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シナネンホールディングスのニュース
*16:11JST シナネンHD Research Memo(1):電気事業苦戦も、石油類・LPガス、非エネは順調
■要約
1. 時代の変化に応え進化を続ける総合エネルギーサービス企業
シナネンホールディングス<8132>は各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者で、コア事業のLPガスは国内トップクラスの規模を誇る。事業は3セグメントに区分され、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では大口需要家向けに石油製品や各種燃料を供給するほか、ガソリンスタンドの運営や再生可能エネルギー事業なども行っている。非エネルギー事業ではシェアサイクル事業や建物維持管理事業など多彩な事業を展開している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、環境対応などの面から新たな時代へのアプローチが求められている。同社は、そうした時代の変化に応える総合エネルギーサービス企業として進化を続けている。
2. 強みを生かすことで収益改善と中長期的な成長を同時に推進
同社の強みは、エネルギー専門商社としての事業推進力、堅実な経営基盤、高い参入障壁の3つである。このうちエネルギー専門商社としての事業推進力に欠かせないのが、26ヶ所のLPガス充填基地や約1,000社にのぼる販売店、78ヶ所ある石油中継基地(オイルスクエア・灯油センター)など、全国を結ぶ効率的なネットワークである(2023年3月末現在)。拠点が多い分、サービスが厚くなって販売店から同社への信頼も増す。一方、消費者との接点も増えるため、消費者に密着した非エネルギー事業を強化することができる。このようにエネルギー事業の強みを生かすことで、短中期的な成長を担うエネルギー事業そのものの収益向上と、中長期的な成長が期待される非エネルギー事業の育成という、2つの異なるベクトルを持つ戦略を同時に推進することができるのである。
3. 電力事業の売上総利益の悪化により2024年3月期第2四半期業績は苦戦
2024年3月期第2四半期の業績は、売上高141,213百万円(前年同期比1.1%増)、営業損失2,150百万円(前年同期は営業損失820百万円)と増収減益になった。全般的におおむね順調に推移したことから増収を確保したが、営業損益は、電力事業の売上総利益が悪化したことを主因に損失が拡大した。電力事業の売上総利益悪化の要因は、原油高や円安による仕入価格高騰に備えて前期に調達した電力の販売価格が、今期の卸電力市場の価格低迷により割高となってしまったこと、大手需要家から一般需要家まで解約が拡大したことにある。こうした事態に対し同社は、電力の需給ポジションを適正化すると同時に冬季需要期の調達を10%程度減らしたうえ、来期以降に電力事業の再構築を含む抜本的な見直しを行う予定である。
4. 電力事業を見直すが、第三次中期経営計画は引き続き推進へ
2024年3月期の業績見通しについて同社は、売上高380,000百万円(前期比11.0%増)、営業損失800百万円(前期は895百万円の利益)を見込んでいる。電力事業の苦戦などを織り込んで、期初予想に対して下方修正を行った。現在同社は、2024年3月期を初年度とする5ヶ年の第三次中期経営計画を進めている。新たに電力事業の抜本的な見直しを行うことになったが、市況リスクをコントロールする必要はあるものの、再生可能エネルギーとして電力という商材を外せないため、第三次中期経営計画に大きな修正はないと思われる。このため引き続き、「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」をビジョンに経営基盤の強化と成長戦略を推進し、創業100周年の2028年3月期にROE8%以上、経常利益100億円を目指すことになりそうだ。
■Key Points
・「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」を目指す
・2024年3月期第2四半期の苦戦は電力事業の売上総利益悪化が主因。そのほかの事業はおおむね順調
・電力事業を見直す予定だが、引き続き創業100周年の2028年3月期に経常利益100億円を目指す方向
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 時代の変化に応え進化を続ける総合エネルギーサービス企業
シナネンホールディングス<8132>は各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者で、コア事業のLPガスは国内トップクラスの規模を誇る。事業は3セグメントに区分され、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では大口需要家向けに石油製品や各種燃料を供給するほか、ガソリンスタンドの運営や再生可能エネルギー事業なども行っている。非エネルギー事業ではシェアサイクル事業や建物維持管理事業など多彩な事業を展開している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、環境対応などの面から新たな時代へのアプローチが求められている。同社は、そうした時代の変化に応える総合エネルギーサービス企業として進化を続けている。
2. 強みを生かすことで収益改善と中長期的な成長を同時に推進
同社の強みは、エネルギー専門商社としての事業推進力、堅実な経営基盤、高い参入障壁の3つである。このうちエネルギー専門商社としての事業推進力に欠かせないのが、26ヶ所のLPガス充填基地や約1,000社にのぼる販売店、78ヶ所ある石油中継基地(オイルスクエア・灯油センター)など、全国を結ぶ効率的なネットワークである(2023年3月末現在)。拠点が多い分、サービスが厚くなって販売店から同社への信頼も増す。一方、消費者との接点も増えるため、消費者に密着した非エネルギー事業を強化することができる。このようにエネルギー事業の強みを生かすことで、短中期的な成長を担うエネルギー事業そのものの収益向上と、中長期的な成長が期待される非エネルギー事業の育成という、2つの異なるベクトルを持つ戦略を同時に推進することができるのである。
3. 電力事業の売上総利益の悪化により2024年3月期第2四半期業績は苦戦
2024年3月期第2四半期の業績は、売上高141,213百万円(前年同期比1.1%増)、営業損失2,150百万円(前年同期は営業損失820百万円)と増収減益になった。全般的におおむね順調に推移したことから増収を確保したが、営業損益は、電力事業の売上総利益が悪化したことを主因に損失が拡大した。電力事業の売上総利益悪化の要因は、原油高や円安による仕入価格高騰に備えて前期に調達した電力の販売価格が、今期の卸電力市場の価格低迷により割高となってしまったこと、大手需要家から一般需要家まで解約が拡大したことにある。こうした事態に対し同社は、電力の需給ポジションを適正化すると同時に冬季需要期の調達を10%程度減らしたうえ、来期以降に電力事業の再構築を含む抜本的な見直しを行う予定である。
4. 電力事業を見直すが、第三次中期経営計画は引き続き推進へ
2024年3月期の業績見通しについて同社は、売上高380,000百万円(前期比11.0%増)、営業損失800百万円(前期は895百万円の利益)を見込んでいる。電力事業の苦戦などを織り込んで、期初予想に対して下方修正を行った。現在同社は、2024年3月期を初年度とする5ヶ年の第三次中期経営計画を進めている。新たに電力事業の抜本的な見直しを行うことになったが、市況リスクをコントロールする必要はあるものの、再生可能エネルギーとして電力という商材を外せないため、第三次中期経営計画に大きな修正はないと思われる。このため引き続き、「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」をビジョンに経営基盤の強化と成長戦略を推進し、創業100周年の2028年3月期にROE8%以上、経常利益100億円を目指すことになりそうだ。
■Key Points
・「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」を目指す
・2024年3月期第2四半期の苦戦は電力事業の売上総利益悪化が主因。そのほかの事業はおおむね順調
・電力事業を見直す予定だが、引き続き創業100周年の2028年3月期に経常利益100億円を目指す方向
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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