしっかり記憶にと留めておきたい。
 

 上の三つの事例は、政治と金の問題で恥ずかしい身の処し方しかできない小沢幹事長や鳩山党首とは全然違う。どっちの生き方により共感するのか、それぞれが自らの心に聞く問題だと信じる。
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