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トレードワークス Research Memo(2):金融業界特化の独立系システム開発会社として成長。事業領域拡大中(1)

配信元:フィスコ
投稿:2023/09/19 12:42
*12:42JST トレードワークス Research Memo(2):金融業界特化の独立系システム開発会社として成長。事業領域拡大中(1) ■会社概要

1. 会社沿革
トレードワークス<3997>は、現 代表取締役社長の浅見勝弘(あさみかつひろ)氏によって、証券会社のシステム開発を目的に1999年に設立された。浅見氏は、元々外資系IT企業のエンジニアとして金融系ネットワークシステムのコンサルティング業務に携わっていたが、1990年代前半の国内の証券取引システムが米国よりも大きく遅れていたことから、国内でも先進的な証券取引システムが普及することを予見し、起業することを決断した。金融業界向けに特化していくことを決めたのは、常に先進的なITシステムが求められる業界であり、エンジニアとして一生涯システム開発に関わるだけのモチベーションを維持することが可能と考えたためだ。

会社設立後、初めての顧客は現在も主要取引先の1社であるインターネット専業の証券会社で、インターネット証券取引システムを開発し納品した。1990年代までの証券会社の取引システムは、その大半が大手証券会社系列のシステム開発会社で開発したものを利用していたが、2000年以降インターネットの普及とともにインターネット専門の証券会社が相次いで設立され、同社はこれら新興の証券会社を中心に受注を獲得し業績を伸ばしてきた。提供する製品としては主力のインターネット証券取引システム「TradeAgent」のほか、不公正取引監視システムなどがある。

2007年には事業領域を拡大するため、FX取引システムを開発するワークステクノロジー(株)に資本参加し、子会社化した(2016年4月に解散、同社が事業を継承)。また、金融業界以外の新規事業領域への展開を図るべく、2010年にセキュリティ診断事業に参入したほか、2019年よりリーガルテック領域でAIチャットボットサービス「スマート法律相談」システムを開発、提供を開始した。また、2021年にはクラウドECプラットフォーム「Emerald Blue」を開発、同年12月に資本業務提携を締結したコネクテッドコマース(株)の運営するリアル×デジタル体験型店舗「AZLM」※1 向けに提供を開始したほか、アイエント(株)との協業により日本初のオンライン免税ECサービス「Tax Free Online」※2 を開発、提供を開始した。2022年1月には暗号通貨取引システムの開発等を手掛けるCXRエンジニアリング(株)と資本業務提携を締結し、次世代金融ソリューションにも領域を拡大しつつある。事業領域の拡大以外にも、開発リソースの強化と新規事業領域への展開加速を目的に、2022年3月に大阪に拠点を置くITシステム開発会社あじょ、2023年7月には東京に拠点を置くペガサス・システムを相次いで子会社化するなど、積極的な事業展開を進めている。なお、株式上場は2017年11月で東証JASDAQ市場に上場し、2022年4月の東証市場再編によりスタンダード市場に移行している。

※1 「AZLM」は先進的な技術を駆使したデジタルプロモーションとECを組み合わせた体験型店舗。ECプラットフォームやOMOプラットフォームを同社が提供している。2023年8月時点で「AZLM TOBU池袋店」など3店舗が運営されている。
※2 「Tax Free Online」は訪日観光客をターゲットに「旅マエ、旅ナカ」のいずれの段階でもECサイトを通じて免税品の購入が可能となるサービスで、注文・決済はスマートフォンアプリを通じて行い、商品は提携先の宿泊施設や空港で受け取る仕組み。同社はECサイトの開発料や保守サービス料のほか、流通額に応じたレベニューシェアを受け取る契約となっている。


2. 事業内容
同社の事業は金融ソリューション事業、FXシステム事業、セキュリティ診断事業、デジタルコマース事業と、子会社のあじょで展開するソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業の5事業にわけて売上高を開示している。従前は金融ソリューション事業が売上高の約9割を占めていたが、2022年にあじょを子会社化し、またデジタルコマース事業を強化したことから、2023年12月期第2四半期累計では84.7%となっている。今後も新規事業領域の拡大が進めば、金融ソリューション事業の構成比は低下する可能性があるが、今後も同社の業績をけん引するコア事業であり続けることに変わりはない。

(1) 金融ソリューション事業
金融ソリューション事業では、主に証券会社や金融情報システムサービス会社向けのシステム開発・保守・運用サービスを行っている。売上形態はフロー型ビジネス(パッケージ製品販売や請負開発)と製品導入後の保守・運用サービスが2018年12月期までは売上高の過半を占めていたが、クラウドサービスの普及拡大によってここ数年はストック型ビジネス(SaaS型クラウドサービス、顧客に機能の提供のみ行うサービス)の契約が増加傾向にあり、2019年12月期以降はストック型ビジネスが過半を占めるまでになった。

主力製品・サービスは、投資家向けインターネット証券取引システム「Trade Agent」であり、売上高の大半を占めている。そのほか、ディーリングシステムや証券取引所売買端末、不公正取引監視システム、個人型確定拠出年金(iDeCo)システムなどがあり、これらの製品を顧客のニーズに合わせてカスタマイズして開発し、保守・運用まで行っており、累計導入社数は40社を超える。なお、SaaS型クラウドサービスについては、初期導入費用と月額利用料、保守料等のバランスについて開発案件ごとに異なっている。現在の主要顧客(売上高構成比率10%以上)は、auカブコム証券(株)、岩井コスモ証券(株)、ミンカブ・ジ・インフォノイド<4436>松井証券<8628>の4社で、2022年12月期はこれら合計で全売上高の58.3%を占めた。新規顧客についても年間2~3社ペースで開拓している。

(2) FXシステム事業
FXシステム事業では、FX会社向けにFX取引システム「TRAdING STUDIO」及びFXチャートシステムを開発・提供している。ヒロセ通商<7185>や(株)DMM.com証券、(株)SBI BITSなどが主要顧客で、取引社数は15社程度となっている。SaaS型サービスでの提供を行っており、売上高の大半がストック型収入のため売上変動は小さく、安定収益事業となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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