日本証券金融のニュース
日本証券金融、2Qは増収増益 収益基盤強化を着実に推進し、中計目標の2022年度ROE4%も達成見込み
1.エグゼクティブ・サマリー(連結)
関口将氏:経理・財務を所管する経営企画部を担当している執行役常務の関口です。本日は2023年3月期第2四半期決算についてご説明いたします。
3ページはエグゼクティブ・サマリーで、2023年3月期第2四半期の連結決算の概要を掲載しています。当社連結の業績は、営業利益が45億2,600万円、経常利益が51億3,500万円、当期純利益は41億1,000万円と、いずれも前年同期比で30パーセント以上の増益となりました。
営業利益は債券営業部門や株券レポ取引を中心に、セキュリティ・ファイナンス業務が堅調に推移したことが主因で増益となりました。また、当期純利益には、このような堅調な営業状況に加え、退職金制度の変更に伴う退職給付債務の減少額を特別利益に計上した影響も反映されています。
2.2023年3月期 第2四半期 決算サマリー(連結・個別)
日証金グループの連結業績とグループ個社の単体業績の決算サマリーを掲載しています。貸借取引業務において、品貸料は同額を品借料として借入先に支払い、営業費用として計上します。したがって、品貸料の増減は営業収益の増減に影響しますが、これらは差し引きされるため、利益には影響しません。
品貸料と品借料を除いたベースでは、グループ連結の営業収益は40.3パーセント増の190億6,900万円、営業費用は63.0パーセント増の109億6,200万円となりました。なお、特別損益として6億7,100万円の利益を計上しています。これは先ほどお伝えした退職金制度の変更によるものです。
3.2023年3月期 第2四半期 日証金(単体)決算サマリー
日証金単体の業績について、主なポイントをご説明します。こちらも貸借取引の品貸料、品借料を除いたベースで資料を作成しています。
営業収益は171億9,900万円と前年同期比で53億8,700万円の増収となり、業務粗利を示す営業総利益は63億円2,400万円と、前年同期比で10億8,500万円の増益となりました。
営業総利益について業務別に振り返ると、セキュリティ・ファイナンス業務が大幅な増益となりました。一方、その他に分類している有価証券運用は、今後のポートフォリオ運営を見据えた保有有価証券の入替売買を実施したことなどから、若干の減益となっています。各業務別の状況については、後ほど決算のポイントの中で詳しくご説明します。
一般管理費はシステム償却費用が減少した一方で、前期特殊要因である貸倒引当金の算定方法見直しに伴う戻入額の計上が剥落したことから、前年同期比7,700万円の増加となりました。この結果、営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも増益となりました。
4.決算のポイント ①貸借取引残高の状況
日証金単体の決算の主なポイントについてご説明します。はじめに貸借取引の動向です。
スライド下段の棒グラフでは、2021年度および2022年度における融資残高および貸株残高の月ごとの平均残高の推移を示しています。左下の青色のグラフが融資残高、右下の赤色のグラフが貸株残高です。それぞれ薄い色が2021年度、濃い色が2022年度を表しています。
2022年度の融資残高は2,500億円前後で推移し、上半期の平均残高は2,524億円と前年同期比で393億円の減少となりました。これは期初時点での試算値の前提である2,500億円と同程度となっています。
一方、貸株残高については、第2四半期に入って2,000億円台に回復したものの、上半期の平均残高は1,859億円と前年同期比で20億円の減少となりました。これは期初の時点での試算値の前提である1,700億円を若干上回る結果となりました。
5.決算のポイント ②セキュリティ・ファイナンス業務の状況
セキュリティ・ファイナンス業務についてです。第6次中期経営計画では、貸借取引以外の業務である一般信用ファイナンス、金融商品取引業者向け貸付、リテール向け貸付、一般貸株、債券営業の5つの業務をセキュリティ・ファイナンス業務と総称することとしています。当社がこれまで培ってきた資金取引や有価証券取引に関するノウハウを有効活用して、セキュリティ・ファイナンス業務の強化・拡充により、収益機会の拡大に取り組んでいます。
業務別の利益の状況について、セキュリティ・ファイナンス業務全体としては前年同期比で57.4パーセントの増益となりました。個別に見ると、表の一番下に記載している債券営業と、上から2段目に記載している金融商品取引業者向けの貸付が引き続き好調です。これらは債券の現先、レポ取引、株券レポ取引の残高が高水準で推移したことによるものです。
また、一般信用ファイナンスは前年同期並み、リテール向けと一般貸株については前年同期を上回る利益を確保しています。
6.決算のポイント ③有価証券運用の状況(日証金単体)
有価証券運用の状況についてご説明します。当社単体での有価証券等の運用収支は、海外金利の上昇などの環境変化を受けて、今後のポートフォリオ運営を見据えた入れ替えを実施し、国内債券の売却益と外貨建て債券の売却損を計上したことから、前年同期をわずかに下回る結果となりました。
7.2023年3月期 第2四半期 日証金信託銀行 決算サマリー
当社の100パーセント子会社である日証金信託銀行の決算概況についてご説明します。日証金信託銀行は、顧客分別金信託などの管理型信託サービスに注力していますが、中でもアセットバックローン信託が牽引して信託報酬が増加しました。
加えて、有価証券売却益の計上により、経常収益は16億7,500万円と前年同期を1億5,600万円上回りました。この結果、経常利益は8億5,100万円と前年同期比で1億円の増益、当期純利益は5億8,600万円と、6,600万円の増益となりました。
8.2023年3月期 業績試算値
2023年3月期の業績試算値です。まず、単体の試算値についてです。試算を前提とした貸借取引の平均残高は、期初想定と変わらず融資2,500億円、貸株1,700億円と想定しています。
スライド右側の表に赤枠で記載しているとおり、日本証券金融単体の2023年3月期の試算値は、セキュリティ・ファイナンス業務の上期実績を踏まえ、営業利益は45億3,800万円、経常利益は79億8,400万円、当期純利益は68億3,400万円と、いずれも期初想定から上方に修正しました。
上段の日証金グループ連結の試算値については、日本証券金融の業績上振れを踏まえ、営業利益を65億円、経常利益を75億円、当期純利益を57億円とし、経常利益と当期純利益は期初想定からそれぞれ1億円上方修正しました。なお、試算値は四半期ごとに見直しを行い、決算の発表の際に公表しています。私からのご説明は以上です。
1.経営目標の達成・進捗状況
櫛田誠希氏:社長の櫛田でございます。私からは、第6次中期経営計画の実績、進捗状況についてご説明します。
第6次中期経営計画について、どのような考え方で臨んだかを簡単にお伝えすると、当社を取り巻く経営環境が大きく変化している中で、さまざまな課題があります。まず1点目は、これまでの貸借取引業務を中心とする収益構造から収益源の多様化を図り、収益力の強化に努めることです。
2点目は、当社は第6次中期経営計画の初年度から指名委員会等設置会社という新たなガバナンス体制のもとで、さらなる体制強化に努めることです。
本年度は、第6次中期経営計画の3年計画の最終年度にあたりますが、この3年弱を振り返ると、今お伝えした2つの柱を主体に一定の進捗と成果につながったと評価できると考えています。
スライドでは、経営目標の達成・進捗状況について具体的にお示ししています。1つ目は貸借銘柄数の増加についてですが、貸借取引業務自体は、受動的に対応する性格があるため、短期的に収益をコントロールするのが難しい業務です。
むしろ中長期的に貸借取引業務の基盤強化を図るという観点から、貸借銘柄数を念頭に置いて基盤強化に努めてきました。グラフでご覧いただけるように、この中計期間を通じて、貸借銘柄数の増加へ着実につながっています。
2つ目の基礎収支額の増加についてです。貸借取引業務は受動的・短期的で、マーケットの状況に左右される部分があります。そのため、短期的な収益力強化に努めていく観点から、収支額が一定の過去平均程度に推移するとみなし、その他の業務の拡充・強化を図る指標として基礎収支額を定め、その増加に努めています。
下段のグラフをご覧ください。2020年度、2021年度と急速かつ着実な成果が出ています。決算説明でも触れましたが、昨年と2022年度の上半期を比べても、セキュリティ・ファイナンス業務や信託業務を中心に、着実な成果へつながっています。
1.経営目標の達成・進捗状況
ROEについてお話しします。昨年11月に中期的な経営方針を提示するにあたり、株主・投資家のみなさまに向けて、より一段と透明性のあるコミットメントを行う必要があると考えました。
そこで、取締役会において、資本コストに基づく中期的なROEの目標値を定めました。2022年度、つまりこの中計期間中にROE4パーセント台、次期中計の2025年度までにROE5パーセントの達成を目指すと公表しました。
今年度は「2022年度までにROE4パーセント台」と、掲げた目標における節目にあたりますが、セキュリティ・ファイナンス業務等、収益力強化に一定の成果が表れていることを受け、現段階では2022年度に4パーセントをクリアする目処がつきつつあると見ています。
また、参考として株主総利回りについてもお示ししました。ご覧のとおり、こちらも近年の収益力強化によって、着実に一定の成果として表れています。加えて株主還元の充実にも取り組んでいるため、株主総利回りがTOPIXを上回る格好で推移している状況となっています。
2.中期経営計画における主な取組み
中期経営計画における主な取り組みとして、4つの項目を掲げています。1つ目はセキュリティ・ファイナンス業務を中心に収益基盤の拡充・強化を図るということで、取引先を増やしつつ、取引ニーズへ柔軟に対応しています。
取引先については、外国金融機関やファンドを丁寧に開拓しながら、取引相手として信頼を得られるように取り組み続けてきました。その成果が徐々に出てきています。
また、取扱有価証券においても相手方のニーズに応じた格好で扱えるよう、外国有価証券等を含め、トライパーティの活用など、新たなニーズへ柔軟に対応していった結果が表れています。
日証金信託では、顧客資産の保全義務化の流れに対応し、保全信託サービスを強化しています。近年は徐々に成果として表れはじめており、信託報酬が拡大基調にある背景となっています。
収益基盤の強化に取り組むにあたり、まず、持ち味をいかに理解してもらいながら取引先のニーズに応えるかを考えています。
当社は強固な財務基盤をベースに高い格付けを維持しています。また、どの企業グループにも属さない中立的な機関ですので、中立・小所帯であるからこそ機動的かつ柔軟に取引相手のニーズに応えられる組織であることが持ち味と考えています。
小さい組織であることはハンデにもなりますが、それを強みとして活かす会社を目指しています。ニッチ分野でありながら、そこでメインプレイヤーになるという方向性のもと、できる限り当社の強みを活かして取り組んできた成果が、少しずつ着実に表れてきているものと理解しています。
2つ目のコーポレート・ガバナンスの充実・強化については、コーポレートガバナンス・コードの改訂や東証プライム市場への移行を踏まえ、ガバナンス体制をあらためて整備・強化するためにさまざまな取り組みを実施してきました。
取締役会の構成等の考え方、スキルマトリックスの策定・開示、執行役の選任についての考え方などを、あらためて議論しました。内容は公表しているとおりです。同様に、事業ポートフォリオに関する考え方の策定・開示や、サステナビリティ課題への取り組みも進めています。
なお、みなさまからIR等で「統合報告書のようなものはないのか?」とご要望がありましたので、遅ればせながら『統合報告書2022』を発表しました。スライドに記載の内容について詳しく記述していますので、ご興味がある方は、お時間がある時にぜひご覧ください。
3つ目の新規業務への取り組みとしては、ファンドアドミニストレーション業務の開始やブロックチェーン技術を活用した有価証券貸借取引の実証研究を実施しています。
4つ目に、業務運営の効率化とテレワークの積極活用等による多様な働き方の実現に取り組みました。本中計が始まって以来、コロナ禍が続いていました。そのため、当社でもコロナ禍において、どのように円滑な業務運営体制を確保するかといった課題に取り組み続けました。
この3年間は業務運営上のシステムに仮想デスクトップ方式を採用し、常時5割強のテレワーク率が確保できる体制整備に努めました。仮想デスクトップ方式の採用によってリモートワーク活用の視点を持つことになり、さらに長い目で見ると、当社の災害時対応等々における対応力の強化にもつながりました。
当社は社会のインフラ的な機能を果たしているため、BCP体制の強化につながる取り組みとして一定の成果が得られた3年間だったと考えています。
3.中期的な経営方針の策定
15ページには、昨年11月に公表した「中期的な経営方針」の策定についてお示ししています。
今までのご説明と重複しますが、当社がコーポレートガバナンス・コードの改訂や、東証市場区分の見直しを受けてプライム市場への上場を目指す中で、上場企業として高度なガバナンス体制を基礎とした持続的成長と、中長期的な企業価値向上に向けた一段のコミットメント、透明性の確保が必要になると認識を新たにしました。そのような認識のもとで、どのような企業将来像や経営目標を掲げるのかを発表したものです。
目指す企業としての将来像は、何度もご説明しているように、証券市場のインフラ機能を担う上での高い財務の健全性の維持です。これが当社の根幹であると考えています。それとともに、上場会社として求められる持続的成長と中長期的な企業価値向上の両立を目指します。
ビジネスモデルとしては、先ほどお伝えしたように当社の強みを活かしながら、特色あるユニークな金融機関として、ニッチ分野でのメインプレイヤーを目指します。
中期的な経営方針の中で描いている将来像は、現在の中期経営計画をいかに着実に成果につなげるかといったことと、ROE5パーセントの目標達成に向けて、その動きをどのように強めていくかです。課題であるとともに、当社が当面の間取り組む方向性になるかと思います。
現在は第6次中期経営計画の最終年度です。より高いROE目標の達成に向けた取り組みをどのように進めていくかも含めて、第7次中期経営計画の内容について、取締役会でも議論している状況です。
4.株主還元
株主還元についてご説明します。株主還元のさらなる充実を図っていく観点から、2021年度以降2025年度までの間、配当および自己株式取得の機動的な実施によって、累計で総還元性向100パーセントを目指します。
次期中期経営計画期間中の目標であるROE5パーセントの達成を視野に置いた場合においても、当社の資本基盤はしっかりしています。そのため、その間の株主還元については還元率100パーセントで実施するという判断のもとで、このような方針を出しています。
今年度の配当予想は年間32円で、前期比プラス2円の増配です。自己株式取得は金額で30億円、株数で320万株を予定しています。あわせて、現在の見込み数値から試算すると、総還元性向は100パーセントを若干上回る水準です。株主還元方針に基づいて、今後も株主還元のさらなる充実を図っていきたいと考えています。
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