パリミキホールディングスのニュース
パリミキHD、国内事業は外出機会増加に伴う今後の消費回復に期待 海外事業は概ね回復傾向
2022年3月期 連結業績/PL
澤田将広氏(以下、澤田):動画をご視聴いただき、ありがとうございます。株式会社パリミキホールディングス代表取締役社長の澤田将広でございます。本日は、2022年度3月期の決算内容についてご説明します。
新型コロナウイルスの感染拡大がいまだ収束しない中、「withコロナ」として、コロナ禍との共存手段を模索しながら3度目の本決算を迎えました。当期末決算の数字については、スライドに記載のとおりとなりました。
新型コロナウィルス感染拡大の影響
当期の国内において売上回復の兆しが見えたかと思うと、コロナ禍の波が押し寄せる状況が幾度も繰り返され、特に第6波と言われるオミクロン株の流行により感染者数が爆発的に増加した2月、3月の業績は激しく落ち込んだため、11月の業績予想修正から再度修正せざるを得ない状況になりました。
グループ現状
ただ、このような状況の中でご来店くださるお客さまに対しては、感染予防に留意しながら、ご満足いただける対応ができるように努めてきました。現在はコロナ禍も収束に向かっているため、今後消費回復が期待できると我々は考えています。
今期4月の月次売上に関しても前期を上回り、また、緊急事態宣言や外出自粛のない3年ぶりのゴールデンウィークにおける来店者数も順調に推移しており、中でも特に、外出機会の増加に伴いサングラスの販売が顕著に伸びています。今後の業績回復に関しても、十分に自信を持って臨むことができると考えています。
2022年3月期 連結業績/PL
海外法人においては日本より厳しい統制のもと、多くの法人が休業を余儀なくされることもありましたが、アメリカを筆頭に業績が回復傾向となっており、今後は海外事業の業績を牽引していた東南アジア各法人の回復とともに、コロナ禍以前のように大きく改善できると考えています。
2023年3月期 予想
2023年3月期の予想です。主な前提としては国内において17店の出店、20店の退店を予定しています。店舗総数は微減となりますが、1店舗あたりの売上高の増加により、売上高、営業利益ともに、前期を上回る予想となっています。
2023年3月期 予想
配当については、株主のみなさまへ可能な限り安定的に配当したいと考えています。将来への投資は株価を上げるために行っていきますが、財務状況により配当は可能であるため、前年同様に年間6円を予定しています。コロナ禍によって当初の計画どおりにいかないことも多々ありましたが、目先の利益よりも未来への投資を重視し、数年かけて行ってきた不採算店の統廃合もようやく目処が立ちました。
創業以来、初めて発表した3年間の中期経営計画の初年度となる今期は、我々の経営、コスト、収益構造における抜本的な改善をよりドラスティックに進め、黒字化必達に向けて邁進していく覚悟です。
中期経営目標の全体像:私たちが目指すもの
司会者:2022年度から2024年度までの3年間の中期経営計画について、前回から更新された内容を中心におうかがいしていきます。まず、パリミキの存在意義(Purpose)として「『トキメキ』と『あんしん』でお一人おひとりをより豊かに」を挙げていますが、具体的にはどのようなことになりますでしょうか?
澤田:パリミキホールディングスは国内のメガネ販売、小売販売以外にもメディカル部門や海外においても展開しています。メガネの生産地として、福井県鯖江市に工場がありますが、生産部門また修理部門も持っています。
新しい価値軸で豊かさ(トキメキ × あんしん)を提供
店舗を展開している関係上、建築・施工業といった分野も持っている中、我々は「お一人おひとりに合わせる」というコンセプトがあり、地域やお客さまに合わせて店装を変えています。
例えば、若者が集まる地域においては、エンターテインメント型で非常に楽しくなるようなお店となっています。当社は「パリミキ」ということで、パリにゆかりがあるため、ショッピングセンターにおいては、パリのテイストがあるコンセプトになっています。
郊外店においては、従来のメガネ屋とはまったく異なる、山小屋のようなロッジをコンセプトにカフェを併設し、トキメキを感じていただけるような空間を作っています。
海外事業 眼科医療との融合・協業を軸に東南アジアで展開
「あんしん」の分野では、ベトナムに眼科医院を設立しています。日本の持っている高い医療技術や医療機器を現地の方々に提供し、院内にパリミキを併設することにより、さらに技術レベルの高いメガネをご提供できるよう、東南アジアを中心に展開しています。
メディカル領域の協業(海外・国内)
現在国内では、医療関連会社であるメディシェアードが、眼科業務のコンサルティング部門で活躍しています。医療機器であるメガネには、メディカル的要素が非常に多いため、眼科医とコミュニケーションを取り、より高い「あんしん」を求めて推し進めています。
メディカル協業の新展開(海外・国内)
司会者:ビジョンとして、「2030年、私たちは世界的な『ホスピタリティブランド』になる」を掲げていますが、前回の骨子版発表以降、そのための具体的な内容に何か進展はありましたか?
澤田:まず「あんしん」の分野では、ベトナムに2号店をオープンさせます。海外においても、眼科内にパリミキを併設し、もちろんその眼科も我々が運営しながら、より高い技術レベルのメガネを提供できるよう、東南アジアを中心に順次展開していきたいと思っています。
今回、国内初の医療モールを作りました。モール内に眼科、薬局、メガネ店が入り、より高い「あんしん」を求めたコラボレーションで、本当に安心して使っていただけるパリミキのメガネを作っていきます。
オーディオライフケアの充実
司会者:目だけでなく、耳や「聞こえ」に関しても今後ますます力を入れる計画だとうかがいました。
澤田:補聴器を装用することに関して、抵抗感やネガティブな感情をお持ちのお客さまもかなりいらっしゃいますが、やはりご家族がコミュニケーションに困り、ご年配の方をお店に連れてくるパターンが多いのです。
装用時期では70代後半、団塊の世代が補聴器市場に参入すると言われていますが、この世代はビートルズ世代です。1960年代から1970年代にかけてのオーディオブームでアナログレコードの音を経験し、音には非常にこだわりを持っています。
その意味でも、ただ単に会話の補助のための補聴器ではなく、「音を楽しむ」ことを経験している方々が音楽を楽しむことにも補聴器が活躍できるのではないか、そこに市場があるのではないかと私は考えています。音を楽しんでいただくための補聴器という市場を積極的に作っていきたいと思います。
司会者:まさに「トキメキ」のご提供ということですね。
澤田:そのとおりです。
従来の概念を超えた独自のチェーン店舗展開
司会者:先ほど少しお話に出ていたお店作りについても、お客さまが楽しめるトキメキ要素をたくさん取り入れているそうですね。
澤田:今までは塔屋の店に象徴されるような、いわゆる「メガネ屋」というイメージのお店が非常に多かったです。「どうしたら若者に振り向いてもらえるだろうか?」と考え、1950年代のアメリカ、アメリカングラフィティをコンセプトに、音楽をテーマにし、例えばジュークボックスを置いてみたり、ギターやドラムを飾ったり、店内でライブを開催してしまうような突き抜けたお店を作りました。
この「トキメキ」の分野では、お客さまが本当に「入ってみたい」と思うような店作りをしないと、やはり今後はなかなか難しいということに気付き、そのロケーションに合わせたお店づくりをしていこうと、次に取りかかったのが独立店舗です。
地域・立地に合わせた出店・改装の加速
社名は「パリミキ」でありながらパリらしい店が1軒もないため、パリが一番輝いていた時代をコンセプトにした店を作ったところ、これも地元のお客さまの支持を得て大成功しました。
特に郊外店では、時を重ねて色あせてきたこともあり、作るのなら今までにないような店にしたいと思っていたのですが、たまたま奈良県桜井市が大和杉の名産地だということで、木をイメージしたログハウス風のロッジ型店舗を作りました。
店内にカフェを併設したり、滑り台を置いたり、メガネ屋らしくない店舗のオープンには、我々が予想していた以上の反響があり、本当に大成功と言っていいほど地域のお客さまに支持いただいていると思います。
我々には、このロッジ型店舗の出店を2030年までに100店舗を目指すという目標があります。3年計画の中で、2024年度までに半分の50店舗を目指して、非常に出店を加速しているところです。
出店・改装の加速による利益改善
そのほとんどが我々の売上や利益の上位に来ており、地方の店の再生つまり、郊外店の再生に向けて一番有効なのではないかということで、今後も出店・改装を加速していきたいと思っています。
「あんしん」を支える人材育成
司会者:「あんしん」の部分についてもおうかがいしたいのですが、安心をご提供されるために、高い技術力を身につける人材育成にも力を入れていますか?
澤田:特に、最近お子さまの近視が社会問題にもなっています。日本だけではないですが、ゲームやスマートフォンなどが非常に発達して、近視になっていくお子さまが非常に多いです。
このようなお子さまのメガネは、手軽さや価格の安さなどで選ぶのではなく、メガネの知識が非常に高いメガネ店、つまり眼科とのパイプの太いメガネ店が必要になるのではないかと思います。
一時的に少し近視になっているお子さまもいるので、「眼科医にご紹介をしたほうがよい」などと判断をする、そのようなメガネ店でなければいけないと感じています。
それと同時に、遠近両用のメガネは、測定に非常に技術を要します。技術力や知識が本当に求められるため、今年から「眼鏡作製技能士」がライセンス化されます。我々は10年くらい前から国家資格制を目指す団体を積極的にサポートをしてきました。
ようやくみなさまの努力が実って国家資格化になるわけですが、我が社は約700名くらいの資格者を輩出できるのではないかと思います。業界でも最大になると予測をしており、3年でその数を1,200名程度にしたいと思います。十分、我々が到達できる数字ではないかと感じています。
地球を元気にする委員会 ~パリミキのサステナビリティに対する取り組み~
司会者:「地球を元気にする委員会」についてお聞かせください。
澤田:最近、環境に優しいなど、SDGsやサステナビリティなどとよく言われていますが、我々も真剣にそこは取り組む必要があると感じています。
特に、我々は自社工場を鯖江に持っています。メイドインジャパンという高品質のメガネを、お求めやすい価格でみなさまにお届けするというコンセプトなのですが、商品がよいと当然長持ちします。長持ちするということは、やはり資源に対しても非常に優しいわけです。
また、我々は修理部門の会社をグループ内に持っています。そこで10年使ったメガネがまた新品仕上げになるというようなこともできます。そのあたりも、地球に優しいという我々の運動の1つだと思っています。
社会貢献活動の継続
グローバルな人材育成にも力を入れています。世界14カ国に店舗展開をしていますので、日本とまったく常識の異なった違った環境の中で、いろいろな問題に直面します。それをどう解決していくのかということを日々繰り返すことによって、本当に国際的な視野に立ったマネジメントができるような人材が育っていきます。
日本だけではなくて世界に対して、どのようなビジネスを成長できるのか、また現地の人たちに、どのようなお困り事に対する解決ができるのかということを、地球規模で考えられる会社に成長できるのではないかと思っています。そのためグローバル人材を、できるだけ今後も積極的に育成していきたいと考えています。
澤田氏よりご挨拶
コロナ禍にあっても、通常の投資をしていくというのは非常に勇気が必要でしたが、その前進を止めずに積極的に投資を行ってきました。
それに伴い、思った数字が出ない期もありましたが、ここで投資を止めて前進を止めてしまうと、将来に道が開けないため、できるだけ積極的な投資を行ってきました。
今期は、店舗統廃合もおおよそ見えてきていますので、これからはお店の数も少しずつ増えていく状況になると思います。また、会社の体質も徐々に筋肉質になっていますので、中期経営計画の3年で、しっかりした利益体質を作り上げていきたいと考えています。
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