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Jトラスト Research Memo(5):3ヶ年計画の下、2024年12月期以降は増益基調を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2023/12/07 12:15
*12:15JST Jトラスト Research Memo(5):3ヶ年計画の下、2024年12月期以降は増益基調を目指す ■中長期の成長戦略

同社グループは、事業環境の変化を受けて、2023年12月期~2025年12月期までの3ヶ年計画を2023年2月に発表した。営業収益は順調に拡大し、最終年度となる2025年12月期に1,587億円(2022年12月期比1.9倍)と、過去最高の更新継続を目指す。営業利益は2023年12月期には減益となるものの、2024年12月期から増益基調に転じ、2025年12月期は191億円(同1.3倍)と過去最高の更新を計画している。この3ヶ年計画は正式な中期経営計画ではないが、Jトラスト<8508>が達成可能と考える保守的な業績予想である。このように、中期的な利益目標を示すことは、会社の将来業績に基づいて投資を検討する投資家にとって非常に重要であると弊社では考えている。

(1) 日本金融事業
信用保証業務の拡充と債権回収業務の強化によってさらなる収益の拡大を図り、同社グループ全体の業績を下支えする計画である。

子会社の日本保証は、保証期間の長いアパートローンの占める割合が大きいこともあり、保証残高は安定推移している。なかでも中古アパートローンは競合先が少ないこともあって計画を上回るペースで順調に増加している。信用保証業務では、既存の保証残高からの安定的な保証料収入をベースとして、アパートローン保証を中心とした収益構造に変わりはないが、富裕層向けRCマンションなど投資用不動産担保ローンやリバースモーゲージ型商品に対する保証業務、不動産買取保証など、保証商品の多角化を推進する計画だ。

Jトラストグローバル証券、提携銀行、日本保証の協業により富裕層向けに提供する新たな金融商品「有価証券担保ローン」は好評である。Jトラストグローバル証券の顧客の株式や外債を担保として、提携銀行がローンを提供し、日本保証が保証することで保証残高の拡大を目指す。Jトラストグローバル証券は2025年12月期末を目標に、預り資産残高1兆円(2022年12月期末比約3倍)を目指している。Jトラストグローバル証券と同社グループ各社及び提携銀行の協業による新商品の開発など、新たな富裕層向けビジネスの拡大を目指す。2023年10月の新社長就任により、インターネットを使ったデジタル証券を強化するほか、富裕層をターゲットとしたビジネスの構築も進めている。

男性脱毛業界最大手の「メンズクリア」をはじめとした提携先とのエステ脱毛、ジム、ゴルフレッスン、クリニックを通じたNexus Cardの割賦事業は好調で、2023年12月期には100億円超の割賦取扱いを計画している。取扱高は好調に推移しており、今後も増加が望めそうだ。提携先の割賦をNexus Cardが担い、割賦売掛金残高の増大が日本保証の保証残高に直結することから、同社グループの業績への貢献が期待される。

なお、2023年10月には、遊技場運営を行う(株)ガイアの事業再建支援を行うことで合意した。金融事業の一環としてDIP(Debtor in Possession=占有継続債務者)ファイナンスを行うことで、金利収入を得ることを目指したものであり、同社グループでは遊技場運営を行う予定はないと言う。

(2) 韓国及びモンゴル金融事業
市中金利の高騰による預金利率の上昇、韓国全体での延滞増加、個人回生(個人再生)・信用回復の増加傾向などにより引当金の積み増しの可能性があるなか、引き続き緩やかな成長を目標に掲げる。「量の成長」から「質の成長」を目指し、バランスの取れたRisk-Returnを目標に一定の資産規模を維持し、資産内容の質的な向上を追求する。また、調達金利削減のために、他社動向及び満期構造など様々な状況を考慮して受信利率を検討する。貸出金利は最大限引き上げを図るものの、延滞債権比率を踏まえた収益性で判断して貸出金利を算定する。徹底した延滞管理を実行し、貸倒償却費の抑制に向けて最大限努力する計画だ。

(3) 東南アジア金融事業
同社グループ成長のけん引役になると期待されるJトラスト銀行インドネシアでは、貸出金残高の増加に伴う利息収益の増加、調達コストの低下による持続的な収益計上を目指す。2019年以降戦略の転換を行い、ビジネス部門と審査部門の連携を強化し、不良債権リスクの低減を図りつつ積極的に貸出残高増強を図る。現状は貸出の75%程度が信用力のある大企業や国営企業向けであるが、経済成長が続いているインドネシアでは大企業や国営企業の資金ニーズは高く、さらなる貸出増加が見込まれる。また、貸出先の多様化による貸出増加の余地は大きいと言える。引き続き、安定的な経営基盤を構築するために調達コストの低減に努め、小口預金獲得に向けた新規口座開設を積極的に推進する。

同行は2021年11月以降、日系企業傘下にある現地法人と住宅ローンの業務提携を行っており、住宅ローン残高の伸長が期待される。また、2023年10月には(株)西京銀行と業務提携契約を締結し、インドネシアに進出済または進出予定の西京銀行取引先事業者をJトラスト銀行インドネシアに紹介する。そのほか、重機ローンに係る業務提携契約締結も推進している。重機ローン残高は2023年9月には前四半期比31%増の46億円に急拡大している。インドネシアは資源大国でニッケル掘削などのための重機の需要が高いこと、加えて首都移転に伴う都市開発が進んでおり、今後も重機ローンの拡大が見込まれる。

インドネシアの債権回収業務では、コロナ禍の影響で不良債権がさらに増加する見込みで、ビジネスチャンスが拡大する見通しである。今後、債権買取回収及び債権回収受託のプレイヤーが増加し債権価格が上昇するものと見込まれるが、回収力や資金調達力で実績のある同社グループでは先行者利益が得られると見ている。なお、マルチファイナンス会社PT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCEについては、2023年6月に株式譲渡契約を締結し、インドネシア金融庁の承認が得られたことで、2023年10月末に譲渡が完了した。

カンボジアについては、当面は預金獲得競争の激しさが継続する見込みである。2019年12月期より同社グループに加わったJトラストロイヤル銀行は資産内容の良い優良銀行であるものの、市中預金金利が上昇しているうえ、競合銀行も増加している。今後は、新たな収益機会を獲得するための新規顧客の開拓、融資成長を支えるためのボンド発行やマイクロSME(中小・中堅企業)層との取引など、新たな資金(預金)調達や個人向け流動性預金の獲得を図る。2023年10月には、カンボジア日本人材開発センター(CJCC)、(独)国際協力機構(JICA)、(株)第四北越銀行と共催で、カンボジアでの投資機会を探るビジネス支援セミナーを開催した。今後のカンボジアへの投資における架け橋となることが期待される。

以上のように、同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保・拡大する一方で、成長可能性が大きい東南アジア金融事業の利益拡大を実現するとともに、不動産事業の貢献により、持続的な成長を目指す。加えて、今後も企業価値を高めるために、Jトラストグローバル証券やミライノベートと同様に、既存の成功事業をさらに成長させることができる事業、既存事業とのシナジーを期待できる事業、金融機関と取り組める事業などへ投資する方針と見られ、同社グループの成長戦略に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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配信元: フィスコ
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