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ウイルテックのニュース
―日経平均株価を見ていては分からない、“日本株の光”はここから発している―
東京株式市場は、新型コロナウイルスの感染拡大というネガティブ材料が覆い被さり、重苦しいムードの中で下値を模索する展開が続いている。あと1週間もすれば東京五輪 が開催されるが、そうしたなか、世界的にデルタ株を中心に依然として猛威を振るう新型コロナウイルスが日本に上陸し、場合によっては変異株博覧会になってしまうという悲観的なシナリオが幅を利かせているようにも見える。
同時に、ワクチン政策の遅れで、緊急事態宣言下の東京五輪開催を余儀なくされた菅政権の基盤も揺らいでいる。折悪く、秋の総選挙を目前に政局不安が取り沙汰されるなか、海外投資家の売り圧力を背景に日本株市場は世界市場の中で“独歩安”を強いられるのではないか、という懸念も指摘されている。
●東証1部と「2部・ジャスダック」は別世界
しかし、果たして本当にそうだろうか。この先、米国をはじめ世界株市場が企業の業績回復や持続的な金融緩和環境を株高要因として享受する形となった場合、日本だけが重苦しく、上値が重く、暴落リスクに戦々恐々とする局面に遭遇し続けることなどあり得ない。また、足もとで悶々としているように見えるのは、東京株式市場といってもあくまで東証1部市場の景色であって、東証2部やジャスダック市場は買い気満々、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞を嫌気しているようにはとても見えない。
日経平均株価と週足チャートで見比べてみれば明らかな違いに気づく。東証2部指数、日経ジャスダック平均ともに年初来高値近辺で、ここぞと売り物を吸収している。東証2部指数については史上最高値圏での舞である。
●コロナ×五輪×総選挙でつくられた悲観ムード
東証1部の弱気モードは、「新型コロナ×東京五輪×秋の総選挙(政局不安)」というこの3つを掛け合わせた数式が生み出した「悪材料感」をネタに先物主導の売り仕掛けが入っていると考えた方が正しい。したがって悲観論に揺さぶられて日経平均が下値を探っても、それは企業のファンダメンタルズに起因するものではなくインデックス売買主導による要素が大きく、遅かれ早かれ買い戻しから急反騰のタイミングが訪れる。
ただし、当分は日経平均2万9000円近辺に立ちふさがる鉄の塊のように重い戻り売りの壁を突破するまでは、上下1500円幅のレンジ相場が続くとみられる。「コロナ期間中」は、指数売買であれば2万7000円台半ばで拾い2万8000円台後半で売るといったヒットアンドアウェイで対処できるが、個別株は実態や株式需給に差異があり簡単ではない。とりわけ、個別株については2022年4月4日に再編移行となる新上場区分の「プライム」から除外の思惑なども警戒され中小型株は神経を使う。
●新上場区分で資金の流れ集中し急騰株相次ぐ
ところが、足もとで中小型物色の流れはむしろ先鋭化し勢いを増している。それは、プライム除外でTOPIX連動型ファンドの売りを浴びる可能性があるのは東証1部に上場する銘柄であり、この時点で必然的に東証2部とジャスダック市場に相対的優位性が生じているためだ。一部の機関投資家は別として、中小型株投資は投資資金の選択肢が狭まった分だけ2部や新興市場に流れやすくなる。マザーズ市場はIPOラッシュなどもあって需給が乱れ、個別株は参戦しにくくなっているきらいがあり、2部とジャスダック市場に投資マネーが誘引されている。資金が流れ込むエリアが狭くなることによって、個別株の観点では必然的に波高も高くなりやすい。
個別株戦略は、当面はしたたかに上値追い態勢を強めている東証2部とジャスダック市場に照準を合わせるのが戦い上手であり、今の王道といえる。その際のポイントは、決して株価の値ごろ感や目先の勢いに惑わされず、株式投資の基本に立ち返って業績や成長性を重視した銘柄選別を心掛けることだ。今回のトップ特集では、上げ潮に乗る東証2部とジャスダック市場から、今後中期的にみて株価の居どころを大きく変えそうな6銘柄を厳選セレクトした。
●これから本領を発揮する6銘柄はこれだ
【ウイルテックは中計評価で水準訂正加速】
ウイルテック <7087> [東証2]は昨年3月に東証2部に新規上場したニューフェースで製造請負・派遣やEMS(製造受託)、建設技術者の派遣などを展開する。コロナ禍でのテレワーク導入に伴うIoT案件の拡大や5G関連設備投資に絡む需要を獲得し、収益に反映させている。22年3月期は売上高の拡大が顕著で前期比23%増の311億8900万円と急増する見通し。営業利益はこの増収効果を取り込み同2.7倍となる11億9100万円を予想している。また、中期経営計画として25年3月期に売上高600億円という今期予想比で倍増近い水準を目標に掲げていることもポイント。業績変貌への期待が膨らむ一方、足もとのPERは依然として13倍台にあり、株価の水準訂正余地は非常に大きいといえそうだ。
【シンクレイヤは時流捉え業績増額が濃厚】
シンクレイヤ <1724> [JQ]はケーブルテレビ事業者向けネットワークシステム構築を手掛けるほか、インターネットサービスも行う。光ファイバーや無線ネットワーク、同軸ケーブルとのハイブリッドなど、多くのソリューションを提供できる強みを持つ。データ通信の高速化に対応したソリューションで高度なノウハウを持ち、クラウド環境での認証システム提供を含めフリーWi-Fiスポットを手軽に構築する技術など、時流に乗るビジネスで収益成長が加速局面に入っている。21年12月期営業利益は前期比10%増の8億4000万円を見込むが、増額修正余地は大きく10億円を上回ってくる可能性がある。株価は1100円近辺で煮詰まっており、上放れのタイミング待ち。5月末の高値1339円奪回から新値圏突入に期待。
【和井田は精密加工スペシャリストの実力開花】
和井田製作所 <6158> [JQ]は、製品の企画・設計に始まり、加工・組立・研削に至るまでナノミクロン単位に特化した高技術力を武器に、切削工具・研削盤メーカーとして群を抜く商品競争力を誇る。精密研削加工のスペシャリストとしてマーケットでも存在感を示しており、主要販売先である自動車業界向けでは、世界的な自動車販売拡大の恩恵を中期的に享受する公算が大きい。生産プロセスのデジタル化推進などで合理化も進んでいる。22年3月期業績は営業利益段階で前期比3.4倍の9億7400万円予想と急回復、PER12倍台の時価は利益成長力の高さを考慮して水準訂正高が濃厚だ。7月に入って急速な調整を強いられたものの目先売り一巡。6月29日につけた年初来高値1609円奪回を目指す展開が有力視される。
【コメ兵はAI導入により商機拡大に拍車】
コメ兵ホールディングス <2780> [東証2]は中古ブランド品の販売で業界首位、新型コロナウイルスの感染拡大の影響をこなし、22年3月期売上高は600億円と過去最高を見込み、増収効果を反映して営業利益も15億5000万円と急回復を予想している。また進行中の中期計画では、再来期の24年3月期の売上高が今期予想から更に100億円の上乗せとなる700億円を目標に掲げる。同社は高級ブランド品を扱うだけに模造品対策にもコストがかかるが、今期中に真贋を見極めるAIシステムを買い取り専門全店舗に導入する方針が伝えられており、商機拡大に拍車がかかりそうだ。株価は6月29日に1549円の年初来高値をつけた後調整を入れているが、早晩ここをクリアして2000円大台復帰を目指す展開へ。
【アジア航測はハザードマップで活躍有望】
アジア航測 <9233> [東証2]は測量土木の大手で、航空機やドローンを活用した空間情報の計測で抜群の実績を持つ。国土保全コンサルも手掛け官公庁案件で優位性を発揮し、国土強靱化のテーマにおけるキーカンパニーとして注目度が高い。豪雨災害が相次ぐなか、同社の3Dモデリング技術を駆使したハザードマップは今後も需要獲得が進むことが予想される。業績もここ数年来の躍進がめざましい。20年9月期は54%営業増益で初の20億円台乗せを達成したが、21年9月期も23億4000万円と2ケタ成長を見込み、過去最高を更新する見通し。足もとの豊富な受注残を考慮すると更なる上振れも見込まれる。株価は7月に入り大勢2段上げで4ケタ大台に乗せたが、PER10倍台に過ぎず上昇相場はこれから佳境入りとみられる。
【Mipoxはパワー半導体分野に独自技術】
Mipox <5381> [JQ]は微細表面加工に使う研磨フィルムや研磨紙、研磨液剤などの製品を製造、光ファイバーやHDD、半導体ウエハー向けなどで高水準の需要を獲得している。研磨液剤は光ファイバーのほか化合物半導体の仕上げ研磨工程で高い実績を有する。今年3月には民間企業16社及び公的3機関と連携し、次世代パワー半導体 用SiCウエハーの新しい量産技術確立を目指した大型共同研究を開始。更に6月にはパワーデバイス用半導体の実用化を目指す共同研究がNEDO公募「マテリアル革新技術先導研究プログラム」に採択された。業績も回復色が鮮明で、22年3月期営業利益は前期比11%増の4億円予想と2ケタ伸長を見込む。株価は18年1月の高値917円を払拭し16年ぶりの4ケタ大台乗せも視野に。
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