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ワコムのニュース
*14:33JST ワコム Research Memo(3):環境変化を捉えた商品ポートフォリオの組み替えや独自技術の事実上の標準化を推進
■ワコム<6727>の各事業及び主要製品の特徴
1. ブランド製品事業
ターゲット顧客や製品タイプ別に幅広いラインナップを有している。製品区分としては、(1) クリエイティブソリューション、(2) ビジネスソリューションの2つに分かれる。
(1) クリエイティブソリューション
デジタルコンテンツ市場の黎明期から中核を担ってきたビジネスであり、プロのクリエイター向けでは高いブランド力とシェアを誇る。製品タイプ別に「ディスプレイ製品」「ペンタブレット製品」の2種類※があるが、これらの違いを理解することが、競争環境や今後の成長性を判断するうえで重要となる。
※これまでは「ディスプレイ製品」「ペンタブレット製品」「モバイル製品他」の3種類に分類していたが、環境変化に適合したより適切な業績説明を行うため、2024年3月期よりカテゴリー範囲を変更し、「モバイル製品他」については「モバイル」相当を「ディスプレイ製品」に、「他」相当を「ペンタブレット製品」に統合した。
a) 「ディスプレイ製品」
タブレット(板)が液晶パネル※になったもので、デジタルペンで液晶画面に直接描画できるところに特徴がある。一方、OSや記憶装置を持たない入力デバイスという点では後述する「ペンタブレット製品」と同じ性格のPC周辺機器と言える。大型サイズのものは価格帯が30万円〜50万円前後で、ユーザーはプロやハイエンドアマチュアが中心となるが、この市場では圧倒的なシェアを誇っている。市場の変化(デジタル手書(描)きユーザーの裾野拡大や「ペンタブレット製品」からの需要シフト等)に対応するため、2019年1月に約16インチサイズのエントリーモデルを実売6万円台(発売当時の税抜き販売価格。以下同)で販売すると、7月には22インチサイズ(実売10万円台)、2020年1月には初心者向け約13インチサイズ(実売3万円台)と相次いでリリースし、他社(中国メーカー等)からの価格攻勢が厳しいエントリーモデルの領域においても存在感を高めてきた。ただ、足元では消費者センチメントの悪化や他カテゴリーへ需要がシフトする傾向のなかで中低価格帯モデルの苦戦が続いており、プロ及びクリエイティブ専門教育向けを軸とする原点回帰により、ラインナップの絞り込みと新しい付加価値(新ユースケースなど)を提案する商品ポートフォリオへの刷新に取り組んでいる。
※「液タブ」と称されることもある。
b) 「ペンタブレット製品」
デジタルペンとタブレット(黒い板状のもの)で構成される最も基本的なデバイス※であり、主力製品として貢献してきた。マウスやキーボードと同じようにPCに接続して使用するPC周辺機器である。簡単な構成であることから、プロ向けから入門用まで幅広いラインナップとなっている。プロ向けのハイエンド市場では「ディスプレイ製品」との併用がユースケースとして見られることなどから競争力は維持されているものの発表から経年の影響による需要減や、差別化を図りにくい中低価格帯では他社(中国メーカー等)との競合が生じている。また、「ペンタブレット製品」に対する顧客ニーズへの対応は継続しつつも、直感的な操作性に優れ、低価格化も進み需要シフトが見られる「ディスプレイ製品」へ戦略的に経営資源をシフトしつつある。
※「ペンタブ」と称されることもある。
(2) ビジネスソリューション
液晶ディスプレイに直接描写や文字入力(署名)ができるビジネス用途向け製品を販売している。事例として、デジタルサイン分野(ホテルのチェックインやクレジットカード決済、銀行の口座開設、保険契約の締結等)、医療分野(医療文書管理や電子カルテ、インフォームドコンセント等)、公共分野(窓口申請手続き等の行政サービスや救急救命、電子投票の支援等)での利用が見られる。
2. テクノロジーソリューション事業
デジタルペン技術※1に基づき、「AESテクノロジーソリューション」と「EMRテクノロジーソリューション」※2の2つに分類され、ペン・センサーシステムをスマートフォンやタブレット・ノートPCメーカーに供給している。EMR方式を採用しているサムスン電子(Galaxyシリーズ)向けを中心に伸びている。また、AES方式を採用するレノボや富士通<6702>といった主要PCメーカーに加え、小米集団<1810.HK>(Xiaomi Corp.)など中国顧客との取引関係も築いている。同社は独自のデジタルペン技術の事実上の標準化(デファクトスタンダード)を推進することにより、ユーザーの裾野を拡げながら規模拡大を優位に進める戦略である。そして、フォルダブルデバイス(折り畳み型のスマートフォンやPC等)や電子ペーパー技術を応用したデバイスにもいち早く対応するなど、メーカー各社からの同社技術への評価も高いようだ。
※1 アクティブES(独自の静電結合。ただしバッテリー必要)方式の技術や、電磁誘導(EMR)方式の高速・高精度位置センサー(バッテリー不要)。
※2 事業環境変化に適合したより適切な業績説明を行うため2024年3月期より名称を一部変更し、これまでの「EMRテクノロジーソリューション他」の「他」は表示を省略した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. ブランド製品事業
ターゲット顧客や製品タイプ別に幅広いラインナップを有している。製品区分としては、(1) クリエイティブソリューション、(2) ビジネスソリューションの2つに分かれる。
(1) クリエイティブソリューション
デジタルコンテンツ市場の黎明期から中核を担ってきたビジネスであり、プロのクリエイター向けでは高いブランド力とシェアを誇る。製品タイプ別に「ディスプレイ製品」「ペンタブレット製品」の2種類※があるが、これらの違いを理解することが、競争環境や今後の成長性を判断するうえで重要となる。
※これまでは「ディスプレイ製品」「ペンタブレット製品」「モバイル製品他」の3種類に分類していたが、環境変化に適合したより適切な業績説明を行うため、2024年3月期よりカテゴリー範囲を変更し、「モバイル製品他」については「モバイル」相当を「ディスプレイ製品」に、「他」相当を「ペンタブレット製品」に統合した。
a) 「ディスプレイ製品」
タブレット(板)が液晶パネル※になったもので、デジタルペンで液晶画面に直接描画できるところに特徴がある。一方、OSや記憶装置を持たない入力デバイスという点では後述する「ペンタブレット製品」と同じ性格のPC周辺機器と言える。大型サイズのものは価格帯が30万円〜50万円前後で、ユーザーはプロやハイエンドアマチュアが中心となるが、この市場では圧倒的なシェアを誇っている。市場の変化(デジタル手書(描)きユーザーの裾野拡大や「ペンタブレット製品」からの需要シフト等)に対応するため、2019年1月に約16インチサイズのエントリーモデルを実売6万円台(発売当時の税抜き販売価格。以下同)で販売すると、7月には22インチサイズ(実売10万円台)、2020年1月には初心者向け約13インチサイズ(実売3万円台)と相次いでリリースし、他社(中国メーカー等)からの価格攻勢が厳しいエントリーモデルの領域においても存在感を高めてきた。ただ、足元では消費者センチメントの悪化や他カテゴリーへ需要がシフトする傾向のなかで中低価格帯モデルの苦戦が続いており、プロ及びクリエイティブ専門教育向けを軸とする原点回帰により、ラインナップの絞り込みと新しい付加価値(新ユースケースなど)を提案する商品ポートフォリオへの刷新に取り組んでいる。
※「液タブ」と称されることもある。
b) 「ペンタブレット製品」
デジタルペンとタブレット(黒い板状のもの)で構成される最も基本的なデバイス※であり、主力製品として貢献してきた。マウスやキーボードと同じようにPCに接続して使用するPC周辺機器である。簡単な構成であることから、プロ向けから入門用まで幅広いラインナップとなっている。プロ向けのハイエンド市場では「ディスプレイ製品」との併用がユースケースとして見られることなどから競争力は維持されているものの発表から経年の影響による需要減や、差別化を図りにくい中低価格帯では他社(中国メーカー等)との競合が生じている。また、「ペンタブレット製品」に対する顧客ニーズへの対応は継続しつつも、直感的な操作性に優れ、低価格化も進み需要シフトが見られる「ディスプレイ製品」へ戦略的に経営資源をシフトしつつある。
※「ペンタブ」と称されることもある。
(2) ビジネスソリューション
液晶ディスプレイに直接描写や文字入力(署名)ができるビジネス用途向け製品を販売している。事例として、デジタルサイン分野(ホテルのチェックインやクレジットカード決済、銀行の口座開設、保険契約の締結等)、医療分野(医療文書管理や電子カルテ、インフォームドコンセント等)、公共分野(窓口申請手続き等の行政サービスや救急救命、電子投票の支援等)での利用が見られる。
2. テクノロジーソリューション事業
デジタルペン技術※1に基づき、「AESテクノロジーソリューション」と「EMRテクノロジーソリューション」※2の2つに分類され、ペン・センサーシステムをスマートフォンやタブレット・ノートPCメーカーに供給している。EMR方式を採用しているサムスン電子(Galaxyシリーズ)向けを中心に伸びている。また、AES方式を採用するレノボ
※1 アクティブES(独自の静電結合。ただしバッテリー必要)方式の技術や、電磁誘導(EMR)方式の高速・高精度位置センサー(バッテリー不要)。
※2 事業環境変化に適合したより適切な業績説明を行うため2024年3月期より名称を一部変更し、これまでの「EMRテクノロジーソリューション他」の「他」は表示を省略した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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