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*12:43JST エリアリンク Research Memo(3):ストレージ運用がコア事業
■事業概要
1. 事業セグメント
エリアリンク<8914>の事業は、1) ストレージ運用とストレージ流動化の2つのサブセグメントからなる「ストレージ事業」、2) 底地・不動産売買や底地賃料収入などの「土地権利整備事業」、3) レンタルオフィスやアセットマネジメントなどの「その他運用サービス事業」の3つの事業セグメントから構成される。
2023年12月期のセグメント別内訳は、売上高ではストレージ事業が77.6%、土地権利整備事業が16.1%、その他運用サービス事業が6.3%であった。一方、セグメント利益(管理部門の経費控除前、以下同)では、ストレージ事業が85.2%、土地権利整備事業が8.3%、その他運用サービス事業が6.5%を占める。売上高・セグメント利益ともにストレージ事業が同社の中核事業であることがわかる。
2. ストレージ事業
同社はストレージ事業を中核に据えることで成長を遂げており、業績面でもストレージ事業の貢献度が圧倒的に大きい。同事業では、ストレージや駐車場、レンタルオフィスなど様々なサービス業態を「ハロー」ブランドで展開しており、「ストレージ運用」と「ストレージ流動化」に分かれる。ストレージ運用は、レンタル収納スペースの運営・募集・管理を行う事業であり、収入タイプは顧客から継続的な収益を得る安定的なストック型収入である。一方、ストレージ流動化は、投資商品としてストレージを受注・販売する事業であり、収入タイプは一時的なフロー型収入である。ストレージ流動化として販売する場合は、販売時の利益率を抑える一方で、販売先から運用を引き受けることでストレージ運用の収益率を維持する。このため、ストレージ流動化による一過性の利益は計上されないものの、ストレージ事業全体の収益増加につながる。
ストレージ事業の主力ブランドである「ハローストレージ」は家庭用及び企業用のトランクルームで、物件数は業界No.1を誇る。室内を大小のスペースで区画し、顧客の利用用途に適したサービスを提供できるよう、様々なサイズ・商品タイプを用意し、リーズナブルな価格で24時間利用できる。商品タイプは、屋外型トランクルーム(コンテナ型)、屋内型トランクルーム(ビルイン型、建築型)などがある。
屋外型トランクルーム(コンテナ型)は、同社の主力商品である。北海道から沖縄まで全国展開し、海上運送用の丈夫なコンテナを利用した収納スペースだ。コンテナ前まで車の乗り入れと横づけができ、24時間利用可能で、大容量収納が可能な大型サイズから小型物置サイズまで豊富などの特色がある。また、独立したボックスタイプのオートバイ専用駐車場であるバイクボックスが設置された物件もある。
屋内型トランクルーム(ビルイン型)は、コンテナの代わりに既存のビルのフロアにパーテーションを設置してトランクルームに改装した商品で、首都圏を中心に展開している。大手警備会社によるセキュリティ完備により安心安全・24時間利用可能で、人気の中規模サイズが豊富などの特色がある。専用駐車場や空調などの設備は物件によって異なる。
屋内型トランクルーム(建築型)は、トランクルーム専用に設計した一棟型の屋内収納スペースで、空調設備やセキュリティ設備が充実し、専用駐車場も常設している。2021年からは、小型木造ストレージ「ストレージミニ」が加わり、従来の商品に比べて敷地が小規模であり、地方都市や、ニューファミリーが暮らす駅前や郊外のマンション集積地域などで展開している。ただ、建築型では土地を購入して建築するため、利回りは相対的に低水準に留まる。
これら「ハローストレージ」の室数は年々順調に増加しており、2023年12月期の総室数は前期末比2,798室増の101,379室となった。稼働率は、既存稼働率は91.10%と改善を続けた。直近2事業年度内に出店した物件の新規稼働率が57.01%に留まったため、全体では88.29%(同1.07ポイント低下)となったが、引き続き高稼働率を維持している。また、データベースの精度向上、小規模物件の多店舗展開、商品・サービスの認知度向上などから、新規オープン後の稼働率は年々早期に損益分岐点を超えるようになっており、改善傾向にある。
3. 土地権利整備事業
土地権利整備事業は、権利の複雑な底地の売買をとおして、地主・借地権者の問題を解決する事業である。底地・不動産売買や底地からの賃料収入などがあり、収入タイプは一時的なフロー収入がメインである。
土地権利整備事業の事業モデルは次のとおりだ。土地を借りてその上に自分の建物を建てることは一般的に行われている。この場合、建物の所有者は土地を利用する権利(借地権)を有しているが、土地利用の対価として地代を支払う義務もある。一方、土地の所有者である地主は、借地権の制限があるため、その土地を自由に利用することができない。このように、借地権が付いた土地を底地と言う。土地所有者は土地の利用が制限されるものの、地代収入を得る権利を有することから、この土地を貸している権利を「底地権」と称する。
土地と建物の所有者が異なる状況は、権利関係のねじれが生じて複雑化するだけでなく、土地の価格にも影響を与えることから、通常は借地権の分だけディスカウントされる。そこで同社は、地主から底地(権)を取得し、それを建物所有者に販売して収益をあげるとともに、権利関係を整備する事業を行っている。一時増えた不良在庫の整理は完了したものの、この事業は不安定なフロービジネスであることから今後は縮小し、ストックビジネスであるストレージ事業へシフトを進める方針である。
4. その他運用サービス事業
その他運用サービス事業は、アセット事業、レンタルオフィス等からなる事業で、収入タイプはストック型収入となる。アセット事業は、収益不動産の保有による賃料収入を主とする事業である。また、レンタルオフィス事業は、「ハローオフィス」ブランドで東京23区に少人数用オフィスとして展開しており、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以降のリモートワークの増加に伴って需要が拡大し、多くの競合他社が市場に参入している。その他運用サービス事業では、2020年12月に貸会議室事業撤退、2021年3月にパーキング事業撤退など、事業の選択と集中を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<AS>
1. 事業セグメント
エリアリンク<8914>の事業は、1) ストレージ運用とストレージ流動化の2つのサブセグメントからなる「ストレージ事業」、2) 底地・不動産売買や底地賃料収入などの「土地権利整備事業」、3) レンタルオフィスやアセットマネジメントなどの「その他運用サービス事業」の3つの事業セグメントから構成される。
2023年12月期のセグメント別内訳は、売上高ではストレージ事業が77.6%、土地権利整備事業が16.1%、その他運用サービス事業が6.3%であった。一方、セグメント利益(管理部門の経費控除前、以下同)では、ストレージ事業が85.2%、土地権利整備事業が8.3%、その他運用サービス事業が6.5%を占める。売上高・セグメント利益ともにストレージ事業が同社の中核事業であることがわかる。
2. ストレージ事業
同社はストレージ事業を中核に据えることで成長を遂げており、業績面でもストレージ事業の貢献度が圧倒的に大きい。同事業では、ストレージや駐車場、レンタルオフィスなど様々なサービス業態を「ハロー」ブランドで展開しており、「ストレージ運用」と「ストレージ流動化」に分かれる。ストレージ運用は、レンタル収納スペースの運営・募集・管理を行う事業であり、収入タイプは顧客から継続的な収益を得る安定的なストック型収入である。一方、ストレージ流動化は、投資商品としてストレージを受注・販売する事業であり、収入タイプは一時的なフロー型収入である。ストレージ流動化として販売する場合は、販売時の利益率を抑える一方で、販売先から運用を引き受けることでストレージ運用の収益率を維持する。このため、ストレージ流動化による一過性の利益は計上されないものの、ストレージ事業全体の収益増加につながる。
ストレージ事業の主力ブランドである「ハローストレージ」は家庭用及び企業用のトランクルームで、物件数は業界No.1を誇る。室内を大小のスペースで区画し、顧客の利用用途に適したサービスを提供できるよう、様々なサイズ・商品タイプを用意し、リーズナブルな価格で24時間利用できる。商品タイプは、屋外型トランクルーム(コンテナ型)、屋内型トランクルーム(ビルイン型、建築型)などがある。
屋外型トランクルーム(コンテナ型)は、同社の主力商品である。北海道から沖縄まで全国展開し、海上運送用の丈夫なコンテナを利用した収納スペースだ。コンテナ前まで車の乗り入れと横づけができ、24時間利用可能で、大容量収納が可能な大型サイズから小型物置サイズまで豊富などの特色がある。また、独立したボックスタイプのオートバイ専用駐車場であるバイクボックスが設置された物件もある。
屋内型トランクルーム(ビルイン型)は、コンテナの代わりに既存のビルのフロアにパーテーションを設置してトランクルームに改装した商品で、首都圏を中心に展開している。大手警備会社によるセキュリティ完備により安心安全・24時間利用可能で、人気の中規模サイズが豊富などの特色がある。専用駐車場や空調などの設備は物件によって異なる。
屋内型トランクルーム(建築型)は、トランクルーム専用に設計した一棟型の屋内収納スペースで、空調設備やセキュリティ設備が充実し、専用駐車場も常設している。2021年からは、小型木造ストレージ「ストレージミニ」が加わり、従来の商品に比べて敷地が小規模であり、地方都市や、ニューファミリーが暮らす駅前や郊外のマンション集積地域などで展開している。ただ、建築型では土地を購入して建築するため、利回りは相対的に低水準に留まる。
これら「ハローストレージ」の室数は年々順調に増加しており、2023年12月期の総室数は前期末比2,798室増の101,379室となった。稼働率は、既存稼働率は91.10%と改善を続けた。直近2事業年度内に出店した物件の新規稼働率が57.01%に留まったため、全体では88.29%(同1.07ポイント低下)となったが、引き続き高稼働率を維持している。また、データベースの精度向上、小規模物件の多店舗展開、商品・サービスの認知度向上などから、新規オープン後の稼働率は年々早期に損益分岐点を超えるようになっており、改善傾向にある。
3. 土地権利整備事業
土地権利整備事業は、権利の複雑な底地の売買をとおして、地主・借地権者の問題を解決する事業である。底地・不動産売買や底地からの賃料収入などがあり、収入タイプは一時的なフロー収入がメインである。
土地権利整備事業の事業モデルは次のとおりだ。土地を借りてその上に自分の建物を建てることは一般的に行われている。この場合、建物の所有者は土地を利用する権利(借地権)を有しているが、土地利用の対価として地代を支払う義務もある。一方、土地の所有者である地主は、借地権の制限があるため、その土地を自由に利用することができない。このように、借地権が付いた土地を底地と言う。土地所有者は土地の利用が制限されるものの、地代収入を得る権利を有することから、この土地を貸している権利を「底地権」と称する。
土地と建物の所有者が異なる状況は、権利関係のねじれが生じて複雑化するだけでなく、土地の価格にも影響を与えることから、通常は借地権の分だけディスカウントされる。そこで同社は、地主から底地(権)を取得し、それを建物所有者に販売して収益をあげるとともに、権利関係を整備する事業を行っている。一時増えた不良在庫の整理は完了したものの、この事業は不安定なフロービジネスであることから今後は縮小し、ストックビジネスであるストレージ事業へシフトを進める方針である。
4. その他運用サービス事業
その他運用サービス事業は、アセット事業、レンタルオフィス等からなる事業で、収入タイプはストック型収入となる。アセット事業は、収益不動産の保有による賃料収入を主とする事業である。また、レンタルオフィス事業は、「ハローオフィス」ブランドで東京23区に少人数用オフィスとして展開しており、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以降のリモートワークの増加に伴って需要が拡大し、多くの競合他社が市場に参入している。その他運用サービス事業では、2020年12月に貸会議室事業撤退、2021年3月にパーキング事業撤退など、事業の選択と集中を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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