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コネクシオのニュース
■事業概要
1. 事業セグメント
サイバーリンクス<3683>の事業セグメントはITクラウド事業とモバイルネットワーク事業の2つに分けられている。2017年12月期のセグメント別売上高は、ITクラウド事業が5,700百万円(売上高比率59.3%)、モバイルネットワーク事業が3,915百万円(同40.7%)で、セグメント別経常利益は、ITクラウド事業が349百万円(調整前経常利益比率42.8%)、モバイルネットワーク事業が467百万円(同57.2%)となっている。
2. ITクラウド事業
ITクラウド事業は、さらに流通クラウド分野と官公庁クラウド分野の2つに分類される。流通クラウドは、主に食品関連の小売業、卸売業、専門店等にクラウドサービスを提供、官公庁クラウドでは、自治体、小中学校、医療機関、民間企業等を対象にシステムやクラウドサービス、カスタマーサポートサービスを提供している。2017年12月期のITクラウド事業における分野別売上高構成比は流通クラウド分野が62.5%、官公庁クラウド分野が37.5%であった。なお、官公庁クラウド分野は年度ごとの案件の有無や受注状況によって売上高や利益が変動する傾向がある。
また後述するように、同社の提供するクラウドサービスは、「シェアクラウド」であり、高品質のサービスを低価格で提供できるのが特色となっている。
(1) 流通クラウド分野
この分野に含まれる主な製品やサービスは、食品小売業(主に売上高300億円以下のスーパー等)向けの基幹業務システム(製品名:@rms)やインターネットEDIシステム(同:BACREX-R/Rexmart)、大手卸売業向けのクラウドEDIサービス(同:クラウドEDI-Platform/iMart)、小売業・卸売業・メーカー向けの商品画像データベース(同:Mdb)及び棚割マネジメントシステム(同:棚POWER/棚SCAN-AI)、専門店向け販売在庫管理システム(同:Retailpro(リテイルプロ))となっている。
流通クラウド分野の主力製品は、流通食品小売業向け業務クラウドサービスの「@rms」シリーズである。この「@rms」シリーズには、基幹システムだけでなく生鮮発注システム、ネットスーパーシステム、小売業向け棚割システム、単品情報分析システム等の周辺サービスも含まれている。顧客は、基幹システムだけでなく周辺システムだけを単数あるいは複数契約することも可能である。2018年12月期第2四半期末時点の「@rms」シリーズの顧客数は329社(基幹システムだけでなく周辺システムも含む)に上り、売上高300億円以下の小売業での全国シェアは約1/3程度でトップと推定されている。
次に大きな構成比を占める「クラウドEDI-Platform」は、流通食品卸売業向けクラウドサービスで、小売業者からの様々な通信手段による発注・入荷・受領・返品・請求・支払いなどの商取引に関する情報データを一括整理して卸売会社側に提供するシステムで、開発当初は業界初の仕組み(システム)であった。既に2018年12月期第2四半期末現在で、220社の食品卸会社がこの「クラウドEDI-Platform」とその他インターネットEDI(iMart等)を導入しているが、その中には加工食品卸売上高上位10社中7社が含まれており、同社のクラウドサービスがいかに高く支持されているかがうかがえる。現在は、「C2Platform」という小売業、卸売業及びメーカー間での商談プラットフォームを開発中で、これが商用化されれば小~大規模の卸売業からメーカーまでもカバーできることになる。また、現行のクラウドEDIサービス「クラウドEDI-Platform」に加え、新サービスである「コード変換基盤」(開発中)の提供により、中小規模卸売業へも展開を目指している。
(2) 官公庁クラウド分野
官公庁クラウド分野の主な事業は、地方自治体(主に地元の和歌山県や県内の市町村)向けの基幹系・情報系の行政情報システム、防災無線等の地域防災システム、小中学校向けの「Clarinet」という校務クラウドサービス、医療機関向けの医療連携プラットフォームである「青洲リンク」、民間企業向けPC保守等のカスタマサポートサービスである。和歌山県における地域防災システムへの同社の評価・認知度は高く、県内シェアは群を抜いている。2017年12月期の官公庁クラウド分野の売上高21億円の内訳は、行政情報53%、地域防災34%、校務クラウド・地域医療連携6%、カスタマサポート7%となっている。この分野は顧客が官公庁であることから、比較的安定した売上高が期待できる反面、大きなプロジェクト(案件)の有無や納品のずれ込みなどによって売上高や利益が変動する可能性もある。
3. モバイルネットワーク事業
NTTドコモの1次代理店であるコネクシオ<9422>と「代理店契約」を締結し、2次代理店として和歌山県内で7店のドコモショップを運営している。県内の運営代理店シェアは35%とトップであり、県内最大のNTTドコモ代理店となっている。同社が運営しているドコモショップは全体的に高評価を得ており、同社のこの事業部門も利益を確保している。
4. 特色、強み
(1) シェアクラウド
同社の事業の特色の1つは、「シェアクラウド」に特化している点である。シェアクラウドサービスとは、各顧客企業の機能要求に個別に対応するのではなく、複数の顧客が同じハードウェア、ソフトウェア、運用・保守等を共同で利用する方式のことで、これによって「高機能」「高品質」のサービスを「ローコスト」で提供することが可能となっている。同社によれば、通常の個別対応の流通システムに比べて同じ性能のシステムを1/2~2/3程度のコストで提供可能とのことである。
このような共同利用を可能にするためには、優れた開発力を持つことが必要なのは言うまでもないが、それに加えて開発・導入・運用・保守までの一貫サービスを自社ですべて提供できることが必要となる。
(2) 食品流通業界向けに特化
同社は1988年から流通小売業向けネットワーク型POSの情報処理事業を行っており、流通分野、特に食品流通における知見やノウハウの蓄積が豊富である。このようなノウハウを生かすため、日持ちのしない生鮮食品や加工が必要な刺身のような商品も扱い、小売業の中でも最も厳しい販売管理が求められる食品スーパーを対象としたクラウドシステムに狙いを定めて事業を展開している点は同社の特色であり強みと言えるだろう。
ただし、同社が他の領域にまったく参入しない、またはできないわけではない。年商300億円以下の食品スーパーを対象とした食品流通の市場では、同社は既にITベンダーとして確固たる地位を築いているが、今後は今まで同社が参入していなかった年商500億円以上の中・大規模企業向け市場にも進出する計画だ。その第1弾として2017年4月に「@rms基幹」の次期バージョン(初期版)をファーストユーザーへ導入しており、更なる市場拡大が期待できる。
また現在、同社は食品流通向けに絞って事業展開をしているが、同社のシステムが他の業界(例えばドラッグストアーやホームセンター等)向けに利用できないというわけではない。近い将来、現在の市場での収益基盤が磐石となった場合には、他の小売市場へ参入することはあり得る。このように、市場を絞り込んで着実に事業を進めているのも同社の特色と言えるだろう。
(3) 「定常収入」重視の経営方針
同社は重要な経営方針として「定常収入の増加」を掲げている。定常収入とは、毎月の利用料や保守料などのように、営業成績や受注高等に関係なく安定的に入ってくる収入のことで、これが増加することで固定費を賄う負担が軽減され、収益基盤は安定する。
同社だけでなく、多くの企業が定常収入の増加を目指しているが、経営方針として明白な数値目標を掲げている企業は少ない。同社の定常収入(2017年12月期)は42.4億円であり、対売上高比率は44.2%であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
1. 事業セグメント
サイバーリンクス<3683>の事業セグメントはITクラウド事業とモバイルネットワーク事業の2つに分けられている。2017年12月期のセグメント別売上高は、ITクラウド事業が5,700百万円(売上高比率59.3%)、モバイルネットワーク事業が3,915百万円(同40.7%)で、セグメント別経常利益は、ITクラウド事業が349百万円(調整前経常利益比率42.8%)、モバイルネットワーク事業が467百万円(同57.2%)となっている。
2. ITクラウド事業
ITクラウド事業は、さらに流通クラウド分野と官公庁クラウド分野の2つに分類される。流通クラウドは、主に食品関連の小売業、卸売業、専門店等にクラウドサービスを提供、官公庁クラウドでは、自治体、小中学校、医療機関、民間企業等を対象にシステムやクラウドサービス、カスタマーサポートサービスを提供している。2017年12月期のITクラウド事業における分野別売上高構成比は流通クラウド分野が62.5%、官公庁クラウド分野が37.5%であった。なお、官公庁クラウド分野は年度ごとの案件の有無や受注状況によって売上高や利益が変動する傾向がある。
また後述するように、同社の提供するクラウドサービスは、「シェアクラウド」であり、高品質のサービスを低価格で提供できるのが特色となっている。
(1) 流通クラウド分野
この分野に含まれる主な製品やサービスは、食品小売業(主に売上高300億円以下のスーパー等)向けの基幹業務システム(製品名:@rms)やインターネットEDIシステム(同:BACREX-R/Rexmart)、大手卸売業向けのクラウドEDIサービス(同:クラウドEDI-Platform/iMart)、小売業・卸売業・メーカー向けの商品画像データベース(同:Mdb)及び棚割マネジメントシステム(同:棚POWER/棚SCAN-AI)、専門店向け販売在庫管理システム(同:Retailpro(リテイルプロ))となっている。
流通クラウド分野の主力製品は、流通食品小売業向け業務クラウドサービスの「@rms」シリーズである。この「@rms」シリーズには、基幹システムだけでなく生鮮発注システム、ネットスーパーシステム、小売業向け棚割システム、単品情報分析システム等の周辺サービスも含まれている。顧客は、基幹システムだけでなく周辺システムだけを単数あるいは複数契約することも可能である。2018年12月期第2四半期末時点の「@rms」シリーズの顧客数は329社(基幹システムだけでなく周辺システムも含む)に上り、売上高300億円以下の小売業での全国シェアは約1/3程度でトップと推定されている。
次に大きな構成比を占める「クラウドEDI-Platform」は、流通食品卸売業向けクラウドサービスで、小売業者からの様々な通信手段による発注・入荷・受領・返品・請求・支払いなどの商取引に関する情報データを一括整理して卸売会社側に提供するシステムで、開発当初は業界初の仕組み(システム)であった。既に2018年12月期第2四半期末現在で、220社の食品卸会社がこの「クラウドEDI-Platform」とその他インターネットEDI(iMart等)を導入しているが、その中には加工食品卸売上高上位10社中7社が含まれており、同社のクラウドサービスがいかに高く支持されているかがうかがえる。現在は、「C2Platform」という小売業、卸売業及びメーカー間での商談プラットフォームを開発中で、これが商用化されれば小~大規模の卸売業からメーカーまでもカバーできることになる。また、現行のクラウドEDIサービス「クラウドEDI-Platform」に加え、新サービスである「コード変換基盤」(開発中)の提供により、中小規模卸売業へも展開を目指している。
(2) 官公庁クラウド分野
官公庁クラウド分野の主な事業は、地方自治体(主に地元の和歌山県や県内の市町村)向けの基幹系・情報系の行政情報システム、防災無線等の地域防災システム、小中学校向けの「Clarinet」という校務クラウドサービス、医療機関向けの医療連携プラットフォームである「青洲リンク」、民間企業向けPC保守等のカスタマサポートサービスである。和歌山県における地域防災システムへの同社の評価・認知度は高く、県内シェアは群を抜いている。2017年12月期の官公庁クラウド分野の売上高21億円の内訳は、行政情報53%、地域防災34%、校務クラウド・地域医療連携6%、カスタマサポート7%となっている。この分野は顧客が官公庁であることから、比較的安定した売上高が期待できる反面、大きなプロジェクト(案件)の有無や納品のずれ込みなどによって売上高や利益が変動する可能性もある。
3. モバイルネットワーク事業
NTTドコモの1次代理店であるコネクシオ<9422>と「代理店契約」を締結し、2次代理店として和歌山県内で7店のドコモショップを運営している。県内の運営代理店シェアは35%とトップであり、県内最大のNTTドコモ代理店となっている。同社が運営しているドコモショップは全体的に高評価を得ており、同社のこの事業部門も利益を確保している。
4. 特色、強み
(1) シェアクラウド
同社の事業の特色の1つは、「シェアクラウド」に特化している点である。シェアクラウドサービスとは、各顧客企業の機能要求に個別に対応するのではなく、複数の顧客が同じハードウェア、ソフトウェア、運用・保守等を共同で利用する方式のことで、これによって「高機能」「高品質」のサービスを「ローコスト」で提供することが可能となっている。同社によれば、通常の個別対応の流通システムに比べて同じ性能のシステムを1/2~2/3程度のコストで提供可能とのことである。
このような共同利用を可能にするためには、優れた開発力を持つことが必要なのは言うまでもないが、それに加えて開発・導入・運用・保守までの一貫サービスを自社ですべて提供できることが必要となる。
(2) 食品流通業界向けに特化
同社は1988年から流通小売業向けネットワーク型POSの情報処理事業を行っており、流通分野、特に食品流通における知見やノウハウの蓄積が豊富である。このようなノウハウを生かすため、日持ちのしない生鮮食品や加工が必要な刺身のような商品も扱い、小売業の中でも最も厳しい販売管理が求められる食品スーパーを対象としたクラウドシステムに狙いを定めて事業を展開している点は同社の特色であり強みと言えるだろう。
ただし、同社が他の領域にまったく参入しない、またはできないわけではない。年商300億円以下の食品スーパーを対象とした食品流通の市場では、同社は既にITベンダーとして確固たる地位を築いているが、今後は今まで同社が参入していなかった年商500億円以上の中・大規模企業向け市場にも進出する計画だ。その第1弾として2017年4月に「@rms基幹」の次期バージョン(初期版)をファーストユーザーへ導入しており、更なる市場拡大が期待できる。
また現在、同社は食品流通向けに絞って事業展開をしているが、同社のシステムが他の業界(例えばドラッグストアーやホームセンター等)向けに利用できないというわけではない。近い将来、現在の市場での収益基盤が磐石となった場合には、他の小売市場へ参入することはあり得る。このように、市場を絞り込んで着実に事業を進めているのも同社の特色と言えるだろう。
(3) 「定常収入」重視の経営方針
同社は重要な経営方針として「定常収入の増加」を掲げている。定常収入とは、毎月の利用料や保守料などのように、営業成績や受注高等に関係なく安定的に入ってくる収入のことで、これが増加することで固定費を賄う負担が軽減され、収益基盤は安定する。
同社だけでなく、多くの企業が定常収入の増加を目指しているが、経営方針として明白な数値目標を掲げている企業は少ない。同社の定常収入(2017年12月期)は42.4億円であり、対売上高比率は44.2%であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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