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■要約
アクセル<6730>は、遊技機器(パチンコ、パチスロ)向けグラフィックスLSIで市場シェア約50%を握るファブレス半導体メーカー。無借金経営で自己資本比率は87.6%と強固な財務体質を誇る。
1. 2018年3月期業績
2018年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の8,477百万円、営業利益が同10.5%増の156百万円となった。遊技機器業界の自主規制導入で、遊技機器の販売台数が前期比14%減の203万台(同社推計)に落ち込んだ影響により、主力のグラフィックスLSIが減収となったものの、メモリモジュール等の周辺製品が搭載機種の拡大により大幅増となったことが増収要因となった。グラフィックスLSIの減収により売上総利益は減益となったが、研究開発費を中心に販管費が前期比418百万円減少したことにより、営業利益は5期ぶりに増益に転じた。
2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期の業績は、売上高が前期比25.7%減の6,300百万円、営業損失が1,450百万円となる見通し。遊技機器業界の規則改正の影響により、遊技機器の販売台数が前期比24.0%減の155万台程度に落ち込むほか、リユース率が上昇することを前提に、グラフィックスLSIの販売数量を前期比32%減と大幅減で見ていることが減収要因となる。利益面では、減収要因に加えて研究開発費が前期比615百万円増加することが減益要因となる。2019年3月期の後半に投入を予定している次世代グラフィックスLSI「AG6」の最終費用が上期に計上される見込み。このため、半期ベースで見れば上期の営業利益が1,600百万円の損失となるのに対して、下期は150百万円の利益に転じる見通しとなっている。遊技機器の販売台数について業界予測では170万台前後がコンセンサスとなっているようだが、市場環境が不透明なこともあり、同社では保守的に見積もって業績計画を策定したようだ。
3. 今後の事業展開と新規事業について
遊技機器市場については、2020年3月期以降回復したとしても170万台程度の水準にとどまることを前提に、今後の収益回復に向けた戦略を推進していく方針。遊技機器市場向けについては、「AG6」の投入と同時にモジュール基板ビジネスの売上比率を高めていくこと、周辺製品の取り込みを進めていくことで、遊技機器1台当たりの収益を拡大していく戦略を継続。また、新たな事業の育成にも注力していく。具体的には、ゲームソフト開発に用いられる動画・音声圧縮用ミドルウェア、暗号技術を用いたセキュリティ製品、モナコイン・マイニングプールをベースとしたブロックチェーン事業(子会社の設立を検討)、画像認識分野におけるディープラーニング・フレームワーク「AILIA」やファイルの圧縮・暗号化を可能とするファイル・パッカー「VUCKET」など新製品・サービスの販売を相次いで開始していく予定となっている。これらはグラフィックスLSIの開発で培ったデータ圧縮・伸長技術などがベースとなっており、技術水準も高い評価を受けている。同社ではこれら新規事業について、2023年3月期に売上高で20億円、粗利益で10億円の水準を目標に掲げている。同社の収益構造は、今まで遊技機器市場に依存した格好であったが、これら新規事業が立ち上がれば収益の安定化と成長の加速化が期待できることになり、今後の動向が注目される。
■Key Points
・遊技機器向けグラフィックスLSIでトップシェア
・2019年3月期は遊技機器市場の縮小と研究開発費の増加により収益が悪化するが、下期からの回復を見込む
・ミドルウェア、暗号技術、機械学習の3領域で2023年3月期に売上高20億円、粗利益10億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MW>
アクセル<6730>は、遊技機器(パチンコ、パチスロ)向けグラフィックスLSIで市場シェア約50%を握るファブレス半導体メーカー。無借金経営で自己資本比率は87.6%と強固な財務体質を誇る。
1. 2018年3月期業績
2018年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の8,477百万円、営業利益が同10.5%増の156百万円となった。遊技機器業界の自主規制導入で、遊技機器の販売台数が前期比14%減の203万台(同社推計)に落ち込んだ影響により、主力のグラフィックスLSIが減収となったものの、メモリモジュール等の周辺製品が搭載機種の拡大により大幅増となったことが増収要因となった。グラフィックスLSIの減収により売上総利益は減益となったが、研究開発費を中心に販管費が前期比418百万円減少したことにより、営業利益は5期ぶりに増益に転じた。
2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期の業績は、売上高が前期比25.7%減の6,300百万円、営業損失が1,450百万円となる見通し。遊技機器業界の規則改正の影響により、遊技機器の販売台数が前期比24.0%減の155万台程度に落ち込むほか、リユース率が上昇することを前提に、グラフィックスLSIの販売数量を前期比32%減と大幅減で見ていることが減収要因となる。利益面では、減収要因に加えて研究開発費が前期比615百万円増加することが減益要因となる。2019年3月期の後半に投入を予定している次世代グラフィックスLSI「AG6」の最終費用が上期に計上される見込み。このため、半期ベースで見れば上期の営業利益が1,600百万円の損失となるのに対して、下期は150百万円の利益に転じる見通しとなっている。遊技機器の販売台数について業界予測では170万台前後がコンセンサスとなっているようだが、市場環境が不透明なこともあり、同社では保守的に見積もって業績計画を策定したようだ。
3. 今後の事業展開と新規事業について
遊技機器市場については、2020年3月期以降回復したとしても170万台程度の水準にとどまることを前提に、今後の収益回復に向けた戦略を推進していく方針。遊技機器市場向けについては、「AG6」の投入と同時にモジュール基板ビジネスの売上比率を高めていくこと、周辺製品の取り込みを進めていくことで、遊技機器1台当たりの収益を拡大していく戦略を継続。また、新たな事業の育成にも注力していく。具体的には、ゲームソフト開発に用いられる動画・音声圧縮用ミドルウェア、暗号技術を用いたセキュリティ製品、モナコイン・マイニングプールをベースとしたブロックチェーン事業(子会社の設立を検討)、画像認識分野におけるディープラーニング・フレームワーク「AILIA」やファイルの圧縮・暗号化を可能とするファイル・パッカー「VUCKET」など新製品・サービスの販売を相次いで開始していく予定となっている。これらはグラフィックスLSIの開発で培ったデータ圧縮・伸長技術などがベースとなっており、技術水準も高い評価を受けている。同社ではこれら新規事業について、2023年3月期に売上高で20億円、粗利益で10億円の水準を目標に掲げている。同社の収益構造は、今まで遊技機器市場に依存した格好であったが、これら新規事業が立ち上がれば収益の安定化と成長の加速化が期待できることになり、今後の動向が注目される。
■Key Points
・遊技機器向けグラフィックスLSIでトップシェア
・2019年3月期は遊技機器市場の縮小と研究開発費の増加により収益が悪化するが、下期からの回復を見込む
・ミドルウェア、暗号技術、機械学習の3領域で2023年3月期に売上高20億円、粗利益10億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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