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光村印刷のニュース
―約98%の自治体が環境整備完了で、教育コンテンツなどを手掛ける企業に商機―
公立小中学校の情報通信技術(ICT)環境を実現するGIGAスクール構想が順調に進んでいるようだ。文部科学省によると、1812の自治体のうち約98%が3月末までに端末の納品が完了(生徒の手元に端末が渡り、インターネットの整備を含めて学校での利用が可能となる状態)したもようで、「GIGAスクール元年」ともいうべき1人1台端末での学びが本格的にスタートすることになる。今後はデジタル教科書・教材やセキュリティーソフトなどが需要期に入ってくるとみられ、関連銘柄に注目しておきたい。
●文科省は教育方針を指示
文科省は3月中旬、GIGAスクール構想に関する二つの通知を各都道府県の教育委員会などに送付した。その一つが「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について」で、整備された端末がクラウド活用を基本として利活用されるように、有害サイトをブロックするフィルタリングなど各種サービスの設定、カメラ機能やネットワーク機能の設定などを適切に行うことを指示。また、デジタル教科書・教材の活用について検討を進めることや、学校・家庭においてオンライン上で学習や評価が可能なCBT(コンピューターを使った試験方式)システムである「学びの保障オンライン学習システム(MEXCBT:メクビット)」を活用することなどが望ましいとされている。
もう一つが「GIGAスクール構想の実現に向けた通信ネットワークの円滑な運用確保に係る対応について」で、各学校設置者が自らのネットワーク環境の評価を事前に実施し、課題がある場合にはネットワークの増強や契約の見直し、運用上の工夫などを行い、ネットワーク環境の改善を図ることが示されている。文科省の校内ネットワーク環境の現状調査では、3月末時点で供用が開始できる学校は3万2228校のうち約86%とやや遅れているが、4月末までには約98%に達する見通しだ。
萩生田光一文科相と河野太郎規制改革担当相は3月下旬に開いた共同会見で、学校現場の創意工夫のもとオンライン教育を有効に活用すると述べており、教育コンテンツなどの需要が一段と高まることが見込まれる。
●デジタル教材は需要期へ
システム ディ <3804> [JQ]は特定業種に特化したソフトを開発・販売しており、学校向けでは業務支援システム「キャンパスプラン」や校務支援サービス「スクールエンジン」を提供。5月12~14日にかけて東京ビッグサイトで開催される「第12回 教育ITソリューションEXPO」にこれら製品を出展する予定だ。
チエル <3933> [JQ]は学校教育のためのICT事業を行っており、「学習(学修)支援システム」「デジタル教材」「運用管理・セキュリティーシステム」までをサポートしている。足もとでは運用管理システム「InterCLASS Console Support」やフィルタリングツール「InterCLASS Filtering Service」、無線LAN最適化ソリューション「Tbridge」の受注が拡大。直近では青森県八戸市で授業支援システムと運用支援システムの2製品が採用された。
すららネット <3998> [東証M]は小学生から高校生までを対象としたICT教材「すらら」などを学校や学習塾、個人向けに提供。20年12月期末時点の導入数は2226校と前の期末に比べて1170校の増加となった。また、2月には「すらら」に、最先端の人工知能(AI)が英単語・英文の発音を測定し、スコアやアドバイスを提示する「スピーキングAI」を搭載している。
ジャストシステム <4686> は日本語変換や法人向けソフトなどを展開しているほか、通信教育にも注力。家庭学習では小中学生向け通信教育「スマイルゼミ」などを提供。学校教育では小学校向け学習・授業支援ソフト「ジャストスマイル8」などを手掛け、9月には小中学校向け学習クラウド「スマイルネクスト」を新発売する計画だ。
内田洋行 <8057> はオフィス家具大手で、学校備品・システムに強み。教材やコンテンツの製造・販売、学校空間デザイン、ICTシステムの構築など幅広い商品・ソリューションでトータルサポートを行っており、埼玉県鴻巣市内の小中学校27校で教育ICT基盤をすべてフルクラウド化した実績などがある。また、子会社のウチダエスコ <4699> [JQ]もさまざまなパッケージを提供している。
●レアジョブなどにも注目
このほかでは、電子テキスト配信システムを手掛けるACCESS <4813> 、授業内オンライン英会話レッスンを提供するレアジョブ <6096> 、関連会社がデジタル教科書・教材を表示する「まなビューア」を展開する光村印刷 <7916> 、グループ会社がICT教材を発行している学研ホールディングス <9470> 、教材提示と情報配信に対応した教育ICTシステム「みらいスクールステーション」を扱う富士ソフト <9749> に商機。教育現場でeラーニングの導入が進むようであれば、クシム <2345> [東証2]やEduLab <4427> などの活躍場面も広がりそうだ。
また、教育ソリューションを扱うYE DIGITAL <2354> [東証2]、タブレットパソコン充電保管庫の売り上げが好調な稲葉製作所 <3421> 、教育関連のシステム開発を行うODKソリューションズ <3839> 、グループ会社が電子黒板など学校教育向けソリューションを手掛けるテクノホライゾン <6629> [JQ]、子会社が文教市場向け無線LANアクセスポイントを販売する古野電気 <6814> 、文教市場向けパッケージ製品「アカデミックN型番製品」の対象製品を拡充したアライドテレシスホールディングス <6835> [東証2]にも注目。
セキュリティー関連では、安全なWebアクセスを実現する「i-FILTER」シリーズを展開するデジタルアーツ <2326> 、校内ネットワークやWi-Fi無線接続を実現・管理する「NetAttest EPS」や「NetAttest D3」の受注が好調なソリトンシステムズ <3040> 、万能認証基盤「Themis」のスクールパックを提供するディー・ディー・エス <3782> [東証M]のビジネス機会拡大が期待される。
株探ニュース
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