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市光工業のニュース
―政府が積極的に推進する国策テーマ、25年度メドにレベル4目標50ヵ所―
自動運転の早期実用化に向けた取り組みが活発化している。6月に開かれたデジタル行財政改革会議で国土交通相が提出した資料によると、補助事業などを通じて2024年5月1日時点において一般道16ヵ所で通年運行事業が実施されている。24年度はこれまでの継続事業を含め全都道府県で計99件の事業を採択しており、このうち26件は通年運行を予定。一般道での自動運転について24年度中に約100ヵ所で計画・運行を行い、25年度には全都道府県での通年運行の計画策定または実施を目指す方針だ。政府は「25年度をメドに50ヵ所でレベル4(一定の条件下でシステムがすべての運転操作を実行)の移動サービスを実現する」との目標を掲げており、各社の動向から目が離せない。
●各地で取り組み続々
労働時間規制などによるトラックドライバー不足の問題が深刻化しているほか、利用者の減少から地域交通を維持することが困難になっており、自動運転などのモビリティ技術を活用した持続可能な物流・公共交通の実現が急務となっている。
こうしたなか、5月には滋賀県、日本電信電話 <9432> [東証P]グループの西日本電信電話とNTTビジネスソリューションズ、マクニカホールディングス <3132> [東証P]傘下のマクニカが「滋賀県自動運転社会実装推進事業コンソーシアム協定」を締結し、国交省の「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業)」に採択された。この事業では都市構造や移動特性、ニーズ、人口密度、交通資源などを踏まえ、自動運転技術に適した地域を洗い出し、フィジビリティ(実行可能性)調査、リスクアセスメント、3Dマップ作成など、来年度の実証運行を目指して調査を実施する。
鹿島建設 <1812> [東証P]、ソフトバンク <9434> [東証P]子会社のBOLDLYなどは6月、大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」内の道路でBOLDLYが運行する自動運転バス「ARMA(アルマ)」を自動運転レベル4で運行する許可を取得したと発表。民間企業主体の事業で、自動運転レベル4での車両の運行が許可されたのは国内初で、将来的にはHICityと羽田空港を結ぶHICity外のルートにおける自動運転サービスの提供を目指すという。
川崎市は7月、都市部における自動運転バスの実装をテーマとした提案事業について、国交省の「自動運転社会実装推進事業」に採択されたと発表。これは自動運転バスのレベル4の実装に向けたもので、アイサンテクノロジー <4667> [東証S]、京三製作所 <6742> [東証P]、KDDI <9433> [東証P]などが参加している。
愛知県は10月から名古屋市内で自動運転車両の定期運行を始める予定だ。同月に開業するオープンイノベーション拠点「STATION Ai」と名古屋駅付近を自動運転車両で結ぶもので、交通量の多い都市部における幹線道路の車速に沿った自動運転車両による定期運行は全国初の取り組み。また、他地域でも実証実験を行う予定で、常滑市ではソリトンシステムズ <3040> [東証P]が車載カメラからの映像伝送システムを担うほか、長久手市では東海理化電機製作所 <6995> [東証P]は遠隔監視システムや乗客安全支援システムを提供する。
●社会実装支える銘柄群
これ以外では直近で、産業技術総合研究所などと低環境負荷カーボンナノチューブ複合セルロース繊維を開発したオーミケンシ <3111> [東証S]に注目したい。これは製造時の環境負荷を抑えながら高強度レーヨンに迫る強度と伸度を実現。タイヤコード(タイヤの形状を保持する補強用の繊維)におけるレーヨンの代替として大きなポテンシャルを秘めており、ランフラットタイヤへの導入により、自動運転システムの普及を後押しするものだという。
ヨコオ <6800> [東証P]はこのほど、一部の特定エリアや建物、敷地内に、高速かつ安定した専用の5G通信環境を構築する世界最小クラスの小型ローカル5G(Sub6)対応MIMOアンテナを開発した。ローカル5Gは、高精細映像をリアルタイムに伝送できることから自動運転車両の遠隔監視や、建機、重機などの遠隔操作などでの活用が期待されている。
Kudan <4425> [東証G]は6月、自動運転のオープンソースソフトウェアプロジェクト「Autoware」を主催する国際業界団体「The Autoware Foundation」(オートウェアファウンデーション、東京都品川区)に加盟したことを明らかにした。同社は「Autoware」ソフトウェアとの技術互換性の連携だけでなく、参画企業との事業連携及び共同プロジェクトの推進が大きく加速することで、新規市場も含めた自動運転案件を伸ばしていく見込みだ。
モルフォ <3653> [東証G]は5月から、人工知能(AI)を利用して自動車が走行中に撮影した車載映像から即座にカメラの位置関係を推定する走行キャリブレーション技術「Morpho Visual Calibrator」の提供を開始。この技術はフロントカメラやリアカメラなど、さまざまな車載カメラやセンサーを適用対象としており、高精度にカメラの姿勢情報を算出することが可能だという。
デジタルハーツホールディングス <3676> [東証P]は4月、生成AIを活用した完全自動運転車両の開発に取り組むTuring(チューリング、東京都品川区)に資本参加した。同社は今後開発が進むことが想定される車内エンターテインメントコンテンツのデバッグなどにおける業務提携も視野に入れた強固なパートナーシップを構築することで、更なる成長を目指す考え。なお、チューリングにはエイチ・アイ・エス <9603> [東証P]や松竹 <9601> [東証P]グループのコーポレート・ベンチャー・キャピタルである松竹ベンチャーズなども出資している。
また、自動走行向け遠隔運行管理システムなどで実績のあるシステナ <2317> [東証P]、自動運転の実現に向けた統合的な技術開発を行っているフィックスターズ <3687> [東証P]、車載ソフトウェア開発に強みを持つ東海ソフト <4430> [東証S]、傘下企業が自動運転用特殊塗料「ターゲットラインペイント」を展開している日本ペイントホールディングス <4612> [東証P]、AIと自動運転技術を活用した新しい運転教習システムを手掛けるAI教習所(福岡県大野城市)に出資しているFusic <5256> [東証G]、車載向け短距離LiDAR(ライダー、自動運転で目の役割を果たす高性能センサー)を手掛ける小糸製作所 <7276> [東証P]、自動運転に対応した新製品の開発に注力する市光工業 <7244> [東証P]なども関連銘柄として挙げられる。
株探ニュース
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