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近鉄グループホールディングスのニュース
●東武鉄道の電車が甲子園に乗り入れ? 活況のラッピング車両
まず本題に入る前に、鉄道やバスについて話しておきたいことがある。近鉄グループホールディングス <9041> が東武鉄道 <9001> と車両の塗装交換を行うことになり、先行して近鉄の車両を東武の塗装にラッピングして走行を開始している。これがX(旧ツイッター)やYouTube(ユーチューブ)で話題になっているのだ。
すでにラッピングカーはJR九州 <9142> が任天堂 <7974> の「スーパーマリオ」とのコラボで実施しており、これ自体にもの珍しさはない。しかし他の鉄道会社の塗装をラッピングするのは珍しく、しかも当該の車両は阪急阪神ホールディングス <9042> の阪神なんば線との相互直通にも対応しており、東武塗装の車両が阪神の神戸三宮や甲子園に乗り入れているのである。
鉄道は長らく単なる移動手段だと捉えられていたが、乗ることが目的になれば固定費の比率が高い公共交通機関のビジネスとしては良い効果が得られると思う。筆者は以前から、鉄道やバスなどの公共交通機関とIP(知的財産)の相性が良いことを指摘しているが、近鉄は率先して対応を進めている印象である。現時点では愛好家中心の反響でSNS内にとどまっているが、今後、一般にも訴求できれば、さらに同様の事例が増えることになるだろう。
ローカル線では高校生が通学に利用することが多い。幅広い客層に利用してもらうために、このような楽しい演出を活用する動きが、今後広まるだろう。
●メモリー半導体価格急騰! 強気が目立つ"半導体界隈"
それでは本題である。今月は2026年3月期第3四半期(10-12月期)の決算シーズン前半に発表された各社を中心に紹介していきたい。まずは、世間で今話題の半導体関連である。信越化学工業 <4063> とアドバンテスト <6857> に共通していたのはDRAMやフラッシュメモリーの価格急騰と、目先に対する強気の見方だ。
AI(人工知能)に使われるGPU(画像処理半導体)は多数の演算器が並列計算する構造になっているため、データを絶えず送り込む必要があり、データの一時保管に大量のDRAMが必要になる。サーバー1台当たりでもDRAMの使用量が大幅に増えているところに、さらに世界各地でデータセンター投資が行われているので、一気に需給バランスが崩れたのである。
パソコンやスマートフォンの価格が高くなる、あるいはこれら製品向けの供給が不足すると喧伝されているのに加え、昨年末からは秋葉原の電気店などでもDRAMの末端価格が上昇している。消費者視点で見ても、無くなるなら早めに買っておこうという心理が働きやすい。そうすると需要がさらに高まるので、DRAMはますます不足することになる。
マイクロン・テクノロジー
●AIデータセンターとスマホ需要拡大で好決算の電子部品セクター
次に電子部品セクターである。建設ラッシュが続くAIデータセンターでは半導体関連だけでなく、積層セラミックコンデンサやHDD(ハードディスクドライブ)用ヘッドなどが大量に使用されるため、電子部品セクターにも恩恵が大きい。村田製作所 <6981> 、TDK <6762> の両社の26年3月期第3四半期までの進捗は、半導体同様にAIデータセンターの伸長と、スマートフォン向け部品の販売増加で好調だった。具体名は挙げられなかったが、「iPhone17」シリーズが販売好調でアップル
なお、今回の決算で村田製作所の営業利益が下方修正になっているのは、過去に買収した米レゾナント社ののれん代、438億円を減損処理した影響によるものである。実質的には上方修正だったことに留意されたい。ただし今回の同社の決算では、DRAMの価格上昇が投資家と経営陣との議論で話題になっており、経営陣も来年度の後半の動向まで正直把握しきれていない印象で、どう転ぶか分からないと考えているように見えた。
ちなみに電子部品メーカーの26年度業績の前提となる最終製品に対する筆者の見立てを披露しておく。以前からパソコンは横ばいから減少、同じくスマートフォン・ゲーム機は横ばい、AIデータセンターは大幅増加、その他の民生機器は減少と考えている。この見立てがどの程度正確かは正直、まだ分からないが、少なくとも26年度には、数量面で大幅な減少は起こらないと考えている。
またAIデータセンターについては、大幅に拡大された能力をマネタイズするために、動画生成や「ワールド生成AI」など新しいサービスが登場してきている。今後も巨額投資が予定されているので、来期にかけて楽しみである。生成AIに関しては、この後のゲームセクターのところでも解説する。
●ゲーム・ユーザー年齢層の若返りを促すVチューバー
ゲームセクターの26年3月期第3四半期は各社で相違が生じた感じである。まずコーエーテクモホールディングス <3635> は、26年3月期第3四半期の3カ月間は堅調だったものの、第2四半期までに新作がなかったこともあり、第3四半期累計では減益に終わった。ただ、コラボタイトルの「ゼルダ無双 封印戦記」は販売本数が100万本を超え、第4四半期には同じくコラボタイトルの「ぽこ あ ポケモン」、大型タイトルの「仁王3」が控えているので、大きな不安はないだろう。
カプコン <9697> の26年3月期第3四半期決算は増収増益だった。「モンスターハンターワイルズ」の不振に注目が集まっていたので、予想外の好結果となった印象だ。要因の一つとして、10代に「ストリートファイター6」が人気化したことがある。「ストリートファイター6」ユーザーの年齢層が若返っているのは、おそらく二つの理由がある。一つはカプコン自身が今回から、操作を簡略化するモードを導入したこと、さらにもう一つはVチューバーの影響力が拡大していることが挙げられる。
Vチューバーは、ストーリー性が乏しくとも配信映えする格闘ゲームをよく配信している。ANYCOLOR <5032> によるとVチューバーの動画視聴者は24歳以下の比率が高いとしているが、こうした動画を見た若い視聴者がゲーム市場に参入してきている。この二つの合わせ技で、「ストリートファイター6」のユーザーが増えているようだ。また年末商戦期に定例のセールを行っており、2月の「バイオハザードレイクエム」発売を前に、予習的に歴代「バイオハザード」シリーズの購買も増え、全体として販売が伸びたことも要因の一つとして挙げられる。ただ足もとでは、AIの急速な進化はゲーム会社の脅威になると受け止められているようで、株価は大幅に下落している。
●史上最速ペースも採算は悪化、任天堂「スイッチ2」の悩ましい問題
そして任天堂である。任天堂の26年3月期第3四半期決算(累計)は売上高が99%増収の1兆9058億円、営業利益が21%増益の3003億円と増収増益だった。「Switch(スイッチ)2」の販売台数は1737万台と筆者の想定を下回ったものの、ゲーム機の普及ペースとしては過去最速になっている。しかしながら決算翌日の株価は大幅に下落した。理由は主に三つだと認識している。一つはDRAM価格の不透明感、次にAI技術革新の影響を受ける危険性、そして三つ目は日本市場が「Switch2」ハードが売れるほど赤字になるという構造に陥っていることである。
DRAM価格については、先ほど述べたとおりである。ただ「Switch2」に搭載されているDRAMは長期安定契約で供給されているものなので、同社の古川俊太郎社長は26年度も生産数量的には問題ないと決算説明会でコメントしていた。市場の反応はやや過剰にも思えるが、不透明感が増幅されていることは確かだろう。
AIの技術革新については、様々な企業が生成AIサービスを利用し始めたため、簡単にゲームが作れるようになって参入障壁が下がり、大手ゲーム開発会社の存在意義が無くなることが連想されているようだ。さらにグーグル(アルファベット
しかし実際にグーグルが提供したサービスは、アクションゲームっぽいインタラクティブアニメをつくれる程度のものなので、それほど競合していない。このように述べると、AI技術の進歩が速いので将来は分からない、といった反論があるかもしれない。だがゲームのバランス調整も含めたノウハウは、AIではすぐに代替できないだろうし、仮にできるというのであれば、任天堂は技術利用に積極的なのでうまく使ってくるだろう。ピンチはチャンスでもある。
三つ目は日本市場における「Switch2」の収益構造の問題だ。「Switch2」は日本では売れていることが損益をかえって悪化させているのである。「Switch2」はベトナムなどで製造されており、コストの大半はドル建てである。円安になると日本円換算の製造コストが増えてしまう。さらにゲーム機は安くないと売れない、という考えが業界に定着していて、「Switch2」の日本専用モデルは4万9980円(税込み)とかなりの戦略価格になっている。
その結果、「Switch2」は日本では過去最速レベル、発売からわずか半年足らずで478万台の販売となった。これは、発売1年間で912万台(2007年3月期)の出荷を記録した「ニンテンドーDS」に匹敵するペースである。しかし売れれば売れるほどハードの赤字が積み上がるという、何とも悩ましい問題が生じているのだ。
最後にゲームセクターを総括すると、投資を始めたばかりの人などは、これらAIの技術革新を起因とした足もとの株価下落に対して相当不安になっていると思う。だがゲームセクターから見れば、長期的に遊ぶユーザーが増えること自体は歓迎すべきことであり、各社とも実はこれまで、新しいテクノロジーにどん欲に対応してきた歴史があるのである。そして各社とも、対応するだけの資金も十分に持っている。筆者からのアドバイスとしては、慌てずにじっくり身構えて欲しいと思う次第である。次回は26年3月期第3四半期決算の後半戦とJR各社について述べていきたい。
【著者】
安田秀樹〈やすだ・ひでき〉
東洋証券アナリスト
1972年生まれ。96年4月にテクニカル・アナリストのアシスタントとしてエース証券に入社。その後、エース経済研究所に異動し、2001年より電子部品、運輸、ゲーム業界担当アナリストとして、物流や民生機器を含む幅広い分野を担当。22年5月に東洋証券に移籍し、同社アナリストとなる。大手証券会社の利害に縛られない、独立系アナリストとしての忖度のないオピニオンで、個人投資家にも人気が高い。現在、人気Vチューバーとの掛け合いによるYouTube動画「ゲーム業界WEBセミナー」随時、公開中。
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