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アートネイチャ Research Memo(2):ウィッグで「ふやしたいのは、笑顔です。」

配信元:フィスコ
投稿:2022/01/07 15:22
■会社概要

1. 会社概要
アートネイチャー<7823>は、男性向け・女性向けのオーダーメイドウィッグの製造・販売を主力とした日本初の総合毛髪企業で、「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに、トータル・ヘアコンサルタント企業として、より美しく輝きのあるライフスタイルを提案していくことを使命としている。オーダーメイドウィッグは、店舗で3D型取りシステムを用いて顧客頭部の形状を型取りし、作成したデータを基に海外の自社工場においてハンドメイドで製造される。毛髪に関する顧客ニーズは時代を追って多様化・高度化しており、現在ではオーダーメイドウィッグのほか、既製品ウィッグや増毛商品、育毛ケア・サービス、理・美容サービスなど、毛髪に関連する広範な商品・サービスによって、男女を問わず一人ひとりの個性に合わせた最適なソリューションを提供している。


磨きをかけた商品開発力とさらなる成長へ向けた新領域への進出
2. 沿革
1965年に個人営業の「アートネイチャー」として創業された同社は、1967年に株式会社として設立、1969年には男性向けウィッグ販売を目的に、顧客相談からアフターサービスまでを一貫して提供できる理容室を備えた店舗体制を確立した。1980年には全国販社体制を確立し、「マープ」増毛法のヒットや広告展開もあって広くブランドが浸透した。こうしたブランド力を背景に、1987年に「レディースアートネイチャー」など女性向けの市場に本格進出、2002年には全国の販売会社を合併・統合し総合力を十分に発揮できる体制を構築したことに加え、フィリピンの製造委託先を子会社化して自社製造を開始した。2007年に株式市場へ上場を果たした同社は、その後生産体制を拡充するとともに、これまでのノウハウを活かして女性向け既製品ウィッグや医療用ウィッグの分野に進出、自社通販サイトも開設するなど業容を広げていった。2019年以降は、比較的安い価格帯のウィッグ事業会社をM&Aで取得し、第1類医薬品である発毛剤を販売開始し隣接市場に参入、医療機関からの業務受託会社の設立、毛髪分野や美容分野で新たな商品・サービスを開発すべく企業への出資を決定するなど、さらなる成長へ向けて新領域への進出を強化している。一方、こうした間にも、年に2回コンスタントに新製品を市場へ投入するなど商品開発力には磨きをかけており、現在、日本初の総合毛髪企業の大手として業界をリードしているところである。


毛髪業界でトップポジション
3. 毛髪業界と組織体制
ウィッグなどの毛髪市場は、2008年秋のリーマンショック以降の消費低迷に加え、ヘアケア剤や発毛・育毛剤などの隣接市場との競争激化やスキンヘッドスタイルの社会的認知向上などを背景に低迷していたが、毛髪業界各社による女性用ウィッグ強化策や男性顧客へのリピート販売が実を結び、2012年度以降は拡大に転じた。しかし、2016年度になると新規参入企業が増え、中小事業者による低価格ウィッグの拡販もあり、毛髪市場は一転して縮小傾向となった。現在では、新規参入や低価格ウィッグも一巡して市場は沈静化、2019年度の市場規模は1,291億円とほぼ横ばいで推移している。なお、2020年度は、年度初頭からのコロナ禍による顧客の来店減少や延期、及び感染予防対策などにより、毛髪業やヘアケア商材やクリニックなど広くヘアケア業界において、接客販売や施術業務に影響が生じた。足もとはコロナ禍というリスクから徐々に回復しているところである。こうしたリスクの高い時期は、体力のある大手企業が優位性を発揮してシェアを伸ばすことが多いが、中でも男性市場でシェア第1位、女性市場で第2位となっている同社は、着実にシェアを伸ばすことができ、男女合わせたシェアはトップポジションにあると推定される。こうした同社の安定感は、後に触れるが、2大総合毛髪企業の戦略や強みの違いが、売上の伸びや収益性の差になって現れた結果といえる。

毛髪市場におけるトップポジションを支えているのが、50年以上にわたる高品質な物づくり体制、全国をカバーする店舗ネットワーク、専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者という特徴的な同社の組織体制である。物づくり体制は、生え際やつむじ、前髪、自然なボリュームなど細部へのこだわりと、自然さと機能性を兼ね備えた人工毛や地肌の色が透けて見えるほどの極薄な素材といった高機能製品の開発によって培われた独創的な商品開発力が背景にある。また、主力のオーダーメイドウィッグに関しては企画・開発から製造、販売までグループ会社との連携を垂直統合させ消費者ニーズに迅速に対応できるSPA(製造小売業)の形態をもつことも特徴で、現在でも春と秋の年2回、コンスタントに新商品を市場へ投入している。こうした高品質のオーダーメイドウィッグを提供する場が、最高の環境と最良のサービスを兼ね備えた、全都道府県を網羅した店舗ネットワークである。くつろぎと安らぎにこだわった店内は、顧客のプライバシーに配慮して個室タイプになっており、従業員の約8割に当たる1,856名(2021年3月31日現在)の専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者が、契約した商品の納品からアフターサービスまで徹底的にサポートしている。なお、製造拠点はフィリピンに2工場、販売拠点は国内275店舗(2021年3月31日現在)。また、既製品ウィッグは中国やベトナムなどの製造委託先で製造されており、販売拠点は国内120店舗(ジュリア・オージェ86店舗、ナオアート34店舗、2021年3月31日現在)、海外4カ国となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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配信元: フィスコ
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