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芙蓉総合リースのニュース
*14:37JST 芙蓉リース Research Memo(7):「社会課題の解決」と「経済価値」の同時実現により、持続的成長を目指す(2)
■芙蓉総合リース<8424>の成長戦略
2. 各事業分野における基本戦略と目標
(1) モビリティ(RT分野)
カーボンニュートラルの実現に向けたEV・FCVに対するニーズが拡大する一方、ドライバー不足や長時間労働など、物流業界における社会課題が深刻化する環境を踏まえ、車両領域と物流領域を中心に、パートナー連携を軸としたワンストップ型サービスを国内外で展開する戦略である。車両領域では、EVワンストップサービス※1などの新たなビジネスモデルの構築や、フリートBPO※2を中心とするノンアセットビジネスの拡充を図る。物流領域では、ヤマトグループとの連携による協業案件の創出、海外グループ会社との連携によるグローバルなモビリティ事業の強化、ヤマトリースを中心とするトラックファイナンスの強化と周辺領域の拡大に取り組む。財務目標は、経常利益70億円(2022年3月期比37億円増)、ROA2.5%(同0.6ポイント増)を目指す。非財務目標は、EV・FCV保有比率30%(同30ポイント増)を掲げている。
※1 パートナー企業との連携により、EV導入検討コンサルから充電器導入コンサル・工事、ファイナンス・車両管理、エネルギーマネジメントまでをワンストップサービスとして提供。同社の強みである「エネルギー環境」との親和性も高い。
※2 テレマティクスサービスや車両稼働率の最適化コンサルなどを通じて、省人化をはじめとする業務効率化向上を支援するもの。
(2) サーキュラーエコノミー(RT分野)
サーキュラーエコノミーとは、製品と資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小化した経済システムを指す。同社では成長が見込まれる市場において先進的な取り組みを進め、高度なサーキュラーエコノミーのプラットフォーム構築を目指す戦略である。財務目標は現時点で設定していないが、非財務目標として、1)返却物件のリユース・リサイクル率100%(2022年3月期比横ばい)、2)廃プラスチックのマテリアル/ケミカルリサイクル率100%(同100ポイント増)を掲げている。
(3) エネルギー環境(AT分野)
グローバルベースでの再生可能エネルギー事業の拡大と、二次エネルギー分野における新規ビジネスの確立を目指す戦略である。再生可能エネルギーでは、エネルギー種別・取り組み形態を限定せず、国内外で事業規模を3倍まで拡大する。また、パートナー企業(大手エネルギー事業者等)との共同投資を加速するとともに、顧客の脱炭素ツールとしてPPA事業にも引き続き注力する。二次エネルギーにおいては、蓄電池分野におけるLCMビジネス(一次利用→再利用のリサイクル等)や、順次拡大する需給調整市場※への参画を見据えた取り組みを継続する。財務目標は、経常利益50億円(2022年3月期比34億円増)、ROA2.0%(同0.2ポイント増)を目指す。非財務目標は、1)再エネ発電容量1,000MW(同682MW増)、2)脱炭素資金投下額3,000億円(5年間累計)を掲げている。
※2021年4月から開始された、発電所等での電気の需給調整に必要な電力(調整力)を全国一体的な市場で取り引きする制度。
(4) BPO/ICT(AT分野)
深刻化する人手不足や働き方改革を背景に、DXやノンコア業務の見直しなど生産性向上に向けた取り組みが加速するなかで、オペレーションとシステムの両面から顧客の業務改革実現をサポートするBPS(ビジネス・プロセス・サービス)の提供を目指す戦略である。具体的には、BPO(業務コンサル+ソリューション)とICT(システムコンサル+ITソリューション)の相互連携により、業務のアウトソーシングとDXによるトータルソリューションを推進する。財務目標は、経常利益85億円(2022年3月期比51億円増)、ROA5.4%(同3.9ポイント増)を目指すとともに、非財務目標は、顧客の業務量削減時間100万時間(同100万時間)を掲げている。
(5) ヘルスケア(AT分野)
医業収入の減少や人手不足・後継者不足といった経営課題に加え、2025年問題※による医療・福祉ニーズのさらなる拡大・高度化が見込まれる。こうしたなかで、引き続き「芙蓉リースプラットフォーム構想」に基づくワンストップサービスの提供により、医療・介護・調剤等ヘルスケアマーケットにおける事業者の経営資源の価値最大化に貢献する戦略である。財務目標として、経常利益45億円(2022年3月期比27億円増)、ROA3.3%(同1.3ポイント増)を目指すとともに、非財務目標には、1)高齢者介護施設1,000室、2)ヘルスケアマーケットの経営支援に資するファイナンス560億円(同327億円増)を掲げている。
※日本が「超高齢社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、医療、福祉など、様々な分野への影響が予想されること。
(6) 不動産(GP分野)
事業の高度化・差別化に軸足を置き、収益性の向上を通じた安定した利益成長を目指す戦略である。大都市圏を中心に不動産マーケットは活況ながら、競争環境に過熱感があるなかで、パートナーとの連携強化やビジネス領域のさらなる深化により収益力強化を進め、事業拡大を図る。また、脱炭素社会の実現に向け、環境配慮型不動産※を対象とする取り組みも進める。財務目標として、経常利益230億円(2022年3月期比27億円増)、ROA2.3%(同横ばい)を目指す(非財務目標の設定はない)。
※グリーンビル、CASBEE評価認証や環境配慮設備(省エネ、太陽光パネル等)を設置している不動産。
(7) 航空機(GP分野)
事業環境は緩やかに回復する想定の下、コロナ禍の影響からの脱却と資産回転型ビジネスの推進により着実な利益成長を図る戦略である。長期保有前提のビジネスモデルから、マーケット環境などを踏まえた機動的な機体売却を行う資産回転型ビジネスへの転換を図る一方、競争力の強化を通じた優良資産の積み上げにより、収益体質の強化を図る。また、持続可能な航空燃料(SAF)など、「社会課題の解決」に資する新技術分野への取り組みも進める。財務目標として、経常利益70億円(2022年3月期比55億円増)、ROA2.4%(同1.7ポイント増)を目指す(非財務目標の設定はない)。
3. 中長期的な注目点
事業環境が大きく変化するなかで、これまで積み上げてきた分野との親和性の高い成長領域において各パートナーとの連携等により新たな価値創造を目指すという方向性は、理にかなっていると弊社でも考えている。特に、業界をリードしてきた気候変動対策をはじめ、「社会課題の解決」に向けた取り組みをいかに成長機会に結び付けていくのかがポイントとなるだろう。中期経営計画はスタートしたばかりであり急激な収益構造の変化は想定されないものの、目指すべき収益ポートフォリオの進化に向けて、成長ドライバーとなるRT及びAT分野をどのように強化していくのか、そのプロセスに注目していきたい。「社会課題の解決」に向けた取り組みについても、非財務目標として掲げたKPIの進捗をフォローするとともに、市場の創出や競争力の強化、新たなビジネスモデルの構築などにいかに結び付け、経済価値(利益成長等)との連動を図っていくのか、その道筋についても中長期視点から注目していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 各事業分野における基本戦略と目標
(1) モビリティ(RT分野)
カーボンニュートラルの実現に向けたEV・FCVに対するニーズが拡大する一方、ドライバー不足や長時間労働など、物流業界における社会課題が深刻化する環境を踏まえ、車両領域と物流領域を中心に、パートナー連携を軸としたワンストップ型サービスを国内外で展開する戦略である。車両領域では、EVワンストップサービス※1などの新たなビジネスモデルの構築や、フリートBPO※2を中心とするノンアセットビジネスの拡充を図る。物流領域では、ヤマトグループとの連携による協業案件の創出、海外グループ会社との連携によるグローバルなモビリティ事業の強化、ヤマトリースを中心とするトラックファイナンスの強化と周辺領域の拡大に取り組む。財務目標は、経常利益70億円(2022年3月期比37億円増)、ROA2.5%(同0.6ポイント増)を目指す。非財務目標は、EV・FCV保有比率30%(同30ポイント増)を掲げている。
※1 パートナー企業との連携により、EV導入検討コンサルから充電器導入コンサル・工事、ファイナンス・車両管理、エネルギーマネジメントまでをワンストップサービスとして提供。同社の強みである「エネルギー環境」との親和性も高い。
※2 テレマティクスサービスや車両稼働率の最適化コンサルなどを通じて、省人化をはじめとする業務効率化向上を支援するもの。
(2) サーキュラーエコノミー(RT分野)
サーキュラーエコノミーとは、製品と資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小化した経済システムを指す。同社では成長が見込まれる市場において先進的な取り組みを進め、高度なサーキュラーエコノミーのプラットフォーム構築を目指す戦略である。財務目標は現時点で設定していないが、非財務目標として、1)返却物件のリユース・リサイクル率100%(2022年3月期比横ばい)、2)廃プラスチックのマテリアル/ケミカルリサイクル率100%(同100ポイント増)を掲げている。
(3) エネルギー環境(AT分野)
グローバルベースでの再生可能エネルギー事業の拡大と、二次エネルギー分野における新規ビジネスの確立を目指す戦略である。再生可能エネルギーでは、エネルギー種別・取り組み形態を限定せず、国内外で事業規模を3倍まで拡大する。また、パートナー企業(大手エネルギー事業者等)との共同投資を加速するとともに、顧客の脱炭素ツールとしてPPA事業にも引き続き注力する。二次エネルギーにおいては、蓄電池分野におけるLCMビジネス(一次利用→再利用のリサイクル等)や、順次拡大する需給調整市場※への参画を見据えた取り組みを継続する。財務目標は、経常利益50億円(2022年3月期比34億円増)、ROA2.0%(同0.2ポイント増)を目指す。非財務目標は、1)再エネ発電容量1,000MW(同682MW増)、2)脱炭素資金投下額3,000億円(5年間累計)を掲げている。
※2021年4月から開始された、発電所等での電気の需給調整に必要な電力(調整力)を全国一体的な市場で取り引きする制度。
(4) BPO/ICT(AT分野)
深刻化する人手不足や働き方改革を背景に、DXやノンコア業務の見直しなど生産性向上に向けた取り組みが加速するなかで、オペレーションとシステムの両面から顧客の業務改革実現をサポートするBPS(ビジネス・プロセス・サービス)の提供を目指す戦略である。具体的には、BPO(業務コンサル+ソリューション)とICT(システムコンサル+ITソリューション)の相互連携により、業務のアウトソーシングとDXによるトータルソリューションを推進する。財務目標は、経常利益85億円(2022年3月期比51億円増)、ROA5.4%(同3.9ポイント増)を目指すとともに、非財務目標は、顧客の業務量削減時間100万時間(同100万時間)を掲げている。
(5) ヘルスケア(AT分野)
医業収入の減少や人手不足・後継者不足といった経営課題に加え、2025年問題※による医療・福祉ニーズのさらなる拡大・高度化が見込まれる。こうしたなかで、引き続き「芙蓉リースプラットフォーム構想」に基づくワンストップサービスの提供により、医療・介護・調剤等ヘルスケアマーケットにおける事業者の経営資源の価値最大化に貢献する戦略である。財務目標として、経常利益45億円(2022年3月期比27億円増)、ROA3.3%(同1.3ポイント増)を目指すとともに、非財務目標には、1)高齢者介護施設1,000室、2)ヘルスケアマーケットの経営支援に資するファイナンス560億円(同327億円増)を掲げている。
※日本が「超高齢社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、医療、福祉など、様々な分野への影響が予想されること。
(6) 不動産(GP分野)
事業の高度化・差別化に軸足を置き、収益性の向上を通じた安定した利益成長を目指す戦略である。大都市圏を中心に不動産マーケットは活況ながら、競争環境に過熱感があるなかで、パートナーとの連携強化やビジネス領域のさらなる深化により収益力強化を進め、事業拡大を図る。また、脱炭素社会の実現に向け、環境配慮型不動産※を対象とする取り組みも進める。財務目標として、経常利益230億円(2022年3月期比27億円増)、ROA2.3%(同横ばい)を目指す(非財務目標の設定はない)。
※グリーンビル、CASBEE評価認証や環境配慮設備(省エネ、太陽光パネル等)を設置している不動産。
(7) 航空機(GP分野)
事業環境は緩やかに回復する想定の下、コロナ禍の影響からの脱却と資産回転型ビジネスの推進により着実な利益成長を図る戦略である。長期保有前提のビジネスモデルから、マーケット環境などを踏まえた機動的な機体売却を行う資産回転型ビジネスへの転換を図る一方、競争力の強化を通じた優良資産の積み上げにより、収益体質の強化を図る。また、持続可能な航空燃料(SAF)など、「社会課題の解決」に資する新技術分野への取り組みも進める。財務目標として、経常利益70億円(2022年3月期比55億円増)、ROA2.4%(同1.7ポイント増)を目指す(非財務目標の設定はない)。
3. 中長期的な注目点
事業環境が大きく変化するなかで、これまで積み上げてきた分野との親和性の高い成長領域において各パートナーとの連携等により新たな価値創造を目指すという方向性は、理にかなっていると弊社でも考えている。特に、業界をリードしてきた気候変動対策をはじめ、「社会課題の解決」に向けた取り組みをいかに成長機会に結び付けていくのかがポイントとなるだろう。中期経営計画はスタートしたばかりであり急激な収益構造の変化は想定されないものの、目指すべき収益ポートフォリオの進化に向けて、成長ドライバーとなるRT及びAT分野をどのように強化していくのか、そのプロセスに注目していきたい。「社会課題の解決」に向けた取り組みについても、非財務目標として掲げたKPIの進捗をフォローするとともに、市場の創出や競争力の強化、新たなビジネスモデルの構築などにいかに結び付け、経済価値(利益成長等)との連動を図っていくのか、その道筋についても中長期視点から注目していきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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