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バンダイナムコホールディングスのニュース
―SNSで裾野は拡大、ファンコミュニティー支援ビジネスなども活況―
物価の高騰が止まらない。帝国データバンク(東京都港区)の11月29日の発表によると、主要な食品メーカー195社における家庭用を中心とした2025年の飲食料品値上げは3933品目を数え、前年同時期に公表した24年の値上げ品目見通し(1596品目)を大幅に上回る。1月には3ヵ月ぶりに1000品目超の値上げが見込まれており、来春にかけて断続的な値上げラッシュが再燃する見通しとなった。
長期化する食品の値上げに対して、消費者は節約志向を更に強めることが予想されるが、そうしたなかにあっても、自分の好きなことや価値があると認められるものには相応の消費をいとわないという人も多い。「推し活」はその代表的なものとされており、関連ビジネスは引き続き熱を帯びそうだ。
●「推し」の裾野は現在も拡大中
推し活とはアーティストやアイドル、アニメーション、マンガ、ゲームのキャラクターなど自分の「イチオシ」を「推し」とし、その「推し」を応援し、趣味として楽しむ行動やそれに伴う消費活動のこと。「推し」という言葉は10年代にAKB48が流行し、ファンコミュニティーのなかでお気に入りのメンバーを「推しメン」と呼んでいたことが他のアイドルファンの間でも定着。その後、対象がK-POPや声優などへ拡大した。更に実在する人物からマンガやアニメなどの創作物、鉄道、建築物、仏像など、愛好する人がいる分野は全て「推し」の対象となっている。
こうした動きを後押ししたのがSNSの存在だ。SNSが発達したことで、気軽に自分の「好き」を発信・受信できるようになり、また学校や職場などの既存コミュニティーとは異なる場で、同じ「推し」を好きな人同士のつながりが作れるようになった。
20年前後からは「推し」に対する「好き」を表現する「推し活」という言葉が多く聞かれるようになった。21年に「ユーキャン 新語・流行語大賞」にもノミネートされたことで今では「推し活」が幅広い層に浸透している。
●「推し活マーケティング」も普及
推し活とイコールではないものの、同様にポップカルチャーに熱中するオタク市場は広がりをみせている。
矢野経済研究所(東京都中野区)が昨年12月に発表した「『オタク』市場に関する調査を実施(2023年)」によると、アニメ、アイドル、同人誌など主要14分野の市場規模は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により20年度に一時的に縮小した分野もあるが、その後は順調に回復に向かっている。
コロナ禍以降、動画配信サービスや電子書籍が娯楽として定着し、自分自身の好きなモノ・コトに対する消費が強くなったこと、また「推し活」の認知度が高まり、企業が自社の商品と推し活を結び付けた「推し活マーケティング」などを展開するようになったことなどが市場の拡大に拍車をかけている。こうしたことを踏まえると、この傾向は当面続くと見てよいだろう。
●「推し活」支援の関連銘柄
「推し活」関連銘柄といえば、まず思いつくのがハローキティなどのキャラクター商品を展開するサンリオ <8136> [東証P]や、人気キャラクターのIP(知的財産)を有するバンダイナムコホ―ルディングス <7832> [東証P]や任天堂 <7974> [東証P]、グッズやライブで使用するペンライトなどを販売するハピネット <7552> [東証P]などが挙げられるが、今回はそれらのほかにも「推し活」を支援する銘柄に注目してみたい。
エムアップホールディングス <3661> [東証P]は、子会社Fanplusが音楽アーティストのファンクラブ/ファンサイト運営を手掛けるほか、韓流アーティストのファンクラブ事業を手掛けるTHE STAR JAPANを傘下に有する。足もとでは新規案件(アーティスト)の獲得が順調に進んでいるほか、既存アーティストファンクラブ/サイトの会員数も順調に増加。会社側は11月14日に25年3月期連結業績予想を営業利益で34億円から39億円(前期比38.1%増)へ上方修正したが、その要因にファンクラブ事業の有料会員数増加を挙げている。
THECOO <4255> [東証G]は、会員制ファンコミュニティープラットフォーム「Fanicon(ファニコン)」を運営する。物販やチケット販売など、従来型のファンクラブの機能を搭載しつつ、チャットやライブ配信・オンラインくじなど独自の機能を提供しているのが特徴だ。24年12月期第3四半期累計単独決算では、ファン数、アイコン(アーティスト、インフルエンサーなど)数ともに順調に増加しており、ファンビジネスプラットフォーム事業の売上高は前年同期比15.4%増の22億4765万円に伸長した。
スペースシャワーSKIYAKIホールディングス <4838> [東証S]は、今年4月に旧スペースシャワーネットワークと旧SKIYAKIが経営統合して設立。コンテンツ事業としてイベント事業やライブハウス事業を展開するほか、ソリューション事業としてファンクラブのプラットフォーム開発・提供やファンクラブサイトの運営を展開している。25年3月期第2四半期累計連結決算では、ソリューション事業がファンクラブの有料会員数の伸長などにより同事業売上高が前年同期比32.4%増の48億2450万円に伸長し、全社売上高を牽引した。
アピリッツ <4174> [東証S]は、22年1月に子会社化したムービングクルーが、グローバルに活躍するアーティストを中心にエンターテインメント系ファンコミュニティーの企画・開発・運営を手掛けている。Webソリューションやオンラインゲーム、デジタル人材育成派遣事業を手掛けるアピリッツとは異なる領域でビジネスを展開していることで、グループの顧客層の拡大に貢献している。なお、25年1月期はWebソリューション事業で発生した炎上案件対応の影響により大幅減益を見込む。
東京通信グループ <7359> [東証G]は、子会社パルマがアーティストとファンの間において双方向のコミュニケーションを実現する推し活×メッセージアプリ「B4ND(ビヨンド)」を運営。作詞家の秋元康氏が携わったアーティストを中心にサービスを拡大している。同サービスのほかにも、ファンクラブの構築から支援、ファンクラブサービスの運営やEC展開などをエンタメテック事業として展開しており、徐々に売り上げを伸ばしている。
gumi <3903> [東証P]は、同社が主体となって「推し活×web3」による新たなトークン経済圏構築を目指す「OSHI3」プロジェクトを推進している。暗号資産「OSHI」(Oshi Token)は外部の暗号資産取引所で購入可能であるほか、ファンアートや解説動画など応援活動への配布や、コンテンツのコアファンなどへの配布を予定しており、ゲームコンテンツだけではなく複数コンテンツにまたがってトークン経済圏が構築できるよう計画されている。
イード <6038> [東証G]は今年11月、エンターテインメントを中心としたデジタル広告事業を展開するガイエ(東京都千代田区)と共同で、アニメに特化した広告パッケージ「Anime Touch Ad」を開発したと発表した。イードが運営するアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」や老舗アニメ雑誌「アニメディア」における広告展開、マルチコピー機で展開する「エンタメプリント」におけるブロマイド販売など、今までにないアニメに特化したクロスメディア広告で、リアルとデジタルの融合でアニメファンの推し活を支援する。
株探ニュース
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