4,578円
ファナックの個人投資家の売買予想
予想株価
3,286円
現在株価との差
-686.2
円
登録時株価
2,970.0円
獲得ポイント
+95.93pt.
収益率
+33.77%
期間
中期投資 (数週間~数ヶ月単位で売り買い)
理由
その他
業利益率4割を誇ってきた超優良企業、ファナックに異変が生じている。
同社の2013年4~6月期は売上高が前年同期比22%減の1063億円、営業利益は同36%減の346億円と大きく落ち込んだ。元凶となったのは、「ロボドリル」と呼ばれる小型工作機械の失速だ。
【詳細画像または表】
ファナックはここ数年、アップルのアイフォーン用アルミ製筐体を加工するEMS(電子機器の受託生産サービス)、鴻海精密工業に対して、ロボドリルを大量に納入。鴻海向けの売上高は11年度に523億円(ファナック連結売上高の9%)、12年度には869億円(同17%)と順調に拡大してきた。このうちの大半がロボドリルだとみられる。
■ 余剰能力が浮き彫りに
だが年明け以降、状況は一変した。ロボドリルを含む「ロボマシン」部門の四半期売上高は、12年10~12月期の510億円をピークにして急減。13年4~6月期は前年同期比7割減の152億円まで減少した。ピーク時には数百億円規模だったとみられるアイフォーン関連の四半期売上高も、「13年4~6月期は10億~20億円にとどまったと推定される」(野村証券の齋藤克史アナリスト)。
成長著しかったロボドリルが失速したことで、一つの問題が浮かび上がった。生産能力の大幅な余剰だ。
ファナックは昨年12月、ロボドリルのさらなる需要拡大を当て込んで、生産拠点である筑波工場で大規模な増産投資に踏み切った。生産能力は月5000台に倍増。投資総額は200億円に上ったもようだ。
.
業界筋によると、ファナックが設備増強を決断した当時、アップル・鴻海側はアイフォーン生産台数が1日当たり約70万台まで増えると想定していた。ところが、筑波工場の増産工事が進む中、アイフォーンの販売は思うように伸びなかった。鴻海の足元の生産台数は同30万~35万台程度にとどまるもようだ。
鴻海の低稼働は、当然ながらファナックにも波及する。能力増強前の月産2500台体制でロボマシン部門の四半期売上高が500億円前後だったことから逆算すると、足元の稼働率がかなりの低水準であることは間違いない。工作機械各社の幹部たちも「あの増強は一線を越えていた」と口をそろえる。
別の問題も頭をもたげる。鴻海が抱える余剰設備がどこに向かうかだ。
ロボドリルは自動車や2輪車のアルミ製部品の加工ラインなどにも使われており、アイフォーン向け以外にも一定の需要がある。「大量のロボドリルが鴻海から中古市場に流れれば、新品の機械はますます売れなくなる」(関係者)。
悪い知らせは重なる。業界では、アップルが年内にも樹脂製筐体の廉価版アイフォーンを投入する、とうわさされている。ソニーなど他社製のスマートフォンは樹脂製の筐体が一般的。一つひとつアルミの素材を削り出す従来型のアイフォーンは特殊な存在だった。樹脂製筐体の加工には、ロボドリルのような金属加工用の工作機械は使わない。廉価版アイフォーンが投入されれば、ますますロボドリルの稼働台数が減り、余剰設備は増えることになる。
となれば、当面の課題はロボドリル依存からの脱却だ。幸いにも、ファナック全体で見れば、受注高は13年1~3月期の923億円を底に、4~6月期は1141億円と復調傾向にある。NC(数値制御)装置や産業用ロボットといった分野が持ち直したためだ。
ただ、こうした分野は競争の激しい自動車向け需要で成り立っている。アイフォーン向けのような高成長は期待できない。特需一巡後の新たな成長戦略が求められている。
(撮影:梅谷 秀司)
(週刊東洋経済2013年8月10日・8月17日号)
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中川 雅博
下げきったところで買ってみようか?
本文最終更新日時:2013/08/11(12:04)
同社の2013年4~6月期は売上高が前年同期比22%減の1063億円、営業利益は同36%減の346億円と大きく落ち込んだ。元凶となったのは、「ロボドリル」と呼ばれる小型工作機械の失速だ。
【詳細画像または表】
ファナックはここ数年、アップルのアイフォーン用アルミ製筐体を加工するEMS(電子機器の受託生産サービス)、鴻海精密工業に対して、ロボドリルを大量に納入。鴻海向けの売上高は11年度に523億円(ファナック連結売上高の9%)、12年度には869億円(同17%)と順調に拡大してきた。このうちの大半がロボドリルだとみられる。
■ 余剰能力が浮き彫りに
だが年明け以降、状況は一変した。ロボドリルを含む「ロボマシン」部門の四半期売上高は、12年10~12月期の510億円をピークにして急減。13年4~6月期は前年同期比7割減の152億円まで減少した。ピーク時には数百億円規模だったとみられるアイフォーン関連の四半期売上高も、「13年4~6月期は10億~20億円にとどまったと推定される」(野村証券の齋藤克史アナリスト)。
成長著しかったロボドリルが失速したことで、一つの問題が浮かび上がった。生産能力の大幅な余剰だ。
ファナックは昨年12月、ロボドリルのさらなる需要拡大を当て込んで、生産拠点である筑波工場で大規模な増産投資に踏み切った。生産能力は月5000台に倍増。投資総額は200億円に上ったもようだ。
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業界筋によると、ファナックが設備増強を決断した当時、アップル・鴻海側はアイフォーン生産台数が1日当たり約70万台まで増えると想定していた。ところが、筑波工場の増産工事が進む中、アイフォーンの販売は思うように伸びなかった。鴻海の足元の生産台数は同30万~35万台程度にとどまるもようだ。
鴻海の低稼働は、当然ながらファナックにも波及する。能力増強前の月産2500台体制でロボマシン部門の四半期売上高が500億円前後だったことから逆算すると、足元の稼働率がかなりの低水準であることは間違いない。工作機械各社の幹部たちも「あの増強は一線を越えていた」と口をそろえる。
別の問題も頭をもたげる。鴻海が抱える余剰設備がどこに向かうかだ。
ロボドリルは自動車や2輪車のアルミ製部品の加工ラインなどにも使われており、アイフォーン向け以外にも一定の需要がある。「大量のロボドリルが鴻海から中古市場に流れれば、新品の機械はますます売れなくなる」(関係者)。
悪い知らせは重なる。業界では、アップルが年内にも樹脂製筐体の廉価版アイフォーンを投入する、とうわさされている。ソニーなど他社製のスマートフォンは樹脂製の筐体が一般的。一つひとつアルミの素材を削り出す従来型のアイフォーンは特殊な存在だった。樹脂製筐体の加工には、ロボドリルのような金属加工用の工作機械は使わない。廉価版アイフォーンが投入されれば、ますますロボドリルの稼働台数が減り、余剰設備は増えることになる。
となれば、当面の課題はロボドリル依存からの脱却だ。幸いにも、ファナック全体で見れば、受注高は13年1~3月期の923億円を底に、4~6月期は1141億円と復調傾向にある。NC(数値制御)装置や産業用ロボットといった分野が持ち直したためだ。
ただ、こうした分野は競争の激しい自動車向け需要で成り立っている。アイフォーン向けのような高成長は期待できない。特需一巡後の新たな成長戦略が求められている。
(撮影:梅谷 秀司)
(週刊東洋経済2013年8月10日・8月17日号)
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中川 雅博
下げきったところで買ってみようか?
本文最終更新日時:2013/08/11(12:04)
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