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名古屋鉄道のニュース
―株主還元強化で増配企業が増加、再評価余地のある高配当の割安有望株をリストアップ―
上場企業が株主還元を強化するなか、高配当株への資金流入が続いている。配当利回りの高い日経平均構成銘柄に投資するNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 <1489> [東証E]は19日に上場来高値を更新した。3月に米シリコンバレーバンクの経営破綻を受けて同ETFの対象となる銀行株を中心に一時急落したものの、その後は海外資金の流入などを背景に持ち直し、6月に入ってから上昇基調を強めている。また、時価総額が比較的小さい企業でも配当利回りに妙味のある銘柄は、堅調な値動きを示すものが目立つ。今回は今期に増配を計画する企業群のなかから、配当利回りが高水準な割安有望株を探った。
●東証プライム銘柄は半数が増配を計画
東京証券取引所が3月末にPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業に対して改善を要請したことをきっかけに、資本効率の改善を目的に株主還元を強化する企業が増えている。6月中旬までに24年3月期の配当予想を開示した約2100社を調べたところ、今期に増配を予定する企業はおよそ750社に上った。全体の3割超が前期よりも配当を増やす計画となり、東証プライム銘柄に限るとその割合は5割近くに上がる。一方、減配の方針を示した企業は約250社と1割程度にとどまった。
上場企業の24年3月期業績は会社計画ベースで最終利益が前期比ほぼ横ばいを見込む。米国をはじめとする世界的な景気後退懸念など先行きに不透明感が強く慎重な業績予想を示す企業が目立つが、そうしたなかでも株主還元や資本効率の向上を目指す動きが顕著となっている。会社側は期初時点では配当計画を保守的に出すケースが多く、今後増配する銘柄が更に増える可能性がありそうだ。24年1月に始まる新たな少額投資非課税制度(NISA)をにらんだ動きなども見込まれる。
●一段の上値が期待できる高配当株をセレクト
全体相場はこれまでの大型株主導の流れから中小型株に物色の動きが広がりつつある。今回は好決算見通しや株主還元の強化が評価され株価が上昇した銘柄のうち、株価指標面に割安感のある中小型株に注目し、24年3月期に増配を計画する配当利回り3.5%以上の高配当株のなかから、予想PERやPBRから見て株価が割安で一段の上値が期待できる6銘柄をピックアップした。
※配当利回りは6月19日終値ベースで算出。
【東京鉄】 配当利回り4.95%
電炉中堅の東京鐵鋼 <5445> [東証P]は24年3月期から配当性向30%以上を目標にすることを基本方針に据えるなど、足もとで株主還元を大幅に拡充している。前期の年間配当は110円(前の期は20円)に決定し、今期は150円に増配する計画だ。また、自社株買いを機動的に実施する方針も打ち出し、決算発表と同時に発行済み株式数の3.32%にあたる30万株または5億円を上限に自社株を取得することを明らかにした。業績は回復基調で今期は国内の建設需要が堅調に推移するなか、高付加価値製品の販売推進などに注力し、営業利益65億円と前期比5割増を見込む。株価は約7年10ヵ月ぶりの高値圏に急浮上したが、依然として予想PER6倍前後、PBR0.6倍近辺で水準訂正妙味を内包しており一段高が見込めそうだ。
【都築電】 配当利回り4.02%
都築電気 <8157> [東証P]は情報ネットワークと電子デバイスを2本柱とする富士通 <6702> [東証P]系のディーラー。企業のICT投資拡大を背景とするクラウドサービスの伸長やパワー半導体の好調などで3割近い増益を達成した前期に続き、24年3月期も営業利益53億円(前期比3.6%増)と2期連続の最高益更新を狙う。中期経営計画では26年3月期に営業利益65億円を目指すほか、配当性向の水準を従来の30%から40%に引き上げ、下限をDOE(連結株主資本配当率)3.5%とする方針を掲げた。今期配当は76円(前期比15円増)と大幅増配の計画を示し、配当利回りは4%前後で推移している。同社は期中に業績、配当ともに増額修正する傾向が強く、期初予想は保守的とみていいだろう。予想PER7倍台と株価指標面での割安感も強い。
【キャリアL】 配当利回り3.92%
キャリアリンク <6070> [東証P]は BPO事業を主力とする人材サービス会社。独自のマッチングシステムによる組織単位のチーム派遣を強みとし、大型案件への対応力に優位性を持つ。前期は2度の業績上方修正を経て、営業利益76億900万円と過去最高を大幅に更新した。事務系人材サービス事業で地方自治体と大手BPO事業者からのマイナンバー関連や大型スポット案件などの受注が旺盛だった。また、BPO請負案件の業務処理運用面での効率化に加え、登録者募集費や業務委託費を削減したことも利益を押し上げた。24年3月期は採用強化やシステム開発費の増加などで減益を見込むが、期初予想はスポット案件を含めずに算出しているうえ、前期まで4期連続で期中に業績予想を増額修正した経緯もあり、上振れの公算は大きいとみる。
【TPR】 配当利回り3.93%
TPR <6463> [東証P]はエンジン部品のシリンダライナーで世界屈指の商品シェアを誇る自動車部品メーカー。足もとでは電動車の普及が進むなか、中国と国内で電気自動車(EV)対応製品を開発・量産するなど新事業の取り組みを加速させている。前期業績は原材料やエネルギー価格の高騰で苦戦を強いられたが、24年3月期は営業利益96億円(前期比40.0%増)とV字回復する計画だ。半導体不足の緩和で自動車生産が復調することに加え、原価低減や値上げの浸透も寄与する。想定為替レートは1ドル=125円と実勢より15円以上も円高に設定しており、業績への影響が期待される。今期配当は年60円(前期比2円増)と過去最高水準を予定するなど株主還元面での評価も高く株価は上値追い基調にあるが、予想PER7倍台、PBR0.4倍近辺と水準訂正余地は依然として大きい。
【矢作建】 配当利回り4.98%
矢作建設工業 <1870> [東証P]は名古屋鉄道 <9048> [東証P]グループの総合建設会社。主軸の建築・土木事業に加え不動産事業なども展開し、売上高営業利益率は前期実績ベースで6.5%と業界内で高い収益力を有する。前期業績は物流施設などの大型工事が順調に進んだほか、不動産事業で新規マンション2棟の販売が好調に推移し、2ケタ増収増益を達成した。24年3月期は建設事業が不採算工事の影響で利益が減少する一方、不動産事業では過去最大規模の自社開発用地を売却する予定で、営業利益は95億円(前期比31.7%増)と4期ぶりに最高益を更新する見通しだ。好調な業績を踏まえ、配当は前期比17円増の60円に大幅増配する方針とした。株価は年初来高値を連日更新しているが、指標面の割安感はいまだ強く上値余地があるとみられる。
【明和地所】 配当利回り5.43%
明和地所 <8869> [東証P]は首都圏を中心に展開する「クリオ」シリーズを主力とするマンションデベロッパー。前期は分譲マンションの平均価格が大きく上昇したほか、注力分野の流通事業では買い取り再販、売買仲介ともに好調に推移し、営業利益59億4100万円(前の期比42.5%増)に拡大をみせた。24年3月期は主力の分譲マンションが前期に高付加価値物件があった反動で利益率は低下するものの、引き渡し戸数が1000戸(前期は841戸)に増加する計画で営業増益を確保する見通しだ。配当は前期比5円増の50円に増配する方針とし、配当利回りは5%を超える。また、23年3月末から600株以上を保有する株主を対象に保有株数に応じて株主優待ポイントを4000~5万ポイント付与する株主優待制度を導入するなど、株主還元の切り口での魅力は高い。
株探ニュース
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