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澁澤倉庫のニュース
■要約
1. 総合物流企業の老舗で不動産事業も展開
澁澤倉庫<9304>は、倉庫業を祖業とする総合物流企業である。事業は物流事業と不動産事業に大別され、物流事業では倉庫業務、港湾運送業務、陸上運送業務、国際輸送業務、その他の物流業務の5つの業務を展開している。また、不動産事業では不動産賃貸や不動産管理などを行っている。同社は1897年に“日本資本主義の父”と言われ、現在のSustainability(持続的成長)に通じる精神を持った渋沢栄一(しぶさわえいいち)によって創業された。その後、昭和初期にかけ全国に支店を開設、戦後は陸・海・空へと事業領域を拡大し、総合物流の体制を築いた。平成に入ってからは海外展開を加速する一方、不動産賃貸業にも乗り出した。現在、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が依然猛威を振るうなか、同社は渋沢栄一の精神を基軸に総合物流企業として進化を続けている。
2. 倉庫を中心に周辺サービスを拡大
サービス別分類によれば、倉庫保管サービスには倉庫保管と流通加工がある。倉庫保管では、顧客の商品特性に合わせた万全な保管環境の提供、倉庫管理システムにより最適な物流ソリューション提案、顧客の効率的な販売戦略をサポートしている。流通加工では、輸入雑貨や食品の検品・ラベル貼り、アパレル製品の札付け・検針、化学品の解袋・サンプリングなど、顧客に代わって煩雑な作業を行っている。陸上運送サービスでは各種輸配送業務を行っており、あらゆるニーズに対応する輸送方法と輸送ネットワークを構築している。ほかにも輸出入フォワーディングや港湾運送、情報システムなど、物流と不動産に関連する様々なサービスを展開している。なかでも最大の特長は、全国ネットの営業網と輸配送システムによるきめ細かいサービスである。
3.「Shibusawa 2030 ビジョン」と「中期経営計画2023」
同社は長期ビジョンとして「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定した。創業者・渋沢栄一の精神を受け継ぐ同社は、顧客の事業活動に新たな価値を生み出すValue Partnerとなるために、競争力の強化とサービス領域の拡大、企業価値の持続的な向上を進め、2031年3月期に売上高1,000億円、営業利益60億円の達成を目指す。そのステップとして「澁澤倉庫グループ中期経営計画2023(以下「経営計画2023」)」を発表した。「経営計画2023」では競争力のある新たな物流サービスなどを提供していく考えで、そのためにデジタル化・機械化やアウトソーシングサービスの開発などを進め、2024年3月期に売上高730億円、営業利益45億円を目指す。また成長へ向けて、安定的な財務基盤を維持しつつ3年間で150億円~200億円の投資を予定している。
4. 2022年3月期はコロナ禍からの回復傾向強まる
2021年3月期の業績は営業収益65,328百万円(前期比2.2%減)、営業利益3,627百万円(同7.2%減)となった。強みの飲料や日用品の取り扱い拡大を図ったがコロナ禍で物流事業の荷動きが鈍く、安定収益の不動産事業で一定程度カバーしたものの減収減益となった。同社は2022年3月期業績見通しを営業収益67,000百万円(前期比2.6%増)、営業利益4,000百万円(同10.3%増)と見込んでいる。依然コロナ禍の影響が懸念されるが、ワクチンの普及や世界的な経済回復への動きから、物流事業では緩やかながら荷動きの回復を、不動産事業では引き続き安定した収益を見込んでいる。2022年3月期は増収増益を予想し、中期経営計画や長期ビジョンへ向けて幸先の良いスタートとなりそうだ。
■Key Points
・Sustainabilityに通じる精神を持った渋沢栄一を受け継ぐ総合物流企業
・「中期経営計画2023」「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定、成長戦略に弾み
・コロナ禍からの回復期待で今期増収増益予想、中計へ向けて幸先良いスタート
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
1. 総合物流企業の老舗で不動産事業も展開
澁澤倉庫<9304>は、倉庫業を祖業とする総合物流企業である。事業は物流事業と不動産事業に大別され、物流事業では倉庫業務、港湾運送業務、陸上運送業務、国際輸送業務、その他の物流業務の5つの業務を展開している。また、不動産事業では不動産賃貸や不動産管理などを行っている。同社は1897年に“日本資本主義の父”と言われ、現在のSustainability(持続的成長)に通じる精神を持った渋沢栄一(しぶさわえいいち)によって創業された。その後、昭和初期にかけ全国に支店を開設、戦後は陸・海・空へと事業領域を拡大し、総合物流の体制を築いた。平成に入ってからは海外展開を加速する一方、不動産賃貸業にも乗り出した。現在、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が依然猛威を振るうなか、同社は渋沢栄一の精神を基軸に総合物流企業として進化を続けている。
2. 倉庫を中心に周辺サービスを拡大
サービス別分類によれば、倉庫保管サービスには倉庫保管と流通加工がある。倉庫保管では、顧客の商品特性に合わせた万全な保管環境の提供、倉庫管理システムにより最適な物流ソリューション提案、顧客の効率的な販売戦略をサポートしている。流通加工では、輸入雑貨や食品の検品・ラベル貼り、アパレル製品の札付け・検針、化学品の解袋・サンプリングなど、顧客に代わって煩雑な作業を行っている。陸上運送サービスでは各種輸配送業務を行っており、あらゆるニーズに対応する輸送方法と輸送ネットワークを構築している。ほかにも輸出入フォワーディングや港湾運送、情報システムなど、物流と不動産に関連する様々なサービスを展開している。なかでも最大の特長は、全国ネットの営業網と輸配送システムによるきめ細かいサービスである。
3.「Shibusawa 2030 ビジョン」と「中期経営計画2023」
同社は長期ビジョンとして「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定した。創業者・渋沢栄一の精神を受け継ぐ同社は、顧客の事業活動に新たな価値を生み出すValue Partnerとなるために、競争力の強化とサービス領域の拡大、企業価値の持続的な向上を進め、2031年3月期に売上高1,000億円、営業利益60億円の達成を目指す。そのステップとして「澁澤倉庫グループ中期経営計画2023(以下「経営計画2023」)」を発表した。「経営計画2023」では競争力のある新たな物流サービスなどを提供していく考えで、そのためにデジタル化・機械化やアウトソーシングサービスの開発などを進め、2024年3月期に売上高730億円、営業利益45億円を目指す。また成長へ向けて、安定的な財務基盤を維持しつつ3年間で150億円~200億円の投資を予定している。
4. 2022年3月期はコロナ禍からの回復傾向強まる
2021年3月期の業績は営業収益65,328百万円(前期比2.2%減)、営業利益3,627百万円(同7.2%減)となった。強みの飲料や日用品の取り扱い拡大を図ったがコロナ禍で物流事業の荷動きが鈍く、安定収益の不動産事業で一定程度カバーしたものの減収減益となった。同社は2022年3月期業績見通しを営業収益67,000百万円(前期比2.6%増)、営業利益4,000百万円(同10.3%増)と見込んでいる。依然コロナ禍の影響が懸念されるが、ワクチンの普及や世界的な経済回復への動きから、物流事業では緩やかながら荷動きの回復を、不動産事業では引き続き安定した収益を見込んでいる。2022年3月期は増収増益を予想し、中期経営計画や長期ビジョンへ向けて幸先の良いスタートとなりそうだ。
■Key Points
・Sustainabilityに通じる精神を持った渋沢栄一を受け継ぐ総合物流企業
・「中期経営計画2023」「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定、成長戦略に弾み
・コロナ禍からの回復期待で今期増収増益予想、中計へ向けて幸先良いスタート
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
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