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ミロク情報サービスのニュース
*12:21JST ミロク情報 Research Memo(1):「中期経営計画Vision2028」を発表
■要約
ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品を開発・販売する業界大手である。ビジネスモデルを売切り型からサブスク型に移行中で、新規事業として中小企業等※の経営を支援する統合型DXプラットフォーム事業を育成している。
※年商5億円未満の中小企業・小規模事業者を想定。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.1%増の43,971百万円、経常利益で同8.0%増の6,306百万円と会社計画(売上高41,600百万円、経常利益6,200百万円)を上回り、連続で過去最高を更新した。会計事務所向け及び中小企業向けERP製品の販売がインボイス制度の導入や改正電帳法※の宥恕措置の終了などもあって好調に推移したほか、クラウド・サブスク型への移行に伴うソフト使用料収入の拡大が増収要因となった。利益面では、人員の積極採用並びに賃上げ実施に伴う人件費の増加や、広告宣伝費・販促費の増加、新規事業への開発投資等があったものの増収効果並びに営業外収支の改善により増益となった。クラウド・サブスク型への移行によるマイナス影響が17億円程度あったことを考えると、実質ベースでは2ケタ台の増収増益だったと見られる。
※改正電帳法(電子帳簿保存法)とは税金に関わる帳簿書類について一定の要件を満たしたうえで電子データに保存すること、及び電子的に授受した取引情報の保存義務を定めた法律で2022年に改正された。電子取引データの電子保存義務化に関しては、経過措置として2023年までは紙の印刷物も原本として認められていたが、2024年1月以降は原則不可となった。
2. 新たな「中期経営計画Vision2028」の概要
同社は2029年3月期を最終年度とする新たな「中期経営計画Vision2028」を発表した。最終年度の経営数値目標は、売上高で600億円(年平均成長率6.4%)、経常利益で120億円(同13.7%)、ROE(自己資本当期利益率)で18%となる。けん引するのは同社単体のERP事業で、DXコンサルティングの推進による新規顧客の獲得(顧客基盤の拡大)とクラウド・サブスク型への移行による顧客生涯価値(LTV)の最大化に取り組むことで、経常利益を2024年3月期実績の69億円から100億円に拡大していく。主要ERP製品のサブスク契約社数は同4.7倍増の1.5万社に、サブスク比率は同15.5%から60%に引き上げ、ソフト使用料全体のARR※は2024年3月期の64.6億円から2029年3月期に3.1倍増の200億円まで積み上げる計画だ。また、統合型DXプラットフォーム事業についても2024年3月期は先行投資で7億円の経常損失を計上したが、中小企業向け経営支援プラットフォーム「Hirameki 7」を育成していくことで最終年度に10億円の利益計上を目指す。
※ARR(Annual Recurring Revenue):当該月に発生した売上高を12倍にした数値。
3. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.5%増の45,500百万円、経常利益で同7.0%増の6,750百万円と増収増益が続く見通し。売上高はERP製品のクラウド・サブスク型への移行や会計事務所向けリプレース需要が一巡することもあって伸びが鈍化するものの、増収効果に加えてソフトウェア製品の減価償却費が約8億円減少することが増益要因となる。株主還元方針としては、連結配当性向で30~40%を目安に利益成長に応じた累進的配当を行う方針で、2025年3月期の1株当たり配当金は同5.0円増配の55.0円(配当性向37.1%)と2期連続増配を予定している。また、資本政策の一環として自己株式取得についても適宜検討していく考えだ。
■Key Points
・2024年3月期は会計事務所、中小企業向けERP製品の販売好調により会社計画を上回る増収増益に
・サブスク型への移行と顧客基盤の拡大により2029年3月期に経常利益120億円を目指す
・2025年3月期もサブスク型への移行を進めながら増収増益を目指す
・連結配当性向は30%目安から30~40%目安に引き上げ、自己株式取得も状況を見極めながら適宜検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品を開発・販売する業界大手である。ビジネスモデルを売切り型からサブスク型に移行中で、新規事業として中小企業等※の経営を支援する統合型DXプラットフォーム事業を育成している。
※年商5億円未満の中小企業・小規模事業者を想定。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.1%増の43,971百万円、経常利益で同8.0%増の6,306百万円と会社計画(売上高41,600百万円、経常利益6,200百万円)を上回り、連続で過去最高を更新した。会計事務所向け及び中小企業向けERP製品の販売がインボイス制度の導入や改正電帳法※の宥恕措置の終了などもあって好調に推移したほか、クラウド・サブスク型への移行に伴うソフト使用料収入の拡大が増収要因となった。利益面では、人員の積極採用並びに賃上げ実施に伴う人件費の増加や、広告宣伝費・販促費の増加、新規事業への開発投資等があったものの増収効果並びに営業外収支の改善により増益となった。クラウド・サブスク型への移行によるマイナス影響が17億円程度あったことを考えると、実質ベースでは2ケタ台の増収増益だったと見られる。
※改正電帳法(電子帳簿保存法)とは税金に関わる帳簿書類について一定の要件を満たしたうえで電子データに保存すること、及び電子的に授受した取引情報の保存義務を定めた法律で2022年に改正された。電子取引データの電子保存義務化に関しては、経過措置として2023年までは紙の印刷物も原本として認められていたが、2024年1月以降は原則不可となった。
2. 新たな「中期経営計画Vision2028」の概要
同社は2029年3月期を最終年度とする新たな「中期経営計画Vision2028」を発表した。最終年度の経営数値目標は、売上高で600億円(年平均成長率6.4%)、経常利益で120億円(同13.7%)、ROE(自己資本当期利益率)で18%となる。けん引するのは同社単体のERP事業で、DXコンサルティングの推進による新規顧客の獲得(顧客基盤の拡大)とクラウド・サブスク型への移行による顧客生涯価値(LTV)の最大化に取り組むことで、経常利益を2024年3月期実績の69億円から100億円に拡大していく。主要ERP製品のサブスク契約社数は同4.7倍増の1.5万社に、サブスク比率は同15.5%から60%に引き上げ、ソフト使用料全体のARR※は2024年3月期の64.6億円から2029年3月期に3.1倍増の200億円まで積み上げる計画だ。また、統合型DXプラットフォーム事業についても2024年3月期は先行投資で7億円の経常損失を計上したが、中小企業向け経営支援プラットフォーム「Hirameki 7」を育成していくことで最終年度に10億円の利益計上を目指す。
※ARR(Annual Recurring Revenue):当該月に発生した売上高を12倍にした数値。
3. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.5%増の45,500百万円、経常利益で同7.0%増の6,750百万円と増収増益が続く見通し。売上高はERP製品のクラウド・サブスク型への移行や会計事務所向けリプレース需要が一巡することもあって伸びが鈍化するものの、増収効果に加えてソフトウェア製品の減価償却費が約8億円減少することが増益要因となる。株主還元方針としては、連結配当性向で30~40%を目安に利益成長に応じた累進的配当を行う方針で、2025年3月期の1株当たり配当金は同5.0円増配の55.0円(配当性向37.1%)と2期連続増配を予定している。また、資本政策の一環として自己株式取得についても適宜検討していく考えだ。
■Key Points
・2024年3月期は会計事務所、中小企業向けERP製品の販売好調により会社計画を上回る増収増益に
・サブスク型への移行と顧客基盤の拡大により2029年3月期に経常利益120億円を目指す
・2025年3月期もサブスク型への移行を進めながら増収増益を目指す
・連結配当性向は30%目安から30~40%目安に引き上げ、自己株式取得も状況を見極めながら適宜検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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