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*12:33JST ギフトHD Research Memo(3):直営店とプロデュース店の2つのチャネル形態でラーメンを提供
■事業概要
4. 事業内容
ギフトホールディングス<9279>は、個人店としての魅力とチェーンストアの効率を融合させたラーメン事業を展開、直営店とプロデュース店という2つのチャネル形態でラーメンを提供している。直営店事業部門では、いつでもどの店でも「美味い」と言ってもらえる味の追求はもちろん、エンターテインメント性溢れる店舗空間で細やかなサービスを提供している。プロデュース事業部門では、直営店で蓄積された繁盛のノウハウやPB商品をプロデュース店に提供し、地域に愛される店舗づくりをサポートしている。また、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに世界中にラーメンの旨さを伝えるため、海外展開を本格化しつつある。
(1) 直営店事業部門
主力業態である家系ラーメンは、1974年頃に登場した横浜発祥の豚骨醤油ベースのラーメンで、生ガラ(豚骨、鶏骨等)から採ったダシに醤油のタレを混ぜた豚骨醤油ベースのクリーミーなスープと中太麺、さらにほうれん草やチャーシュー、海苔のトッピングを基本的な盛り付けとしている。加えて、味の濃さ、スープの脂の量、麺のゆで加減、他のトッピングの追加などアレンジ可能な点が特徴で、主力のラーメンのほかMAXラーメン、ネギラーメン、つけ麺が人気となっている。駅近エリアでは、原則として店名を「地域名+商店」(例えば荻窪ならば「荻窪商店」)とし、地域に密着した店舗展開をしている。一方ロードサイドエリアでは、「町田商店」にブランドを統一して多店舗展開を進めている。
ターゲットは、駅近エリアはサラリーマンや単身層で、ロードサイドエリアはファミリー層である。しかし、駅近エリア、ロードサイドエリアのいずれも、チェーンストアとして標準化されたQSCA(クオリティ、サービス、クレンリネス、アトモスフィア)を提供している。家系ラーメンは、従来街道沿いの立地が多く、客層はトラックの運転手などに偏っていたが、出店範囲を駅近エリアやロードサイドエリアに広げ、QSCAの改善によって客層を女性や家族へと拡大したことが、同社の成長の基点になったと思われる。なお、ロードサイドエリアの店舗は敷地が広く、駐車場を有し席数も多いため、売上は大きくなるが、投資額も大きく回収期間が長くなる傾向がある。また、駅近とロードサイドという立地も収益構造も対照的なラーメン店で人気を博している店は多くないと思われ、同社の大きな特徴となっている。現在、フードコートやサービスエリアなどでの立地可能性も検証しているところである。
同社は「町田商店」以外のブランドでも直営でラーメン店を展開している。「豚山」は豚骨ベースの醤油スープに、チャーシューをダイナミックに乗せたガッツリ系ラーメンで、にんにく、野菜、背脂などを好みで調整することができる。手が込んでいる分商品力が強く、「町田商店」と同一エリアに出店してもほとんど競合しないため、「町田商店」に次ぐ第2ブランドとして多店舗展開を進めている。「町田商店」とは原価構成やオペレーションに違いがあるものの、集客力は同等以上となっている。ただし、工程やスキルといった面から出店数が年間10店程度に限られるため、今のところ成長ドライバーになりきれていないようだ。一方、油そば「元祖油堂」が成長ドライバーとして出店加速を開始した。スープレスであることなど工程やスキルの面で出店の制約が少ないことも背景にあるが、中華麺用粉にパスタ粉を配合し作り上げた風味豊かでモッチリ感のあるこだわりの「油そば専用麺」や、黒烏龍茶・ジャスミンティーなど無料のドリンクバーと締めのスープ、自分だけの味変が楽しめる追加トッピング(チーズなど)と10種類以上の卓上調味料、女性が入りやすい内装などが人気の要因だと思われる。「豚山」「元祖油堂」ともにロードサイト出店やFC展開など、様々な立地や運営による新たな展開を検証しているところでもある。
そのほか、「がっとん」は長時間炊き込み熟成させたスープが特徴の九州豚骨ラーメンで、麺の硬さは好みにより6段階から選ぶことができる。コロワイド<7616>から買収した「四天王」はあっさりしたコクが特徴の豚骨ラーメンである。このほか、新潟県長岡市のご当地生姜醤油ラーメン「長岡食堂」、炒めた野菜の旨味たっぷりの味噌ラーメン「赤みそ家」、旨味がたっぷり溶け込んだスープの味噌ラーメン「いと井」など、定番のみそ業態やしょうゆ業態も展開、自社開発やM&Aによりさらなる業態開発も継続している。また、海外ブランドとして、家系ラーメンをベースにローカルニーズに合わせた味で提供する「E.A.K. RAMEN」がある。
(2) プロデュース事業部門
直営店事業部門のほかに、「町田商店」直営店で培った繁盛のノウハウやPB商品(麺、タレ、スープ、餃子、チャーシュー)をプロデュース店に提供するプロデュース事業部門がある。プロデュース事業部門では、新たにラーメン店の開業を予定している個人や企業など店舗のオーナーとの間で「取引基本契約」を締結し、店舗立ち上げ時及び店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースサービスを同社が提供し、プロデュース店は麺やタレ、スープ、餃子など同社のPB商品を継続的に購入する。このうち、店舗立ち上げ時のプロデュースは原則無償で、店舗設計、店舗内サービス、メニュー、仕入ルートなど同社が培ったラーメン店の運営ノウハウを提供している。また、店舗立ち上げ後もプロデュースは原則無償で、プロデュース店オーナーからの要請や食材の供給量に基づいた分析により、直営店で培った店舗運営ノウハウなど様々なコンサルティングサービスを提供している。最大の特徴は、同社とプロデュース店で屋号が別であり、FCシステムの運営で通常発生する保証金や加盟料、経営指導料(ロイヤリティ)、看板代がないことである。その代わり、オーナーはキッチン、椅子・テーブル、調度品に至るまで自ら調達することになっている。
同社にとってプロデュース店は、PB商品提供により製造におけるスケールメリットが得られるほか、チャネル形態が異なることによりチェーン臭さを消すことができるというメリットもある。一方、プロデュース店にとっては、同社が店舗立ち上げ時からプロデュースサービスを提供するため、外食経験がないオーナーでも要望に沿った繁盛店づくりのサポートを得ることができる。このためオーナーの出店意欲は高く、約半数が複数店オーナーとして平均7~8店を運営しているようだ。特に、地盤の関東エリアでは既存オーナーによる出店意欲が非常に高く、新規オーナーの加盟はお断りしているという。一方、西日本などその他のエリアでは新規オーナーを積極的に募集しており、全国展開に拍車をかけている。
(3) 海外展開
同社は、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに海外展開を進めており、米国で直営店3店、アジアでプロデュース店15店を展開している(2023年12月期第3四半期末時点)。米国で展開する「E.A.K. RAMEN」は、味や品質はもちろん、雰囲気やサービスにおいても日本の「おもてなし教育」を徹底している。非常に重要視している事業で、マネージャーや店舗責任者を日本から送り込んでいるほか国内直営店事業の傘下にするなど、中長期的な視野に立った運営を進めている。また、台湾でプロデュース店オーナー企業の倒産の影響はあったものの、基本的に業況が非常に順調なため、タイやベトナムなど東南アジアでFC方式での多店舗展開を開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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4. 事業内容
ギフトホールディングス<9279>は、個人店としての魅力とチェーンストアの効率を融合させたラーメン事業を展開、直営店とプロデュース店という2つのチャネル形態でラーメンを提供している。直営店事業部門では、いつでもどの店でも「美味い」と言ってもらえる味の追求はもちろん、エンターテインメント性溢れる店舗空間で細やかなサービスを提供している。プロデュース事業部門では、直営店で蓄積された繁盛のノウハウやPB商品をプロデュース店に提供し、地域に愛される店舗づくりをサポートしている。また、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに世界中にラーメンの旨さを伝えるため、海外展開を本格化しつつある。
(1) 直営店事業部門
主力業態である家系ラーメンは、1974年頃に登場した横浜発祥の豚骨醤油ベースのラーメンで、生ガラ(豚骨、鶏骨等)から採ったダシに醤油のタレを混ぜた豚骨醤油ベースのクリーミーなスープと中太麺、さらにほうれん草やチャーシュー、海苔のトッピングを基本的な盛り付けとしている。加えて、味の濃さ、スープの脂の量、麺のゆで加減、他のトッピングの追加などアレンジ可能な点が特徴で、主力のラーメンのほかMAXラーメン、ネギラーメン、つけ麺が人気となっている。駅近エリアでは、原則として店名を「地域名+商店」(例えば荻窪ならば「荻窪商店」)とし、地域に密着した店舗展開をしている。一方ロードサイドエリアでは、「町田商店」にブランドを統一して多店舗展開を進めている。
ターゲットは、駅近エリアはサラリーマンや単身層で、ロードサイドエリアはファミリー層である。しかし、駅近エリア、ロードサイドエリアのいずれも、チェーンストアとして標準化されたQSCA(クオリティ、サービス、クレンリネス、アトモスフィア)を提供している。家系ラーメンは、従来街道沿いの立地が多く、客層はトラックの運転手などに偏っていたが、出店範囲を駅近エリアやロードサイドエリアに広げ、QSCAの改善によって客層を女性や家族へと拡大したことが、同社の成長の基点になったと思われる。なお、ロードサイドエリアの店舗は敷地が広く、駐車場を有し席数も多いため、売上は大きくなるが、投資額も大きく回収期間が長くなる傾向がある。また、駅近とロードサイドという立地も収益構造も対照的なラーメン店で人気を博している店は多くないと思われ、同社の大きな特徴となっている。現在、フードコートやサービスエリアなどでの立地可能性も検証しているところである。
同社は「町田商店」以外のブランドでも直営でラーメン店を展開している。「豚山」は豚骨ベースの醤油スープに、チャーシューをダイナミックに乗せたガッツリ系ラーメンで、にんにく、野菜、背脂などを好みで調整することができる。手が込んでいる分商品力が強く、「町田商店」と同一エリアに出店してもほとんど競合しないため、「町田商店」に次ぐ第2ブランドとして多店舗展開を進めている。「町田商店」とは原価構成やオペレーションに違いがあるものの、集客力は同等以上となっている。ただし、工程やスキルといった面から出店数が年間10店程度に限られるため、今のところ成長ドライバーになりきれていないようだ。一方、油そば「元祖油堂」が成長ドライバーとして出店加速を開始した。スープレスであることなど工程やスキルの面で出店の制約が少ないことも背景にあるが、中華麺用粉にパスタ粉を配合し作り上げた風味豊かでモッチリ感のあるこだわりの「油そば専用麺」や、黒烏龍茶・ジャスミンティーなど無料のドリンクバーと締めのスープ、自分だけの味変が楽しめる追加トッピング(チーズなど)と10種類以上の卓上調味料、女性が入りやすい内装などが人気の要因だと思われる。「豚山」「元祖油堂」ともにロードサイト出店やFC展開など、様々な立地や運営による新たな展開を検証しているところでもある。
そのほか、「がっとん」は長時間炊き込み熟成させたスープが特徴の九州豚骨ラーメンで、麺の硬さは好みにより6段階から選ぶことができる。コロワイド<7616>から買収した「四天王」はあっさりしたコクが特徴の豚骨ラーメンである。このほか、新潟県長岡市のご当地生姜醤油ラーメン「長岡食堂」、炒めた野菜の旨味たっぷりの味噌ラーメン「赤みそ家」、旨味がたっぷり溶け込んだスープの味噌ラーメン「いと井」など、定番のみそ業態やしょうゆ業態も展開、自社開発やM&Aによりさらなる業態開発も継続している。また、海外ブランドとして、家系ラーメンをベースにローカルニーズに合わせた味で提供する「E.A.K. RAMEN」がある。
(2) プロデュース事業部門
直営店事業部門のほかに、「町田商店」直営店で培った繁盛のノウハウやPB商品(麺、タレ、スープ、餃子、チャーシュー)をプロデュース店に提供するプロデュース事業部門がある。プロデュース事業部門では、新たにラーメン店の開業を予定している個人や企業など店舗のオーナーとの間で「取引基本契約」を締結し、店舗立ち上げ時及び店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースサービスを同社が提供し、プロデュース店は麺やタレ、スープ、餃子など同社のPB商品を継続的に購入する。このうち、店舗立ち上げ時のプロデュースは原則無償で、店舗設計、店舗内サービス、メニュー、仕入ルートなど同社が培ったラーメン店の運営ノウハウを提供している。また、店舗立ち上げ後もプロデュースは原則無償で、プロデュース店オーナーからの要請や食材の供給量に基づいた分析により、直営店で培った店舗運営ノウハウなど様々なコンサルティングサービスを提供している。最大の特徴は、同社とプロデュース店で屋号が別であり、FCシステムの運営で通常発生する保証金や加盟料、経営指導料(ロイヤリティ)、看板代がないことである。その代わり、オーナーはキッチン、椅子・テーブル、調度品に至るまで自ら調達することになっている。
同社にとってプロデュース店は、PB商品提供により製造におけるスケールメリットが得られるほか、チャネル形態が異なることによりチェーン臭さを消すことができるというメリットもある。一方、プロデュース店にとっては、同社が店舗立ち上げ時からプロデュースサービスを提供するため、外食経験がないオーナーでも要望に沿った繁盛店づくりのサポートを得ることができる。このためオーナーの出店意欲は高く、約半数が複数店オーナーとして平均7~8店を運営しているようだ。特に、地盤の関東エリアでは既存オーナーによる出店意欲が非常に高く、新規オーナーの加盟はお断りしているという。一方、西日本などその他のエリアでは新規オーナーを積極的に募集しており、全国展開に拍車をかけている。
(3) 海外展開
同社は、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに海外展開を進めており、米国で直営店3店、アジアでプロデュース店15店を展開している(2023年12月期第3四半期末時点)。米国で展開する「E.A.K. RAMEN」は、味や品質はもちろん、雰囲気やサービスにおいても日本の「おもてなし教育」を徹底している。非常に重要視している事業で、マネージャーや店舗責任者を日本から送り込んでいるほか国内直営店事業の傘下にするなど、中長期的な視野に立った運営を進めている。また、台湾でプロデュース店オーナー企業の倒産の影響はあったものの、基本的に業況が非常に順調なため、タイやベトナムなど東南アジアでFC方式での多店舗展開を開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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