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HSホールディングスのニュース
■Jトラスト<8508>の業績動向
2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業の4事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の98.4%を占める。2022年12月期第1四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業で安定的な利益を確保したことに加え、東南アジア金融事業で黒字転換を果たした。なお、投資事業では、前年同期に発生したGL関連の勝訴に伴う一過性の利益計上の反動により、損失となった。
(1) 東南アジア金融事業
2022年12月期第1四半期の営業収益は5,777百万円(前年同期比51.2%増)、営業利益は508百万円(前年同期は521百万円の損失)となった。銀行業における貸出金や保有有価証券の増加に伴い利息収益が増加したこと等により、増収となった。営業収益の増加に加えて、審査体制の見直し等により貸出債権のリスク低下を図って貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額が減少したことや、資金調達コストや経費の削減が進んだこと等によりJトラスト銀行インドネシア(以下、BJI)が黒字転換し、東南アジア金融事業全体でも黒字化を実現した。
a) BJI
インドネシアにおいて長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったBJIについては、同社グループでは最優先課題の1つとして再生に取り組んでいる。2022年12月期第1四半期の営業収益は29億円(前年同期比11億円増、営業利益は2億円(前年同期は3億円の損失)となった。法人向けが好調に推移したほか、リテール向け住宅ローンの貸出強化を目的に現地デベロッパーとの提携を推進した効果もあり、2022年3月末の貸出残高は1,067億円(2021年12月末比24%増)と計画を上回って推移したほか、コロナ第2波のロックダウン解除による不良債権の圧縮や預金金利の引き下げにより、黒字転換した。2020年1月以降の新体制において積み上げた貸出残高は全体の78.82%まで拡大したが、NPL比率(90日以上延滞債権比率)は0.24%(2022年3月末時点)の低水準にとどまり、リスクマネジメントを強化した成果が現れている。一方、預金残高も1,501億円(同)に増加しているが、大口の高金利預金から小口の低金利預金への誘導策が奏功し、COF(Cost of Funds)は2020年1月の7.08%から過去最低の4.29%まで低下している。
b) JTRB
カンボジアのJTrust Royal Bank (以下、JTRB)では、法人向けを中心に貸出残高の拡大傾向が持続しており、2022年3月末時点で1,152億円となった一方で、NPL比率は1.08%と引き続き低水準にとどまっている。一方、預金残高は1,282億円に達するが、COFは2.7%と低位で安定推移している。JTRBでは、「Goal Saving」、「The One」、「Premier Savings Plus」など普通預金商品を開発し、低金利預金獲得につなげている。
(2) 日本金融事業
2022年12月期第1四半期の営業収益は2,158百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益は1,128百万円(同5.1%減)となった。保証事業は安定した利益基盤であり、サービサー事業が好調という構図が継続している。営業利益率は50%超と金融3事業で最も高水準であることから、同社全体の業績を下支えする主力事業であることに変わりはない。なお、2022年3月にHSホールディングス<8699>よりエイチ・エス証券の全株式を取得し連結子会社とし、新たに金融商品取引業を事業として開始している。
2022年3月末の債務保証残高合計は2,051億円と、足元では反転増加した。アパートローン保証残高は1,574億円となったが、ローンの期間は20年~30年超と長期のため、その間は保証料収入が安定的に入ってくる。また、アパートローンのうち、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は80億円と順調に拡大し、計画の65億円を上回って推移している。一方、2018年から取り扱いが本格化した海外不動産担保ローンは、コロナ禍の影響もあり91億円にとどまった。
サービサー(債権回収)事業のうち、パルティール債権回収にて取り扱う債権については、回収が好調であったなかでも買取が順調に進み、2022年3月末の請求債権残高は7,872億円に増加した。日本保証が保有する簿外債権については、回収が計画を上回っていることもあり、債権残高は1,256億円にやや減少した。この結果、サービサー事業全体の請求債権残高は約9,100億円と、依然として高水準を維持している。
(3) 韓国及びモンゴル金融事業
2022年12月期第1四半期の営業収益は4,220百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益は1,175百万円(同12.5%増)となった。主力のJT貯蓄銀行の貸出残高が順調に増加し、1,960億円(2022年3月末)まで拡大した結果、利息収益が増加したことが主要因となる。一方、NPL比率は2.96%(同)へ低下した。
2022年4月には、同社とNBの株式交換によりJT親愛貯蓄銀行が同社グループに戻り、第2四半期に連結される。第1四半期の業績にJT親愛貯蓄銀行の業績を加算した場合、営業収益は101億円、営業利益は27億円規模に拡大することから、第2四半期より全体の利益拡大に大きく寄与する見通しだ。
(4) 投資事業
前年同期にGL関連の勝訴判決に係る受領額を計上した反動により、2022年12月期第1四半期の営業収益は75百万円(前年同期比60.0%減)、営業損失は422百万円(前年同期は3,038百万円の利益)となった。
3. 財政状況と経営指標
2022年12月期第1四半期末の資産合計は、前期末比109,862百万円増の720,493百万円となった。これは主に、銀行業における貸出金が51,573百万円、現金及び現金同等物が25,332百万円増加したことに加えて、エイチ・エス証券の全株式を取得し連結子会社としたことにより、証券業に関連する資産が28,298百万円増加したこと等による。負債合計は、同102,183百万円増の604,868百万円となった。これは主に、銀行業における預金が73,688百万円増加したことに加えて、エイチ・エス証券の連結子会社化により、証券業に関連する負債が26,728百万円増加したこと等による。また、資本合計は、同7,678百万円増の115,624百万円となった。これは主に、 親会社の所有者に帰属する四半期利益計上により利益剰余金が3,522百万円、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が3,295百万円増加したこと等による。
以上の結果、2022年12月期第1四半期末の親会社所有者帰属持分比率は14.2%(前期末は15.7%)となった。同比率は2017年3月期末の24.2%から低下しているものの、2021年3月期の東京証券取引所(以下、東証)1部銀行業平均の4.80%やその他金融業平均の6.21%を大きく上回る強固な財務基盤を維持している。今後は利益の積み上げに伴い、上昇すると予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<YM>
2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業の4事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の98.4%を占める。2022年12月期第1四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業で安定的な利益を確保したことに加え、東南アジア金融事業で黒字転換を果たした。なお、投資事業では、前年同期に発生したGL関連の勝訴に伴う一過性の利益計上の反動により、損失となった。
(1) 東南アジア金融事業
2022年12月期第1四半期の営業収益は5,777百万円(前年同期比51.2%増)、営業利益は508百万円(前年同期は521百万円の損失)となった。銀行業における貸出金や保有有価証券の増加に伴い利息収益が増加したこと等により、増収となった。営業収益の増加に加えて、審査体制の見直し等により貸出債権のリスク低下を図って貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額が減少したことや、資金調達コストや経費の削減が進んだこと等によりJトラスト銀行インドネシア(以下、BJI)が黒字転換し、東南アジア金融事業全体でも黒字化を実現した。
a) BJI
インドネシアにおいて長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったBJIについては、同社グループでは最優先課題の1つとして再生に取り組んでいる。2022年12月期第1四半期の営業収益は29億円(前年同期比11億円増、営業利益は2億円(前年同期は3億円の損失)となった。法人向けが好調に推移したほか、リテール向け住宅ローンの貸出強化を目的に現地デベロッパーとの提携を推進した効果もあり、2022年3月末の貸出残高は1,067億円(2021年12月末比24%増)と計画を上回って推移したほか、コロナ第2波のロックダウン解除による不良債権の圧縮や預金金利の引き下げにより、黒字転換した。2020年1月以降の新体制において積み上げた貸出残高は全体の78.82%まで拡大したが、NPL比率(90日以上延滞債権比率)は0.24%(2022年3月末時点)の低水準にとどまり、リスクマネジメントを強化した成果が現れている。一方、預金残高も1,501億円(同)に増加しているが、大口の高金利預金から小口の低金利預金への誘導策が奏功し、COF(Cost of Funds)は2020年1月の7.08%から過去最低の4.29%まで低下している。
b) JTRB
カンボジアのJTrust Royal Bank (以下、JTRB)では、法人向けを中心に貸出残高の拡大傾向が持続しており、2022年3月末時点で1,152億円となった一方で、NPL比率は1.08%と引き続き低水準にとどまっている。一方、預金残高は1,282億円に達するが、COFは2.7%と低位で安定推移している。JTRBでは、「Goal Saving」、「The One」、「Premier Savings Plus」など普通預金商品を開発し、低金利預金獲得につなげている。
(2) 日本金融事業
2022年12月期第1四半期の営業収益は2,158百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益は1,128百万円(同5.1%減)となった。保証事業は安定した利益基盤であり、サービサー事業が好調という構図が継続している。営業利益率は50%超と金融3事業で最も高水準であることから、同社全体の業績を下支えする主力事業であることに変わりはない。なお、2022年3月にHSホールディングス<8699>よりエイチ・エス証券の全株式を取得し連結子会社とし、新たに金融商品取引業を事業として開始している。
2022年3月末の債務保証残高合計は2,051億円と、足元では反転増加した。アパートローン保証残高は1,574億円となったが、ローンの期間は20年~30年超と長期のため、その間は保証料収入が安定的に入ってくる。また、アパートローンのうち、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は80億円と順調に拡大し、計画の65億円を上回って推移している。一方、2018年から取り扱いが本格化した海外不動産担保ローンは、コロナ禍の影響もあり91億円にとどまった。
サービサー(債権回収)事業のうち、パルティール債権回収にて取り扱う債権については、回収が好調であったなかでも買取が順調に進み、2022年3月末の請求債権残高は7,872億円に増加した。日本保証が保有する簿外債権については、回収が計画を上回っていることもあり、債権残高は1,256億円にやや減少した。この結果、サービサー事業全体の請求債権残高は約9,100億円と、依然として高水準を維持している。
(3) 韓国及びモンゴル金融事業
2022年12月期第1四半期の営業収益は4,220百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益は1,175百万円(同12.5%増)となった。主力のJT貯蓄銀行の貸出残高が順調に増加し、1,960億円(2022年3月末)まで拡大した結果、利息収益が増加したことが主要因となる。一方、NPL比率は2.96%(同)へ低下した。
2022年4月には、同社とNBの株式交換によりJT親愛貯蓄銀行が同社グループに戻り、第2四半期に連結される。第1四半期の業績にJT親愛貯蓄銀行の業績を加算した場合、営業収益は101億円、営業利益は27億円規模に拡大することから、第2四半期より全体の利益拡大に大きく寄与する見通しだ。
(4) 投資事業
前年同期にGL関連の勝訴判決に係る受領額を計上した反動により、2022年12月期第1四半期の営業収益は75百万円(前年同期比60.0%減)、営業損失は422百万円(前年同期は3,038百万円の利益)となった。
3. 財政状況と経営指標
2022年12月期第1四半期末の資産合計は、前期末比109,862百万円増の720,493百万円となった。これは主に、銀行業における貸出金が51,573百万円、現金及び現金同等物が25,332百万円増加したことに加えて、エイチ・エス証券の全株式を取得し連結子会社としたことにより、証券業に関連する資産が28,298百万円増加したこと等による。負債合計は、同102,183百万円増の604,868百万円となった。これは主に、銀行業における預金が73,688百万円増加したことに加えて、エイチ・エス証券の連結子会社化により、証券業に関連する負債が26,728百万円増加したこと等による。また、資本合計は、同7,678百万円増の115,624百万円となった。これは主に、 親会社の所有者に帰属する四半期利益計上により利益剰余金が3,522百万円、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が3,295百万円増加したこと等による。
以上の結果、2022年12月期第1四半期末の親会社所有者帰属持分比率は14.2%(前期末は15.7%)となった。同比率は2017年3月期末の24.2%から低下しているものの、2021年3月期の東京証券取引所(以下、東証)1部銀行業平均の4.80%やその他金融業平均の6.21%を大きく上回る強固な財務基盤を維持している。今後は利益の積み上げに伴い、上昇すると予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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