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シノケングループのニュース
■シノケングループ<8909>の会社概要
(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業は、販売したアパートメントやマンションの賃貸管理のほか、家賃等の債務保証・少額短期保険が含まれる。また、新規事業として2018年より子会社の(株)シノケンアセットマネジメントで開始した不動産ファンドの組成・運用も同事業セグメントに含まれる。
賃貸管理は、(株)シノケンファシリティーズで展開している。アパートメントやマンション等の賃貸住宅の入居者募集、家賃回収及びメンテナンス等、賃貸住宅経営で必要となる各種業務をオーナーに代わって代行するサービスとなる。また、管理物件の売買仲介に関与した場合の売買仲介手数料も当該セグメントに計上される。2019年6月末の賃貸管理戸数は34,885戸で、そのほとんどは同社グループが開発したアパートメント、マンションとなる。そのほか、(株)シノケンアメニティでマンション管理(管理組合からの受託)やオフィスビルの管理、清掃・設備点検業務などを行っている。マンション管理戸数は2019年6月末で6,426戸となっている。
家賃等の債務保証は(株)シノケンコミュニケーションズが1999年に開始した事業で、入居人が家賃等を滞納した場合に、入居人に代わって立替払いするサービスとなる。入居契約時に基本的に加入する条件となっており、アパートメント、マンションの累積販売数に連動して増加する。2019年6月末の保証件数は29,319件と賃貸管理戸数よりも少ないが、これは当該事業を開始する以前の入居者がまだ一定数残っていることや、若干ながらも空室があるためだ。延滞率が0.3%台と業界平均の2.6%台と比較して非常に低く、同社にとっては安定した収益基盤となっている。
また、2013年に子会社化(出資比率50%)したジック少額短期保険(株)で、各種保険商品を同社グループが販売したアパートメント、マンションの入居者やオーナーに対して販売している。主力商品は入居者向けの家財保険を中心とした「生活安心総合保険」となる。同保険では、日本初の賃貸人を被保険者とする「孤立死原状回復費用保険」のほか「ストーカー対策費用保険」「ホームヘルパー費用保険」等のユニークなオプション(特約)も付いている。なかでも2014年7月に販売された「孤立死原状回復費用保険」は、独居老人の孤立死が社会問題化するなかでニーズの高い保険商品として注目されている。従来の保険では孤立死した被保険者の法定相続人しか保険金を請求できず、身寄りがない場合には賃貸住宅オーナーが原状回復のための費用を全額負担せざるを得なかったが、「孤立死原状回復費用保険」(特約)では賃貸住宅オーナーを被保険者とすることでこうした問題をクリアしている。高齢単身者にとってもこの特約に加入することで賃貸住宅への入居が容易となるため、社会的意義の高い保険と言える。
一方、オーナー向け保険商品としては2015年9月より「賃貸経営サポート保険」の販売を開始している。「事故物件」となった場合の原状回復費用や家賃収入等の損失分を補償するサービスで、安心してアパートメント経営投資ができる環境を整備していることも同社の強みとなっている。さらに、少額短期保険会社としては国内初となる「民泊対応型保険」も開発、2017年5月より販売を開始している。民泊利用によって家財に生じた損害だけでなく、民泊利用者が物件オーナーまたは第三者に対して、民泊利用の際の部屋の使用・管理に起因する損害賠償責任も補償する内容となっており、今後、民泊物件が増えてくれば同保険商品も伸びていくと期待される。
(3) ゼネコン事業
2014年2月に完全子会社化した(株)小川建設の事業となる。(株)小川建設は1909年(明治42年)創業の建築系の老舗ゼネコンで、関東圏を中心にマンションやオフィスビル、教育施設、病院、介護施設などの建築請負を幅広く行っている。売上高の約20%は同社グループのマンション受注で占められ、大手デベロッパーからの受注も請け負う中堅ゼネコンとなる。
(株)小川建設を買収した主目的は、マンション施工の内製化にある。東日本大震災以降、東京オリンピック・パラリンピック開催を控え建設技能労働者不足が深刻化し、ゼネコンが受注を渋る事態等を見越して、安定したマンション供給を行うためグループ内に施工能力を確保することが狙いであった。ただ、コスト競争力を持たせるため同社グループ内の開発物件の約3割は外部のゼネコンに発注しており、同社側から見たマンション施工の内製化率は7割程度にとどめる方針としている。
(4) エネルギー事業
エネルギー事業ではLPガス及び電力の小売販売を行っており、そのほとんどは同社グループが販売したアパートメント、マンションの入居者に対するものとなる。担当する事業会社は(株)エスケーエナジー(福岡)、(株)エスケーエナジー名古屋、(株)エスケーエナジー東京、(株)エスケーエナジー仙台、(株)エスケーエナジー大阪の5社となり、各エリアで事業展開している。
2019年6月末の契約件数はLPガスが34,496件、電力が18,413件となっている。電力については2017年4月から販売を開始したため、まだ契約件数はLPガスと比較して少ない。同社が販売するアパートメントはLPガスを使用するため、今後もアパートメントの累積販売数に連動して契約件数も増加していくことになる。また、電力についてもLPガスとのセット販売によるコストメリットや、支払い手続きの簡素化などを訴求していくことで契約件数を伸ばしていく戦略となっている。
(5) ライフケア事業
ライフケア事業は、2012年12月に子会社の(株)シノケンウェルネスを新設して開始した事業となる。また、2015年2月にはグループホーム施設運営及び介護サービス事業を展開する(株)フレンド、2016年1月には訪問介護を東京、福岡で展開する(株)アップルケアをそれぞれM&Aで取得し、(株)シノケンウェルネスの完全子会社としている。要介護度に応じて幅広いサービスをグループ内でワンストップ提供できることが特徴と言える。
ライフケア事業の介護部門の統括会社となっている(株)シノケンウェルネスでは、既存の賃貸マンションやアパートメントの空室をリニューアルし、24時間介護サービスの付いた高齢者向け賃貸住宅とする「寿らいふプラン」というサービスを展開している。有料老人ホームよりも料金が格段にリーズナブルで、生活の自由度も高く、同サービスは2013年度にビジネスモデルのグッドデザイン賞も受賞している。また、東京と福岡で3棟のサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)を保有、運営している。3棟合計で301戸、入居率は2019年6月末時点で97.6%(実入居率)となっている。一方、(株)フレンドでは東京、大阪、福岡にてグループホーム7施設(うち2施設で小規模多機能型居宅介護)で合計144居室を主として保有し、運営を行っている。2019年6月末時点での入居率は99.3%(実入居率)とこちらも高稼働率となっている。
(6) その他の事業
その他の事業には海外事業のほか新規育成事業が含まれる。海外は中国、シンガポール、インドネシアの3ヶ国で展開しており、このうち中国とシンガポールは不動産賃貸・売買仲介事業、インドネシアについては(株)小川建設のサポートによる建設関連事業のほか、2018年3月に連結子会社化した現地ゼネコンのPT Mustika Cipta Kharisma(以下、ムスティカ)が加わっている。
ムスティカは3年前より同社グループ傘下の(株)小川建設から技術指導を受けながら建設技術及び工事品質の向上に取り組んできた会社で、その効果もあって高速道路工事や大規模発電所工事の受注を獲得するなどここ数年で着実に成長を続けている。2019年春にジャカルタ中心エリアにおいて「桜テラス第1号」をシノケン自社グループの一気通貫体制で竣工し、4月にグランドオープンしている。当面の売上規模は年間数億円とまだ小さいが、今後はインドネシアで不動産開発事業を本格的に展開していく計画となっている。2019年7月の開示事項ではあるが、PT Shinoken Asset Management Indonesiaがインドネシアにおける不動産ファンド運営ライセンスを取得した。今後、上述の桜テラスのみならず、従来は海外からの直接投資が出来なかったインドネシア不動産全般の証券化の体制が整う事で、同国におけるシノケンの存在感が一層高まり、今後に期待が持てるビジネス領域となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 不動産サービス事業
不動産サービス事業は、販売したアパートメントやマンションの賃貸管理のほか、家賃等の債務保証・少額短期保険が含まれる。また、新規事業として2018年より子会社の(株)シノケンアセットマネジメントで開始した不動産ファンドの組成・運用も同事業セグメントに含まれる。
賃貸管理は、(株)シノケンファシリティーズで展開している。アパートメントやマンション等の賃貸住宅の入居者募集、家賃回収及びメンテナンス等、賃貸住宅経営で必要となる各種業務をオーナーに代わって代行するサービスとなる。また、管理物件の売買仲介に関与した場合の売買仲介手数料も当該セグメントに計上される。2019年6月末の賃貸管理戸数は34,885戸で、そのほとんどは同社グループが開発したアパートメント、マンションとなる。そのほか、(株)シノケンアメニティでマンション管理(管理組合からの受託)やオフィスビルの管理、清掃・設備点検業務などを行っている。マンション管理戸数は2019年6月末で6,426戸となっている。
家賃等の債務保証は(株)シノケンコミュニケーションズが1999年に開始した事業で、入居人が家賃等を滞納した場合に、入居人に代わって立替払いするサービスとなる。入居契約時に基本的に加入する条件となっており、アパートメント、マンションの累積販売数に連動して増加する。2019年6月末の保証件数は29,319件と賃貸管理戸数よりも少ないが、これは当該事業を開始する以前の入居者がまだ一定数残っていることや、若干ながらも空室があるためだ。延滞率が0.3%台と業界平均の2.6%台と比較して非常に低く、同社にとっては安定した収益基盤となっている。
また、2013年に子会社化(出資比率50%)したジック少額短期保険(株)で、各種保険商品を同社グループが販売したアパートメント、マンションの入居者やオーナーに対して販売している。主力商品は入居者向けの家財保険を中心とした「生活安心総合保険」となる。同保険では、日本初の賃貸人を被保険者とする「孤立死原状回復費用保険」のほか「ストーカー対策費用保険」「ホームヘルパー費用保険」等のユニークなオプション(特約)も付いている。なかでも2014年7月に販売された「孤立死原状回復費用保険」は、独居老人の孤立死が社会問題化するなかでニーズの高い保険商品として注目されている。従来の保険では孤立死した被保険者の法定相続人しか保険金を請求できず、身寄りがない場合には賃貸住宅オーナーが原状回復のための費用を全額負担せざるを得なかったが、「孤立死原状回復費用保険」(特約)では賃貸住宅オーナーを被保険者とすることでこうした問題をクリアしている。高齢単身者にとってもこの特約に加入することで賃貸住宅への入居が容易となるため、社会的意義の高い保険と言える。
一方、オーナー向け保険商品としては2015年9月より「賃貸経営サポート保険」の販売を開始している。「事故物件」となった場合の原状回復費用や家賃収入等の損失分を補償するサービスで、安心してアパートメント経営投資ができる環境を整備していることも同社の強みとなっている。さらに、少額短期保険会社としては国内初となる「民泊対応型保険」も開発、2017年5月より販売を開始している。民泊利用によって家財に生じた損害だけでなく、民泊利用者が物件オーナーまたは第三者に対して、民泊利用の際の部屋の使用・管理に起因する損害賠償責任も補償する内容となっており、今後、民泊物件が増えてくれば同保険商品も伸びていくと期待される。
(3) ゼネコン事業
2014年2月に完全子会社化した(株)小川建設の事業となる。(株)小川建設は1909年(明治42年)創業の建築系の老舗ゼネコンで、関東圏を中心にマンションやオフィスビル、教育施設、病院、介護施設などの建築請負を幅広く行っている。売上高の約20%は同社グループのマンション受注で占められ、大手デベロッパーからの受注も請け負う中堅ゼネコンとなる。
(株)小川建設を買収した主目的は、マンション施工の内製化にある。東日本大震災以降、東京オリンピック・パラリンピック開催を控え建設技能労働者不足が深刻化し、ゼネコンが受注を渋る事態等を見越して、安定したマンション供給を行うためグループ内に施工能力を確保することが狙いであった。ただ、コスト競争力を持たせるため同社グループ内の開発物件の約3割は外部のゼネコンに発注しており、同社側から見たマンション施工の内製化率は7割程度にとどめる方針としている。
(4) エネルギー事業
エネルギー事業ではLPガス及び電力の小売販売を行っており、そのほとんどは同社グループが販売したアパートメント、マンションの入居者に対するものとなる。担当する事業会社は(株)エスケーエナジー(福岡)、(株)エスケーエナジー名古屋、(株)エスケーエナジー東京、(株)エスケーエナジー仙台、(株)エスケーエナジー大阪の5社となり、各エリアで事業展開している。
2019年6月末の契約件数はLPガスが34,496件、電力が18,413件となっている。電力については2017年4月から販売を開始したため、まだ契約件数はLPガスと比較して少ない。同社が販売するアパートメントはLPガスを使用するため、今後もアパートメントの累積販売数に連動して契約件数も増加していくことになる。また、電力についてもLPガスとのセット販売によるコストメリットや、支払い手続きの簡素化などを訴求していくことで契約件数を伸ばしていく戦略となっている。
(5) ライフケア事業
ライフケア事業は、2012年12月に子会社の(株)シノケンウェルネスを新設して開始した事業となる。また、2015年2月にはグループホーム施設運営及び介護サービス事業を展開する(株)フレンド、2016年1月には訪問介護を東京、福岡で展開する(株)アップルケアをそれぞれM&Aで取得し、(株)シノケンウェルネスの完全子会社としている。要介護度に応じて幅広いサービスをグループ内でワンストップ提供できることが特徴と言える。
ライフケア事業の介護部門の統括会社となっている(株)シノケンウェルネスでは、既存の賃貸マンションやアパートメントの空室をリニューアルし、24時間介護サービスの付いた高齢者向け賃貸住宅とする「寿らいふプラン」というサービスを展開している。有料老人ホームよりも料金が格段にリーズナブルで、生活の自由度も高く、同サービスは2013年度にビジネスモデルのグッドデザイン賞も受賞している。また、東京と福岡で3棟のサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)を保有、運営している。3棟合計で301戸、入居率は2019年6月末時点で97.6%(実入居率)となっている。一方、(株)フレンドでは東京、大阪、福岡にてグループホーム7施設(うち2施設で小規模多機能型居宅介護)で合計144居室を主として保有し、運営を行っている。2019年6月末時点での入居率は99.3%(実入居率)とこちらも高稼働率となっている。
(6) その他の事業
その他の事業には海外事業のほか新規育成事業が含まれる。海外は中国、シンガポール、インドネシアの3ヶ国で展開しており、このうち中国とシンガポールは不動産賃貸・売買仲介事業、インドネシアについては(株)小川建設のサポートによる建設関連事業のほか、2018年3月に連結子会社化した現地ゼネコンのPT Mustika Cipta Kharisma(以下、ムスティカ)が加わっている。
ムスティカは3年前より同社グループ傘下の(株)小川建設から技術指導を受けながら建設技術及び工事品質の向上に取り組んできた会社で、その効果もあって高速道路工事や大規模発電所工事の受注を獲得するなどここ数年で着実に成長を続けている。2019年春にジャカルタ中心エリアにおいて「桜テラス第1号」をシノケン自社グループの一気通貫体制で竣工し、4月にグランドオープンしている。当面の売上規模は年間数億円とまだ小さいが、今後はインドネシアで不動産開発事業を本格的に展開していく計画となっている。2019年7月の開示事項ではあるが、PT Shinoken Asset Management Indonesiaがインドネシアにおける不動産ファンド運営ライセンスを取得した。今後、上述の桜テラスのみならず、従来は海外からの直接投資が出来なかったインドネシア不動産全般の証券化の体制が整う事で、同国におけるシノケンの存在感が一層高まり、今後に期待が持てるビジネス領域となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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