DRAGON'さんのブログ
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今更ですが斎藤正章氏の手法を検証してみました。
システムトレードの研究の一環として本にもなっている斎藤正章氏の手法を検証してみたのですが。
使用ソフト イザナミ1.7.01
ソフトの仕様上、調べられる市場は、東証1部、東証2部、新興市場各市場(マザーズ、ジャスダック、ヘラクレス)になっています。
残念ながら大証と、その他の地方市場は対応してないです。
なおデータ期間は2000年1月4日~2010年3月5日ですね。
さて、問題の斎藤氏の手法自体は著作物になるんで、ここでは細かくはここでは書けないんで。
各人、”株 勝率80%の逆張りシステムトレード術”を読んでもらうなりして…
(出版社は日本実業出版社で2006年度出版)
(なおネットでググれば正直、大まかな所は出て来ると思います。但し個人的に改変した手法が多く引っかかるとおもので細部まで(そして本当にシンプルなルールが)知りたいなら多分本屋に行った方が良い気がしますが)
なお実証は、上記の本に乗っている条件+αで行いました。(ナンピンは無し)
αの部分は、
1.流動性が悪い株を掴みたくないので、売買代金が過去15日間に1日でも1千万円に行って無い株は除いている。
2.著作だと暦で60日間で目標に達してない場合は損切りだが、ソフトの関係上営業日で判定する必要が有るので1ヶ月22日営業日と考えて44日で判定。
3.ストップ高、ストップ安で買えない可能性が場合が有るので、その辺りは考慮にいれる。
結果
10年間の総取引数 4917回
利益取引数 3943回
損失取引数 974回
勝率 80.19%
平均利益率 15.81%
平均損失率 19.97%
ペイオフレシオ 0.53倍
利益の標準偏差 8.35%
損失の標準偏差 21.40%
期待値 6.75%
期待値6.75%の意味は、その株を買ったら利益が6.75%になるって意味ですね。
(つまり、その株を10万で買ったら理論上は6750円のリターンが有るって事になります。但し売買手数料が引かれるので実際の利益はもっと低いですが)
…ちなみに年度でマイナス収益の年は1回も無し。
(但し年度が終わって無い2010年は除く)
期待値が最低まで落ちた2005年度でも2.7%の期待値が有りました。
なお、一応ぬかよろこびにならぬ様に書いておくとシステム上の最低利益率は-99.85%で銘柄で言うとプロデュース、SFOGを買った際に起きたドローです。
全体の期待値が優秀なので長期間続けていればいずれ損失は取り戻せますが、この様に一時的には大損害を出している可能性が有りますし、また低資金時に、これらの株だけに投資していると市場から退場の可能性が高いです。
まぁ、これから言える事は…
資金が有るなら全部買えば勝てる(一番シグナルが出たのが2008年の1803回…まぁ余程資産が有る人じゃ無いと無理では)
逆張りらしく基本的に高い勝率で勝ちを貯めて行って、たまに来る大きな負けをカバーする方法で戦うシステム。
実際使ってみると分かるが暦で最大60日間資金拘束されるのは金が無い人は辛い。
(イザナミのバックテストだと平均15.38日が保有期間。但し実際は土日が入るから暦でなら22日程度の保有期間では有るが)
また含み損が長い間続くので、計算した確率が信じられる人しか精神的に耐えられない。
個人的な感想を書くなら底をぴったりで買うと言うより、逆張りらしく底の一歩手前で買って時間が過ぎ、株価がまた上昇してくれた際に目標値まで行って売る感じなので、購入価格より何パーセント下がったら損切りとか、購入してから60日待つと言う期限を変更するとかの方法で改良するには基本的に相性が悪い気がします。
さて、ここからは…
カーブフィッティングかも知れませんが…
1.当然の事かも知れませんが、上場廃止になる予定の株は幾らシグナルが出ても買わない。
まぁシステムだと、どうもその株の上場期間中の全取引を行わなくなっちゃうみたいですが、上場廃止になった株を弾くと期待値が7.62%まで上がります。
ただ実際は持っている最中に上場廃止のニュースが流れたら株価は戻る事はないでしょうから損切りをかけるって話になり、幾らか損失が減る程度でしょうがね。
2.ここからは買う株の優先順序付けになりますが…
購入時の株が
10万円未満 1946取引
10万円以上20万円未満 1288取引
20万円以上30万円未満 648取引
30万円以上40万円未満 327取引
40万円以上50万円未満 214取引
50万円以上60万円未満 120取引
…と以下、まだまだ続くのですが最低購入金額が上がれば上がる程、取引が減る為、1年単位で考えると、たまたまそっちの方で損失が大きいと、損失を取り戻すのが難しくなりシステム全体に与えるパフォーマンスの低下につながるのではと愚考します。
実際、60万までにしてテストすると…
(実際はバックテストの時の購入条件では終値で最低購入金額が60万以下としているので、購入日に多少値が上がっている例があるので多少60万以上の値段帯も買ってしまうのですが)
勝率が80.55%、期待値が6.95とパフォーマンスが向上していました。
(購入件数は4601でしたから9年2か月で300件程減る事になりますが、シグナル数は十分でていると思います)
但し件の2005年は予想していたのと逆に期待値が悪くなり、2.25となりましたが。ただ全部に投資できる金持ち以外は資金の回転性や、分散投資をかけて損害を減らすためにも限界の投資金額は、やはり60万未満が精々で、実際はもっと低い所から始めるようになるんではと思います。
…もしくは買い条件にシグナル点灯数を入れて(つまり逆張りのシステムなので本当に市場全体が下がっているって時を見計らって)購入って事になりますか。
ちなみに10万円以下の株を買いに行くと(実際は上記に書かれた理由で10万円をやや超過する株も入ってしまうのですが)一番多かったのは2008年の903回になります。
また、2005年度は極端に買いがすくなり41回しか買いに行きません。(しかも期待値が-0.84と買うと損の状況に変わってしまいます。但し上場廃止で損切りに至った株が全体の12%に当たる5件も有りますので、ニュースで上場廃止を知った時点で買わなかったり損切りすれば多分プラスのパフォーマンスで終わっていたのではないかと)
ですので、この辺りを考慮に入れると低資金の人間は突入(買いの実行)条件にシグナル点灯数(つまり買い条件を満たし株の銘柄数になる訳ですが)を含めたシステムを考えないと多分実用的とは言い難いですね。
その上で資金を運用してない時に資金を遊ばせない為に他のシステムとの併用が必要かと思います。
後は他の優先順序だと…
市場別の優先順位だとパフォーマンスが高いのは資金無制限で考えるとマザーズ、東証1部、ヘラクレスの順になり、この辺りが平均より高いですね。
ただ最低購入価格が10万以下の条件で(くどいようですが実際は10万を多少超過した株も入ります)なら東証1部の方がパフォーマンスは相対的に高くなります。全体平均以上でているのが、この市場だけなんで。
平均利益は他の市場に比べると若干低い(1~2%弱)んですが、勝率の高さと平均損失の低さでそれをカバーしている感じです。
この辺りは上場条件が東証1部の方が厳しい分、企業がつぶれにくくなっており、また知名度、人気等も新興市場と比べれば高いでしょうからそう言ったものが相乗効果になっており比較的値が戻しやすいのかなぁと推測しています。
業種別だと有る程度取引数(具体的に言うと100件)が有る企業でパフォーマンスが低いのは不動産の3.69%ですかね。
続いて輸送用機器の4.77%、サービス業の5.34です。
なお10万以下だと、全体の期待値が6.43なのに対し、100件以上取引が有る業種でパフォーマンスが、これ以下のは不動産の0.4%、サービス業の4.11%、建設業の5.77%なので、この辺りは避けた方が良いかも。
ただ、10万円以下の状態で業種別の、これらの業種を削ってパフォーマンスの向上を図ると市場全体の期待値は上がりますが、一部市場のパフォーマンスは下がりますし、また件の2005年度に関しては更に期待値が悪化します。
市場と言うより世間一般の好景気、不景気、その他外部環境によって会社の取り巻く環境が変わって来るのと、年毎の件数が減る分、一部企業に何かあった分、全体のパーフォマンスに影響が出やすい分、こう言う結果になるのかも知れません。
そうやって考えると業種別は完全にカーブフィッティングの領域になると思うので下手にいじらないで、そのままの方が良いのかも知れませんね。
では、ながながと、お付き合いありがとうございました。
そうそう、問題の2005年度ですが相場全体が上昇トレンドだった年でしたよね。この年で株価が悪化する株は他の年度に比べると比率的、問題児が多かったのではと自分は推測しています。
後、今回のテストで自分は流動性を考えて、売買代金が過去15日間に1日でも1千万円に行って無い株は除きましたが、実の所、流動性を考えないで買うと勝率は若干低くなりますが、期待値は逆に上がります。但し買わなければいけない銘柄数は9年2カ月の通年で10000銘柄を超えます。
この辺りの判断はどうするべきか悩みます。資金が腐るほど有る人間は1回辺りの期待値が上がるので単純に取引したもの勝ちになると言う事ですが…
PS.
イザナミの無期限ライセンスの方買ったんですが、自分の記憶が確かなら値段は以前のプロフェッショナル版の方と同じなのに機能はスタンダート版と同じでCSVファイルへの出力が無くなっていて困っています。
一応、その件で先方へ問い合わせのメール送ったんですがね。
多少金が出ても良いからプロフェッショナル版のUPグレード昔みたいにやってませんか?って。
なにせ結果が外部出力の形で残せないと比較の際に手間がかかって仕方が無いし、こう言う物を書く際に記憶を取り損ねると何度もバックテストをしながら書かないといけなくなりますし、見ながら手で写しているので誤記も有るかもしれません。
はっきりいって不便です。
後、無期限ライセンスがスタンダート版なら、しっかり、そう広告打ってくれないと機能をあてにして買っているので、買う人間も困ると思うんですがねぇ…
…まぁ結果がどうであれ先方には納得のいく説明をして欲しい所です。
PS2.
これを見ている方で、なんかきっちりロジックで書ける投資手法が有るならソフトの使い方の勉強を兼ねてバックテスト致しますが。
まぁいらっしゃいましたら私の気の変わらぬうちにどうぞ…。(ちなみに私は気が変わりやすいです。(苦笑))
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こんばんは。
実は自分もallister2007さんのURLに置いてい有るレポートは一通り目を通しています。
個人的には結果が駄目だったのは資産管理方法の問題だと思っています。
斉藤氏の手法に対してのレポート2ですが条件は…
バックテスト時の資産500万。
で、肝心の資金管理ですが。
>>1日あたりの最大仕掛け量:当日資産の100%まで
>>1銘柄あたりポジションサイズ:定率10%(上限1,000,000円、下限0円)
>>仕掛け銘柄優先順位:平均売買代金(1)の降順
…となっており、2006年度以降のシグナル数が大量に出て来る相場だと株を買う際に良く言われる時間分散と銘柄分散に影響が出やすい条件ではないのかなぁと。
あの時期だと、下手すると下げの初期に大量にシグナルが出て全部の資産を下手すると1日で使ってしまい、そのまま下げが続いてアウトになる可能性が捨てきれません。
その証拠にNO.3レポートで、それに対しての対策が、書いて有りますが(要は一定のシグナル数が出たら突入する)それで今度は有効に稼働しています。
唯一損害を出した2008年も条件をもう少し厳しくすれば多分クリア出来るでしょう。
(但しシグナル数と言うフイルタの為に暴落している期間にしか買いに行かない為、資産運用を有効に活用する為には別の戦略の用意が必須となっています)
ただ、自分はシステムトレードを勉強している最中で、専門家の意見は違うのかも知れませんが、シグナル数でカウントして突入タイミングを計るシステムって言うのは、これこそカーブフィッティングの気がしてならないんですよね。
つまり2008年度以上の下落が来たら、システムが耐えられるかです。
それでまたフイルタを強めたら、いたちごっこの気がして。
ただ、まぁ低資産である以上、なんらかの売買に優先順位は付けないといけない訳で…
そのアプローチの一環として、何処の値段帯に重点を絞るべきか、どの市場に張るのが資産効率が良いのか、等を考えてみた次第です。
まぁそう言う訳で年何回シグナルが出るか分からない以上、自分は斉藤氏のシステムは低資産者には運用にかなりキツイ、システムだと思います。
どんな方式であれ大資産家で無い場合は実運用するなら他の補助の戦略がいります。
一定シグナル数で攻めるなら資産運用してない時期に逆に働くシステムを持ってないと時間の無駄になりますし。
1銘柄に使う資産を極限まで小さくして予算オーバーにしない場合は大量にシグナルが発生した場合、買う銘柄にかなり細かい優先順位を付け、なおかつ儲けを逃す可能性が有っても次の大量にシグナルが来る可能性を考慮に入れてほんの数銘柄だけに絞って投資してって事になります。
当然、確率論から見ればあまり良いやり方で無いのでドローの確立も増します。
で、このドロー分の損失を補うために別のシステムがいるかなぁと。
まぁそんな風に自分は考えています。
では、失礼します。
タイミングの良いことに。。。
今日ちょうど似たような検証を行ってるサイトを眺めていたので、はりつけときます。結果と照らし合わせてみるとどうでしょう?
http://kabu-strategy.com/?eid=54
こちらでは、10億円という潤沢な資金の上でバックテストを行えば本のとおりの結果が出る一方、
1000万くらいに資金を制限すると2006年以降負けますよという結果のようです。2006年に本が出版され広く手法が知れ渡ったために通用しなくなったと推論されています。
詳しくはまだ見てないのであれですが。
もし購入可能な株にのみ制限をつけ総資金に制限をつけずにバックテストを行っているのでしたら、資金面についても制限をかけて検証してみるのもいいのかもしれません。