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―直近四半期の業績が爆発的な伸びを示す“時価総額500億円以下”の銘柄に照準―
中小型株の業績に底堅さが目立っている。15日時点で時価総額が1000億円未満の3、6、9、12月を本決算月とする中小型株を対象に、直近四半期(22年7-9月期)の業績を集計したところ、営業利益の合計額は前年同期と比べて15%増加した。経済活動の本格的な再開や為替の円安進行を受けて収益を伸ばした企業が多く、四半期ベースの過去最高益を更新するものもみられた。今回の株探トップ特集では、直近四半期の業績が急激に伸び、高成長に向けて動き始めた可能性がある中小型株に注目。2023年に活躍が期待できる有力候補として6銘柄をリストアップした。
●中小型株は業績面で優位に
7-9月期は新型コロナウイルス感染拡大による行動制限が緩和され、人流が回復したことで小売業やサービス業に業績が改善する中小型株が多くみられた。また、急速な円安進行が製造業を中心にプラスの影響を及ぼしたほか、商社や海運は好調な業績を維持するものが目立った。一方、時価総額1000億円以上の銘柄の同期間における営業利益は全体で4%増益と中小型株の増益率を下回った。鉄道や空運、主力輸出株などの業績回復が顕著にみられたものの、燃料費の高騰や円安で調達コストが急増した電力大手に赤字決算が相次ぐなど、原燃料価格の上昇が利益を圧迫した格好となった。
●直近2~3四半期の収益動向に注目
直近2四半期から3四半期の収益動向は、今後株価が動意づく可能性のある銘柄を選別する条件として注目される。タカトリ <6338> [東証S]はパワー半導体向け材料加工装置の受注が好調で足もとの収益が急拡大しており、株価は今年に入ってから6倍超に跳ね上がっている。また、昨年末からの値上がり率ランキングで上位に入るアクリート <4395> [東証G]、トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]、KPPグループホールディングス <9274> [東証P]、Abalance <3856> [東証S]なども四半期業績が連続で爆発的に伸び、高成長への期待感が強まったことが株価上昇の大きな要因になった。
以下では、時価総額500億円以下の中小型株を対象に、直近四半期の売上高が前年同期比「10%以上」増加、営業利益が同「20%以上」増加、これを2四半期もしくは3四半期連続で達成した企業を高成長「始動」候補として紹介していく。
●アクセルはパチンコ・パチスロ次世代機の導入が追い風
アクセル <6730> [東証S]は画像処理や音声出力用のファブレス半導体メーカー。足もとでは縮小傾向にあった主力のパチンコ・パチスロ市場が持ち直しをみせるなか、グラフィックスLSIやメモリーモジュールの販売が急増している。9月には期初段階で減益予想だった23年3月期通期の営業利益を増益見通しに大幅上方修正し、配当も大きく引き上げた。受注残高が高水準であるほか、スマートパチンコ・パチスロといった次世代機の投入も予定されており、今後も収益拡大が続く公算は大きい。株価はスマートパチスロ導入による関連株物色の波に乗り、15年9月以来7年3ヵ月ぶりの高値圏を快走する展開となっている。一方、指標面は予想PER15倍台と割高感はなく、期末一括の配当利回りは4%前後の推移となっており、見直し余地がありそうだ。
●ポートは主力の就活サイトが絶好調
ポート <7047> [東証G]は就職、リフォーム、カードローン、エネルギーなどの情報サイトを通じて利用者と企業のマッチングビジネスを展開する。直近3ヵ月の7-9月期(第2四半期)業績は、就活情報サイト「キャリアパーク!」「就活会議」を運営する主力の就職領域が収益を牽引し、売上高、営業利益ともに3四半期連続で過去最高を更新した。企業の求人ニーズが底堅く推移するなか、就活生の利用率70%以上を誇る会員基盤を強みに送客、人材紹介がいずれも好調だった。特にコロナ禍で採用を抑制していた飲食、旅行、ホテル、小売業界がインバウンドの回復や国内におけるリオープン(経済再開)需要もあって新卒紹介件数が大きく伸びた。11月に業績上方修正したが保守的な予想値となっており、旺盛な人材需要を背景に一段の上振れが期待できそうだ。
●バリュエンスは投資拡大のなかで年40%成長を計画
バリュエンスホールディングス <9270> [東証G]は買取専門店「なんぼや」などを通じてブランド品や宝飾品といった高価格帯の商品を仕入れ、自社オークション経由でリユース事業者へ販売する事業を主力とするほか、地金・貴金属の卸販売や個人向け小売りも手掛ける。22年8月期は積極的な成長投資で販管費が膨らんだものの、地金相場の高騰や行動制限の緩和による集客回復で売上高が急増し、営業利益は18億8800万円(前の期比61.6%増)と大きな伸びを示した。続く23年8月期の同利益は25億円と4期ぶりに最高益を更新する見通しだ。25年8月期を最終年度とする中期経営計画では、新規出店の再加速や不動産・自動車などへの業容拡大、グローバル展開の強化によって、投資を拡大しながら今後3年間で年平均40%の営業利益成長率を目指す。
●力の源HDは急回復みせる海外事業が収益をけん引
国内外でラーメン店「一風堂」を展開する力の源ホールディングス <3561> [東証P]は、21年3月期に新型コロナ感染拡大による大打撃を受け、営業損益が9億8000万円の赤字に転落した。ただ、その後は経済回復が緩やかに進むなか、海外店舗運営事業を中心に売上高を伸ばし、22年3月期は10億5000万円の営業黒字と急回復を遂げた。23年3月期に入ってからも海外事業を中心に好調に推移しており、上期(4-9月)決算発表と同時に通期の営業利益見通しを17億1000万円(前期比62.8%増)へ上方修正している。国内は7月に値上げを実施したが、既存店の客足は回復歩調に変化がなく、客数と単価がともに上昇している。今後は訪日外国人観光客の増加も見込まれ、国内事業の更なる回復が期待できそうだ。
●エスユーエスは採用拡大やEV強化で今期も最高益見通し
エスユーエス <6554> [東証G]はIT分野などの技術者派遣を主軸とする総合エンジニアリング企業。ERP(総合基幹業務)パッケージの導入コンサルティングを展開するほか、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった最先端技術の高いスキルを保有し、アバターで参加可能なイベントを開発するなどメタバース関連としても存在感を示す。7-9月期(第4四半期)業績は技術者派遣で単価が上昇したことに加え、コロナ禍の影響解消で稼働率が回復し、営業利益2億3000万円(前年同期比3倍)と過去最高益を記録した。23年9月期は電気自動車(EV)への取り組み強化や採用拡大による技術者の増加を背景にソリューション事業が成長するほか、AR/VR事業では受託開発が拡大し、営業利益9億5300万円(前期比30.3%増)と2期連続最高益を見込む。配当は25円(前期比10円増)に大幅増配する方針としており、積極的な還元姿勢も注目ポイントだ。
●グッドスピーはMEGA専門店の出店拡大で飛躍期へ
グッドスピード <7676> [東証G]はSUV(多目的スポーツ車)をはじめミニバン、輸入車などを取り扱う中古車販売店を東海地方を中心に展開している。半導体不足による新車納期の遅延などで中古車ニーズが高まるなか、新規出店を進めており、足もとの業績は拡大基調にある。22年9月期に営業利益が初の10億円を突破し、今23年9月期は17億円と成長が加速する計画だ。決算と同時に発表した中期経営計画では、25年9月期に営業利益42億円の目標を掲げる。中古車特需は新車生産が回復するにつれて今後減速が見込まれるが、大型販売店「MEGA専門店」を主軸とする出店攻勢に加え、車検や整備といった付帯サービスによる顧客の囲い込みで更なる成長戦略を描く。
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