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ブイキューブ Research Memo(7):業績上振れ分は2022年12月期以降の成長加速への投資に振り向ける方針

配信元:フィスコ
投稿:2021/10/06 15:27
■今後の見通し

1. 2021年12月期業績の見通し
ブイキューブ<3681>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比57.0%増の13,000百万円、営業利益で同129.4%増の2,400百万円、経常利益で同125.5%増の2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同75.7%増の2,000百万円となる見通し。2021年4月に発表した上方修正値(売上高12,200百万円、営業利益2,400百万円、経常利益2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円)に対して、売上高を再度上方修正した。

売上高の上方修正要因は、主にサードプレイスDX事業の増額(約2億円)と、Xyvidの子会社化に伴う上乗せ効果(約4億円)による。営業利益に関しては、サードプレイスDX事業で1.6億円増額した一方で、イベントDX事業で1.5億円を減額している。一方で、Xyvidについては下期に1.5億円の営業利益、のれん償却額0.5億円となり、合わせて1億円の上乗せ要因となるため、単体のイベントDX事業だけで見れば2.5億円を減額したことになる。なお、下期はさらに売上高が伸長することで利益が上振れる可能性もあるが、上振れた部分に関しては2022年12月期以降の成長加速に向けた新規顧客獲得のための投資(広告宣伝費、営業拡大費用等)に振り向ける方針を示している。


新たに提供を開始したバーチャル空間型イベントプラットフォーム「Touchcast」は、2022年12月期以降に本格的に売上貢献を開始する見込み

2. 事業セグメント別見通し
(1) エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業の売上高は前期比6.6%増の4,987百万円、セグメント利益は同23.5%増の1,039百万円となる見通し。汎用Web会議サービスについては、競争激化が続くことから前期比横ばいの30億円と見ているものの、好採算の「SDK」が同67%増の9億円と引き続き拡大することが増収増益要因となる。「SDK」の用途別構成は、エンターテイメント領域やSNS/メディアでのライブ配信等が全体の過半を占めているが、そのほかの分野での導入も進んでおり、今後も右肩上がりの成長が期待される。一方、緊急対策・災害対策用ソリューションは同20%減の4億円、海外子会社で展開するLMS/TMSは同12.5%減の7億円と減収見込みであるものの、いずれも2022年12月期以降は上向きに転じる見通しとなっている。

(2) イベントDX事業
イベントDX事業の売上高は前期比131.1%増の6,073百万円、セグメント利益は同151.8%増の1,448百万円となる見通し。2021年12月期下期は季節要因により製薬業界向けWebセミナーの需要が拡大するほか、その他イベントのオンライン開催需要も強いようで、引き続き高単価案件を中心に受注が拡大する見通しとなっている。これは、「SaaS+Service」モデルの差別化が高成長につながっていることに加え、Xyvidの業績が下期から加わることも増収増益要因となる。

2021年12月期のイベント配信回数については期初段階で14,000回以上を目標としていたものの、開催規模の大きい高単価案件の需要が想定以上に拡大していることから、10,000回以上(うち、Xyvidで500回)に変更している。それでも前期の4,753回から2倍以上に拡大する見通しだ。一方、1回当たり平均単価については期初段階で40万円弱の水準を想定していたが、55万円台と前期並みの水準に引き上げている。配信回数のキャパシティについては1日当たり100件、1か月で2,000~2,500回まで対応できるように能力を増強した(会社計画での開催数ピークは11月の1,500回強)。

また、同社は新たなサービスとして、米Touchcast Inc.が開発・提供しているバーチャル空間型イベントプラットフォーム「Touchcast」の国内独占販売契約を2021年8月に締結し、提供を開始したことを発表した。同プラットフォームはリアルイベントのような没入感や臨場感のある参加体験を実現できる点が高く評価され、グローバル企業での大規模イベントで多く利用されるなど、年間売上実績は10億円を超える規模となっている。「Touchcast」と同社が培ってきたオンラインイベントの配信サポート、運用ノウハウ、スタジオを活用することで、大型イベントの受注拡大を目指していく。利用シーンとしては、企業の大規模PRマーケティングイベント、新製品サービスローンチイベント、顧客・パートナー向けサミット、アワードセレモニーイベント、IRカンファレンスなどを想定している。1案件の平均単価が1千万円以上となるため、利用企業は大企業やイベント会社などに限定されるものの、限界利益率は60~65%程度が期待できることから、収益面での貢献が期待される。2022年12月期以降のイベントDX事業の成長加速につながるサービスとして注目される。

(3) サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業の売上高は前期比99.1%増の1,941百万円、セグメント利益は同205.5%増の608百万円となる見通し。企業向けの需要拡大に加えて、ワークスタイルの変化によるリモートワーク用個室空間として、公共空間(駅構内やオフィスビルエントランス、複合施設等)向けの設置も一段と進む見通しだ。

「テレキューブ」の設置・販売台数は、期初段階で前期比1.5倍増の2,500台(企業向けが同1.4倍増の2,200台、公共空間向けが同1.5倍増の300台)を計画している。企業向け(サブスクリプションを含む)に関しては第2四半期までに2,059台を販売しており、さらなる上乗せが期待できる。特に、2021年2月から共同開発品の販売を開始しているアイリスチトセからのロイヤリティ収入が、第3四半期から寄与してくるものと見込まれる。一方、公共空間向けに関しては、第2四半期までで93台と通期計画に対する進捗率は30%強と低くなっているものの、OEM先となるJR東日本は2023年度までにシェアオフィス事業「STATION WORK」を1,000ヶ所の展開目標を掲げているほかJR西日本(西日本旅客鉄道<9021>)にも展開を開始しており、下期に挽回できると同社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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