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―外国人技能実習生が来日できず現場混乱、先端ITで超省力・高品質生産を実現―
新型コロナウイルス感染症の拡大により、 スマート農業への取り組みが加速しようとしている。ロボットや先端IT技術を活用して超省力・高品質生産を実現するスマート農業は、人手不足が深刻化する農業分野の問題解決策の一つとして注目されている分野。同じく農業分野の人手不足に貢献する技能実習生がコロナ禍により入国できなくなったことで、スマート農業の重要性が増している。
国もスマート農業の拡大に力を入れており、2021年度予算にもスマート農業加速化などに予算を計上し、国策として進められる。関連銘柄にとってはビジネス拡大のチャンスだ。
●農業従事者数は減少傾向続く
政府は今年1月14日、20年10月からビジネス関係者らに例外的に認めていた外国人の新規入国を一時的に停止しており、現在も原則として停止状態にある。この例外措置の対象には技能実習生も含まれていたことから、1~3月に来日を予定していた外国人技能実習生が来日できないでいる。20年3-9月には3000人近い技能実習生が来日できず問題となったが、同措置で同じように生産現場での人手不足が深刻化する可能性がある。
もともと、農業は人手不足が深刻だ。農林水産省の調査によると、20年の農業従事者数は136万1000人で、20年前と比べて103万9000人(43.3%)、5年前に比べても39万6000人(22.5%)減少した。また、20年の農業従事者のうち、65歳以上は94万9000人と約70%を占めており、労働力不足と高齢化は深刻さの度合いを増している。
若者の農業離れに加えて、熟練農業者のノウハウが暗黙知化されていることが新規就農者の育成を難しくし、人手不足に拍車をかけているのが現状で、これを解消するために技能実習生に頼る農業経営者も少なくない。人手不足を放置すると、離農による耕作放棄地の拡大や、農業技術の喪失につながるだけに、政府も手をこまねいているわけにはいかない。
●国策として進められるスマート農業
そこで注目されているのが、スマート農業だ。スマート農業とは、 ロボットやAI、IoTなどの技術を活用した農業のことで、農機の自動走行による省力化、ドローンやセンサーでの圃場(ほじょう)・ハウス管理、ビッグデータや画像解析技術の活用による戦略的な需要・リスク予測、生産情報のクラウド化による産地と消費者の直結などが挙げられる。
農林水産省では、19年度から行われているスマート農業加速化実証プロジェクトの検討の成果として、スマート農業の現場実装を加速化するための施策「スマート農業推進総合パッケージ」を20年10月に取りまとめた。このなかでは全国148地区で行っている実証プロジェクトについて、作物別にコストやメリットを分析・発信するほか、農業機械のシェアリングなどの実証に取り組むとしている。
また、先端技術の現場への導入・実証や、地域での戦略づくり、科学的データに基づく土づくり、教育の推進、農業データ連携基盤(WAGRI)の活用促進などの環境整備を行うため、21年度予算で13億5900万円、20年度第3次補正予算で62億円が計上されている。これらからわかるように、スマート農業は国策として進められている。
●農業のDX化を推進するセラク、イーサポート
近年は、国や自治体からの補助金もあり、農業分野でもデジタル化が進められており、関連銘柄の代表格はそうしたデジタル化に関連した分野だろう。
セラク <6199> は、システムインテグレーション(SI)事業を主力としており、顧客先に常駐して設計構築や運用保守を行うオンサイトサービスの提供が強み。デジタルトランスフォーメーション(DX)事業の一環として、農業ITプラットフォーム「みどりクラウド」を展開しており、足もとでは農林水産省の経営継続補助金を活用し、シェア拡大に注力している。第1四半期(20年9-11月)連結決算は、主力のSI、DX両事業ともに好調で、営業利益は2億6800万円(前年同期比27.7%増)となった。21年8月期は同13億7000万円(前期比20.8%増)と好業績見通しであることも注目したい。
イーサポートリンク <2493> [JQ]は、生産流通を主な事業領域としており、主力のオペレーション支援事業の一環として、生産者向けに作物別の栽培計画から作業管理、出荷管理、収益管理までを一元管理する「農場物語」を展開。このほか、りんごや国産青果物、有機農産物販売を行う農業支援事業を手掛けている。21年11月期連結業績予想は、輸入青果物サプライチェーンの減収見込みと新規事業への先行投資負担で営業利益7300万円(前期比72.1%減)予想だが、同社の農産物のオペレーションには優位性があり、成長期待は高い。
トプコン <7732> は、測量検査装置や眼科医療機器、GNSS(全地球衛星測位システム)関連製品などを手掛けているが、高精度GPSによる農業機械の自動操舵システムを開発しているほか、精密農業用GNSSガイダンスシステムやレーザー式生育センサー、施肥設計ソフトウェアなどを展開している。21年3月期連結業績は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、営業利益40億円(前期比25.7%減)と減益見通しだが、国内IT農業分野は補助金効果もあって堅調という。
●ドローンの農業活用で注目されるオプティム
オプティム <3694> は、法人内のパソコンなど各種デバイスを管理・運用するサービスの提供が主力だが、テレワーク支援やオンライン診療などの事業も展開。なかでも近年注目されているのがAIやIoT、ロボティクス技術を用いた農業分野で、ロボットや ドローンを活用した圃場/ハウス管理サービスなどを提供。また、ドローンによる世界初のピンポイント農薬散布テクノロジーなどにも強みがある。2月12日には21年3月期連結業績予想について、営業利益を7億1200万~15億2600万円から18億~21億円(前期比7.0~8.2倍)へ上方修正しており、好業績見通しにも注目だ。
このほか、子会社がビニールハウスの換気窓などの制御を自動化するシステムを手掛けるIDEC <6652> 、栽培技能の可視化と技能継承を支援する農業ICTソリューション「OGAL」を展開するキーウェアソリューションズ <3799> [東証2]、米オラクルと提携し、スマート農業のソリューションを開発するJIG-SAW <3914> [東証M]などにも注目。また、農業コンサルティング事業を展開する農業総合研究所 <3541> [東証M]、栽培施設内外の各種環境データ取得と設備の自動制御などを行う「NCXX FARM」を展開するネクスグループ <6634> [JQ]も忘れてはならない。
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