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「半導体&電子部品」ビッグウェーブ到来、「最強布陣10銘柄」を追え <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2021/01/23 19:30

―ソフト全盛からハード重視の相場へ、需給逼迫で業容拡大路線をまい進する銘柄群―

●コロナ禍でも色褪せることのない成長期待

 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないなか、経済活動の規制に伴い企業業績や景気への影響が警戒されている。しかし、コロナ禍にあってもデメリットを受けにくく成長トレンドに全く陰りがみられない業界もある。その最たる例として、半導体や電子部品などのハイテクセクターが挙げられる。

 ビッグデータの普及加速に加え、ディープラーニングによって飛躍的にレベルアップした人工知能(AI)、あらゆるものをネットでつなぐIoT社会の到来。このようなソフト分野の革命的進化は、高集積化した半導体 や電子部品 などのハードがその礎となっていることは言うまでもない。更に高速通信規格5Gの本格離陸や400兆円規模と言われる自動車産業における電気自動車(EV)シフトの動き。これらは、すべて半導体・電子部品の加速度的な需要喚起へとつながっていく。そして、株式市場でもこの流れをバックグラウンドに関連メーカーの株価に強力な押し上げ効果が顕在化し始めている。

 コロナ禍によってもたらされた“巣ごもり化”は、ゲームや動画配信に対する新たな消費者ニーズを創出し、企業の世界的なリモートワーク導入の動きなども通信関連機器特需を生み出した。加えて、5G基地局投資や5G対応スマートフォンの量産、脱炭素化を背景に急速に拡大局面に入ったEV市場、それらのシーンでは常にネズミ算式に膨張化する電子デバイスの存在がある。

●半導体が足りない!? ならば半導体関連は買い

 こうしたなか、現実問題として半導体需給の逼迫がさまざまな形で表面化している。大手自動車メーカーが半導体不足によって生産調整の動きを迫られるという事態は、米中摩擦という政治的な背景が考慮されるとはいえ、株式市場で半ば驚きをもって受けとめられた。ホンダ <7267> は半導体不足を受けて1月に国内で4000台程度を減産する方針が伝えられた。また、トヨタ自動車 <7203> も半導体不足で中国工場を一時停止するという事態となっている。

 これはゲーム業界などにも今後同じような状況を強いる可能性がある。しかし現状を見る限り、マーケットでは自動車業界やゲーム業界におけるネガティブ材料としてではなく、半導体関連株への強力な株価刺激材料としてポジティブな方向に作用している。

●5Gの離陸本番で潤う電子部品メーカー

 一方、5Gの商用サービスが本格化するなか、メモリーやロジックなど半導体はもちろんのこと、コンデンサー や水晶関連機器などをはじめとする電子部品全般も旺盛な需要が見込まれている。米国株市場ではアップル株が躍進している。直近、21日はマドを開けて買われ3連騰となり、上場来高値を更新した。株価上昇の根拠となっているのはもちろん、iPhoneの販売好調だ。同社の株価目標引き上げを行った大手外資系証券によると、20年10-12月期決算は売上高や一株利益が過去最高になるとの見解を示しており、27日に予定される決算発表を前にここは買い場であるという強いメッセージを発したことが投資マネーの流入を促した。

 5Gに対応した「iPhone12」の需要は引っ張りだこの状態で販売台数はマーケットコンセンサスを上回る可能性が高いとみられている。日本のアップル向けトップサプライヤーである村田製作所 <6981> をはじめ、太陽誘電 <6976>TDK <6762> など大手電子部品株がここ最近、極めて強い上昇波動を形成していたのも、こうした機関投資家の実需買いを誘う確固たる根拠があった。

●EVが生み出す新たな需要も投資マネー誘導

 電子部品はEVなど電動車向けでも高水準の新たな需要が発現している。日本電産 <6594> の昨年4月以降の一貫した上昇トレンドは、EV向け駆動用モーターへの注力が近い将来を見据えて評価されている。ここ9ヵ月にわたる日電産の株高は数年後のEV市場の活況が投影されたものといってよいかもしれない。このほか基幹部品である2次電池やコンデンサーメーカーなどもEV向け特需で大きなビジネスチャンスを獲得していくことが必至とみられている。

 今回はこうした環境下で、今後株式市場で注目を浴びそうな銘柄群にスポットライトを当てた。半導体製造装置メーカーや半導体商社、更に、コンデンサーや抵抗器、水晶デバイス、コネクターといった電子部品メーカーなど魅力ある10銘柄をエントリーした。

●半導体関連の最強布陣6銘柄

日本マイクロニクス <6871>

 プローブカードなど半導体計測機器を主力展開するほか、テスターも手掛ける。半導体ファウンドリー世界トップの台湾・TSMCが日本で新工場建設を検討していると伝わるなか、日本マイクロの商機拡大思惑が株価を強く刺激している。時価は昨年来高値近辺に位置しているが、14年2月には6935円の高値(分割後修正値)を形成しており天井の高さは魅力。20年12月期は15ヵ月の変則決算ながらトップラインの伸びが輝きを放つ。

サムコ <6387>

 炭化ケイ素や窒化ガリウムなど化合物半導体向けで強みを持つ半導体製造装置メーカーで、プラズマCVD(薄膜形成)装置やドライエッチング装置などで高い商品競争力を有する。5G関連投資や5G対応スマートフォンの普及本格化を背景に収益環境に吹く追い風は強く、中期的にも世界的なEVシフトの動きが同社の業績拡大を後押しする。株価は上場来高値更新後に目先一服しているが、戻り売り圧力のない青空圏での上値追いが続こう。

イノテック <9880>

 半導体商社で半導体設計ツールとメモリーテスターを主力としている。テスターはNAND型フラッシュメモリー量産ラインでのソリューションで実績が高く、21年3月期は減益見込みながら、来期業績はNANDテスター分野が牽引役となり業績回復色を強めることが予想される。時価予想PERは13倍前後でPBR0.7倍台。また3.6%台の配当利回りは割安感が強い。約1年前につけた昨年来高値1333円払拭が有望視される。

野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証2]

 半導体業界向けを主力とする超純水装置大手で、韓国や台湾の大手企業向け需要開拓で先駆する。半導体不足は5G関連投資やデータセンター増設需要などが主な理由だが、米中摩擦に伴い調達に難儀している政治的背景もあり、中国企業に代わり台湾勢に注文が流れている。これは同社にとって収益機会のチャンスにつながる。21年3月期は営業68%増益見通しと高変化を見込むが上振れの可能性も。株価は再び4000円大台復帰を目指す。

芝浦メカトロニクス <6590>

 半導体や液晶などのデバイス製造装置メーカーで東芝 <6502> [東証2]を大株主に持つ。エッチング装置やチップボンダーなどで実績が高く、今後5G対応スマートフォンや電装化の進む車載用デバイス向けなどを中心に需要取り込みが見込まれている。22年3月期はウエハー洗浄装置やフォトマスクエッチング装置など半導体前工程の牽引で利益成長トレンドに復帰する公算が大きい。株価は約13年ぶりの高値圏にあり戻り売り圧力は乏しい。

トレックス・セミコンダクター <6616>

 アナログ電源ICの製造販売を行い車載向けのほか産業機器向けを深耕、データセンター増設に伴う需要も獲得している。車載向けでは自動車の電装化進展で電子機器の搭載点数の増加がフォローの風となっており、EVの本格普及で更に活躍余地が高まる。定電圧充電に対応した電池用電源ICを手掛け、小型全固体電池の充電も可能で今後ウェアラブル端末向けなどで受注獲得が見込める。PBR0.8倍前後で株価指標面でも見直し余地。

●電子部品関連の最強布陣4銘柄

KOA <6999>

 独立系の電子部品メーカーで売上高の約9割を占める抵抗器は世界トップクラスのシェアを誇る。車載向けを主力とし海外向けが売り上げの7割弱を占める一方、国内生産比率が高く品質の高さがポイント。自動車の電装化進展は同社の収益機会を広げている。今後EVの普及が進むなか、抵抗器の搭載点数もガソリン車と比べ格段に増加するため、フォローの風は一段と強まることに。20年4-12月期業績は従来見通しから大きく上振れした。

日本電波工業 <6779>

 水晶振動子や水晶機器など水晶デバイス専業メーカーとして世界屈指。高精度の小型製品を強みとし、5G向けでは高安定、位相雑音特性、耐環境性能に優れた水晶発振器を提供。海外売り上げ比率が約8割と高いが、世界的に高速通信規格5Gの商用サービスが拡大するなか、5G対応スマートフォンの量産局面で高水準の需要獲得が期待。21年3月期は営業黒字化予想で、株価は15年4月以来5年9ヵ月ぶり4ケタ大台を目指す公算が大きい。

ニチコン <6996>

 アルミ電解コンデンサーを主力とする大手メーカーで、世界的なEVシフトを背景に必須部品であるフィルムコンデンサーで需要開拓を進めている。商品シェアはパナソニック <6752> と双璧で他を圧倒する。EV向けの旺盛な需要に対応し、今年末までにフィルムコンデンサーの生産能力を倍加させる方針が伝えらえている。株価は17年11月につけた1635円払拭が当面の目標で、ここをクリアすれば上値追いに拍車がかかる可能性も。

I-PEX <6640>

 電子機器向けコネクター大手で、車載向け需要開拓に力を入れるほか、スマートフォン端末向けで高い実力を有する。旺盛な5G関連需要に対応して生産ラインを増強するなど、今後の成長に向けた布石に余念がない。20年12月期営業利益は前の期比26%増の19億円を見込むが3億円程度の大幅な増額余地が意識されている。年25円配当を実施しながらPBRは0.7倍台に過ぎず、テクニカル的にも週足三角もち合いが煮詰まっている。

株探ニュース
配信元: 株探
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