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フューチャーリンクネットワーク、通期は利用店舗数・平均単価が順調に推移 今期から公共BPOが連結対象に
目次
石井丈晴氏(以下、石井):株式会社フューチャーリンクネットワークの石井でございます。本日はお越しいただき、ありがとうございます。
それでは、私より2022年8月期の決算説明をさせていただきます。30分少々お話を聞いていただいた後、ご質問いただければ幸いです。内容としては、事業内容、2022年8月期の業績ハイライト、1年間の取り組みのご紹介、2023年8月期の業績予想、そして今後の成長戦略についてお話ししたいと思います。
会社概要
まず、会社概要です。当社は2000年3月に創業し、現在は102名のメンバーでがんばっています。
企業理念
創業以来、当社は「地域活性化を継続的かつ発展的事業の形で実現することで、社会に貢献する。」を事業理念に掲げています。
社会背景
当社の事業が生まれた社会背景、また今、我々が必要とされている社会背景について簡単にご説明します。
基本的には、少子高齢化が進む中、世の中が画一的かつ価格競争のみの社会ではない、多様性と付加価値のある社会のニーズが高まるという前提に立っています。当社は地域活性化を事業テーマに据えていますが、これはすなわち多様性のある社会だと考えています。画一的でも値段でもない価値を流通させることは非常に価値があり、ビジネスチャンスにもなります。それを実現させることにより、ビジネスの成立とあわせて社会貢献していきたいと思っています。
事業内容のサマリー
これらをふまえて事業内容についてご説明します。当社の事業である地域情報サイト「まいぷれ」とは何か、地域情報プラットフォームとは何か、地域情報プラットフォームをどのように事業展開しているのか、運営パートナーとは何かなどについて簡単にお話しします。
地域情報サイト「まいぷれ」とは
当社の事業についてわかりやすくお伝えするため、最初のご説明では「地域情報サイト『まいぷれ』を運営している」という言い方をすることが多いです。具体的には、地域ごとの魅力的なお店やイベント、コミュニティの情報など、地域に根づいた情報を発信するポータルサイトを運営しているとご説明しています。なお、全国で314のサイトを運営しています。
このポータルサイト「まいぷれ」では、主に安さや値段、あるいは評価、利便性ではない、そこにしかない付加価値情報を配信しています。ビールが500円安く飲めるお店の情報は、他の媒体で探してください。ビールが他より500円高いかもしれませんが、そこにしかない価値があります。東京からは遠いかもしれませんが、そこでしか見られない景色があります。このような情報に付加価値があると考えて配信しているのが、地域情報サイト「まいぷれ」です。
地域情報プラットフォームとしての価値
わかりやすくお伝えするために「当社は地域ポータルサイトを運営しています」という言い方をしていますが、事業の実態としては、「創業から地域情報プラットフォームを運営しています」と言っています。我々の本質はメディアではありません。地域情報サイト「まいぷれ」も含む、あらゆる媒体・デバイスで情報を流通させることが我々の使命であり、価値だと考えています。
地域情報プラットフォームとは何かについてお話しします。スライド左側に記載の多種多様な地域のお店の情報、イベントの情報を我々が足で収集し、集めた情報を編集してデバイスやチャネルに配信します。
その配信するチャネルの代表的なものが、地域ポータルサイト「まいぷれ」でもあるのですが、昨今では「Googleマップ」との連携やデジタルサイネージ、デジタルテレビがあります。また、今後はAI、カーナビ、デジタルではないチャネルの可能性もあります。この多種多様な情報を流通させることによって地域の循環を果たし、付加価値情報を流通させることによって地域活性を果たすことが我々の事業の本質です。
リテラシーがあまり高くない事業者の方には「地域ポータルサイト『まいぷれ』に掲載してみませんか?」という言い方をしていますが、実態は、このプラットフォームを利用したWebマーケティングツールの提供を行っています。主に全国の中小事業者からプラットフォーム利用料金をSaaS型でいただいており、こちらが事業のベースになっています。
運営パートナーとの協業モデルによる全国への展開
当社の事業の特徴についてお話しします。1つ目は、パートナーとの協業モデルによって運営していることです。船橋をはじめとする直営地域では、当社のメンバーが地域を回り、地域の方々に寄り添いながらWebマーケティングツール「まいぷれ」を提供していますが、今、この「まいぷれ」は、北海道から沖縄まで全国各地域に根づいて運営しています。
地域に根づいた事業者とパートナー契約を結び、我々のノウハウや培ってきた営業スタイル、システムを提供して当地に根づいた事業活動を行ってもらい、ロイヤルティとして収益をいただくという運営形態を取っています。
現在、各地域に153社の運営パートナーがおり、802の市区町村を網羅するかたちで運営しています。
地域情報プラットフォームを活かした公共ソリューション事業
当社の事業の特徴の2つ目は、公共ソリューション事業です。創業時からの事業テーマとして、「官民協働」を掲げています。地域の自治・公共をいかにサポートし、サステナブルなかたちで実現するかということがあります。
「まいぷれ」の運営体制によりパートナーが全国各地にいるということを含めて、当社は2005年以降、自治体との官民協働事業をさまざまなかたちで展開してきました。防災や福祉、最近ではふるさと納税、地域共通ポイントなど、地域の自治体の課題を民間のノウハウを使って解決することを実現しています。このノウハウや実績を持っていることが、当社の事業の特徴の2つ目です。
地域情報プラットフォームを活かしたマーケティング支援事業
もう1つの事業セグメントであるマーケティング支援事業についてです。昨今、新聞折込や電柱広告などのエリアマーケティングの手段が少なくなってきています。しかし、特に流通大手や不動産事業者などからのエリアマーケティングをしたいというニーズは多くあります。そのような中で、「まいぷれ」のチャネル・体制を使って地域のエリアマーケティングをご支援するという事業です。
3つの事業セグメント
当社の事業は、地域情報流通事業・公共ソリューション事業・マーケティング支援事業の3つの事業セグメントで展開しています。
当社の強み
当社の強みは3つあります。1つ目は、全国の中小事業者にリアルな接点を持ち、DXを促進できる体制があるということです。Webマーケティングツールを中小事業者に提供している会社はたくさんあると思いますが、当社は直営地域、パートナー地域ともに直接事業者に会ってサポートできる体制を持っています。「まいぷれ」を利用いただいている中小事業者の中にはリテラシーがあまり高くない事業者もありますが、そのような中で最新テクノロジーのWebマーケティングツールを提供できているということは、我々の体制の強みであると考えています。
2つ目は、顧客との継続的関係性です。「まいぷれ」は、パートナーが近くにいる安心感や信頼感を提供できる体制があることのみならず、リテラシーが高い方にもリテラシーがあまり高くない方にも応えるだけの機能を日々アップグレードし続けています。そのことにより解約率は低く抑えられています。また、「まいぷれ」に対する期待値が高まり、中小事業者の経営サポート機能まで発展しようとしています。ライフタイムバリューが長いということが、当社の強みの特徴の2つ目だと考えています。
3つ目は、官民協業事業の実績とノウハウです。先ほどもご紹介しましたが、当社は、まいぷれ事業の1つの柱として官民協業事業を行うことにより、公共の課題を持続的・発展的に解決することに取り組んできました。この実績とノウハウは他にない数を誇っていると自負しています。
事業の収益構造
スライドは、事業の収益構造を簡単に絵にしたものです。スライド右下が地域情報流通事業セグメントです。我々の直営地域に関しては、地域事業者から月々の利用料を直接いただいています。それ以外の運営パートナー地域に関しては、パートナー各社が利用料を回収した後に、ロイヤルティというかたちで収益をいただきます。地域の中小事業者からWebマーケティングツールであるプラットフォーム利用料をいただくというのが、地域情報流通事業セグメントです。
スライド右上の公共ソリューション事業に関しては、今はふるさと納税のBPO業務が比率として一番大きくなっています。ふるさと納税のBPOをはじめとする自治体のお役に立つことにより、委託料あるいは手数料をいただきます。
スライド左下のマーケティング支援事業は、主に流通大手、不動産事業者などが多いのですが、マーケティング支援事業の対価として販促費をいただきます。当社の事業収益は、この3つの事業による独自の収益構造で成り立っています。
事業成長モデルの基本方針
当社の今後の事業の成長モデルについて、スライドの3つの丸でご説明します。まず、プラットフォームの価値を高め続けます。よりお役に立てるサービスに進化することによって、利用いただく店舗数を増やすと同時に単価を上げることを重要な指標に据えています。
店舗数と単価が上がっていき、展開するエリアを広げるとパートナーが増えます。パートナーが増えるとMRRが上がり、MRRを展開できるエリアが増えます。そしてエリアが増えると、我々が培ってきた公共ソリューションを展開できる分母が増えることになるため、公共ソリューション事業も幅を広げていきます。
MRRを上げてエリアが広がり、かつ公共ソリューションを提供することによって収益力を上げていきます。その収益力をもって次なる開発投資に充てるという循環を成長モデルの軸に据えています。
2022年8月期 トピックス
2022年8月期の業績ハイライトです。スライド上の青字部分がポジティブな内容、赤字部分がネガティブな内容です。
まずポジティブな内容ですが、プラットフォーム利用店舗数・平均単価は順調に推移しています。新サービスの展開もあり、前期比で利用店舗数は1,560店舗の増、平均単価は385円の増となっています。
また、業務提携等により、成長戦略どおりの新サービス展開を進めています。昨年8月の上場以降、非常に多くのチャンスに恵まれ、さまざまなご縁をいただきました。それにより「まいぷれアナライザー」をリリースしたり、地域事業者の経営支援サービスとして、株式会社ライトアップとの提携による「補助金・助成金サービス」の提供を始めたりしました。
さらに、価値もビジネスチャンスも大変多いが、当社単独では難しいと考えていた地域の事業継承について、ジャパンM&Aソリューション株式会社と提携し、「まいぷれ事業継承」としてサービス提供を始めました。
また、当社の「まいぷれ」というWebマーケティングツールは、MEO技術も非常に要求されますが、すべての技術を社内で開発するとどうしても時間がかかってしまいます。そのような中で、最新テクノロジーを持つ会社と良い提携ができるのであれば、すべてを内部で開発するよりスピードが上がると考え、株式会社エフェクチュアルとのご縁もいただきました。プラットフォームやサービスの価値向上に向けて非常に順調に歩を進めることができています。
一方、ネガティブな内容としては、新規パートナーの契約獲得が非常に低調に終わったことです。リード獲得不足や新型コロナウイルス感染症など、理由を挙げればキリがありませんが、残念ながら当初計画より伸びが非常に少なかったというのが1つ目です。
2つ目は、「まいぷれアナライザー」の追加開発が予定より若干遅れたことです。「まいぷれアナライザー」は無事にリリースし、今なおサービスのレベルアップが進んでいますが、当初計画の開発速度でのリリースができませんでした。この開発の遅延により市場への投入が遅れ、収益も遅れましたので、当初計画の未達の理由の1つになりました。
決算サマリー
決算サマリーです。売上高は12億5,400万円、前期比93パーセント、営業利益はマイナス5,400万円となりました。理由としては、先ほどのパートナー開拓の不調やふるさと納税受注自治体数の目標未達、公共案件の計上時期のズレなどがあります。その結果、当初計画に届かないばかりか、前期を下回ることになりました。
P/L
詳細の内訳です。売上高は前期比割れであったものの、今は成長のための投資を止めるべきではないという考えのもと、販管費を前年同期より大きく増やしています。そのため、利益が大きく減ったというのが2022年8月期の数字です。
売上高推移
四半期別の売上高の推移です。当社には季節要因があります。特に自治体のふるさと納税のBPOが年末や年度末に集中しがちですので、第2四半期に偏重する傾向が大きく表われています。
営業利益推移
営業利益の推移です。これも季節要因が表われると同時に、売上高の未達がありましたが、成長投資のための歩は止めるべきではないと判断しましたので、そのままの数字がここに出ています。
主な費用の推移
費用の推移です。人件費が11.3パーセント増、業務委託費が34.9パーセント増となっています。業務委託費はエンジニアが主です。今期は特に人件費、業務委託費、そして広告費を当初計画どおりに使うかたちとなりました。
B/S
B/Sです。現状では自己資本比率は39.6パーセントとなっています。
各指標の進捗状況
各指標の進捗状況についてご説明します。繰り返しになるのですが、当社が大切にしている成長戦略ですので、これをベースにご説明したいと思います。
各指標の進捗状況(サマリー)
数字はスライドに記載のとおりです。店舗数18,127店舗、平均単価5,300円、パートナー数153社、契約エリア数802市区町村となっています。公共ソリューションとしては、今のところ、ふるさと納税の寄付金額をKPIに据えているのですが、こちらは51億3,000万円の寄付を扱わせてもらい、自治体数は37市区町村となりました。それぞれ個別に見ていきたいと思います。
各指標の進捗状況 プラットフォームの価値向上
まずプラットフォームの利用店舗数です。これは当社にとって非常に重要なのですが、18,127店舗となり、前期比で1,560店舗を増やすことができました。平均単価も5,300円となり、前期比で385円増やすことができました。
あらかじめお話ししておくと、残念ながら当初計画からは外れています。ただ、その中でも着実にプラットフォームとして成長していることを知っていただきたく、このような書き方をしています。
平均単価の向上には「まいぷれアナライザー」のリリースが非常に大きく貢献しました。今、Webマーケティングツールは非常にいろいろなプレイヤーが出てきていますが、ますます評価されているという実感を持っています。着実に店舗数が増えているということを評価していただきたいと思っています。
各指標の進捗状況 展開地域数
運営パートナー数は153社、前期比1社減、契約エリア数は802市区町村で、前期比38市区町村増となっています。後ほど詳しくご説明しますが、パートナーの新規開拓が当初計画を外しました。これによって新規のパートナー獲得もありましたが、毎年一定数撤退するパートナーもいるため、全体のパートナー数としては純減となりました。
ただ、パートナー数は減少したにも関わらず、契約市区町村数は増やせました。市区町村数が増えているのは、既存のパートナーが契約エリアを広げたことにあります。そのような意味では、既存のパートナーが非常に成長を続けてくれている中で、新しいパートナーとのご縁が得られなかったというのが現状です。
各指標の進捗状況 公共ソリューション
ふるさと納税の寄付額は51億3,000万円、前期比1億8,000万円増となっています。ふるさと納税自治体数も前期比プラス3市区町村の37市区町村となり、一応プラスになっていますが、残念ながら当初計画からは大きく外しています。
ふるさと納税のBPO業界も非常に激戦区になっています。そのような中で当社の強みをより際立たせるべく、いくつか手を打っていますので、こちらも後ほどご紹介したいと思います。
2022年8月期 進捗状況
2022年8月期の1年間にどのようなことをしてきたのかというトピックスを振り返りたいと思います。要点だけご説明します。
昨年8月に上場しましたので、第1四半期は9月からになります。第1四半期は「まいぷれアナライザー」をリリースすることができました。多少の遅延はあったものの無事にリリースでき、それなりのご評価をいただいてよかったと思っています。
なお、地上デジタル放送を用いた情報伝達手段に係る実証実験は非常に期待できるものですが、結果が出るのはもう少し先になると思っていますので、トピックスだけご紹介します。
第2四半期では堅実に利用店舗数が増えると同時に、先ほど紹介した株式会社ライトアップとの補助金・助成金サービスの資本業務提携、スカパーJSAT株式会社ほか数社との新会社設立、それからジャパンM&Aソリューション株式会社との「まいぷれ事業承継」など、このあたりから新サービスの提供も始めています。
第3四半期には、先ほどご紹介した株式会社エフェクチュアルとの資本業務提携を開始しました。当社が社内で開発するかどうか迷っていた部分があったのですが、これによってスピードアップが図れますし、サービスアップも安定的に図れるものと思われます。
第4四半期に関しては、今後ふるさと納税の競争力をさらにアップするために作った、株式会社公共BPOの設立をリリースしました。
2022年8月期 当初計画未達要因分析
当社は今期、下方修正を行いました。当初計画から大きく外すという非常に悔しい結果になったのですが、その要因に関してご説明します。
まず新規パートナー契約の不調ですが、先日の下方修正の際に発表したとおり、当初の計画を大きく外し、新規パートナーの獲得が進みませんでした。前年、前々年に比べても新規パートナーの増加分が少なかったという事態になっています。
理由としては、広告リードの安定化が足りなかったことや、マーケティングに失敗したということもあるのですが、やはり我々が目測を誤ったところが大きいと思っています。「上場したことによって知名度が上がり、もう少し広告リードが取れるかもしれない」という甘い読みもあったかもしれませんし、それを前提にしたマーケティング施策に関して完全に誤ったと反省しています。
そのような施策を見直し、あらためて改善策を打つことによって、2023年8月期はパートナー契約を先々期レベルにまで回復できるものと考えています。
また、「まいぷれアナライザー」の開発遅延も大きな理由でした。当初の想定よりも開発遅延が発生してしまいましたが、特に当社はサブスク型で提供していますので、開発遅延は収益の回収が遅くなってしまうことに直結します。非常にふがいないのですが、この若干の遅れが大きな未達の要因の1つになりました。現時点では予定していた開発は終了し、さらなるバージョンアップのために開発を続けている状況です。
もう1つは、ふるさと納税BPO業務の競争激化です。ふるさと納税のBPOにおいて、当社は地域の魅力ある付加価値を発掘するという文脈で、主に自治体の手が届かない返礼品の発掘や魅力の発掘を武器に、ふるさと納税のサポート業務、BPO業務を引き受けてきました。
ところが、競争が激化する中で、付加価値を発掘するだけでなく、例えば、それに伴って発生するコールセンターや受領証明書の発送等、いわゆるBPO業務のコスト削減に関するリクエストも非常に多くいただくようになってきました。いかにコストを安くするか、いかに効率的にセンターを回すかというのは非常に重要ですが、当社で取り組むべき競争ポイントではないと判断しました。
しかし、ここがないと我々の本来の魅力である、ふるさと納税の返礼品の発掘にも着手できないと考えます。そこで、当社が磨くべき競争分野は当社で取り組み、当社の中で取り組むべきではないが磨くべきである競争分野は、そこを得意とする会社、すなわちスライドに記載の株式会社シフトセブンコンサルティングと株式会社サンクネットとの共同出資により新会社を作る、という運びになりました。
この新会社である株式会社公共BPOでは、自治体のサポート、あるいは国や自治体で必要とされるBPO業務に特化して競争力を磨き、それによって高品質かつ安いコールセンター、ないしはオペレーション業務を引き受けていきます。
株式会社公共BPOと、当社が武器にしている地域に寄り添って返礼品を開拓し、生産者に寄り添い、自治体をサポートしていくという部分を合わせることによって、価格競争力に加えて、他社にない武器をもってあらためて競争できると考えています。
公共ソリューション事業の売上計上時期のズレについては、国のいろいろな施策の事情や時期のズレによるというのも理由の1つとしてあります。
また、マーケティング支援事業の不振については、コロナ禍を言い訳にしたらキリがないのですが、広告キャンペーン等の施策が非常に流動化する中で、受けられると見込んでいたキャンペーンの時期がズレたことが理由です。
以上の5点が、当初計画を外し、下方修正をすることになった理由です。
2023年8月期 通期業績予想(連結)
2023年8月期の業績予想についてお話しします。2023年8月期に関しては、売上高15億円、営業利益1,100万円としています。
今期から株式会社公共BPOを連結で発表したいと思います。株式会社公共BPOは、当期はまだ大きな数字を計上する段階にはないのですが、今後、中長期を見越した時に非常に大きなインパクトがあると思いますので、今期から連結で発表することとしました。
営業利益に関してですが、来期も引き続き今後の大きな成長のために投資したいと思っています。具体的には、業務委託をはじめとするエンジニアや人件費などがメインです。今までのトレンドからすると、売上高の増加分に対して営業利益がずいぶん少ないのではないかというご指摘もいただくかもしれませんが、来期も引き続きよりスピーディに中長期の成長のために投資していきたいと考えています。
2023年8月期 KPI予想
それぞれの目標のKPIです。今期末の状態で、プラットフォームの利用店舗数が20,003店舗、前期比1,876店舗増、平均単価が5,870円、前期比570円増、運営パートナー数が173社、前期比20社増、契約エリア数が862市区町村、前期比60市区町村増、ふるさと納税寄付金額が54億8,000万円、前期比3億5,000円増、ふるさと納税自治体数が46市区町村、前期比9市区町村増というかたちで考えています。
事業成長モデルの基本方針(再掲)
下方修正の理由ばかりに時間を取られてしまいましたが、成長戦略についてお話しします。あらためて、当社はスライドに記載のような成長戦略を描いているところです。
経営支援機能に広がるサブスクリプションモデル
まずベースとして、プラットフォームの価値を上げていくことに注力したいと思っています。当初は掲載枠の提供という意味合いが非常に強かった中で、今では「まいぷれ」プラットフォームを利用いただくと、例えばお店の方がLINEで今日の定食はこれだよと。入力すると、「まいぷれ」のみならず「Googleマップ」にも反映することができる機能がついています。おそらく「LINE」で「Googleマップ」の情報をリアルタイムで更新できるサービスは、そうないのではないかと考えています。「日本で我々だけ」とは言えませんが、非常に強みを持っているのではないかと思っています。
このようなかたちでマーケティングツールとしての進化を続けていきます。先ほどご紹介した補助金・助成金をはじめ、これから新規出店していく、あるいはその他、経営に関して非常に困っている中小事業者の方々は非常に多いと思います。我々はラストワンマイルに寄り添えるという武器もあり、期待される向きも非常に強いですので、ここをさらに磨きあげ、MRRを上げていくというのをまずベースの成長戦略としています。
まいぷれアナライザー
「まいぷれアナライザー」というサービスについてですが、昨今はITメディアが多様化し、SNSやITツールが非常に高度化していますので、地域の事業者の方々がすべてに精通するのはなかなか難しいものです。
彼ら自身が発信したい情報を理解していなければなかなか手が打てないのですが、この「まいぷれアナライザー」では、決して高度なリテラシーがなくても、次は何をすべきなのか、どんな魅力があるのかということを提案し、理解していただけるようなツールを内包しています。
高度化していく分析ツールやアナライザーツール、あるいはマーケティングツールはたくさんあるのですが、リテラシーがあまり高くない方々に寄り添って、かつ高度なマーケティングが可能だというところが我々の強みだと思っていますし、この「まいぷれアナライザー」はそれを実現すると理解しているところです。
運営パートナーに対する経営支援機能の強化
「運営パートナーに対する経営支援機能の強化」と記載しています。「『まいぷれ』のパートナーをやっている会社はどういう業種が多いのか?」というご質問をよくいただくのですが、これをまとめたのがスライドのグラフです。本当に多種多様な会社にご一緒していただいています。
意外と多くないのがフリーペーパー会社です。フリーペーパー会社よりも、むしろまったく異業種から地域で、いわゆるサブスクリプション型の継続的な事業に新規参入したいという方々が多いことがわかるかと思います。
その中でも特に昨今多いのは、新規創業パートナーです。当社は個人とのパートナー契約はできませんので、契約にあたっては法人化をしてもらわなければいけないのですが、各地域でこの「まいぷれ」を新しく始めたい、新規創業・新規開業したいという方々からご連絡いただいて法人登記までサポートします。法人登記をし、まいぷれ専業会社としてスタートするというパートナーが、最近は比率として非常に増えてきています。
今、運営パートナーのうち39社、全体の25パーセントが新規の「まいぷれ」専業パートナーです。実はパートナー1号目である島根県出雲市の株式会社アルテミスビュースカイという、「まいぷ山陰(出雲・松江・米子)」を運営するパートナーも「まいぷれ」専業会社です。もう15年以上ご一緒してもらい、出雲では非常に安定した存在になっています。
新規創業パートナーは経営基盤が脆弱なことが非常に多いです。パートナーが契約基盤を持って「まいぷれ」の営業活動に従事してもらうことが成長する上で非常に重要ですので、この「まいぷれ」専業パートナーの経営支援機能を高めていくというのが非常に重要な施策だと思っています。今期の成長戦略の中では、運営パートナーに対する運営支援機能を強化していくことを1つの軸としています。
子会社 「株式会社BPO 」の設立による公共ソリューション事業の強化
もう1つが株式会社公共BPOの設立です。先ほどお伝えしたように、ふるさと納税や、ふるさと納税以外もこれから当社が獲得していこうと考えている領域は同様ですが、官民協業といいながら、オペレーショナルな部分ではコストや効率性を要求されることが非常に増えてきています。
効率的にコールセンターやオペレーションを回していくためには、同じ組織ではやるべきでないと判断しました。当社の仕組みではなく、その強みを持った株式会社シフトセブンコンサルティングや株式会社サンクネットと共同出資することによって、効率的に公共に特化したBPO業務を行う会社を設立しました。
株式会社公共BPOは、まずSTEP1として当社が受けているふるさと納税BPO業務のコールセンターなど、オペレーショナルな部分を担ってもらうことから入るため、最初から連結の売上に大きく貢献するものではありません。
当社のような中間事業者といわれる、地域に寄り添ってふるさと納税を行っている地域商社やDMO、観光協会、商工会議所などは、民間企業も含めて表面的には競争もしていますが、裏側のオペレーショナルな部分では同じ苦労をしていると思います。株式会社公共BPOが自治体のBPO業務のノウハウや体制を培った後は、STEP2として、そのような業務を引き受けるという展開を考えています。
STEP3としては、ふるさと納税のBPOを通して得た、公共ならではのBPOのノウハウを活かして、それ以外の業務も取っていこうと思っています。実際に今までも、マラソン大会の事務局からマイナンバーカード関連、給付金関連など、BPO業務に特化した依頼は非常に多くいただいています。このような業務を適切に行える体制があれば、お力添えできることがあると考えています。
株式会社公共BPOは中期的に大きく育っていくと思いますので、まずは今期の成長戦略の軸として、株式会社公共BPOを設立し、効率的な組織を運営することによって、当社のふるさと納税BPOの競争力を高めることを重要視しています。
今後の成長イメージ
当社の今後の成長イメージです。当社の事業はサブスク型のため、成長速度を上げながら着実に成長させていきます。一方で、全国にパートナーがいることや自治体との実績など、当社が運営している「まいぷれ」の体制やノウハウなどの強みを使って、いかに新規事業を作っていくかということも、同じくらい非常に重要な施策であると認識しています。
オーガニックに成長させていく部分に加えて、「まいぷれ」および当社が持っている強み・ノウハウを使って新規事業を作っていきます。さまざまなリリースをしている中で、新規事業領域も多くありますが、このようなかたちで既存領域と新規事業の成長を含めて、中長期に成長していくのが当社の成長イメージです。
私からのご説明は以上とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:プラットフォーム利用料について
質問者:プラットフォーム利用料を上げていく施策についてです。今期も385円上がった要因は、提携などによって付加価値が上がったことで利用単価も上がったということでよいでしょうか?
石井:いくつか要因がありますが、1つは「まいぷれアナライザー」をリリースできたことです。「まいぷれアナライザー」は既存のサービスに加えてプラスオンで金額をいただくサービスのため、利用店舗が増えれば単価が上がっていきます。
また、それも含めて提案力の強化により直近の契約単価が向上しつつあるということが2つ目の要因です。
質疑応答:売上高推移について
質問者:スライド21ページにある四半期の売上高推移についてです。「まいぷれ」も公共ソリューションも、特に第3四半期・第4四半期で前年比減となっています。「まいぷれ」は契約数は同じでARPUが上がっているというご説明だったので、少し減っている点が疑問です。公共ソリューションも期ズレが生じているというご説明はあったのですが、減少となっているので、この要因を教えてください。
中川拓哉氏(以下、中川):まず「まいぷれ」が下がっている要因に関しては、地域情報流通事業の構成として、既存のARPUが上がっている「まいぷれ」の掲載店舗約1万8,000店舗からの収益と、パートナー部分の収益があります。また、パートナーにも2つ構造があり、今期失敗したとお伝えしたパートナー契約も含まれています。そのパートナー契約において、これまで確実に獲得していた部分が今期は取れなかったということで、地域情報流通事業も下がっています。
公共ソリューション事業に関しては、年間の公共の受託案件での期ズレの影響もあります。また、「まいぷれポイント」というポイント端末を動かしている事業があり、去年まではそちらが端末を使ったサービスを提供していました。今期からすべてスマホアプリに移行したことによって端末費用の売上が減ったことが売上減少の要因になります。
質問者:「まいぷれ」の部分はイニシャルの部分が取れなかったから、ということですね。
中川:おっしゃるとおり、パートナーのイニシャルです。
質疑応答:「まいぷれ」の新規パートナーの獲得について
質問者:「まいぷれ」について詳しくお聞きしたいのですが、パートナー数が1社純減ということでした。計画比で下振れした要因というご説明がありましたが、新規が全然取れていない状況になっていると思います。新型コロナウイルスの影響と広告のリード獲得が遅れたというご説明がありましたが、状況をもう少し教えてください。
石井:先々期までは順調にパートナー獲得を増やしていましたが、今期は今までに想定しなかったくらいパートナー獲得が取れませんでしたので、先日、下方修正させていただきました。リードの獲得不足とあるのですが、当社が目測を誤ったところもあります。上場によって認知度も上がり、今まで投資していた人員やリソースを半減しても同じかそれ以上のリード獲得が見込めると考えてしまったことが本質です。
非常にお恥ずかしい限りですが、「まいぷれ」のパートナーをご提案する人員を先々期に比べて先期は大きく減らし、別の領域に振り分けたということがありました。そもそもリードの獲得について、これまで知名度がなく信用できるか不安に思われていたところがあるのではないかという仮説の下、上場によって不安が解消されると考えて計画を立てたことが、目測を大きく誤った最大の要因だと思います。
質問者:「まいぷれ」の人員も減らしていたのですか?
石井:お恥ずかしい話ですが、残念ながら営業の人員を減らしていました。
質問者:先期は新規がほとんど獲得できなかったわけですが、今期は20社獲得するという予定になっています。なぜ先期が取れなかったのに今期は取れるのかお聞かせください。人員などを戻すのでしょうか?
石井:先期ももちろん獲得したパートナーはありますので、それ以上に撤退が多かったということです。獲得ペースとしては、先期や先々期、その前に比べても、20社獲得という予定がさほど大きく増やしている認識はないのですが、あらためて当社の今の状況や営業対策、説明の仕方などを見直していけば、確実に20社は増やせるだろうと考えています。
質疑応答:ふるさと納税について
質問者:ふるさと納税についてお聞きします。今期の予想で9つの自治体が取れるという予定ですが、先期に獲得できたのは3自治体くらいだったため、加速する理由を教えてください。また、競争が激化しているBPOがあっても増えるというのは、どのような理由でしょうか?
石井:前提として、当社の売上に影響が出るのは、自治体数よりも寄付額の多い自治体かどうかということです。自治体契約数が売上に即連動するわけではないということがあります。また、自治体数も寄付額を狙いにいくのか数を狙いにいくのかという部分があり、寄付額を狙いにいくべきというのは前提としてお話しします。
今期に自治体数が取れることにまったく根拠がないわけではありません。自治体との契約は1年前、2年前からスタートすることが多く、このまま順調に進めば何月頃にお話がいただけるだろうという計算根拠があります。逆に、9自治体も増えたのに寄付額は大きく増えていないという課題が出るかもしれず、寄付額の少ない自治体をどう育てるかという点は当社の力量が試されると考えています。
質疑応答:成長戦略について
質問者:成長戦略についてお聞きします。スライド42ページに新規事業領域の拡大の図がありますが、内容を具体的にお聞きしたいです。また、拡大のスピードで年次が入ってないので詳細はわからないのですが、既存領域とは異なり、かなり右肩上がりの成長スピードのように見えます。他社とのアライアンスとありますが、買収やどのような業種の企業とアライアンスを組んでいくのかなど、具体的な施策を教えてください。
石井:まず、新規事業領域は当社が持っている他社にない強み、例えば、全国の中小事業者に直接ご案内できる体制を持っている部分と、自治体との官民協業のノウハウを持っている部分の2つを使って、より地域を活性化し、かつ事業になるものにどれだけ取り組んでいくかということが重要だと思っています。
今の段階で具体的に言えることは少ないですが、例えば、先日リリースした「Instagram」のマーケティング技術を持つ株式会社ネルプとの提携があります。自治体や地域の中小事業者と連携していく中で、この先ずっと「Instagram」が有効かはわかりません。しかし、現状では地域の行政が参画する観光施設がマーケティングするにあたって「Instagram」は欠かせないものと考えています。
提携により、「Instagram」のコア技術・ノウハウについて当社がゼロから取り組むのではなく、彼らの技術を活用させてもらって案内することが可能になります。逆に、彼らがそこまで詳しくない自治体の現場や地域の中小事業者のニーズについて、当社が大きく貢献することができます。
これも1つの例ですが、大きな会員組織を有していても定期的・安定的に回すコンテンツベンダーがいないケースなども考えられます。当社はそのようなコンテンツを広範囲に安定供給できる体制を持っているため、そのようなことに当社の強みや体制を使い、取り組んでいくことなども想定できます。もちろん社内でゼロから作るものもあるでしょうし、スピードを考えてアライアンスや提携、M&Aもあるかもしれませんが、いずれにせよ積極的に進めていきたいと考えています。
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