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―電力需給逼迫を背景に緊急度増す、地元の同意など再稼働に不透明要因も―
原子力発電関連株への注目度が高まっている。ウクライナ危機を背景にエネルギー価格が高騰するなか、今冬の電力需給逼迫への警戒感も浮上している。こうしたなか、岸田政権は原発の再稼働に向け本格的に走り始めた。特に、次世代原発の建設に踏み込んだことを株式市場は前向きに受け止めた。市場には秋相場の中心テーマに原発関連株が浮上することへの期待が高まっている。
●岸田政権は原発再稼働と新増設に本格的に踏み出す
岸田文雄首相は24日に、原発の再稼働や運転延長、それに次世代型の建設検討を指示した。GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で示したもので、電力需給が逼迫するなか、原発の活用を含めあらゆる施策を総動員する姿勢を鮮明にした。
具体的には、既設原発を最大限活用する姿勢が示され、2023年夏以降に再稼働する原発を最大17基とする方針。また、次世代の原子炉の建設検討も打ち出された。市場からは「原発の再稼働促進は予想されたが、新増設の検討まで打ち出したことはポジティブ・サプライズ」(アナリスト)との声が出るなど、前向きに受け止められた。
●欧州や米国で原発再評価、日本も電力需要逼迫など契機に
もともと、今年に入り原発を巡る動きは関心を集めていた。脱炭素にも絡み、二酸化炭素(CO2)を排出しない原発を再評価する見方が浮上していたほか、特に2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻で原油や天然ガスの価格が急騰。エネルギー安全保障の観点から海外資源に頼らない原発再評価の声が強まった。実際、ロシアからの天然ガスへの依存度が高くエネルギー問題に揺れる欧州では、英国やフランスなどで原発の新設に向けた政策支援を打ち出しているほか、米国でもバイデン大統領は脱炭素の目標達成のため原発を維持する方針を示している。
日本でも、エネルギー価格上昇に伴う電力料金の高騰が問題となっているほか、今年の冬にかけては再び電力需給が逼迫することが警戒されている。ロシアからの液化天然ガス(LNG)の供給に不透明感も出るなか、原発再稼働に向けた声は強まっていた。6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)では、原発に関して「最大限活用する」と打ち出されていたが、その流れが冒頭のGX実行会議での岸田首相の発言につながっていった格好だ。
●原発再稼働に向け地元の同意などが課題に
原発関連銘柄の動向に関しては、「冬場に電力需給の逼迫も予想されるだけに、国策に乗る期待のテーマ」(市場関係者)と秋相場の物色の中心となることを期待する声は多い。特に、原油価格など資源価格が高騰する際に、人気化する可能性がありそうだ。東京電力ホールディングス <9501> [東証P]や三菱重工業 <7011> [東証P]などを中心とする上昇が期待されている。
ただ、原発政策に関しては、11年の福島第一原発事故を経験しているだけに反対意見も強く「地元の同意を得てどれだけ再稼働に持ち込めるか、未知数の要素も多い」(同)との見方もある。更に、ウクライナ南部のザポロジエ原発が攻撃され、放射能漏れが起こった場合、原発関連株には売り材料となる可能性が高い。これら懸念材料を抱えながらも、原発関連株は強含みで推移するというのが市場の基本シナリオだ。
●小型原子炉関連で三菱重や日揮HD、IHIなど注目
原発関連株では、東電HDや関西電力 <9503> [東証P]、九州電力 <9508> [東証P]など電力株のほか、原子力関連機器を手掛ける助川電気工業 <7711> [東証S]や核燃料輸送容器などを展開する木村化工機 <6378> [東証S]、原子炉の鍛鋼部材を扱う日本製鋼所 <5631> [東証P]、原発の建設から保守点検までを手掛ける東京エネシス <1945> [東証P]、独自の管理システムを持つ高田工業所 <1966> [東証S]などが注目されている。原発用バルブの岡野バルブ製造 <6492> [東証S]やTVE <6466> [東証S]なども関心が高い。
なかでも市場で注目を集めているのが小型原子炉(SMR)だ。SMRは出力が従来の原子炉に比べて小さく、構造が簡素となっている。建設費が安いうえに、原子炉をプールに沈める構造にするなど設計上の工夫が凝らされており、安全性も向上している。日揮ホールディングス <1963> [東証P]とIHI <7013> [東証P]は、ともに米国の原発関連企業ニュースケール・パワー
株探ニュース
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