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良品計画のニュース
*13:05JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(5):大規模木造建築(非住宅)は前期比61.7%増と大きく成長(1)
■業績動向
1. 2024年3月期の業績
エヌ・シー・エヌ<7057>の2024年3月期業績は、売上高7,998百万円(前期比13.4%減)、売上総利益2,204百万円(同6.5%減)、営業利益83百万円(同80.3%減)、経常利益47百万円(同89.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益0百万円(同99.9%減)となった。住宅業界では、資材価格の値上がりを背景に住宅販売価格が上昇している。国土交通省が発表した2023年度の住宅着工統計調査報告によると、新設住宅着工戸数は800,176戸で前年比7.0%減、持家の新設住宅着工戸数は219,622戸で同11.5%減と、減少が続いている。このようななか、主力の住宅分野ではSE構法登録施工店の拡大に向けての営業活動を推進し、新規に28社加入し、計606社とするなどの成果をあげたが、大口取引先である大手ハウスメーカーの業績悪化等に伴う受注高減少と、ウッドショックからの回復により相場の落ち着きを見せた主要材料の単価の下落を販売単価に反映したことから、売上高は同31.9%減少した。一方、大規模木造建築(非住宅)分野は好調で、同61.7%増と成長したものの、全体では減収となった。利益面では、建築基準法改正に伴う2025年以降の構造計算ニーズ増大に向けての積極的なWebマーケティング活動を実施したことにより、販管費が増加した。ほかにも、連結子会社3社(MAKE HOUSE、木構造デザイン、翠豊)の営業損失19百万円、持分法適用関連会社2社(MUJI HOUSE、N&S開発)の持分法投資損失及び未実現利益の消去による営業外損失52百万円、同社単体での関連会社の持分法投資損失27百万円の計上により、大幅な減益となった。MUJI HOUSEについては、戸建て住宅販売において、2022年からのウッドショックの影響を受け、それ以前から受注していた案件の採算が取れなくなったことが主因で損失を計上した。
2. 事業セグメントとセグメント売上高
2024年3月期における住宅業界の状況については、新設住宅着工戸数が前年比7.0%減となった。月次ベースでは一時的な回復傾向を見せたものの、5年連続で減少が続いた。特に持家については同11.5%減と、2年連続で2ケタ台の減少率を見せるなど、減少が顕著で、厳しい市場環境となっている。ただし、月次ベースでは、2024年4月の新設住宅着工戸数は76,583戸となり、前年同月比では13.9%と11ヶ月ぶりにプラスに転じ、前月比でも19.2%増加した。持家は前年同月比で減少傾向が続くものの、減少幅が縮小しており、回復の兆しが見えてきた。
一方、同社が手掛ける大規模木造建築では、2021年10月に改正された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」、さらに2022年6月には、同法の一部を改正する法律に基づき、大規模建築物について大断面材を使用した建築物全体の木造化や、区画された範囲内で部分的な木造化を可能とするなど、脱炭素社会実現に向けた政府の動きが追い風になっている。同社は、SE構法以外の非住宅木造建築物の構造計算、生産設計を行う木構造デザインの設立、大規模木造建築に必要な大断面集成材加工やその施工力に強みを持つ翠豊の子会社化等のインフラ整備を進めてきたことで、その事業領域が拡大している。さらに、別荘などSE構法の高付加価値住宅は完全注文住宅であるほか、新しいライフスタイルを提案するセカンドハウスマーケットの開拓するなどしており、新たな生活様式の浸透によって需要拡大が見込まれる。
また、2022年6月の通常国会で建築基準法の改正が決議され、2025年4月より木造住宅の省エネルギー性能の確保が義務となる。従来に比べ高度な省エネルギー性能基準と、木造における確認申請基準(4号特例)の改定内容が発表され、木造住宅における簡易設計(壁量計算)の基準強化(壁量の増加)が公表された。同社は創業以来、木造住宅の構造設計を主業務としており、これまで国の政策に先駆けて取り組んできた様々な成長投資の成果が業績面に表れてきている。2025年以降の構造計算ニーズ増大に対応すべく、脱炭素社会に向けた建築物の木造化への準備を整えている。
住宅分野の売上高は4,888百万円(前期比31.9%減)だった。SE構法出荷数は907棟(同23.3%減)となり、主要材料の価格がウッドショック前まで下落したことで、SE構法出荷1棟当たりの平均売上金額も前年同期比で5%程度下落(2024年3月期第1四半期時点)した。SE構法登録施工店は新規に28社加入し、606社となった。
大規模木造建築(非住宅)分野の売上高は2,759百万円(前期比61.7%増)と大きく成長した。SE構法出荷数は136棟(同41.7%増)となった。SE構法以外の大規模木造建築設計を扱う木構造デザインでは、木造建築の構造計算ニーズの増大により案件の引き合いが増えたことや、継続的なプロモーション活動を実施したことで、構造計算出荷数が84棟(同61.5%増)となった。これにより、同社が手掛けたSE構法の構造計算出荷数142棟(同1.4%増)と合わせて、大規模木造建築物(非住宅)の構造計算出荷数は226棟(同17.7%増)と大きく増加した。2022年10月に大断面集成材加工や木材の特殊加工、大規模木造建築の施工力に強みを持つ翠豊を子会社化したことにより、大規模木造建築分野における事業領域が拡大している。加えて、2023年5月にはSE構法による木造5階建対応について日本建築センターの構造評定を取得した。同社の木構造技術センターでの技術研究・開発の成果によるものだ。これにより、従来は防火・構造上建築確認申請が認められなかった3階建て以上の木造建築が、SE構法により比較的容易に確認申請が認められる展望が開けたため、工務店や地方ゼネコンなどが木造の中・高層建築へと事業参画するサポート体制を強化していく。
また、2023年5月に持分法適用関連会社のMUJI HOUSEが良品計画<7453>、及び農林水産省(林野庁)と「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結した。これは、良品計画が自社の木造店舗等の整備で、構造材や内外装に国産木材を積極的に活用することで、2050年のカーボンニュートラルの実現や山村の活性化等に貢献していく構想の一環で、今後5年間で10,000m2の国産材を活用して店舗を木造化する。「無印良品の家」の建築等を展開するMUJI HOUSEがSE構法で木造店舗の建設を行う計画だが、実質的には同社が構造計算・省エネ計算からプレカット資材の供給、登録施工店による施工を行うことになる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<AS>
1. 2024年3月期の業績
エヌ・シー・エヌ<7057>の2024年3月期業績は、売上高7,998百万円(前期比13.4%減)、売上総利益2,204百万円(同6.5%減)、営業利益83百万円(同80.3%減)、経常利益47百万円(同89.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益0百万円(同99.9%減)となった。住宅業界では、資材価格の値上がりを背景に住宅販売価格が上昇している。国土交通省が発表した2023年度の住宅着工統計調査報告によると、新設住宅着工戸数は800,176戸で前年比7.0%減、持家の新設住宅着工戸数は219,622戸で同11.5%減と、減少が続いている。このようななか、主力の住宅分野ではSE構法登録施工店の拡大に向けての営業活動を推進し、新規に28社加入し、計606社とするなどの成果をあげたが、大口取引先である大手ハウスメーカーの業績悪化等に伴う受注高減少と、ウッドショックからの回復により相場の落ち着きを見せた主要材料の単価の下落を販売単価に反映したことから、売上高は同31.9%減少した。一方、大規模木造建築(非住宅)分野は好調で、同61.7%増と成長したものの、全体では減収となった。利益面では、建築基準法改正に伴う2025年以降の構造計算ニーズ増大に向けての積極的なWebマーケティング活動を実施したことにより、販管費が増加した。ほかにも、連結子会社3社(MAKE HOUSE、木構造デザイン、翠豊)の営業損失19百万円、持分法適用関連会社2社(MUJI HOUSE、N&S開発)の持分法投資損失及び未実現利益の消去による営業外損失52百万円、同社単体での関連会社の持分法投資損失27百万円の計上により、大幅な減益となった。MUJI HOUSEについては、戸建て住宅販売において、2022年からのウッドショックの影響を受け、それ以前から受注していた案件の採算が取れなくなったことが主因で損失を計上した。
2. 事業セグメントとセグメント売上高
2024年3月期における住宅業界の状況については、新設住宅着工戸数が前年比7.0%減となった。月次ベースでは一時的な回復傾向を見せたものの、5年連続で減少が続いた。特に持家については同11.5%減と、2年連続で2ケタ台の減少率を見せるなど、減少が顕著で、厳しい市場環境となっている。ただし、月次ベースでは、2024年4月の新設住宅着工戸数は76,583戸となり、前年同月比では13.9%と11ヶ月ぶりにプラスに転じ、前月比でも19.2%増加した。持家は前年同月比で減少傾向が続くものの、減少幅が縮小しており、回復の兆しが見えてきた。
一方、同社が手掛ける大規模木造建築では、2021年10月に改正された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」、さらに2022年6月には、同法の一部を改正する法律に基づき、大規模建築物について大断面材を使用した建築物全体の木造化や、区画された範囲内で部分的な木造化を可能とするなど、脱炭素社会実現に向けた政府の動きが追い風になっている。同社は、SE構法以外の非住宅木造建築物の構造計算、生産設計を行う木構造デザインの設立、大規模木造建築に必要な大断面集成材加工やその施工力に強みを持つ翠豊の子会社化等のインフラ整備を進めてきたことで、その事業領域が拡大している。さらに、別荘などSE構法の高付加価値住宅は完全注文住宅であるほか、新しいライフスタイルを提案するセカンドハウスマーケットの開拓するなどしており、新たな生活様式の浸透によって需要拡大が見込まれる。
また、2022年6月の通常国会で建築基準法の改正が決議され、2025年4月より木造住宅の省エネルギー性能の確保が義務となる。従来に比べ高度な省エネルギー性能基準と、木造における確認申請基準(4号特例)の改定内容が発表され、木造住宅における簡易設計(壁量計算)の基準強化(壁量の増加)が公表された。同社は創業以来、木造住宅の構造設計を主業務としており、これまで国の政策に先駆けて取り組んできた様々な成長投資の成果が業績面に表れてきている。2025年以降の構造計算ニーズ増大に対応すべく、脱炭素社会に向けた建築物の木造化への準備を整えている。
住宅分野の売上高は4,888百万円(前期比31.9%減)だった。SE構法出荷数は907棟(同23.3%減)となり、主要材料の価格がウッドショック前まで下落したことで、SE構法出荷1棟当たりの平均売上金額も前年同期比で5%程度下落(2024年3月期第1四半期時点)した。SE構法登録施工店は新規に28社加入し、606社となった。
大規模木造建築(非住宅)分野の売上高は2,759百万円(前期比61.7%増)と大きく成長した。SE構法出荷数は136棟(同41.7%増)となった。SE構法以外の大規模木造建築設計を扱う木構造デザインでは、木造建築の構造計算ニーズの増大により案件の引き合いが増えたことや、継続的なプロモーション活動を実施したことで、構造計算出荷数が84棟(同61.5%増)となった。これにより、同社が手掛けたSE構法の構造計算出荷数142棟(同1.4%増)と合わせて、大規模木造建築物(非住宅)の構造計算出荷数は226棟(同17.7%増)と大きく増加した。2022年10月に大断面集成材加工や木材の特殊加工、大規模木造建築の施工力に強みを持つ翠豊を子会社化したことにより、大規模木造建築分野における事業領域が拡大している。加えて、2023年5月にはSE構法による木造5階建対応について日本建築センターの構造評定を取得した。同社の木構造技術センターでの技術研究・開発の成果によるものだ。これにより、従来は防火・構造上建築確認申請が認められなかった3階建て以上の木造建築が、SE構法により比較的容易に確認申請が認められる展望が開けたため、工務店や地方ゼネコンなどが木造の中・高層建築へと事業参画するサポート体制を強化していく。
また、2023年5月に持分法適用関連会社のMUJI HOUSEが良品計画<7453>、及び農林水産省(林野庁)と「木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定」を締結した。これは、良品計画が自社の木造店舗等の整備で、構造材や内外装に国産木材を積極的に活用することで、2050年のカーボンニュートラルの実現や山村の活性化等に貢献していく構想の一環で、今後5年間で10,000m2の国産材を活用して店舗を木造化する。「無印良品の家」の建築等を展開するMUJI HOUSEがSE構法で木造店舗の建設を行う計画だが、実質的には同社が構造計算・省エネ計算からプレカット資材の供給、登録施工店による施工を行うことになる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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