2,061円
コロワイドのニュース
■事業概要
1. 事業内容
ギフト<9279>は「横浜家系ラーメン」を主力ブランドに、直営店事業及びプロデュース事業を行っている。直営店事業部門では、いつでもどの店でも「美味い」と言ってもらえる味の追求はもちろん、エンターテイメント性溢れる店舗空間できめ細やかなサービスを提供している。プロデュース事業部門では、直営店で蓄積された繁盛店ノウハウやPB商品をプロデュース店に提供し、地域で愛される店舗づくりをサポートしている。また、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに、世界中にラーメンの旨さを伝えるべく「E.A.K.(家系)」ブランドを海外で展開している。
(1) 直営店事業部門
「横浜家系ラーメン」は、1974年頃に登場した横浜発祥の豚骨醤油ベースのラーメンで、生ガラ(豚骨、鶏骨等)から取ったダシに醤油のタレを混ぜた豚骨醤油ベースのスープと中太麺、さらにほうれん草やチャーシュー、海苔のトッピングを基本的な盛り付けとしている。加えて、味の濃さ、スープの脂の量、麺のゆで加減、他のトッピングの追加などアレンジ可能な点が特徴で、主力のラーメンのほかMAXラーメン、ネギラーメン、つけ麺が人気となっている。駅近エリアでは原則、店名を「地域名+商店」、例えば荻窪ならば「横浜家系ラーメン荻窪商店」と地域密着性の高い店舗展開をしている。一方、ロードサイドエリアでは「横浜家系ラーメン町田商店」ブランドで統一し、多店舗展開を進めている。
ターゲットは、駅近エリアはサラリーマンや単身層、ロードサイドエリアはファミリー層となる。ロードサイドエリアの店舗は駐車場を有しており敷地が広く、また、ボックス席中心で席数も多い。このため、売上は大きくなるが、投資額が大きく回収期間も長くなる傾向がある。しかしながら、駅近エリア・ロードサイドエリアのいずれも、チェーンストアとして品質の一定など標準化を推進している。なお、「横浜家系ラーメン」は、従来街道沿いの立地が多く、客層はトラックの運転手などに偏っていたが、出店範囲を駅近エリアやロードサイドエリア、客層を女性や家族へと広げたことが、同社の成長の基点になったと思われる。ちなみに、駅近・ロードサイドの対照的な立地でともに人気を博しているラーメン店は多くないと思われ、同社の大きな特徴となっている。
同社は「横浜家系ラーメン」以外のブランドでもラーメン店を直営で展開している。「九州釜焚きとんこつ」は、クリーミーな豚骨スープに細麺を特徴とするラーメンで、麺の硬さは好みにより6段階から選ぶことができ、替え玉が可能である。主力商品はラーメン、ばってん盛りラーメン、ネギラーメンで、町田及び横浜で店舗を展開している(2021年6月末時点、以下同)。コロワイド<7616>から買収した「四天王」の主力商品は醤油ラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメンである(同1店舗展開)。「豚山」は豚骨ベースの醤油スープに、チャーシューをダイナミックに載せたがっつり系ラーメンで、にんにく、野菜、背脂などを好みで調整することができる。主力商品は小ラーメン、小豚ラーメン、汁なし、つけ麺で、商品力が強く「横浜家系ラーメン」と同一エリアに出店してもほとんど競合しないため、「横浜家系ラーメン」に次ぐ第2ブランドとして多店舗展開を進めている。「横浜家系ラーメン」とは原価構成やオペレーションに違いがあるものの、営業利益率は同水準となっている(同17店舗展開)。このほか、定番のみそ業態やしょうゆ業態にも進出もしている。具体的には、中小ラーメンチェーンの(株)ラーメン天華をM&Aしたことにより、「赤みそ家」などみそ業態を獲得(同6店舗展開)したことに加え、新潟県長岡市のご当地生姜醤油ラーメン「長岡食堂」業態を自社開発している。また、海外ブランドとして、家系ラーメンをベースにローカルニーズに合わせた味で提供する「E.A.K. RAMEN」がある(同3店舗展開)。
(2) プロデュース店事業部門
直営店事業部門のほかに、「横浜家系ラーメン」直営店で蓄積された繁盛店ノウハウやPB商品を提供するプロデュース事業部門がある。プロデュース事業部門では、新たにラーメン店の開業を予定している個人や企業など店舗オーナーとの間で「取引基本契約」を締結し、同社が店舗立ち上げ時や店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースサービスを提供し、プロデュース店は麺やタレ、スープ、餃子など同社のPB商品を継続的にパッケージで購入する。店舗立ち上げ時のプロデュースは原則無償で、店舗設計、店舗内サービス、メニュー、仕入ルートなど同社が培ったラーメン店の店舗運営ノウハウを提供する。なお、店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースは原則有償で、プロデュース店オーナーからの要請に基づいて店舗運営ノウハウなど様々なコンサルティングサービスを提供している。最大の特徴は、同社とプロデュース店で屋号が別であり、フランチャイズシステムの運営で通常発生するような保証金や加盟料、経営指導料(ロイヤリティ)、看板代がないことである。オーナーはキッチン、椅子・テーブル、調度品に至るまで自ら調達することになっている。
同社は、プロデュース店により製造におけるスケールメリットが得られるほか、屋号や直営・プロデュース店の混在がなくなることでチェーン臭さを消すことができるというメリットもある。一方、プロデュース店にとっては、同社が店舗立ち上げ時からプロデュースサービスを提供してくれるため、要望に会った繁盛店づくりのサポートを得られる。このため、オーナーの約半数が、複数店オーナーとして平均7店~8店を運営するなど事業化を進めている。したがって、地盤の関東エリアでは既存オーナーによる出店意欲が非常に強く、現在は新規オーナーの募集はしていないということである。一方、西日本などその他のエリアでは、YouTube広告などの販促を活用することで新規オーナーを積極的に募集しており、全国展開に拍車をかけている。
(3) 海外展開
同社は、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに海外展開を進めており、米国で直営店3店、アジアでプロデュース店12店を展開している。ロサンゼルス及びニューヨークにある「E.A.K.RAMEN」は、味や品質はもちろん、雰囲気やサービスにおいても日本の「おもてなし教育」を徹底している。副社長や店舗責任者を日本から送り込むなど非常に重要視している事業で、中長期的な視野で運営している。また、2019年6月に、日系飲食企業のフランチャイズ店を多数展開する台湾のLi Chen B&F Co.,Ltd.とプロデュース契約を締結しており、アジアにおける店舗展開の加速を図っている。なお、2015年にシンガポールに設立した子会社は清算済みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 事業内容
ギフト<9279>は「横浜家系ラーメン」を主力ブランドに、直営店事業及びプロデュース事業を行っている。直営店事業部門では、いつでもどの店でも「美味い」と言ってもらえる味の追求はもちろん、エンターテイメント性溢れる店舗空間できめ細やかなサービスを提供している。プロデュース事業部門では、直営店で蓄積された繁盛店ノウハウやPB商品をプロデュース店に提供し、地域で愛される店舗づくりをサポートしている。また、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに、世界中にラーメンの旨さを伝えるべく「E.A.K.(家系)」ブランドを海外で展開している。
(1) 直営店事業部門
「横浜家系ラーメン」は、1974年頃に登場した横浜発祥の豚骨醤油ベースのラーメンで、生ガラ(豚骨、鶏骨等)から取ったダシに醤油のタレを混ぜた豚骨醤油ベースのスープと中太麺、さらにほうれん草やチャーシュー、海苔のトッピングを基本的な盛り付けとしている。加えて、味の濃さ、スープの脂の量、麺のゆで加減、他のトッピングの追加などアレンジ可能な点が特徴で、主力のラーメンのほかMAXラーメン、ネギラーメン、つけ麺が人気となっている。駅近エリアでは原則、店名を「地域名+商店」、例えば荻窪ならば「横浜家系ラーメン荻窪商店」と地域密着性の高い店舗展開をしている。一方、ロードサイドエリアでは「横浜家系ラーメン町田商店」ブランドで統一し、多店舗展開を進めている。
ターゲットは、駅近エリアはサラリーマンや単身層、ロードサイドエリアはファミリー層となる。ロードサイドエリアの店舗は駐車場を有しており敷地が広く、また、ボックス席中心で席数も多い。このため、売上は大きくなるが、投資額が大きく回収期間も長くなる傾向がある。しかしながら、駅近エリア・ロードサイドエリアのいずれも、チェーンストアとして品質の一定など標準化を推進している。なお、「横浜家系ラーメン」は、従来街道沿いの立地が多く、客層はトラックの運転手などに偏っていたが、出店範囲を駅近エリアやロードサイドエリア、客層を女性や家族へと広げたことが、同社の成長の基点になったと思われる。ちなみに、駅近・ロードサイドの対照的な立地でともに人気を博しているラーメン店は多くないと思われ、同社の大きな特徴となっている。
同社は「横浜家系ラーメン」以外のブランドでもラーメン店を直営で展開している。「九州釜焚きとんこつ」は、クリーミーな豚骨スープに細麺を特徴とするラーメンで、麺の硬さは好みにより6段階から選ぶことができ、替え玉が可能である。主力商品はラーメン、ばってん盛りラーメン、ネギラーメンで、町田及び横浜で店舗を展開している(2021年6月末時点、以下同)。コロワイド<7616>から買収した「四天王」の主力商品は醤油ラーメン、塩ラーメン、味噌ラーメンである(同1店舗展開)。「豚山」は豚骨ベースの醤油スープに、チャーシューをダイナミックに載せたがっつり系ラーメンで、にんにく、野菜、背脂などを好みで調整することができる。主力商品は小ラーメン、小豚ラーメン、汁なし、つけ麺で、商品力が強く「横浜家系ラーメン」と同一エリアに出店してもほとんど競合しないため、「横浜家系ラーメン」に次ぐ第2ブランドとして多店舗展開を進めている。「横浜家系ラーメン」とは原価構成やオペレーションに違いがあるものの、営業利益率は同水準となっている(同17店舗展開)。このほか、定番のみそ業態やしょうゆ業態にも進出もしている。具体的には、中小ラーメンチェーンの(株)ラーメン天華をM&Aしたことにより、「赤みそ家」などみそ業態を獲得(同6店舗展開)したことに加え、新潟県長岡市のご当地生姜醤油ラーメン「長岡食堂」業態を自社開発している。また、海外ブランドとして、家系ラーメンをベースにローカルニーズに合わせた味で提供する「E.A.K. RAMEN」がある(同3店舗展開)。
(2) プロデュース店事業部門
直営店事業部門のほかに、「横浜家系ラーメン」直営店で蓄積された繁盛店ノウハウやPB商品を提供するプロデュース事業部門がある。プロデュース事業部門では、新たにラーメン店の開業を予定している個人や企業など店舗オーナーとの間で「取引基本契約」を締結し、同社が店舗立ち上げ時や店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースサービスを提供し、プロデュース店は麺やタレ、スープ、餃子など同社のPB商品を継続的にパッケージで購入する。店舗立ち上げ時のプロデュースは原則無償で、店舗設計、店舗内サービス、メニュー、仕入ルートなど同社が培ったラーメン店の店舗運営ノウハウを提供する。なお、店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースは原則有償で、プロデュース店オーナーからの要請に基づいて店舗運営ノウハウなど様々なコンサルティングサービスを提供している。最大の特徴は、同社とプロデュース店で屋号が別であり、フランチャイズシステムの運営で通常発生するような保証金や加盟料、経営指導料(ロイヤリティ)、看板代がないことである。オーナーはキッチン、椅子・テーブル、調度品に至るまで自ら調達することになっている。
同社は、プロデュース店により製造におけるスケールメリットが得られるほか、屋号や直営・プロデュース店の混在がなくなることでチェーン臭さを消すことができるというメリットもある。一方、プロデュース店にとっては、同社が店舗立ち上げ時からプロデュースサービスを提供してくれるため、要望に会った繁盛店づくりのサポートを得られる。このため、オーナーの約半数が、複数店オーナーとして平均7店~8店を運営するなど事業化を進めている。したがって、地盤の関東エリアでは既存オーナーによる出店意欲が非常に強く、現在は新規オーナーの募集はしていないということである。一方、西日本などその他のエリアでは、YouTube広告などの販促を活用することで新規オーナーを積極的に募集しており、全国展開に拍車をかけている。
(3) 海外展開
同社は、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに海外展開を進めており、米国で直営店3店、アジアでプロデュース店12店を展開している。ロサンゼルス及びニューヨークにある「E.A.K.RAMEN」は、味や品質はもちろん、雰囲気やサービスにおいても日本の「おもてなし教育」を徹底している。副社長や店舗責任者を日本から送り込むなど非常に重要視している事業で、中長期的な視野で運営している。また、2019年6月に、日系飲食企業のフランチャイズ店を多数展開する台湾のLi Chen B&F Co.,Ltd.とプロデュース契約を締結しており、アジアにおける店舗展開の加速を図っている。なお、2015年にシンガポールに設立した子会社は清算済みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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