瓜生 憲さんのブログ

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映画「HERO」に観るテレビ株

今日も、休日らしく、また映画を観てきました。

本日公開の木村拓哉さん主演の「HERO」(注1)です。

注1: http://www.hero-movie.net/index.html

これは、フジテレビ系列の月9(月曜21時の放送枠)で2001年1月8日~3月19日に放送されたテレビドラマの映画版で、テレビ版は関東地区で視聴率が全話30%を超えるという驚異的な数値を残した人気ドラマです。

木村拓哉さんが演じる主人公の久利生公平という異色の検事が難事件を解決していくお話です。

ヒロイン雨宮舞子を演じた松たか子さんをはじめ、主人公の周囲を固めるサブ陣のキャラクターがしっかりと立っており、この辺が人気の秘密なのかもしれません。

フジテレビは、元ドラマプロデューサーの亀山千広さんをトップとした映画局ができ、「踊る大捜査線」や「アンフェア」等、人気テレビシリーズの映画化が加速しています。

フジテレビに限らず、視聴者のテレビ離れや、リアルタイム視聴が低迷する中、テレビ局共通の課題として放送外収入の拡大が挙げられました。

そういった中でテレビ局は、抜群の消費者リーチ力を活用し、番組コンテンツの二次利用を加速してきました。

ドラマの映画化、番組のDVD化といったことも、その一環です。

特に映画は、大手広告代理店を幹事とした製作委員会方式が導入されて以来、各役割(プロモーション、コンテンツ制作、配給、DVD化、地上波放映、有料放送放映)を企業群が限定されたリスクの中で、得意分野だけを担当していくので、従来以上の大型予算で提供できるようになり、邦画の活性化に大きく寄与しています。

こういった動きで、テレビ局の株価予想は少しずつ面倒になってきています。

以前は、テレビ局のトップライン(売上)は、まず日本のGDPの前提があり、その一定比率(約1.2%)が広告費となります。
※国内でW杯や長野五輪があった年等は、若干上ブレしますが、大体この水準です。

そこに視聴率シェアを掛け合わせると、大体の売上高が算出できます。

それに代理店手数料(テレビ広告の販売に伴う費用)が変動費として15%程度売上に乗り、あとは番組の制作費にどの程度かけたか(首都圏キー局であれば、年間1100億円前後、テレビ朝日のみ800億円前後)を予想すれば、他の費用はほぼ一定なので、簡単に利益まで導きだせます。

特殊要因として、地上波放送のデジタル化による設備投資の拡大が減価償却費の増加に繋がっていましたが、それも設備投資が決まると、一定の計算式に当てはめるだけです。

そういった観点で、テレビ局は固定比率が70~80%と高く、売上高が景気連動となりますので、基本的には景気循環株という位置づけになり、景気が好転する際には利益額の少ない銘柄をロング、利益額の多い銘柄をショートし、景気が低迷しだすとその逆を採用するということで、ある一定の利ざやが取れるやすい業種でした。
※テレビ局は利益率よりも利益額を見たほうが株価動向が分かるという特徴があります。

これが最近では、映画の大ヒットや、テレビショッピングの売れ行き、更には音楽のヒットなんかも影響をするようになったので、結構大変です。

更にメディアミックスが進む中で、某赤坂のテレビ局のようにネット企業とのやり取りなんかも、株価に影響を与えだしたので、テレビ局の株価を見定めるのは、それなりの苦労が必要になったように思えます。

どちらにしても、こういう銘柄の特徴を抑えると、結構、気楽に株価を観られるようになるので、皆さんも、気になる銘柄の特徴を抑えてみると良いかもしれません。

ただ、やり過ぎると・・・僕のようにテレビを観ていても、番組と番組の間のCM枠で番組の宣伝が多く入っていると、「セールスがうまくいっていないのかぁ」とか余計なことを考えて楽しくなくなるという事態に陥るので、気をつけてください。
5件のコメントがあります
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    芸能やメディア関係の株って、私は苦手ですねぇー
    投資心理というよりは、そのときのブームに振り回されることしばしば。。。

    「HERO」の映画化は賛成なんですが、テレビ版から結構立ってて、ちょっとテレビ版の内容を思い出すのがつらいかも。。。
    スカパーみたいに踊る大走査線を山ほど連続でやってたら別なんですけどね。。。(^^ゞ
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    ぎっしーさん
    2007/9/9 22:05
    はじめまして。瓜生さん。ギッシーと申します。

    自分は、木村拓也さんというと直近では「華麗なる一族」TVドラマ オンエアー時、鉄鋼株が強烈に強かった印象がありますが。メディアの影響だけで、相場が動くとも思えませんが、違いましたっけ?
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    瓜生 憲さん
    2007/9/10 19:53
    みやまなさん
    確かに、ちょっとしたニュースがメディアでしつこく取り上げられてしまうことも少なくないので、ブームに振り回されるというのも分かります。ただ、循環株なので、結局元サヤというケースが大半です。そういった意味で、惑わされなければ結構かたく行ける業種ですよ。

    ギッシーさん
    はじめまして!!鉄鋼株の上昇は確かに近い時期だったように思えますが、「華麗なる一族」効果ではないと思いますよぉ~。ただ、「HERO」効果が顕在化してきており、「HERO」(テレビドラマ版)を観て方向転換した人がちょうど今年辺り検事になるらしく・・・過去最高の人数という話を耳にしました。
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    あっきんさん
    2007/9/10 20:02
    HERO、上映されているんですね。

    映画化されることは知っていましたが、観たかった映画のひとつです。

    しかし、株にどっぷりつかると、いろんなところが、いやでも気になってしまうものなのですね…。

    瓜生さんの場合は、職業柄…ということもあるでしょうけど。
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    瓜生 憲さん
    2007/9/11 13:58
    あっきんさん
    本当にその通りで、ゲーム業界の分析をしている頃には、ゲームをやると、「これはあのタイトルと同じエンジンを使っているからコストが掛かっていないなぁ・・・」とか、ゲームを純粋に楽しめなかったりしていました・・・。
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