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安田倉庫 Research Memo(1):「長期ビジョン2030」達成に向け、様々なプロジェクトを着実に進行

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/20 15:11
■要約

安田倉庫<9324>は、保管、流通加工、輸配送などの物流サービスを展開する総合物流企業である。物流拠点や所有不動産が東京や横浜を中心とする好立地にあることが強みで、首都圏や関西圏を中心に日本全国、そして中国・ASEANを中心に世界各国へネットワークを展開している。また、メディカルやITキッティングなど顧客や商品特性に合わせてカスタマイズしたソリューションサービスも同社の強みとなっている。2022年3月期第2四半期における事業別営業収益構成比は、物流事業86.2%、不動産事業13.8%であり、物流事業は成長事業、不動産事業は安定収益事業という位置付けになっている。

1. 長期ビジョン
同社は次の100年に向けて、事業体制の構築と更なる飛躍を目指す「長期ビジョン2030」を2019年に策定した。この基本方針に基づき、メディカル物流における新規施設投資、IT機器物流サービスの拡充、自動化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進による効率化、M&Aによる倉庫・輸配送ネットワークの拡充など、様々なプロジェクトが着実に進行しているほか、ESG経営に軸足を置いたコンプライアンス体制や財務基盤の構築により、内部環境は大きく改善している。

2. 業績動向
2022年3月期第2四半期の業績は、営業収益25,144百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益1,392百万円(同13.6%減)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により消費は弱い動きとなっており、依然として先行きが不透明な状況が続いているものの、物流事業においては倉庫の荷動きは回復傾向にある。2021年3月期に新設した物流施設の稼動や海上コンテナ不足による海上運賃の高騰、航空輸送の増加等により物流事業が堅調に推移した結果、2ケタ増収となったものの、物流施設新設に伴う先行投資により減益となった。

2022年3月期の業績見通しについては期初計画を据え置き、営業収益51,500百万円(前期比7.9%増)、営業利益2,900百万円(同11.8%減)を見込んでいる。引き続き物流施設の拡充や既存施設の修繕、経営インフラの強化などに伴う営業費用の増加などにより営業減益を見込んでいるものの、第2四半期が計画を超過して推移していることやコロナ禍から回復傾向にあることを考慮すると、やや保守的な印象が強いと弊社では見ている。

3. 中期成長イメージ
「YASDA Next 100」の推進によって、様々なプロジェクトを着実に進行し、2022年3月期までの先行投資が2023年3月期からは収益に結びつく予定であることから、営業利益率改善や営業増益の可能性も高いと弊社では見ている。また、「YASDA Next 100」は2022年3月期が最終年度となることから、次期中期経営計画にも期待したい。引き続き、メディカル物流やIT機器物流サービスなど高付加価値サービスを中心に成長を目指すと弊社では見ている。特に、メディカル物流では2023年に「(仮称)羽田営業所(羽田メディカルロジスティクスセンター)」開設を予定しているほか、倉庫・輸配送ネットワークの拡充、DX推進による効率化など、期待が高まる。

4. 配当方針
同社では今後の事業展開に備えるため適正な利益配分を行うことを基本方針とし、剰余金の配当については利益水準等を勘案し安定的な配当を維持していきたいと考えている。また、内部留保資金については、同社を取り巻く状況の変化に柔軟に対応すべく、物流施設及び不動産施設の整備・拡充及び情報システムの開発等、事業基盤の強化の原資として有効に活用するとともに、借入金の返済にも充当し、中長期的な業績の安定と向上による企業価値の増大を図ることで、株主の期待に応えることができるよう努めている。

2022年3月期の1株当たり配当金については、前期同額の年間配当金24.00円(中間配当金12.00円、期末配当金12.00円)を予定している。

■Key Points
・首都圏・関西圏を中心とした好立地の拠点展開とソリューションサービスが強み
・2022年3月期第2四半期は2ケタ増収となるも、物流施設新設に伴う先行投資により減益
・2022年3月期は増収見込みも、やや保守的な印象
・「長期ビジョン2030」達成に向け、様々なプロジェクトを着実に進行

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


<NB>
配信元: フィスコ
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