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ワコムのニュース
■成長戦略
2. 6つの主要技術開発軸と具体的な価値例
(1) ペンの技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)
ワコム<6727>の提供価値の源泉であるデジタルペンの技術をさらに発展させ、環境ケア型商品を含む新商品群の導入を目指す。
(2) ペンと紙の技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)
あらゆる「紙」との連携(ディスプレイ、アプリ)により、新たな顧客群の開拓に取り組む。
(3) デジタルインク技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)
データフォーマットやアプリ連携、クラウド対応などにより、クリエイティブや教育分野などでリモートDX体験を提供する。
(4) AI とデジタルインク技術(新コア技術/新ビジネスモデル)
AI とインク連携サービスを実現するプラグイン開発により、個別最適化教育や創作支援サービスなどへ発展させる。
(5) XR 描画技術(新コア技術/新ビジネスモデル)
XR 空間での3D 描画技術により、クリエイティブ、教育、建築、医療等向けに新しい3D 描画ワークフローを提供する。
(6) セキュリティ認証技術(新コア技術/新ビジネスモデル)
手書きによる個人認証技術により、クリエイティブ、医療等向けに個人認証や著作権保護サービスを提供する。
3. 対象市場の成長性
同社では、デジタルペンとインクにおける事業機会は、これまでのクリエイティブ(デジタルコンテンツ制作/創作)市場のみならず、教育DX 市場、ワークフローDX 市場といった、規模が大きく、高い成長性※が見込まれている3つの領域に存在すると捉えており、これらの領域でテクノロジー・リーダーシップを発揮することが、同社自身の成長加速にもつながるものと認識している。特に同社が注力するAI、XR、Security の新コア技術との組み合わせを通じた新しい価値提供が、これらの領域の変革や成長に欠かせない要素となっており、同社戦略の方向性とも符合している。
※同社資料より、デジタルコンテンツ制作/創作市場の年平均成長率(2021 年~2027 年)は9.5%(出所:Maia Research)、教育DX(Edtech)市場(2021 年から2030 年)の年平均成長率は16.8%(出所:Grand View Research)、ワークフローDX 市場(2022 年から2023 年)の年平均成長率は16.5%(出所:IDC)といった予想がされている。
4. 成長のイメージと財務方針
中期経営方針「Wacom Chapter 3」については、現行コア技術/現行ビジネスモデルをさらに推進する一方、次のステージでの成長加速に向けて新コア技術/ 新ビジネスモデルの立ち上げに注力する戦略である。最終年度の数値目標の設定はしていないが、年度ごとに業績予想のガイダンスとともに成長の方向性や取り組んでいる戦略軸の進捗を示していく考えである。また、財務方針については、1) 新たな指標としてROIC25~30%程度を設定したほか、2)ROE20%程度、3)配当性向30%程度としたうえで取締役会でも本質的な議論を活発に行い、事業活動の効率性や資本効率に目配りしながら成長の実現の可能性を高める方針である。ただ前述のとおり、経済環境悪化に伴う足元業績の減速により当初の成長イメージについては時間的な遅れが生じる見通しであり、「Wacom Chapter 4」に突入する2026年3月期以降に2ケタの営業利益率を達成し、維持していく事業構造を目指すシナリオのようだ。具体的な修正プランについては、1次報告、2次報告(2023年3月期決算発表時)の2回に分けて開示する予定である。
5. 弊社の注目点
弊社でも、この期間中に3つの新コア技術(AI、XR、Security)及び新ビジネスモデルを立ち上げ、いかに成長加速に向けた基盤づくりを行っていくのかが最大の注目点であり、同社の方向性や将来性を占ううえでも重要な判断材料になるものと見ている。そのためには、同社自身における技術開発はもちろんのこと、他社との連携により新しいサービスとしての価値をいかに生み出していけるかが成否を決することになるであろう。特にデジタルインクとAI による新たな価値提案は、すでに動き始めた教育分野以外にも様々な分野で可能性があるうえ、他社に先駆けてデータやノウハウが蓄積できれば、革新的な領域で圧倒的なポジションを確立できる公算も大きくなるだろう。そうなれば、有力なパートナーとの連携にも拍車がかかる可能性も期待できる。過去2 年間はコロナ禍による一過性の影響を受けた一方、足元ではコロナ特需の落ち着きと経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込みによりブレーキがかかる格好となったが、エントリーユーザー向けの商品の裾野拡大や新たな需要の取り込みにより、デジタルペンやデジタルインクに関する体験ユーザーのベースは確実に拡大していると考えられる。中期的な新コア技術、新ビジネスモデルの立ち上げが上手くいった場合には、ハードとソフトの相乗効果も十分期待できると考えられる。また、新ビジネスモデルにおいては、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)での提供が軸になるものと考えられるが、課金型の収益モデルへのシフトが同社の成長性や収益性にどのような変化を及ぼすのかについても注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NS>
2. 6つの主要技術開発軸と具体的な価値例
(1) ペンの技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)
ワコム<6727>の提供価値の源泉であるデジタルペンの技術をさらに発展させ、環境ケア型商品を含む新商品群の導入を目指す。
(2) ペンと紙の技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)
あらゆる「紙」との連携(ディスプレイ、アプリ)により、新たな顧客群の開拓に取り組む。
(3) デジタルインク技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)
データフォーマットやアプリ連携、クラウド対応などにより、クリエイティブや教育分野などでリモートDX体験を提供する。
(4) AI とデジタルインク技術(新コア技術/新ビジネスモデル)
AI とインク連携サービスを実現するプラグイン開発により、個別最適化教育や創作支援サービスなどへ発展させる。
(5) XR 描画技術(新コア技術/新ビジネスモデル)
XR 空間での3D 描画技術により、クリエイティブ、教育、建築、医療等向けに新しい3D 描画ワークフローを提供する。
(6) セキュリティ認証技術(新コア技術/新ビジネスモデル)
手書きによる個人認証技術により、クリエイティブ、医療等向けに個人認証や著作権保護サービスを提供する。
3. 対象市場の成長性
同社では、デジタルペンとインクにおける事業機会は、これまでのクリエイティブ(デジタルコンテンツ制作/創作)市場のみならず、教育DX 市場、ワークフローDX 市場といった、規模が大きく、高い成長性※が見込まれている3つの領域に存在すると捉えており、これらの領域でテクノロジー・リーダーシップを発揮することが、同社自身の成長加速にもつながるものと認識している。特に同社が注力するAI、XR、Security の新コア技術との組み合わせを通じた新しい価値提供が、これらの領域の変革や成長に欠かせない要素となっており、同社戦略の方向性とも符合している。
※同社資料より、デジタルコンテンツ制作/創作市場の年平均成長率(2021 年~2027 年)は9.5%(出所:Maia Research)、教育DX(Edtech)市場(2021 年から2030 年)の年平均成長率は16.8%(出所:Grand View Research)、ワークフローDX 市場(2022 年から2023 年)の年平均成長率は16.5%(出所:IDC)といった予想がされている。
4. 成長のイメージと財務方針
中期経営方針「Wacom Chapter 3」については、現行コア技術/現行ビジネスモデルをさらに推進する一方、次のステージでの成長加速に向けて新コア技術/ 新ビジネスモデルの立ち上げに注力する戦略である。最終年度の数値目標の設定はしていないが、年度ごとに業績予想のガイダンスとともに成長の方向性や取り組んでいる戦略軸の進捗を示していく考えである。また、財務方針については、1) 新たな指標としてROIC25~30%程度を設定したほか、2)ROE20%程度、3)配当性向30%程度としたうえで取締役会でも本質的な議論を活発に行い、事業活動の効率性や資本効率に目配りしながら成長の実現の可能性を高める方針である。ただ前述のとおり、経済環境悪化に伴う足元業績の減速により当初の成長イメージについては時間的な遅れが生じる見通しであり、「Wacom Chapter 4」に突入する2026年3月期以降に2ケタの営業利益率を達成し、維持していく事業構造を目指すシナリオのようだ。具体的な修正プランについては、1次報告、2次報告(2023年3月期決算発表時)の2回に分けて開示する予定である。
5. 弊社の注目点
弊社でも、この期間中に3つの新コア技術(AI、XR、Security)及び新ビジネスモデルを立ち上げ、いかに成長加速に向けた基盤づくりを行っていくのかが最大の注目点であり、同社の方向性や将来性を占ううえでも重要な判断材料になるものと見ている。そのためには、同社自身における技術開発はもちろんのこと、他社との連携により新しいサービスとしての価値をいかに生み出していけるかが成否を決することになるであろう。特にデジタルインクとAI による新たな価値提案は、すでに動き始めた教育分野以外にも様々な分野で可能性があるうえ、他社に先駆けてデータやノウハウが蓄積できれば、革新的な領域で圧倒的なポジションを確立できる公算も大きくなるだろう。そうなれば、有力なパートナーとの連携にも拍車がかかる可能性も期待できる。過去2 年間はコロナ禍による一過性の影響を受けた一方、足元ではコロナ特需の落ち着きと経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込みによりブレーキがかかる格好となったが、エントリーユーザー向けの商品の裾野拡大や新たな需要の取り込みにより、デジタルペンやデジタルインクに関する体験ユーザーのベースは確実に拡大していると考えられる。中期的な新コア技術、新ビジネスモデルの立ち上げが上手くいった場合には、ハードとソフトの相乗効果も十分期待できると考えられる。また、新ビジネスモデルにおいては、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)での提供が軸になるものと考えられるが、課金型の収益モデルへのシフトが同社の成長性や収益性にどのような変化を及ぼすのかについても注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NS>
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