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フォーラムエンジニアリング、売上高、各段階利益が通期計画を上回る 主力のエンジニア人材派遣事業が順調に推移

投稿:2024/05/16 13:00

INDEX

佐藤勉氏(以下、佐藤):本日は2024年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社フォーラムエンジニアリング代表取締役社長の佐藤です。どうぞよろしくお願いします。本日はスライドに記載のとおり、7つの内容についてご説明します。

【連結】2024年3月期 決算概況

はじめに、2024年3月期決算概況と配当予想の変更についてご説明します。まずは決算概況です。主力のエンジニア人材派遣事業が非常に順調に推移し、注力事業の「コグナビ新卒」も計画を超えたことから、増収増益となりました。

売上高は312億7,900万円で前期比プラス8.8パーセント、営業利益は30億2,900万円で前期比プラス86.7パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は20億3,900万円で、前期比プラス75.4パーセントとなりました。いずれも通期業績予想計画を上回っています。

【各社別】2024年3月期 決算概況

各社別の決算概況です。フォーラムエンジニアリングの売上高は312億7,900万円で前期比プラス8.8パーセントです。営業利益は32億2,300万円で前期比プラス98.6パーセントとなりました。

コグナビインディアは第4四半期に初めて売上を計上しました。この後、詳しくご説明します。

【連結】税引前利益 前期との比較

税引前利益の前期比較です。派遣事業は稼働人数が290名増え、6億1,100万円増加しています。派遣単価も76円アップしており、6億600万円増加しました。注力事業である「コグナビ新卒」の成約数は113名増えたため、8,100万円増加しました。

国内販管費は前期に実施していたCMプロモーションの中止により6億500万円の削減、情報システム費の見直しにより4億3,900万円の削減となりました。

インド事業のマイナス分や、派遣事業の残業時間の減少などもありますが、前期比で13億9,700万円の増益となっています。

【連結】通期営業利益予想に対する進捗状況

通期営業利益予想に対する進捗状況です。第4四半期も営業利益は予想を超え、すべての四半期で計画を上回っています。上期と下期とで利益の差が出るため、進捗がわかりやすいように表を作成していましたが、今期からは通期業績予想を上期と下期に分けて開示するように変更しています。

資本コストや株価を意識した経営の実現について

資本コストや株価を意識した経営の実現についてです。当社は経営指標としてROEを最重要視しています。中期経営計画1期目のROEは、14パーセントの計画に対し、15.7パーセントとなりました。

配当予想の変更について

配当予想の変更についてです。営業利益が計画よりも3億1,000万円上回ったため、2024年3月期の1株当たり配当予想を32.5円から5円増配し、37.5円に変更します。前期比で1.5倍、配当性向は95.2パーセントとなります。

【連結】2025年3月期 通期業績予想

2025年3月期の通期業績予想と配当予想の変更及び中間配当導入についてご説明します。

通期業績予想は、前期の派遣単価が計画値より大幅に上回ったため、中期経営計画2期目の計画を上方修正しました。

売上高は343億2,000万円で前期比9.7パーセントアップの予想です。経常利益は34億5,000万円で前期比14.4パーセントアップ、親会社株主に帰属する当期純利益は23億1,000万円で前期比13.2パーセントアップ、ROEは18.2パーセントとなります。

【連結】2025年3月期 通期業績予想 (通期・上半期/下半期)

派遣事業の営業利益は上期より下期のほうが多くなるため、今期より通期業績予想は、上期と下期を分けて開示するようにしました。営業利益は上期が16億円、下期が18億6,000万円となります。

【連結】2025年3月期 配当予想の変更及び中間配当導入

2025年3月期の配当予想についてご説明します。通期業績予想の上方修正に伴い、1株当たり配当予想を40円から2.5円増配の42.5円に変更します。

また、2025年3月期より中間配当を導入します。中間配当は18円、期末配当は24.5円を予定しています。配当性向は96.1パーセントとなります。

cognavi Vision2026(中期経営計画)の変更について

中期経営計画である「cognavi Vision2026」の変更についてご説明します。好調に推移した中期経営計画の1期目の実績を踏まえ、2期目と3期目の計画数値を上方修正します。

2期目は売上高343億2,000万円、営業利益34億6,000万円、ROE18.2パーセント、3期目は売上高380億4,000万円、営業利益43億9,000万円、ROE22.1パーセントの計画となります。

cognavi Vision2026 成長シナリオ

各サービスの状況について、詳しくご説明します。まずは、中期経営計画「cognavi Vision2026」の成長シナリオについてです。

当社は現在、5つの事業を展開しています。前期から経営資源の集中と選択を行い、スライドに赤い丸でお示ししているコグナビ新卒事業、コグナビ派遣事業、コグナビインディアを擁する海外事業の3つに注力しています。今期も前期と同様に、この3つの事業に集中して注力し、継続して戦略を強化していきます。

① 稼働人数

主力事業であるエンジニア派遣事業の現状についてご説明します。まずは稼働人数です。前期は294名増加し、4,280名の稼働となっています。これはエンジニアの採用が順調かつ計画どおりに進捗したことによるものです。今期も採用強化を継続し、420名増加の4,700名稼動を目指します。

① エンジニア採用/退職

スライドには採用数と退職数のグラフを記載しています。前期の採用数は967名となり、前年から220名増加となりました。今期は52名増加の1,019名の採用を計画しています。退職数は608名です。退職率は13.9パーセントで、前年から0.4パーセント増加しました。

今期はエンジニア社員の新しい評価制度の運用等で、退職率を0.9パーセント下げた610名の退職数の計画を立てています。

① エンジニア採用戦略

重要な戦略である、エンジニア採用についてご説明します。当社は5つの施策を行っています。1番は、外部媒体、転職サイトへの掲載です。大手の4媒体に年間5億円を使い、採用しています。前期はこの採用経費をまったく増やさず、未経験者の採用をやめて、経験者採用のみに集中することにより、採用数は前年より115名増加しました。

未経験者の採用は、応募数が3倍くらいあります。当社の広告を見た方から、1ヶ月に3,000人くらいの応募がきます。しかし、やはり決定率が低く、また、採用しても退職率が高いため、経験者だけに集中した募集広告に切り替えました。

応募は1,000名に減りましたが、1人ひとりの応募者から、親切かつ丁寧に応募動機を聞くことにより、採用することができました。この方法を採り入れ、年間で115名増加しています。また、2番、3番、4番の当社独自の採用方法においても、117名ほど採用数が増加しています。

一方で、新卒採用については、当社は大学教授からの推薦のみとし、費用をまったくかけない採用方法を採っているため、前期は7名ほど減少しました。合計の採用数は、前年から220名の増加となっています。今期もこの5つの方法をそれぞれ強化し、1,019名の採用を目指します。

① 稼働平均単価

派遣平均単価の推移についてです。グラフのとおり、2024年4月の単価改定時期に、人口減少とインフレ傾向により大きく改定できました。129円アップの3,997円となっています。

毎月の新規契約単価も上昇を続けており、5月1日時点で4,006円まで上がってきています。今期の派遣平均単価は4,094円を目指していきます。

① 有休取得日数

有給取得日数の推移についてです。利益に影響を与える内容ですので、詳しくご説明します。前期は100パーセント取得する前提で22.3日の計画でしたが、翌年への繰越制度を使う社員が非常に多く、計画よりも2.2日少ない、20.1日の実績となりました。

有給1日分の利益増加は1日1億2,000万円ですので、有給が2日少なかったことにより、営業利益が2億4,000万円プラスとなっています。今期も100パーセントの有給取得を前提に業績予想を作っています。ただし、前期と同様に有給取得日数が減少すると、利益計画は増加することとなります。

② コグナビ 新卒について

コグナビ新卒事業についてご説明します。当事業では、「機械系・電気系の学生4万人をすべてメーカーに就職させよう」をコンセプトに掲げ、2019年に機械系・電気系学生専門の就活サイトとしてスタートしました。

背景には、4万人の学生の半分ほどがメーカーに就職しないという現実があります。このままの流れでは、日本メーカーのエンジニアはどんどん少なくなり、メーカーの国ではなくなるのではないかという発想を持ち、「当社の派遣社員を増やす」という考え方よりも先に、「学生4万人全員がメーカーに就職できないか」という考え方を採りました。

学生が「コグナビ新卒」を使ってくれれば、やがては当社の社員になること、もしくは転職の時に「コグナビ転職」を使ってもらえると考えています。このような理由から、「コグナビ新卒」に力を入れています。人口減少が加速する日本において、メーカーと機電系学生をつなぐインフラになることを目指しています。

② 主要KPI

主要KPIについて、前期の結果をご説明します。スライド右側に記載した成約数のグラフのうち、2024年卒業生は254名の成約となり、計画の250名を超えました。今期は500名の成約を計画しています。

中央のグラフ、登録会員数においては、2024年卒業生は8,833名、2025年卒業生は1万1,154名の会員が確定しています。登録する学生は3年生が対象となるため、1年ずれることになります。現在は2026年卒業生の会員獲得活動を行っています。2026年卒業生は1万5,000名の会員獲得を計画しています。

左側のグラフでお示ししている求人掲載企業数は、前期は327社、理工系採用枠数は1,709名でした。今期の求人掲載企業数は344社と微増ではあるものの、理工系採用枠数は3,023名に拡大しています。掲載企業を増加させるべく、次に説明する「コグフェス」を、2023年10月にスタートしています。

② コグフェス

「コグフェス」についてご説明します。

「コグナビ新卒」は、学生が企業にエントリー申し込みをするサイトです。したがって就職協定があり、3月1日からしか掲載できません。その前に掲載しているものはエントリー予約と呼ぶ正式なエントリーではない方法を使っています。

「コグフェス」はその前段階として、学生が企業研究できるように作りました。言うならば、365日いつでも学生が見ることのできるオンライン就職フェアサイトです。自分の学んだ履修科目とメーカーの最新技術がどのようにつながるかがわかり、企業に興味を持ってもらうことを目的としています。

当社が対象とする約1,400社の大手企業のうち、58パーセントの807社が現在、このサイトに掲載しています。「コグフェス」に掲載すると、大学生が企業に興味を持った際にクリックすることができます。それを企業にお伝えし、「学生が御社に興味を持っています。掲載起用しませんか」と掲載活動につなげていくための採用ツールです。

② コグフェス メーカーの最新技術紹介事例

「コグフェス」は非常に特徴のあるサイトに仕上がっており、メーカーの最新技術のみを掲載しています。自分の学んだ履修科目とメーカーの最新技術が、どのような学問と、どのような内容でつながるのかを表示しています。さらにマッチング度を人工知能により算出します。

最新技術紹介事例として、スタンレー電気のお話をします。車のヘッドライトを作っている企業です。

「LCD-ADBシステム」とは、対向車と対向する人を感知し、その部分だけ暗くする最新技術で、企業のホームページに掲載されています。

ヘッドライトを移動させて暗くするのではなく、実は真ん中に液晶パネルが入っています。液晶パネルはドットでできており、センサで対向車と対向する人の目を確認すると、瞬時に計算してドットを暗くします。これにより、対向車の範囲だけ眩しくなくなるように制御できるという技術です。

自動車に掲載した液晶パネルは、非常に寒い地域を走ると凍ってしまいます。そこで、流体力学が必要になるのです。つまり、「大学で流体力学を好んでいた学生は、この企業に入れる」というサイトを作っています。企業側は「自分たちが毎日研究している最新技術ではあるものの、御社に説明してもらうと確かにすごい」と思うそうです。

現在、学生の約半分はメーカーに就職しません。日本メーカーの人気がないからです。

当社は講義でこの話をしました。そうすると「スタンレー電気に就職したい」という方が圧倒的に増えたのです。学生の約半分がメーカーに行かない理由として、専門のサイトがないことも挙げられます。大手のリクナビ、マイナビ、学情は全学部の学生に対して表示はしますが、専門分野の学生に対して、このようなマッチングは行っていません。

当社は派遣事業を行っていますが、日本メーカーのエンジニアを増やすことを第一条件として、このサイトを作りました。このサイトはメーカーしか載せていませんので、当社の情報も載せられません。もちろん同業他社も載せることができません。

私には、1社目はメーカーに行ってほしいという強い思いがあります。もちろん、派遣会社が悪いわけではありません。派遣会社も社会の機能として役に立っています。ただし、派遣会社は、設計の請負はするものの、物を作っていないのです。

学生の一歩目は、物を作っている会社で生産ラインまで全部見て設計をする、そのような仕事に就いてほしいという考え方から、当社の採用を「コグフェス」に掲載するのはやめました。全4万人をまずメーカーに活かそうと考えています。その最初が「コグナビ新卒」です。

「コグナビ新卒」の会員数は約1万人ですが、成約数は254人です。求人掲載企業数は現在約340社あります。逆張りの考え方で、4万人一人ひとりに「全員メーカーに行こう」とサポートをつけています。こちらは非常に手間がかかるため、次期生成AIを使って、学生が問い合わせをすれば、マッチングがわかる仕組みを作り始めています。実は反対側からマッチングをしています。

現在は学生4万人のうち、約1万人が会員です。その一人ひとりと話をすることで250人の成約につながっています。来年は500人の成約を目指しています。成果報酬型のため、単純に言うと250人の成約で2億5,000万円となり、今期の売上は5億円を見込んでいます。

お客さまは派遣事業と同じですので、クロスセリングとして、派遣の営業担当120人が同時に「コグナビ新卒」も担当します。コストは変わらずに、この事業は拡大しています。

以上が「コグフェス」「コグナビ新卒」の特徴です。

② エンジニア職セミナー

エンジニア職セミナーの推移です。当社は「当社に来てほしい」と言うためにこのエンジニア職セミナーを開催しているのではありません。大学の就職課の代わりにメーカーへの就職を促す取り組みです。教授の授業枠をお借りして、電機の教授の場合は、電機につながる企業と製品について学生に説明しています。

これによって、「今学んでいる学問はこういう最新の製品につながるので、ここの企業に行こう」という授業です。この授業は9年間続けています。今日本には、機電系学部のある大学が144校あります。このうち125校について、講義を行っています。

大学とは付き合いが非常に濃くなっていますので、大学教授の授業の枠を拡大することで、4万人全員に講義を聞いてもらい、単位も取得できるように計画を立てています。

来期は1万5,000名、約38パーセントの学生にこの講義を聞いてもらいます。先ほどお話したとおり、メーカーから掲載料を取ってエントリーをしてもらう方法もありますが、この考え方だと、他社と同じになってしまうため、当社はギリギリまで1人100万円の成果報酬型を継続したいと考えています。

「コグフェス」には、1年間ずっと掲載しています。また、日本にはBtoBメーカーが多く、知名度が低いことから、学生には講義を通して全1,400社の説明をしています。その説明料も含めて年間100万円くらいは掲載料を取る考え方も持っていますが、現状は無料です。

③ コグナビ 転職

コグナビ転職事業のご説明に移ります。コグナビ転職事業は、注力事業から外しています。なぜかというと会員募集に非常にお金がかかるからです。

当社は昨年CMプロモーションを行いましたが、非常にコストがかかりました。一旦、サイトは止めずに、募集活動を一切やめています。結果として、昨年は転籍が77名となりました。これは派遣社員が派遣先企業に籍を移した数を示していますので、「コグナビ転職」の数字ではありませんが、紹介料をいただいていますのでここに記載しています。昨年の転職成約数は13名です。

費用を一旦ゼロにしたため、今期予想は転籍82名の計画のみとなります。この事業をやめるのかと言いますと、そうではありません。「コグナビ新卒」に掲載する企業の多くは、中途社員を集めています。そのような意味では、プロモーション費用をかけて中途採用のエンジニアを集めるよりも、「コグナビ新卒」を継続することで、学生会員がやがて社会に出ていきます。

入社後3年で約30パーセントの新卒が辞める時代です。この転職のタイミングを使い、学生会員を確保して、次の転職には「コグナビ転職」を使ってもらう考え方で、2年後、3年後に成長路線に乗せていけたらと思い、事業を止めている状況です。

2年後、3年後に「コグナビ新卒」が収益事業に変わってきたら、次のテーマとして、コグナビ転職事業にあらためて着手したいと考えています。

④ コグナビ カレッジ

コグナビカレッジ事業についてご説明します。こちらも今期の注力事業ではありません。現在11大学と業務提携し、担当している教授は約800名となります。約800名の大学教授が、近隣メーカーで研修を行う準備ができています。

昨年はスライドに記載のとおり、655名のメーカー社員が研修を受けており、受講者数は非常に伸びてきています。来年は800名を目標にしています。

この事業では、大学に払う研修費の約30パーセントをいただいているのですが、収益事業になる可能性は少ないと考えています。

なぜこの事業を継続しているかというと、人口減少の進行によりメーカーが採用に困っている現状を鑑み、リスキリング、つまり再教育ができないかと考えたためです。ベストな方を採用するよりはベターの方を採用し、機械の技術を持った人を電機に移動しています。

なぜこの事業を継続しているかというと、人口減少がどんどん進む今の時代、メーカーが採用難に陥っているからです。そのため、ベストな方よりもベターな方を採用する傾向にあります。また、機械技術を持った人を電機メーカーに移動させています。

このようなことが起きていますので、リスキリング、つまり再教育ができないかと考えました。当社の顧客先メーカーはすべて郊外です。教育には先生と機材と場所が必要となりますので、その条件に当てはまるのが、メーカーの近くにある大学でした。メーカーから一番近い場所にある大学に「リカレント教育をしませんか?」「近隣メーカーにこれだけのニーズがあります」「機械系、電機系のメーカー研修は全くありません」「大学は学生が減るため、アメリカのようにリカレント教育で30パーセント以上の収入を持つ時代が来ます。当社がその架け橋となりますので、近隣メーカーの研修をしませんか?」と声をかけました。約2年間かけて11大学、各地の大きな大学と契約ができています。

この事業は今期から「コグナビ新卒」で企業に紹介した学生は、無料でこの研修を受けられることを基本として提案しました。人事がこの研修を理解してくださり、人事の方も2社ほどこの研修を経験されました。人事も逃げずに技術を理解して、新卒を採用する時代になってきたと思います。学生からも必ず技術研修のことを聞かれるそうです。

このような時代になってきましたので、コグナビカレッジ事業は将来的に大学だけではなく、コグナビ新卒事業、あるいは他の事業との連携が期待できます。現在は注力していませんが、継続していきます。

AIマッチングの再開発について

AIマッチングの再開発についてご説明します。当社は2018年に人工知能の「Watson(ワトソン)」が日本に入ってきた時に、生産性を上げるためにAIマッチングを導入しました。それから約6年が経過し、かなり古くなってきています。

当社に今期、野川という上席執行役員が入りました。もともとパナソニック出身で、システム開発一筋です。この方と意気投合し、「もっと次世代マッチングを有効にするべきだ」という考え方から、AIマッチングの再開発に着手しました。投資額は1億5,000万円、減価償却になりますので5年分割で計上します。今期の計画にも織り込み済みです。

何が変わるかについてお伝えします。1つ目はマッチングをツリー構造で可視化し、それを数値化しています。さらに生成AIを使って言語化し、学生にはなぜこの仕事とマッチングするのか、企業にはなぜその学生とマッチングするのかを表示するシステムを導入します。

2つ目は、現在バラバラに存在するデータベースを1つに統合します。グラフDBの「Neo4j」という最新のデータベースを使います。当社のように単語をたくさん登録して、それを無差別にマッチングするという方法に非常に長けていますので、これを導入することによって速度が速くなり、費用も安くなります。

この2つを使って、第4四半期には新しい人工知能「次世代kokuu」を使ったマッチングが可能になるように開発を進めています。

6年前は数十億円かけて開発したのですが、今回はこのデータベースの変更に伴い1億5,000万円、来期もプラス1億円ぐらいを使い、非常に優秀な人工知能のマッチングをスタートします。

また、インドについてはこの後ご説明しますが、インドは開発部隊を内製化しており、今32名のIT技術社員がいます。日本はこの仕組みを外注していますので、これを内製化に切り替えて、社内で作っていく流れを調整している状況です。

「kokuu」は菩薩の名前です。技術系のマッチングに非常に良いと考えてこの名前をつけています。ぜひご期待ください。

⑤ コグナビ インディア【目指すもの】

海外事業のコグナビインディアについてご説明します。「『インド企業』として、『インドの産業を支える人材ビジネスの社会インフラを創る』」をビジョンに掲げ、3つの施策を実施しています。

まず、インド企業の資本出資を参画企業から集めました。「コグナビ新卒」で、学生数5万人のSRM大学と連携の仕組みをスタートしています。インドは大学がお金を持っており、大学の中に1,000床の病院があったり、テレビ局を持っていたりします。いわゆる財閥です。SRM大学理事長のサティアさんはタミル・ナドゥ州では有名な方です。この大学と資本提携ができました。出資比率は約9.1パーセントとなっています。

日本人の社長ではインドのものにならないため、インド人を社長にしようという考え方から、昨年4月よりVarun Modgill氏(以下、Varun氏)が参画しています。Varun氏は偶然出張で日本におり、本日この会場にも来ていますので、後ほどご紹介します。日本語が非常に堪能ですので、もしご質問があれば彼が答える場面もあると思います。

2023年6月22日にインド初の新卒専門の就活サイトをスタートしました。インドには、今新卒専門の就活サイトがまったくありません。30年前の日本社会のような状況です。

⑤日本とインドのマーケット環境の違い_AIシステム開発の方向性

日本とインドのマーケット環境の違いです。スライドに記載のとおり、日本は会社数が多く大学生が少ないため、大学生の求人倍率が1.7倍となっています。つまり企業は採用したくても、人口が少なくて採用できないという状況です。日本では「履修科目」と「企業の部署ごとの仕事」を、AIマッチングでつなげる仕組みを作っています。

インドは正反対で、数多くの企業が誘致されており、増えてはいますが、仕事がまだ少ない状況です。その一方で、学生数は4,000万人と圧倒的に多くなっています。大学進学率は25パーセントと低いのですが、就職率は40パーセントです。はるか昔の日本を見ているようです。

また、学生の履歴書のフォーマットはまったくありません。加えて、学生を採用するという文化がまだインドにはありません。これをチャンスと捉えて、これまでのインドにまったくなかった、学生向けの就活サイトを作れば勝てるのではないかと考えました。

インドはこのような状況のため、1件の求人に対して何千人もの応募が来ます。したがって、数多くの応募情報をどのように効率よく選別するかが重要となります。この仕組みを、インドのシステム開発メンバーが人工知能で作りました。これが、日本とインドの違いです。インドでは、企業と大学をターゲットにしています。

対象会社は、上場企業と上場企業関連にしぼり、約2万社としています。また、大学は全国におよそ5万6,000校もあります。インドでは自由に大学を作ることができるため、実は学生数300名の大学もあります。その中で対象を7,000校にしぼり、「Tier2- Tier1」という日本でいう偏差値の真ん中以上の大学に周知しています。一校あたりの規模は約3,000名と大きく、インドの総学生数約4,000万人のうちの半数を対象としています。

⑤ 課金体系の違い

インドと日本では課金の仕組みを変えています。スライド上部の図が日本です。日本では「コグナビ」を使い、企業から掲載料か成果報酬をいただきます。学生の登録はエンジニア職セミナーにおいて、無料で行っています。

インドでは、関連法規が整備途上のため、企業から掲載料・成果報酬をもらう仕組みは変わらないのですが、大学からもお金をもらいます。大学の学生管理サイトを作っており、我々は、ここに就職を結びつけることができる仕組みを作っています。大学の就職課が使う管理システムを入れることによって、学生会員がかなり入ってくることになります。

このようなモデルを作っているため、大学から学生1人あたり1,000円をもらうという課金制度が可能となっています。これがインドでの収益の根源になる可能性があり、かつ、大学の学生を確実に集めることができます。これが日本とまったく違う点です。

⑤ コグナビインディア 中期経営計画

コグナビインディアの中期経営計画における数値です。今期は売上高1億7,000万円です。販管費が高いため、システム開発を内製化しています。現在、営業職を増やしているため、来期の販管費は4億1,000万円となる計画です。2027年3月期の黒字化を目指しています。

⑤ 学生数の推移

インドの会員数は増加しており、5万人を超えています。伸びが少し遅くなっているのですが、これは大学の獲得を優先しているからです。学生数3,000名の大学を7,000校で、合計約2,100万人の会員化を目標としており、まだまだスタートしたばかりだと考えています。

⑤契約大学数の推移

大学の課金の仕組みについてです。現在、11大学と契約を結んでおり、1万5,325名の大学生の会員使用料を支払っていただいています。

したがって、売上は約1,300万円になりますが、1人当たりで計算すると886円の単価で獲得できています。第1四半期のP/Lに掲載される予定です。この獲得によって、会員数が順調に増加しています。

⑤ 【大学】受注事例

具体例を1つご説明します。4月に獲得できたKL大学です。この大学は、NIRFランキングで28位という、レベルの高い大学です。在学学生数は2万3,000名ですが、そのうち1万名と契約できました。

3年生、4年生の学生を全部入れてくれるという契約です。したがって金額は約830万円となり、P/Lでは12分割するため一気には上がりませんが、契約を獲得できています。

インドでは1年生、2年生から会員登録をして就職活動を始めるため、KL大学が1年生、2年生の会員も入れてくれた場合、売上が倍増する可能性があります。つまり、1大学・1万人の学生を獲得できれば、800万円の売上があるという計算です。

先ほどお伝えしたとおり、当期の売上高目標は1億7,000万円です。1大学で1,000万円から1,500万円の収益になるため、約10校獲得できれば、当期の目標を達成できます。

企業からお金をもらわなくても、大学を獲得できるだけで大学から会員が入り、かつ企業は次第に増えていくという構造ができるようになったのです。ちなみに、KL大学はオンライン会議のみで、7回打ち合わせをして成約しています。

KL大学には、日本語レベルの非常に高い学生が350人います。写真は契約時のものです。このような契約大学が、これから次々に増えていくと思います。

⑤導入企業数の推移

まず学生の採用を優先していたため、企業獲得数は今営業職が順調に増やしている状況で、4月にかなり上がってきました。そうは言ってもまだ15社ですので、これを第1四半期、第2四半期に拡大していきます。昨年は売上高がほぼゼロに等しかったですが、今年は1億7,000万円の売上高を達成する可能性があると見込んでいます。

⑤ マーケティング活動事例

インドでは、スライドに記載のサイトが非常に有名になっており、ウェビナーで企業会員・学生会員を集めています。上が、タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社のマネージャーです。下は、Microsoftの人事担当者がウェビナーに参加し、「コグナビ」を宣伝しています。このようにして知名度を上げています。

⑤ 【Video AI】のご紹介

先ほどお話ししたように、インドでは多くの学生が応募するため、一人ひとり書類選別をして面接すると、中途採用でも約3ヶ月間かかります。これがインドの現状です。当社の仕組みを使うと2週間で行えるようになり、その秘訣が「Video AI」という仕組みです。紹介動画を流しますので、ぜひご覧ください。英語の動画ですが、下に注釈が出ています。

(動画流れる)

インドは先ほどお話ししたとおり、大量の応募があり、マッチングサイトもないため、選別するだけで非常に手間がかかります。それがこの「Video AI」によって簡単かつ正確に選ぶことができます。実は、当社の営業職採用にも「コグナビ」の「Video AI」を使っているのですが、100名応募があった中から10名、2週間で採用できています。今、実際に動いてもらっていますが、ほぼビデオどおりの方が採用できています。

こちらがインドの企業に好評で、日本でも使えないか検討しているところです。このような仕組みを活用しながら、インドでの存在感を増していこうと考えています。

投資家とのエンゲージメントについて

最後になりますが、投資家とのエンゲージメントについて少しお話しします。おかげさまで、当社は時価総額が500億円を越えるところまできました。2020年3月に上場しましたが、時価総額が去年から上がり続けています。投資家との面談は、前年は33件でしたが、今年は78件と問い合わせも増えています。

内訳はスライドに記載の円グラフのとおり、国内の投資家が41.5パーセント、海外の投資家が残りの約60パーセントを占めています。時価総額が大きくなったおかげで、海外の投資家からも注目が集まってきている状況です。

面談の内容は主に、「『コグナビ新卒』は順調に成長していますね」「次の『コグナビ新卒』の成長可能性を教えてください」ということに加え、全員がインドの状況について質問されます。

そのため、今回はインドについてできるだけ詳しくご説明したのですが、依然KPIが少し雑であり、実績も出ていない状況です。次の決算発表からは、インドについて詳しくご説明するようにしていきたいと考えています。

以上で、決算発表を終わりにしたいと思います。最後に、コグナビインディアのVarun氏が会場に来ていますので、一言ご挨拶します。

Varun氏からのご挨拶

Varun Modgill氏:はじめまして、コグナビインディアのVarunです。みなさまよろしくお願いします。

インドでも「コグナビ」のテクノロジーを基に、現在新しいシステムを作っており、非常にインパクトが出てきていると思います。インドでは、学生が就職するための仕組みがまだありません。そのため、「コグナビ」が日本で作ったもともとのツリーを基盤として、インド独特のAIを作ることになりました。

インドでも一番優秀なエンジニアを集めて、テクノロジーチームを作っていますので、知名度も上がってきています。実際に入りたい学生の数が増えているため、これから急拡大すると思います。

学生はどこに受かるかわからないため、多くの企業に申し込んでおり、企業は応募が多すぎるため、どの学生を選択すれば良いかわからない状況です。そこに「コグナビ」のテクノロジーを導入することで、数ヶ月かかっていた採用活動が、数週間に短縮することが可能になるところが非常に魅力的だと考えています。

このテクノロジーは、これからさらに大きくなっていくと思います。日本での何十年もの取り組みがあるため、それを学んで基盤としながら、インドのシステムを1から作っていきます。みなさまにも、これからのインドのビジネスに注目していただきたいと思いますので、成長できるように努めていきます。ありがとうございました。

佐藤氏からのご挨拶

佐藤:インドは非常に親日国なので、ぜひ、みなさま一度行ってみてください。また、生成AIは、Varun氏がインドで自社開発しています。データが蓄積されていますので、次の開発をぜひ楽しみにしていてください。本日はありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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