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―9社が新規上場し小型銘柄が多い、日経平均株価の上昇は追い風に―
11月IPOが始まった。今月は9社の新規上場銘柄が登場する。足もとでは大型株物色が活発化しているが、中小型株は値動きの軽さには定評があり、中でも新鮮味のあるIPO銘柄への期待は強い。とりわけ、衆院選の自民党勝利を好感し日経平均株価が2万9500円近辺に上昇したことはIPO銘柄にとって追い風となるとの声は多い。秋相場にニューフェース銘柄は舞うか。
●直近IPOではアスタリスクやリベロなど人気に
今月1日に福証Qボードにフロンティア <4250> [福証Q]が新規上場した。同社は自動車のサイドバイザーなどを手掛け、公開価格を3.0%上回る958円で初値をつけた。そして、今週末の5日にはPhotosynth <4379> [東証M]が東証マザーズに新規上場し、11月IPOが本格化する。11月は9社が新規上場を果たす。昨年同月の5社からは増加する。その内訳は福証Qボード1社、東証2部が1社、東証マザーズが7社といった格好だ。
直近のIPOは、10月は4社にとどまり2020年の8社から半減した。例年10月はその年の注目新規上場企業が登場することも少なくなく、IPOが盛り上がる月だが、今年は少数の上場にとどまった。10月は東証1部に直接上場したPHCホールディングス <6523> が、上場時の時価総額が4000億円近い大型銘柄で初値は公開価格を4.0%下回ったが、26日に東証マザーズに上場したCINC <4378> [東証M]は初値が公開価格を28.2%上回る好スタートを切った。9月IPO銘柄では、アスタリスク <6522> [東証M]やリベロ <9245> [東証M]などが人気化している。
●フォトシンスとAB&Cの動向に注目
11月IPO銘柄にとっては、衆院選で自民党が勝利し全体相場が上昇したことは強い追い風となる。そんななか、今月の新規上場銘柄では「需給面では警戒要因があるものの成長も期待できる銘柄をどう評価するか」(市場関係者)が関心を集めている。その注目銘柄がPhotosynthと19日に東証マザーズに上場するAB&Company <9251> [東証M]だ。
PhotosynthはIoT関連機器やクラウド関連技術の研究開発のほか、「Akerun入退室管理システム」などを展開している。ファンドの売り出しもありIPOに伴う資金吸収額は100億円を超えるほか、21年12月期業績予想は売上高が15億円強と小さいうえに、赤字が続いている。ただ、スマートロックシステムなどの将来性を評価する声も出ており、中長期的な成長も期待されている。
AB&Cは「Agu.」ブランドを中心とする美容室チェーンを展開。やはりファンドの売り出しが多く、仮上限の上限から弾いた資金吸収額は80億円程度の水準だ。業態的には、「キュービーネットホールディングス <6571> との比較でも注目できる」(アナリスト)との声もある。売り上げは順調に伸びており、今後の成長が期待されている。両銘柄ともにファンドが投資資金を回収するエグジット銘柄な色彩も帯びていることから、初値には強弱観が対立している。ただ、その初値動向にもよるが上場後のセカンダリー(流通)市場での株価に期待する声もある。
●想定資金吸収額10億円未満の銘柄が多い
11月IPO銘柄は、上記2社以外は、全体的に規模が小さく、資金吸収額は10億円未満の銘柄も多い。そんななか、18日に東証マザーズに新規上場するGRCS <9250> [東証M]は仮条件の上限での資金吸収額は13億円台が見込まれている。同社は企業リスク管理プロダクトの開発・導入・販売やセキュリティー分野に関する各種コンサルティングなどを手掛け、堅調な成長が期待されている。また、30日に東証マザーズに上場するボードルア <4413> [東証M]は、想定発行価格から弾いた資金吸収額が30億円前後の見込み。ITインフラストラクチャにおけるクラウド導入支援などを手掛けている。
他の銘柄では、9日に東証2部に新規上場する日本調理機 <2961> [東証2]の資金吸収額は8億円弱。同社は厨房機器の開発・製造・販売を手掛けている。公開価格は今期予想PERで8倍強の水準だ。24日に上場するラストワンマイル <9252> [東証M]は新電力、新ガス、インターネット回線などのインフラサービスの取次販売などを手掛ける。想定発行価格から弾いた資金吸収額は5億円強の見通し。同じく24日に新規上場するサイエンスアーツ <4412> [東証M]はデスクレスワーカーをつなげるライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom」の開発・販売を手掛ける。仮条件の上限での資金吸収額は4億円強だ。
25日に新規上場するスローガン <9253> [東証M]は求人プラットフォーム「Goodfind」を通した新卒採用支援サービスを手掛ける。想定資金吸収額は6億円弱だ。上記3社はともに東証マザーズに上場する。資金吸収額が小さい小型銘柄は、相場環境次第で初値は大きく飛ぶ可能性があるものの「事業基盤がまだ不安定な場合もある」(アナリスト)と注意を促す声も出ている。
■11月IPO銘柄一覧
上場日 コード・市場 銘柄 主幹事
11月1日 4250・福Q フロンティア エイチ・エス
5日 4379・東マ Photosynth 大和
9日 2961・東2 日本調理機 SBI
18日 9250・東マ GRCS 野村
19日 9251・東マ AB&Company 大和
24日 9252・東マ ラストワンマイル SBI
24日 4412・東マ サイエンスアーツ 岡三
25日 9253・東マ スローガン SMBC日興
30日 4413・東マ ボードルア SMBC日興
(注)東2は東証2部、東マは東証マザーズ、福Qは福証Qボード
株探ニュース
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