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ダイコク電機のニュース
*12:27JST ダイコク電 Research Memo(7):「スマート遊技機」時代に向けた中期経営計画をスタート
■中期経営計画
ダイコク電機<6430>は、「スマート遊技機」による新たな時代を迎えるにあたり、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活性化に向けた道筋が見えてきたことから、2023年3月期を初年度とする中期経営計画(3ヶ年)をスタートさせた。経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」に基づき、将来の市場環境の変化に対応するため、事業ドメインの再設定に取り組む方針である。具体的には、「スマート遊技機」の導入に伴う需要の取り込みや、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及促進のほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。
1. 前提となる環境認識
「新規則」機への完全移行、さらには「スマート遊技機」の普及に伴って、遊技機市場及びパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。「スマート遊技機」への入れ替えは、利便性やゲーム性の幅が広がることでファンの拡大やホール経営のあり方に大きく影響を与える。特に、パチンコホールごとに集客力の差が顕著となることから、有力企業による業界再編の流れが加速している。同社では、「スマート遊技機」の入れ替えが進むにつれて、勝ち残りをかけたパチンコホールの設備投資(新規出店を含む)が活性化され、同社業績も大きく拡大するシナリオを描いている。
2. 重点施策(事業ドメインの再設定)
(1) 情報システム事業
戦略の目玉は、今後の市場変化を見据え、クラウドサーバーを活用した新MGサービスの拡充により業界唯一のプラットフォームを構築し、ホール大手を中心に囲い込むとともに、ホール経営の支援はもちろん、業界の変革にも貢献していくところにある。そのための具体策として、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を進めるとともに、「スマート遊技機」に柔軟に対応した製品・サービスに加え、省力化・省人化をさらに具現化し、ホールスタッフの働き方やファンの集客戦略を変える製品群をタイムリーに市場投入することで各製品のシェアを高めていく。さらには業界データ及び外部データをクラウドサーバーに集約・活用するプラットフォーム※をスタートさせ、新MGサービスの拡充による安定収益の底上げを目指していく方向性である。
※自社及び他社のホールコンピュータ、ファン行動、サイトアクセス、Wi-Fiアクセス、スタッフ情報、カメラ映像などの業界データのほか、人口統計、行動心理、商圏特性、人流データ、SNS・アプリなどの外部データをクラウドサーバーに集約するとともに、予測エンジンや異常検知エンジン、レコメンドエンジンなどの機能により、データを有効に分析・活用することができるプラットフォーム。
(2) アミューズメント事業
事業の主軸を「パチンコ」から「スマートパチスロ」へ移行する方針を掲げている。2021年3月期下期より開始したパチスロ遊技機の一括受託開発をさらに推し進めるとともに、遊技機メーカーとして自社ブランドによるスマートパチスロ機の開発にも取り組み、2024年度の市場投入を目指す。
3. 投資計画
3年間の投資計画(累計)として、研究開発費40億円(前3ヶ年合計は28億円)、設備投資62億円(同41億円)を予定しており、前3ヶ年合計を上回る水準となっている。なお、研究開発費は主にスマートパチスロ関連(アミューズメント事業)、設備投資は主にサーバー開発費(情報システム事業)に投下される計画のようだ。
4. 数値目標
同社は、1)中期経営計画初年度となる前期業績が計画を上振れたことや、2)「スマート遊技機」登場に伴う市場の活性化が想定よりも早いペースで進んでいること、3)2024 年に予定されている新札(新紙幣)発行に伴う機種入れ替え需要が期待できることを反映し、当初の数値目標を上方修正した。具体的には、最終年度である2025年3月期の数値目標として、売上高を340億円→400億円(3年間の年平均成長率を11.7%→17.9%)、営業利益を22億円→45億円(営業利益率6.5%→11.3%)に引き上げている。特徴的なのは、研究開発費や設備投資を積極投入しながらも、各製品群における付加価値の向上や、MGサービスによるストック型ビジネスを軸とした収益構造の転換(収益の底上げ)を図るところである。
5. 中長期的な注目点
弊社でも、「スマート遊技機」による新時代を迎えるにあたって、同社の強みとするデータ活用によるMGサービスをさらに拡充させるため、ホールコンピュータからクラウドサーバーを活用したビジネスへと展開していく戦略は、環境変化を自らの優位性を生かすチャンスにつなげていくうえで理にかなっていると評価している。また、同社が目指すプラットフォームビジネスは、データが集まるところに会員が集まり、会員が集まるところにデータが集まるという正の循環(ネットワーク性)が働くため、圧倒的なポジションをさらに強固なものにできる可能性も高い。そのうえで、業界のリーダーとして、同社自身はもちろん、業界や社会の持続性への貢献にも大きな役割が期待されるため、いかにイノベーションによる新たな価値づくりを実現していくのか、サステナビリティへの取り組みについても注目していきたい。また、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るうえでも、異業種参入を目的としたM&Aや業務提携への取り組みを強化している動きからも目が離せない。
上方修正した中期経営計画(計数目標)についても、順調に滑り出した「スマート遊技機」の普及とともに十分に達成可能な水準であると評価している。現在のパチンコ、パチスロ機の設置台数は合わせて約350万台にのぼるが、同社の想定では、「スマート遊技機」への入替は順調に推移していくと見ており、今後数年の普及ペースがポイントとなろう。また、2024年7月に予定されている新札(新紙幣)の発行についても入れ替え需要を後押しする要因として期待される。いずれにしても、パチンコホールには「スマート遊技機」の導入に向けて相応の設備投資が必要となることから、業界の再編が一気に加速される可能性が高い。また、ゲーム性の進化とともに、これまで減少傾向にあったパチンコ・パチスロファンが、新たな利用者層の取り込みも含めて回復に転じる効果も期待できる。このような構造的な変化は、同社にとってもシェア拡大及び収益力向上の絶好のチャンスになると考えられる。したがって、業界の活性化に向けていかに中心的な役割を果たしていけるかが、同社自身の成長加速に向けても重要なポイントになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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ダイコク電機<6430>は、「スマート遊技機」による新たな時代を迎えるにあたり、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活性化に向けた道筋が見えてきたことから、2023年3月期を初年度とする中期経営計画(3ヶ年)をスタートさせた。経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」に基づき、将来の市場環境の変化に対応するため、事業ドメインの再設定に取り組む方針である。具体的には、「スマート遊技機」の導入に伴う需要の取り込みや、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及促進のほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。
1. 前提となる環境認識
「新規則」機への完全移行、さらには「スマート遊技機」の普及に伴って、遊技機市場及びパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。「スマート遊技機」への入れ替えは、利便性やゲーム性の幅が広がることでファンの拡大やホール経営のあり方に大きく影響を与える。特に、パチンコホールごとに集客力の差が顕著となることから、有力企業による業界再編の流れが加速している。同社では、「スマート遊技機」の入れ替えが進むにつれて、勝ち残りをかけたパチンコホールの設備投資(新規出店を含む)が活性化され、同社業績も大きく拡大するシナリオを描いている。
2. 重点施策(事業ドメインの再設定)
(1) 情報システム事業
戦略の目玉は、今後の市場変化を見据え、クラウドサーバーを活用した新MGサービスの拡充により業界唯一のプラットフォームを構築し、ホール大手を中心に囲い込むとともに、ホール経営の支援はもちろん、業界の変革にも貢献していくところにある。そのための具体策として、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を進めるとともに、「スマート遊技機」に柔軟に対応した製品・サービスに加え、省力化・省人化をさらに具現化し、ホールスタッフの働き方やファンの集客戦略を変える製品群をタイムリーに市場投入することで各製品のシェアを高めていく。さらには業界データ及び外部データをクラウドサーバーに集約・活用するプラットフォーム※をスタートさせ、新MGサービスの拡充による安定収益の底上げを目指していく方向性である。
※自社及び他社のホールコンピュータ、ファン行動、サイトアクセス、Wi-Fiアクセス、スタッフ情報、カメラ映像などの業界データのほか、人口統計、行動心理、商圏特性、人流データ、SNS・アプリなどの外部データをクラウドサーバーに集約するとともに、予測エンジンや異常検知エンジン、レコメンドエンジンなどの機能により、データを有効に分析・活用することができるプラットフォーム。
(2) アミューズメント事業
事業の主軸を「パチンコ」から「スマートパチスロ」へ移行する方針を掲げている。2021年3月期下期より開始したパチスロ遊技機の一括受託開発をさらに推し進めるとともに、遊技機メーカーとして自社ブランドによるスマートパチスロ機の開発にも取り組み、2024年度の市場投入を目指す。
3. 投資計画
3年間の投資計画(累計)として、研究開発費40億円(前3ヶ年合計は28億円)、設備投資62億円(同41億円)を予定しており、前3ヶ年合計を上回る水準となっている。なお、研究開発費は主にスマートパチスロ関連(アミューズメント事業)、設備投資は主にサーバー開発費(情報システム事業)に投下される計画のようだ。
4. 数値目標
同社は、1)中期経営計画初年度となる前期業績が計画を上振れたことや、2)「スマート遊技機」登場に伴う市場の活性化が想定よりも早いペースで進んでいること、3)2024 年に予定されている新札(新紙幣)発行に伴う機種入れ替え需要が期待できることを反映し、当初の数値目標を上方修正した。具体的には、最終年度である2025年3月期の数値目標として、売上高を340億円→400億円(3年間の年平均成長率を11.7%→17.9%)、営業利益を22億円→45億円(営業利益率6.5%→11.3%)に引き上げている。特徴的なのは、研究開発費や設備投資を積極投入しながらも、各製品群における付加価値の向上や、MGサービスによるストック型ビジネスを軸とした収益構造の転換(収益の底上げ)を図るところである。
5. 中長期的な注目点
弊社でも、「スマート遊技機」による新時代を迎えるにあたって、同社の強みとするデータ活用によるMGサービスをさらに拡充させるため、ホールコンピュータからクラウドサーバーを活用したビジネスへと展開していく戦略は、環境変化を自らの優位性を生かすチャンスにつなげていくうえで理にかなっていると評価している。また、同社が目指すプラットフォームビジネスは、データが集まるところに会員が集まり、会員が集まるところにデータが集まるという正の循環(ネットワーク性)が働くため、圧倒的なポジションをさらに強固なものにできる可能性も高い。そのうえで、業界のリーダーとして、同社自身はもちろん、業界や社会の持続性への貢献にも大きな役割が期待されるため、いかにイノベーションによる新たな価値づくりを実現していくのか、サステナビリティへの取り組みについても注目していきたい。また、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るうえでも、異業種参入を目的としたM&Aや業務提携への取り組みを強化している動きからも目が離せない。
上方修正した中期経営計画(計数目標)についても、順調に滑り出した「スマート遊技機」の普及とともに十分に達成可能な水準であると評価している。現在のパチンコ、パチスロ機の設置台数は合わせて約350万台にのぼるが、同社の想定では、「スマート遊技機」への入替は順調に推移していくと見ており、今後数年の普及ペースがポイントとなろう。また、2024年7月に予定されている新札(新紙幣)の発行についても入れ替え需要を後押しする要因として期待される。いずれにしても、パチンコホールには「スマート遊技機」の導入に向けて相応の設備投資が必要となることから、業界の再編が一気に加速される可能性が高い。また、ゲーム性の進化とともに、これまで減少傾向にあったパチンコ・パチスロファンが、新たな利用者層の取り込みも含めて回復に転じる効果も期待できる。このような構造的な変化は、同社にとってもシェア拡大及び収益力向上の絶好のチャンスになると考えられる。したがって、業界の活性化に向けていかに中心的な役割を果たしていけるかが、同社自身の成長加速に向けても重要なポイントになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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